新作の題材は1894年に起きた「ドレフュス事件」
作風は質実剛健という感じで、
演出的な盛り上がりも抑制的。
だが、淡々と進むストーリーテリングによって、真相解明サスペンスの緊張がぐっと濃縮されている。
ポランスキーらしいコンプレス具合で
131分があっという間に過ぎた。
***
冤罪であることが公になる過程でも、
関係者も街の人々も反応が圧倒的に反ユダヤ的であることが、
作品の通奏低音のように描かれ、
ずっしりと疲れる。
冤罪事件そのものよりも、
この事件を経たにもかかわらず
人々が正義や公正ではなく憎悪と憎しみを選んでいくということに、この映画の主題はあるだろう。
主題というか、
これを題材とした映画を撮る動機の核心なのかも。
***
ウィキペディアでドレフュス事件の項を見てみたら、事件を描いた当時の挿絵が掲載されているが、映画はこの挿絵にかなり近いイメージ。
とりあえず挿絵の出典を把握していないので、後で調べてみよう。
(と言って結局放置なのがいつものパターンだけど)
ルイ・ガレルのドレフュスもウィキにある写真とそっくり。
***
監督本人が演奏会シーンにチラ出演しているらしいが、
まったく確認できなかった。
ので、
もう一度観たい。
そこで演奏されるのはフォーレなんだが、
せっかくチェロとバイオリンがいるのに、
両者が延々とオクターブユニゾンするという、
フォーレの室内楽によく見られる不思議な特徴がよく出ている部分。
(フォーレは宇宙人だと常々思っている)
冒頭静かな風景かと思いきや
よく見るとすごくたくさん人間がいる〜とか、
弁護士の受難シーンのぶっきらぼうな感じに
ポランスキー味を感じた。。
あとデスプラの奇妙な音楽も。
シャンテにて
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます