漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

特殊化した部首 「火カ」と「灬れっか」

2018年10月02日 | 特殊化した部首
 火が部首になるとき、火のかたちのままと、灬に変化する場合がある。灬は下部に置かれたとき変化するかたちで「れっか・れんが」と呼ばれる。

 カ・ひ・ほ  火部

解字 火の燃える形の象形(金文は単独字としては存在しないが、炎から1字を抜き出した)。「ひ」の意味を表わす。火は部首となり、火の意味で会意文字をつくる。
意味 (1)ひ(火)。ほのお。「火力カリョク」 (2)かじ。「火災カサイ」「失火シッカ」 (3)光りのあるもの。明かり。「灯火トウカ」 (4)五行(木・火・土・金・水)の一つ。「火星カセイ」  (5)七曜の一つ。「火曜日カヨウビ
参考 火は部首「火ひ・ひへん」になる。漢字の左辺(偏)や下部に付いて、火や火の状態を表す。常用漢字は14字、約14,600字を収録する『新漢語林』では194字が収録されている。主な字は以下のとおり。
 火[部首]:灯[燈]トウ(火+音符「登トウ」) 
 焼ショウ(火+音符「尭ギョウ」)、煙エン(火+音符「垔イン」)
 燃エン(火+音符「然ゼン」)、燥ソウ(火+音符「喿ソウ」)
 爆バク(火+音符「暴ボウ」)、煩ハン(火+頁の会意)
 炉[爐](火+音符「盧ロ)、灰カイ(火+又の会意)
 災サイ(火+音符「巛サイ」)、炎エン(火+火の会意)

  「灬 れっか」の成立
熊ユウにみる「灬れっか」の変遷
下図は篆文~現代(楷書)の熊ユウ・くまの変遷、上に火の部分を抜き出した。

 篆文の火が「灬れっか」に変化するのは隷書レイショ(漢代の役人が主に用いた字)からだが、ほとんどの字は、火から灬へと直接に変化しており、その中間段階は見いだせなかった。しかし、篆文の字体の一種である印篆インテン(印章に使われる篆字)にヒントとなる字体が見つかったので、それを収録した。熊ユウの下部の篆文第一字は火、第二字は印篆で、火はΛの左右に点がつく形。篆文第一字の火が人の左右に点がつくのに対し、第二字はΛの左右に点がつき、隷書から下部は4点になるので、火から灬への流れがたどれるかと思う。しかし、印篆の成立年代がはっきりわからず、この流れは推定にすぎない。

 火が下部に付いたとき、多くが部首「灬れっか・れんが」に変化する。常用漢字で12字、『新漢語林』では45字が収録されている。主な字は以下のとおり。
 点テン(灬+音符「占セン」)、烈レツ(灬+音符「列レツ」)
 煎セン(灬+音符「前ゼン」)、照ショウ(灬+音符「昭ショウ」)
 煮シャ(灬+音符「者シャ」)、熟ジュク(灬+音符「孰ジュク」)
 熱ネツ(灬+埶ゲイの会意)、熊ユウ・くま(灬+能の会意)
 焦ショウ(灬+隹の会意)
 火の意味以外の「灬」
 無ム(灬を含む舞う姿の象形)、為イ(灬を含む象を手で使う形の会意)

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