イワシの翻訳LOVE

はしくれトランスレータ「イワシ」が、翻訳への愛をつれづれなるままに記します。

ゴルゴ38  Part XIII  ~最終回~

2008年11月13日 20時18分40秒 | 連載企画
ついに発売当日。メンバーの熱い思いを乗せた入魂の一冊は果たして売れてくれるのだろうか。『ボストン13人連続殺人事件~俺の背後で危険な恋のタッチダウン~』――ミステリーとサスペンスとロマンスとコメディの要素をたっぷり含んだこの作品は、製作費に13億円を投じたことも話題を呼び、好調な売れ行きを見せた。そして、発売から13ヶ月後には、めでたく13刷13万部の大ヒットになったのであった。

プロジェクトは成功。かけた情熱と労力の分だけよいものが作れるのだ。

いつの日か、プロジェクトよ再び。プロたちは、またそこに集うことだろう。翻訳者は孤独だ。だが、真の孤独を知るものたちだからこそ、優れた共同作業が可能になるのだ。各地に散り散りになっているメンバーたちは、そんな想いを心に浮かべながら、今日もまたプロとしての各々の仕事に取り組むのだった。さようなら――、また会おう。

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いつものようにふざけたことばかり書いてしまった今回の連載でしたが、自分としてはけっこう真面目に考えさせられる点もありました。基本的に文章はひとりの人間によって書かれます。しかし、完成までにさまざまな人の手をかけることで、きっと質を高めることができる、つまり翻訳の共同作業が可能だという当たり前といえば当たり前の事実を、妄想を通じて実感できました。

いつの日かこの妄想を少しだけでも現実的に実践できるときがくるのなら、以下のようなメンバーでやってみたいと思います。うまくいけば、かなりいい訳を作ることができるのではないでしょうか。複数の人間が関わることで、意見の対立もあるでしょう。さまざまな手が加えられることで、訳文がバラバラになる可能性だってあります。そういう意味で共同作業は諸刃の剣ではあります。でもきっとメリットだって大きいはずです。打ち上げのビールだって美味しいはずです。

翻訳者
翻訳者の影武者(翻訳者と平行して訳出)
チェッカー(2名:オリジナルとターゲット言語をそれぞれ母語とする)
データマン

著者(軟禁して質問責め)
校正者
編集者
テスター
モニター
監修者

などなど.....

現実的にはこのように多くの人手をかけることは難しいでしょうが、逆に考えれば翻訳者にはそれだけ多様な役割が求められているのだとも言えます。翻訳者は、自分のなかにさまざまな訳文を作れるように複数の訳者を共存させるべきであり、さらには訳文を突き放してみるチェッカーの視点と、調べるべきところは徹底して突き止めるデータマンの視点を持つことが必要なのです。また、意地悪くあらさがしをするテスターの目と、作品を心から楽しむ暖かい読者の目を持つことも大切です。連載の初めのころに翻訳者をハンマー投げの選手に例えてみましたが、考えてみると同じ陸上競技でいえば十種競技の方がメタファーとして相応しいのかもしれません。翻訳にはそれだけ多くの種目をこなせる器用さが求められると思ったからです。

ともかくそんなわけで今回の連載を終わりにします。ずいぶんと間があいてしまいましたが、ご勘弁を。


   ,.…‐- ..,
   f   ,.、i'三y、 
   !   {hii゛`ラ'゛、
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   /ー-ニ.._` r-' |……    「ご清聴ありがとうございました。いつの日かプロジェクトを実現できることを願って.....」



「待っている」伝えることができぬままどうしてそんなに丸い満月

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
zannen (kame)
2008-11-14 08:23:28
rennsai, omoshirokatta noni...
tokorode, 11-11 no blog no okegede,
kame wa nanika fukkire mashita.
arigato. muri o sezuni, ikite ikimasu.
jitsuwa, kame wa iwashi-san to 'arutokoro'
de tsunagatte imasu. itsuka toki ga kitara
oshie masu.
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いつかパートIIを (iwashi)
2008-11-14 10:21:26
kameさん

ありがとうございます。たしかにちょっと名残惜しいですが、13回目で終わらせてみました(^^)いつか続編を書いてみたいですが、ネタがもちそうにありません(^^)でも自分なりにいろいろと発見がありました。たいしたものではありませんが......。

kameさんとはつながりがあったのですね!
arutokoroとがどこかとても気になりますが(^^)なんだかとても嬉しいです。Life goes on. 気負わずにいきていきましょう!


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