イワシの翻訳LOVE

はしくれトランスレータ「イワシ」が、翻訳への愛をつれづれなるままに記します。

ありがとう2009

2009年12月31日 19時10分16秒 | Weblog


あと数時間で新しい年が明けます。
今年もみなさまのおかげで、無事に年を越せそうです。お世話になったみなさま、そしてこのブログを読んでくださったみなさま、本当にありがとうございました。

フリーになって1年目、試行錯誤の日々でしたが、今年得た経験を活かして、来年も大きな夢に向かって充実した毎日を過ごしていきたいと思います。

春まではいろいろと大変なことも多かったのですが、多くの方々に支えられてなんとか乗り越えることができました。

夏には島根県の浜田市を28年ぶりに訪れる機会に恵まれ、懐かしい友達や恩師と再会できました。最高の経験をさせていただきました。また、炎天下の半裸ランナーとして思う存分変態道を究めることができました。

秋からは「そぞろ歩きの会」を始めて、同業者のみなさんと楽しく街歩きができました。来年も楽しみにしています。

冬には以前務めていた翻訳会社でオンサイト勤務させていただくことになり、新たな気づきを多く得ることができました。

来年はもっと外に出ること、「これぞ」という翻訳の仕事に出会えること、そしてもっともっと健康になって、たくさん炎天下半裸ランニングを楽しむことなどなど、たくさんの目標があります。来年の自分に大きく期待しております。

みなさまにとって来年が素晴らしい年になりますように!
本当にありがとうございました。


情熱と進化のリーサルウエポン

2009年12月30日 20時46分36秒 | Weblog
深夜ふとつけたテレビで、『ラーメン官僚』こと田中さんの存在を知り、すっかりファンになってしまった。ラーメンへの情熱がとにかくすごくて、ラーメン好きとしてはたまらないものがある。ラーメンを熱く語るその独特の言語感覚も面白い。少々失礼ながら、存在そのものにおかしさを感じてしまう。情熱を持って何かに打ち込んでいる人を見るのはいいものだ。

Youtubeを彷徨っていたら、彼が紹介する「新宿ランキング編」の動画を見つけて飛びついた。どのラーメンもものすごく美味しそう。しかし、ラーメン業界はすごい。まさに日進月歩で進化している。一昔前に新宿で旨い店と言われていた店は、このランキングにはほとんど入っていない。5軒紹介されているが、僕はどの店にも一度も行ったことがなかった。

翻訳者である僕も、ラーメンに負けないように進化していかなければならないと思う。田中さんのように、自分が愛するものに対して倦むことなく熱い情熱を注ぎ続けたいものだ。

僕のホームグラウンド新宿でこれだけ美味しそうな店を知ったのだから、この5軒は近いうちに制覇しなければならないと固く心に誓ったのであった。


来年の一文字

2009年12月27日 20時52分26秒 | Weblog
翻訳仲間からもらったメールに、こんなことが書いてあった。曰く、その友人にとって昨年を一文字で表すなら、「変」(変化の変)今年は「進」(前進の進)だったと(たしかに友人は着実に前進を遂げた)。

そして来年は「躍」(躍進、飛躍の躍!)の一年にしたいと抱負が語られていた。うん、きっとそうなるに違いにない!


そこで僕も考えてみた。昨年は僕も友人と同じく「変」であった(カタカナの「ヘン」だったのかもしれない)。そして今年は「態」であった。すなわち、去年と今年の僕を二文字で表すなら、「変態」であった。

というのは冗談で、今年は同じ「タイ」でも忍耐の「耐」であったと思う。孤独に耐え、不況に耐え、半生ニンニクを飲み込んだ苦しさに耐え、夏の暑さと冬の寒さに――1年を通して、家では冷暖房器具を一切使わなかった――耐えてきた。しかし厳密に言えば、これは耐えられなかった方の「耐」なのかもしれない。まあいずれにしても、しのぎにしのいだ1年だったように思う。

では来年は? 希望を込めて超越の「超」の年にしたい。これまで越えられなかったいろんな壁を越えていくという意味での「超人」の超。ひょっとしたら、超ヤバい、超ウザいの超。まだまだ半生な部分は多々あれど、機は少しずつ熟し始めている。そんな気がするのだ。そもそも、僕はもともと(堅気の)人ではないし、魚でもある。そして訳も少々、超訳気味だ。ともかく「超」で行こう来年は。だけど、これって年始めに考えることじゃないんだよね?

そぞろ歩きの会5 「築地・月島編」1.16(土)開催のお知らせ

2009年12月26日 19時58分49秒 | Weblog
翻訳者そぞろ歩きの会、2010年も引き続き開催させていただきます。年明け第1回目は1/16(土)に築地、月島を散策することにいたしました。まずは「東京の台所」築地界隈をそぞろ歩いた後、月島に移動し西仲通商店街を中心にぶらぶらして、最後はお約束ということでもんじゃの昼食をとりたいと思います。移動範囲もそれほど大きくないので、どちらに行くかは誰かの思いつきで決める(これぞまさにそぞろ歩き)で散策の醍醐味を楽しめるのではないかと期待しております。寒い季節ですが、みんなで歩けば身も心も温かくなります! 歩くことで新年の明るい希望もきっと見えてきます(^^)
みなさまぜひぜひご参加くださいませ。

そぞろ歩きの会のブログに詳細を記載しております。

「あっ」という間にクリスマスも終わってしまいました。いよいよお正月ですね。僕は年末年始は帰省せず、家に籠もって仕事をします。翻訳をしながら除夜の鐘を聞いている自分の姿が目に浮かぶようです(^^)
遅まきながらメリークリスマス! みなさまよいお年を~!

午後4時の分水嶺

2009年12月23日 20時42分58秒 | Weblog
僕にとって「午後4時」はけっこう大きな意味を持っている。家にいて仕事をしているとき、午後4時は1日の終わりを予感させるものだからだ。午前中はものすごく余裕がある。午後1時とか2時くらいになっても、「まだまだ時間はたっぷりあるわ」と思っている。3時になるとおやつが食べたくなる。で、時計に表示された「4」という数字を目にした瞬間、ちょっと憂鬱な気分になる。「やばい、たいしたこともしないまま、もう今日が終わり始めてるぞ」と感じてしまうのだ。

会社員のころは「そろそろ帰りの時間が近づいてきたわ」とわくわくする時間帯だったときもあった。だが今は違う。どうあがいても、その日のうちにまともに働ける時間は正味6,7時間くらいしかない。残りの仕事量をその時間数で割ると、なんともシビアな結果がはじき出される。仕事以外にも、あれこれとやりたいことがある。だかそれも明日以降におあずけにしなければならないと、しぶしぶ自分に言い聞かせてみたりする。

甘い夢を見ていた青年期が終わり、シビアに現実に向き合う中年期が到来したのだと言えるかもしれない。「あれもできる、これもできる」といった夢想を消滅させ「あれもできない、これもできない」あるいは「あれだったら何とかなる、これだったらどうにかできる」という消去法へと頭のスイッチを切り替える。

よく年をとったら分別がつくというけれど、それは経験が増えて賢くなるからというよりも、単に人生の持ち時間が減ってしまったから、消去法で物事を考えて行かざるを得なくなるという部分も大きいのかもしれない。人間の寿命が300才だったら、40になっても50になっても分別のない行動をし続ける人はたくさんいるのではないだろうか(その世界では60才になってもまだ未成年だったりして)。

だからといって、その消去法がよくないというわけではない。やはりそれは分別と呼ぶに相応しいものだし、結果としてその判断は「賢い」ものになる場合が多いだろう。そういう意味では年をとるのは悪くないと思えるし、限られたリソースをどうやって上手く使っていくかを考えていくのは楽しいことでもある。

生まれた時間を朝8時、あの世に旅立つのが午前0時だとすると、僕は年齢的にもちょうど人生の午後4時あたりにいることになる。人生を生きる気分を一日の過ごし方にたとえてみれば、「さて今日は何をしようかなあ」じゃなくて「今日はこれからあと何ができるかなあ」的な発想が自然と増えてきているような気がする。まだまだたっぷり時間はあるようにも思えるけど、だらだらと余裕をぶっこいている暇はない。「いつか死ぬ」ということが徐々にリアルさを持って迫ってくるからこそ、悔いのないように時間を過ごしたいと強く思える。

ひょっとしたら僕の人生は午後8時で終わりなのかも知れないし、午前3時まで続くのかもしれない。あるいは、徹夜して朝の6時まで起きていられるのかもしれない(Youtube見続けてたりして)。だが、誰も永遠には生き続けられない。だからこそ、終わりを意識することには価値がある。

今日が人生最後の日だとしたら、今日やろうとしていることを本当にやるだろうか?

生きていくためにやらなくてはならないことはたくさんある。それでも、死ぬまでにぜひこれをやっておきたい。そう思える経験、仕事をしていきたいものである。人は有限さを意識したときに初めて、無限の価値を理解できることもあるのだ。

納期という名の死が、刻々と近づいている夜に。







まさにAmazing Grace

2009年12月20日 23時37分24秒 | Weblog
昨夜、スーザン・ボイルのファーストアルバム『I Dreamed a Dream』が届いた。一日、家で仕事をしながらずっと彼女の歌声を聴いていた。

スーザン・ボイルという存在が強烈に訴えかけてくるものがふたつ。

まずは、彼女の歌声の素晴らしさ。透き通るほどの美声に、ただただ驚嘆せずにはいられない。

そして四十代後半になるまで日の目を見ることなかった彼女がついに見いだされ、いま世界的な祝福を受けていること。つまりは彼女という現象そのもの。

1曲わずか3分前後の時間のなかに、名も無き彼女が過ごしてきた気の遠くなるほどの長い年月と、歌への果てしない想いが込められているような気がして、なんとも言えない切なさを感じてしまう。

僕と同じように、苦難の時代を堪え忍んできた彼女への共感を覚える人は多いのではないだろうか。だが、安っぽい共感など不要だということが、彼女の力強い歌声を聴いているとよくわかる。彼女は大きな成功を手に入れたに違いないが、それは彼女が変わったからではない。変わったのは彼女をとりまく世界の方なのだ。

この世界はときにあまりにも厳しく冷たい。そしてその世界を形作っているのは、他ならぬ私たち自身でもある。だからこそ人は、彼女という奇跡を自らの一部のようにして受け止めたのだろう。







「翻訳者そぞろ歩きの会4」、かっぱ橋道具街編開催レポート

2009年12月19日 18時59分43秒 | Weblog
そぞろ歩きの会、合羽橋道具街編が無事終了いたしました!

西日暮里から谷中、上野と歩いて合羽橋道具街へと、長丁場のウォーキングになりましたが、とても楽しく充実した一日になりました。参加いただいたみなさま、どうもありがとうございました。

そぞろ歩きの会のサイトにレポートをアップいたしました。
そぞろ歩きの会4 12.19(土)合羽橋道具街編 開催レポート

今年はみなさまのおかげで会を発足させることができ、楽しく東京散策ができました。感謝の気持ちでいっぱいです。

来年もゆるくそぞろ歩きを続けたいと思いますので、みなさまよろしければぜひご参加くださいませ。

次回は1月中旬に、「築地・月島編」として開催したいと思います。

あらためまして「翻訳者そぞろ歩きの会4」、12月19日(土)かっぱ橋道具街編開催のご連絡

2009年12月18日 08時31分32秒 | Weblog
翻訳者そぞろ歩きの会4、12月19日(土)かっぱ橋道具街編を明日催します。

明日朝10:00にJR西日暮里駅改札口に集合、上野~かっぱ橋道具街をそぞろ歩いた後、ランチをして2時半頃に解散の予定です。

みなさま、この機会にお誘いあわせのうえどうぞご参加くださいませ~
参加をご希望の方は私までメールでご一報ください(※返信は本日の夜遅くになると思います。ご了承くださいませ)。

そぞろ歩きの会のブログに詳細を記載しております。参加をご希望の方はこちらをご覧ください。

ご連絡お待ちしております!

求めよ、さらば

2009年12月15日 23時53分04秒 | Weblog
オンサイト以外にもいくつか仕事を抱えていて少々忙しいのだけど、仕事関係でビビビっとくることがあったので頑張ってそちらにも挑戦してみた。週末から月曜日にかけて作業をして、今日なんとかそれを形にしてみた(事情があり、ちょっとぼかしたような表現になってしまってすみません)。

どうしていいのかわからないことがたくさんあったので、突発的に尊敬する翻訳仲間に訊ねてみた。とても丁寧にいろいろと教えてくれた。感動して涙が出そうになった。持つべきものは友達だとあらためて思った。それに、今回の行動の発端は、別の仲間と話しているうちに、俺もこのままこうしてはいられない!と強く感じたことだった。小さな試みではあるが、みんなのおかげで少しだけ前進できたような一日だった。みなさん、本当にどうもありがとうございました!

と、なんのことかわからないでしょうが、ともかく何事においても、壁を作っているのは自分であり、一歩踏み出せば案外、こんな自分にも手はさしのべられるものではないか、そんな思いを抱かせてくれる日であった。夜のスケジュールはやむを得ず×になってしまったけど(こちら関係のみなさん、ごめんなさい)充実の好日であった。明日もこの調子でいくぞ~!でもおかげでまたまた今月末はケツカッチンになりそうだ!ケツカッチンコッチン!怖い~!挽回せねば!

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翻訳者そぞろ歩きの会4、12月19日(土)かっぱ橋道具街編の開催が近づいてまいりました~!

翻訳関係の仕事や勉強をしている方(拡大解釈可能)、この機会にお誘いあわせのうえぜひぜひご参加くださいませ~!

そぞろ歩きの会のブログに詳細を記載しております。参加をご希望の方はこちらをご覧ください。

トサカに来るなあ

2009年12月14日 21時53分41秒 | Weblog

今日も会社で仕事をして、夜7時前にそろそろ帰ろうかと思ってトイレにいって鏡を見たら、髪の毛の寝癖に気がついた。

前髪がトサカ見たいにぴょんと跳ねている。のど飴の宣伝にでてくる子供のカミナリ様みたいだ。

僕は今日一日、このトサカを頭に乗せたまま仕事をしていたわけである。ヲイヲイ、大丈夫か。かっこわるいなあ。トイレを出て、目の前の席にいるKさんに「寝癖が...」と言ったら「はい、朝から気づいてました」と笑われた。

会社はパーティションでスペースが区切られているから、椅子に座っていると他の人の頭が少しだけ見える。今日は、他の人は僕のトサカがよく見えたことだろう。

早寝早起きを実践しているから、鶏への進化が始まっているのかもしれない。というのはウソで、それほど早起きをしているわけではない。だが、昼間会社にいるとランニングするのは朝しかチャンスがないので、これからは早起きしてトレーニングに励み、走行距離を伸ばしていこう。

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翻訳者そぞろ歩きの会4、12月19日(土)かっぱ橋道具街編の開催が近づいてまいりました~!

翻訳関係の仕事や勉強をしている方(拡大解釈可能)、この機会にお誘いあわせのうえぜひぜひご参加くださいませ~!

そぞろ歩きの会のブログに詳細を記載しております。参加をご希望の方はこちらをご覧ください。

ただいま禁酒中

2009年12月13日 21時00分01秒 | Weblog
3週間前からお酒を飲むのをやめている。単なる思いつきなのだが、名目上は3月の下旬にマラソン大会に出場するので、その日までやめてみようと思って始めた。

別に少々飲んだってマラソンには影響しないと思うし、そもそもそこまで本格的なアスリートでも何でもないのだが、ともかく禁酒なるものを生まれてこの方したことがないし、いい機会なので試しにやってみることにしたのだ。

それから、仕事や勉強もなかなか思うように進んでくれない自分に少々不甲斐なさを感じている部分もある。一人前の仕事もできていないのに、人並みに酒なんて飲んでる場合じゃないだろ、という心の声がするのだ。なので、大きな目標を一つ達成するまで、願かけのつもりでこのまま飲むのをやめようか、とも考えている。具体的に言うと「自分で原書を探して企画を書き、それが通って仕事を依頼され、納得のいく訳をして、その本が出版される」ことが僕にとってとても大きな目標なので、その目標が達成される日までは酒を断ってみるのもいいかな、という気がしてきた。しかし、そうするとへたしたら数年間、あるいは一生ビールが飲めなくなってしまうかもしれない。でも、まあそれも人生である。

で、3週間経ってみての感想だが、肉体的に特に大きな変化はない。少し体は楽になったようだし、当然二日酔いになることもない。いいことではあると思う。もともと毎日は飲んでいなかったので、まったく生活が変わった、というわけではないのだが。飲み会ではどうなるかな?と思っていたけど「今日は飲みません」と言うと、案外みんなすんなりと受け入れてくれるものである。意外にも、人のビールが飲みたくなったりもしなかった。

変化があったのはむしろ精神面かもしれない。少しだけポジティブになれたような気がする。目標を達成するまでは酒を飲まないぞ!という心の支えが、小さいながらも一つできたような感じだ。果たしてどうなることやらなのだが、ともかく続けてみようと思っている。

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翻訳者そぞろ歩きの会4、12月19日(土)合羽橋編の開催が近づいてまいりました!

翻訳関係の仕事や勉強をしている方(拡大解釈可能)、この機会にお誘いあわせのうえぜひぜひご参加くださいませ~!

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つかのまオンサイト翻訳者の気持ち

2009年12月12日 23時08分17秒 | 翻訳について


以前務めていた翻訳会社にオンサイト勤務をさせていただいて1週間が経ちました。その感想です。あくまで僕個人とってのものですが、何かのご参考になれば幸いです。

メリット

・規則正しい生活ができる
フリーランスでもできるんですけどね(^^)
会社員時代は、毎日の出勤が辛く感じたこともありますが、毎日行くところがあるというのはいいものですね。2ヶ月限定の会社員だからこそ感じられることでしょうか。朝起きる時間が決まっていると、前日の夜の過ごし方も変わってきます。

・作業に集中できる
会社はすごく静かで、みんなものすごく集中して作業をしています。緊張感があり、さすがの私もYoutubeで動物格闘動画を見ようという気にはなれません(見たらクビになるでしょう)。しかしこれも在宅でもできることなんですけどね。

・人とのふれあいがある
「ふれあい」と書くとなんだかおおげさですが、あまり会話はないとはいえ、側に人がいるというのはいいものです。僕の場合、それがかつての同僚の方々なので、よけいに心が落ち着きます。仕事の合間にちょっとだけ交わす会話が心地よい。まったく見ず知らずの会社だったら、緊張してしまったりもするかもしれません。僕は恵まれていますね。感謝です。

・現場の情報に触れられる
業界の動向や現場の雰囲気などなど、自宅にいると感じられない様々な情報が得られます。フリーでいると、翻訳会社の人々がなんだかとても不気味(失礼)に感じられたりするものですが、内部に入るとそこでは普通の人々が真面目に働いているのだという当たり前のことがよくわかります。むしろ不気味に思われているのはフリー翻訳者の方なのかもしれません(^^)。たとえば僕の場合、なかなか仕事を断るのが苦手で、ちょっと無理してでも受けたりしてしまうのですが、コーディネーターの方の電話を何気なく聴いていると、あっさり断る翻訳者も多く、そんなものかと思ったりもします。たしかに僕も翻訳会社時代はよく断られていました。

・安定収入がある
毎日確実に収入があるということはありがたいものです。プラスして在宅の仕事も継続して受けているので忙しくはありますが、やはり安心感があります。フリーだとどうしても仕事が途切れる期間が発生するので、久々の定期収入の重みを実感しています。

デメリット
・他社の仕事が受けにくい
日中は連絡も取りにくくなりますし、昼間は他の作業ができないので、他社からの仕事は入れにくくなります。ただしこれは一時的なことなので、オンサイトが終わった後にまた仕事をいただけるのであれば特に大きな問題ではないかと。ちなみに、しばらく留守にした間に忘れ去れる(他の人にポジションを奪われる)のか、よくぞ戻ってきたと思われるかはその人の日頃の仕事ぶりによって変わることだと思います。僕も翻訳会社時代に経験がありますが、いい翻訳者が他社の仕事から解放されて空いたと知らされたときは「やった!」と思ったものです。そう思われるように精進しなければ。

・自分の時間が少なくなる
同じ仕事をしていても、フリーの場合はすべてを自分でコントロールできる。会社にいるとやはりコントロールされている、という感覚です。仕事の合間に勉強やエクササイズなど自分への投資の時間を作ることが難しく、また朝出勤して夜帰宅になると、どうしても一日のほとんどの時間がそれに取られてしまいます。サラリーマンだったときのちょっと窮屈な感覚が蘇りました。ただ、現場では会社員時代と違い自分の専門である翻訳作業をやらせていただいているのであるし、朝や夜の時間も工夫次第で充実したものにできるはずです。それに、これが一生続くとなるとまたストレスになるのでしょうが(上記のメリットはあるとはいえ)、短期間であると考えるとそれほど気にはなりません。むしろ、日頃ありあまる時間をいかに無駄に過ごしていたかを反省するよい機会になるような気がします。

メリットとデメリット、ほかにもいろいろあるような気がしますが、とりあえずは以上


一人暮らしを始めてしばらくしてから実家に戻ると、家にいるときには気づかなかった実家のよさをあらためて感じるといいます。今僕が感じているのも、それと似たものなのかもしれません。

なんだか「お前は会社員に戻りたいのか」と思われるかもしれませんが、あくまで僕がしたい仕事は翻訳なのであり、その最大の優先事項を譲ってまでフリーランスを止めようとは思いません(そもそもどこかの会社が僕を雇ってくれるかどうかはわかりませんし、また会社員に戻ったとしても、結局はまた翻訳だけがやりたくて辞めたくなるに違いありません)。ただ、あらためて実感したのは、現状の在宅での一人仕事がベストのスタイルだとも感じてもいないということです。週のうち5日とはいわなくても、数日は近くに人がいる場所でなんらかの刺激を受けながら集中して作業をしてみたい。そんなことをあらためて思いました。あくまでも今の気持ちではあるのですが、それを今後の目標として、自分が一番やりやすい仕事のスタイルを考えていきたいと思います。

ひとことで言えば、家では気が散ったり煮詰まったりしてしまうので、図書館で勉強する受験生の感覚でしょうか。翻訳者になる前から、将来フリーランスになるのが不安で、「毎日会社にいって好きな本を訳す仕事だけができたらなあ」、と夢想していたことを思い出しました。

SOHO向けレンタルオフィススペース、喫茶店、図書館などなど、そういった条件をかなえる場所はいろいろとあると思います。来年は外に出ることをもう少し意識して精神衛生と作業効率を向上させていきたいものです。

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そぞろ歩きの会4、12月19日(土)合羽橋編の開催が近づいてまいりました。
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ヒポポタマスな夜 

2009年12月10日 23時22分32秒 | Weblog
「昨日、また徹夜しちゃってさ」少々ばつが悪そうにして、彼が笑った。「2時間しか寝てないんだ」確かに疲れた顔をしている。

「そうなんだ」私は何を言えばいいのかわらかず、それなりの同情が伝わるような表情を作った。たまに顔を合わせる同業者の彼が、私に徹夜したという話をするのは、けっして珍しくはない。内心、"またかよ"と呟かずにはいられない。だが、彼とて好きで徹夜をしているわけではないのだし、こちらとしても特に嫌な気がするわけでもない。彼はただ、久しぶりに顔を合わせた私に近況を伝えるべく、ごく最近の現実の自らの日常を語ってくれているにすぎないのだ。

「すごいな。俺にはぜったいに無理だよ。それに、このご時世に仕事がたくさんあっていいじゃないか」褒めているのかいないのか、自分でもわからないまま私は言った。

「いや、違うんだよ。徹夜をするのは効率がよくないからだし、実際、どうしても徹夜をしなければならないほどの作業量をこなしてるってわけでもない。むしろ人並み以下だと思う。だけど気がついたらそうせざるを得なくなってるんだよなぁ」自分でも十分に自覚しているつもりなんだけどな、というニュアンスを声に響かせて彼が言った。

在宅翻訳者にとって、ひょっとしたら「自己管理」は翻訳技術よりも難しい、高度なスキルが求められるタスクなのかも知れない。

「本当はさ、朝早く起きて午前中に集中して作業したいんだ。理想的には、午後になる頃にはその日の仕事をほとんど終わらせて、午後はジョギングしたり、見直しをしたり、本を読んだりしたい。前の晩、寝る前にはそういう展開をイメージしてるんだよ。でも、実際にはそうならない」

わかる気がする。翻訳者にも二通りのパターンがある。現実主義者と理想主義者だ。もちろん彼は後者に属していて、あらゆる局面でロマンチックな夢想を楽しみながら、いつも現実にしっぺ返しを食らっている。

「調べても調べても、わからない表現とか用語とかがあるじゃない。5分も10分もネットを彷徨って、それでもどうしてもわからない。Googleでもほとんどヒットしないような英語の表現が、なんで俺の翻訳対象ファイルのなかになきゃいけないんだ、ひとりよがりの英語を書きやがって、とかなんとか思いながら、いつのまにか半分休憩モードになってるんだ。
ネットで格闘技のサイトを覗いてみたり、さっき見たばかりなのにYahooのニュースをチェックしたりしてね。世の中全員が仕事をしなくてもすむような大事件でも起きていないかな、そうしたら明日の朝に納品しなくてもいいのにな、なんて心の奥底で願ってるのかもね」

「わかるね」私は言った。独りで作業をしていると、どうしても緊張感がなくなってくる。何かの拍子に、簡単に心は漂流し始める。フリーランスは、仕事を中断して散歩に出かけたって誰にも文句は言われないし、Youtubeだって好きなだけ見られる。昼寝をしてもいい。だかそれは自由という名の、ヒツジの皮を被ったオオカミなのだ。

「で、おもむろにYoutubeのサイトを開くじゃない。気分転換のつもりでいくつか適当に面白そうなのを見る。サッカーとか、格闘技とか、音楽とかさ。で、そろそろ仕事を再開しなくちゃって思うころになると、きまって"あなたへのおすすめ"に面白そうなタイトルの動画が表示されるんだ。昨日はさ、"Bear vs Puma"って文字が目に入った。思わずそれをクリックしたら、これがなかなか面白いんだ。文字通りクマとピューマが激しく闘ってるんだよね。こういう動物格闘モノは結構好きで、だからこそYoutubeにおすすめされてしまうわけなんだけど」

Youtubeの樹海。それは在宅で仕事をするものにとってまさに死を意味する。わかっちゃいるけど止められない。私も同じ轍を踏む者のひとりとして、彼を責める気にはなれなかった。

「クマさんも強いけど、ライオンだって強い。アナコンダやアリゲーターやトラもジャガーもいる。いったいどの動物が一番強いんだろうって、にわかに興味が沸いてきてさ。もうありとあらゆる組み合わせの闘いのドラマを求めてハシゴしてしまうわけ。で、だんだん関心は肉食動物対肉食動物の世界から、肉食動物対草食動物、あるいは草食動物対草食動物の宇宙へと広がっていく。本当は昆虫同士の闘いもすごく好きなんだけど、さすがにそこまで手を広げたらヤバいから、昨日は自重したんだ。ともかく、肉食動物も強いけど、草食動物だって強いんだ。バッファローも牛も、タイマンだったらライオンより強い。動画を見ていると、それがありありとわかるね。ゾウなんて、子供が襲われそうなときは別として、普段はライオンを屁とも思ってないからね。普通にライオンがシマウマを襲っている予定調和な世界よりも、バッファローがライオンを激しく突き上げる映像が見たい。番狂わせ、アップセットが見たい。そんな妙な衝動にかられて、それでまた何本も何本も動画を見続けてしまうわけ」

そうこうしているうちに、冬の太陽はいつのまにか沈み、外は真っ暗になっていた。明日の朝までに仕上げなければならない仕事はまだたっぷりと残っている。日中、驚くほど大量の動物動画をひたすら見続けた彼は、ようやく仕事を再開する。だが時すでに遅し。1時間ほど仕事をして進捗を計算してみた。残りの作業量と時間を逆算すると、どうあがいてもまともな人間が床につく時間には終わりそうにない。彼は腹を決める。「徹夜かな」吐きたくなかった台詞を、胸の中で呟く。

「だけど、少々わくわくもするんだ。いったん徹夜すると決意してしまえば、まだまだこれから夜は長いし、なんだかどこかに冒険しにいくような気持ちにもなるからね。で、ようやくエンジンがかかって仕事に集中する。朝の"夢見がち"な自分が、仕事を終わらせているはずだと思っている時刻になってね。やおらハチマキなんか巻いたりしてね。朝から真面目にやってれば本当に今頃は終わってたかもしれないのに、何やってんだろうね。ともかく、刻々と納期は近づいてくるし、訳すのが難しい箇所はたくさんあるしで、たいへんはたいへんなんだけど、プレッシャーもあるし気持ちもハイになっているから作業はそれなりに進むし調子もわるくない。そんな感じで8時になり、10時になり、12時になる。でもさすがに午前様になってくるとしんどい。丑三つ時、つまり夜中の二時から三時頃が一番つらい。もうどうにでもなれ、って感じでともかくキーを打ち続ける。やがて3時になり、4時になる。相当に集中してるけど、途中で軽く――本当に軽くだよ――動物動画を息抜きに見たりもする。牛三つ時だけに、Bull vs Lionを見たりしてね。ともかく眠いんだけど、眠くない。疲れてるんだけど、興奮している。そんな感じかな。で、5時になって新聞配達の人が玄関に朝刊を投函する音が聞こえると、"おお、とうとうここまで来たか"って思うんだ。無理かもしれないと思った作業も、”突き抜けた”数時間が終わってしまえば、案外なんとかなるものなんだ」

日が昇り、ベランダの外からは車が行き交う音が聞こえてくる。一通りの作業が終わったのが6時。彼は2時間だけ眠った。目覚ましを2つかけて8時に起き、最終的な見直しをしてから10時過ぎに納品した。つい最近オンサイトでの翻訳の仕事を始めた彼は、そのまま家を出ると進行中のプロジェクトに関連するソフトウェアの製品セミナーに参加し、真面目にプレゼンテーションを聞いた。翻訳の参考にと思って、メモもたくさん取った。それが終わると洋書の森で本を借りて、夕方からは翻訳学校に向かった。同じ講義を受講している私は、彼とそこで出会ったのである。彼はその夜に催されたクラスの忘年会にも出席した。お開きになったのは夜の11時前だったから、おそらく家に着いたのは12時前後になっただろう。

同業者としては、彼のスタイルは決してほめられたものではないと思う。健康にもよくない。だが、徹夜するのも、クマさんやバッファローさんが闘う動画を好きなだけ見るのも、彼の自由だ。私がとやかく言うことではない。

「俺はバカだ」と別れ際に彼は言った。馬鹿か。直接彼には言えないけど、たしかにそうかもしれない。いや、間違いなくそうだ。コートのポケットに手を突っ込み、暗い夜の帰り道を歩きながら、つねにハラハラさせられてしまう彼の危うい自由業の暮らしぶりを少しだけ心配してみた。

バカの反対は、カバ。

日本人のイメージからすると以外だけど、カバは怒るとかなり凶暴で、そして恐ろしく強い。基本的には草食だけど、肉も食べる。ワニを食べたりもする。陸に上がっても、その圧倒的な肉体の圧力と攻守に優れた闘いぶりで他を寄せつけない。水陸両方でその強さを発揮するカバこそが、ひょっとしたら動物界最強なのかもしれない――。

「カバこそが最強だ」偶然にも、彼と同じく前の日にYoutubeで動物バトルの動画をひたすらに見続け、またまた徹夜をしてしまった私は、冷たい夜の風に吹かれながら、ある種の結論めいた思いで、そう呟いた。

2ヶ月間のオンサイト勤務開始、あるいは脱サラリーマンショック

2009年12月07日 22時18分43秒 | Weblog
急遽決定したのですが、2月初旬まで、去年まで努めていた会社でオンサイト勤務をさせていただくことになりました。基本的に毎日出勤して会社に行き、翻訳作業をします。

フリーになって一年と少し、いい意味でも悪い意味でも毎日家にこもりきりの生活に慣れてきたところでしたが、外の空気を吸っていろいろと刺激を得たいと思っております。

今日はその初日で少々緊張しながら出勤しました。作業の説明を受けて、黙々と働きました。オフィスの中はとても静かで、みんなほとんど一日中途切れることなく、すごく集中して作業をしています。驚きました。僕も去年まではこんな感じで働いていたのですね。最近の僕は15分働いたら5分休憩のパターンでしたから(3分練習したら1分休憩するボクサーみたいだなあと思って自分ではかっこよく頑張っているつもりだったのですが)、自分では気づかないうちに退化していたのかもしれません。他にも一年経ってすっかり忘れていたいろんなことを思い出しました。「ファイルを更新したいんですけど、今、サーバーの○×のファイル開いていますか?」なんてやりとり、あったよな~(^^)在宅の独り者ではこのセリフはあり得ません。

このプロジェクト以外にも平行して在宅の仕事は少し量を減らしながら続けていくつもりですが、ともかくこれまでとはずいぶんと生活パターンが変わります。いままで自由時間(仕事はしていても自分ですべてを管理できる時間を含め)があまりにも潤沢にあったので、もういちどそのありがたみを噛みしめる意味でも、月~金の会社勤めという枠にもう一度自分をはめることで、一年前の初心に返って頑張ってみたいと思います。朝な夕なの都心ひとりそぞろ歩きになど、仕事以外の楽しみも見つけていきたいところです。今日は中野駅~西新宿をそぞろ歩きました。サラリーマンだったころのお気に入りの通勤コースでした。朝の中野は気持ちいい!


ベスト4

2009年12月05日 00時43分05秒 | Weblog
あと数時間でサッカーW杯の組み合わせ抽選が行われる。

岡田監督がベスト4を目標に掲げていることについて世間では賛否両論がある。

「目標を高く掲げることはいいことである」

という人もいるし、

「身の程をわきまえて、もっと堅実な目標(例:一次リーグ突破)を目指すべきだ」

という人もいる。

どちらも正論である。

僕としては、そりゃあ日本がベスト4に入ってくれたら嬉しいし、大きな目標に向かって努力することはいいことだと思う。

だが重要なのは、ベスト4に入ることよりも、日本が世界の列強のなかでベスト4に値するサッカーをすることの方ではないだろうか。日本が勝ち上がるには、色々な意味での運も必要だとは思うが、準決勝に勝ち残るに相応しいチームだったと世界から称賛されるようなプレーをしてくれなければ、万一この壮大な目標が達成されたとしても、その価値は半減するに違いない。

そういう意味で、僕はスペインやカメルーン、ポルトガルなどの強豪国と同じグループになって欲しいと思っている。そこでがっぷり四つに闘って勝ち上がれないようであれば、それが日本の実力でベスト4などはなから無理なのであるし、逆に勝ち上がることができれば岡田さんの言うことが決して単なる夢物語でないことが証明できるはずだ。そうなったら決勝トーナメントでは日本中が代表を熱く応援するだろう。

僕も個人的にいろんな夢や目標があるが、その夢や目標を単に達成することよりも、実現できるだけの実力を身につけることの方が重要だと思う。結果は後からついてくる。そう信じて、僕も「人生の組み合わせ抽選会」に臨みたいと考えているのである。

「死のグループ」に入ることは、決してアンラッキーなことではないぞ~!