「貨カ」 「賃チン」 「貸タイ」は、上部左辺のイ(人)と下部の貝が皆同じで紛らわしい漢字である。ポイントは音符となる上部の「化カ」と「任ニン」と「代ダイ」の違いである。これらの違いがわかると、紛らわしくみえる漢字もたちまち理解できる。
化 カ・ケ・ばける・ばかす ヒ部
解字 左は立った人、右は逆さになった人を合わせた会意。立った形から逆さへと姿を変えることを示す。部首は逆さになった人を示すヒ。化を音符に含む字は、「かわる・かえる」イメージを持つ。
意味 (1)ばける(化ける)。ばかす(化かす)。かわる。かえる。「化身ケシン」「変化ヘンカ」 (2)影響を及ぼす。「感化カンカ」「教化キョウカ」 (3)異なる物質が結合して新しい物質になる。「化合カゴウ」
かわる・かえる
貨 カ・たから 貝部
解字 「貝(かい)+化(かわる)」 の会意形声。貝が値うちのあるものに変わること。
意味 (1)たから(貨)。価値のあるもの。「財貨ザイカ」 (2)おかね。「貨幣カヘイ」「金貨キンカ」 (2)しなもの。商品。「貨物カモツ」「雑貨ザッカ」
任 ニン・まかせる・まかす イ部
解字 壬は甲骨文字で工具の省略形と同形であることから「工具の一種」とされる(具体的に何を表すかは不明)。任の甲骨文字は、「イ(人)+工(工具の一種)」で、工具を背負ったり、前でかかえる人を表す。工具を携えて定められた職務を行う人の意と思われる。[甲骨文字辞典]によると、意味は職名で地名に付す場合が多く、地方領主またはその副官と推定されるという。金文以降、工⇒壬に変化し 「イ(人)+壬ジン・ニン(工具の一種)」 の会意形声。意味は、①工具をになう・かかえる、②工具を用いての、つとめ・仕事、③つとめを、まかす・まかせる、意味となった。
意味 (1)になう。かかえる。「肩任ケンニン」(肩でになう)「重石を任(かか)える」(重い石をかかえる) (2)しごと。役目。「任務ニンム」「任命ニンメイ」「就任シュウニン」 (3)まかせる(任せる)。まかす(任す)。ゆるす。「任意ニンイ」「一任イチニン」 (4)任務をになう意気込み。おとこ気。「任侠ニンキョウ」
しごと(任務)
賃 チン 貝部
解字 「貝(財貨)+任(任務・しごと)」 の会意形声。お金を払って任務(しごと)をしてもらうこと。雇った人にはらう金銭をいう。
意味 (1)やとう。やとわれる。 (2)やとった人にはらうお金。代償としてはらう金銭。「賃金チンギン」(労働者が任務をして受け取る報酬)「運賃ウンチン」(運んだ代金)「賃料チンリョウ」(代償として払う料金)「賃貸チンタイ」(賃料をとって貸すこと)「賃貸住宅チンタイジュウタク」(家賃[賃料]をとって貸す住宅)「賃貸借契約チンタイシャクケイヤク」(家賃[賃料]をとって貸す方と借りる方が結ぶ契約)
代 ダイ・タイ・かわる・かえる・よ・しろ イ部
解字 弋ヨクは、杙ヨク(くい)の原字であるが、単独では、いぐるみ(紐をつけた矢)に仮借カシャ(当て字)して用いられる。音符「弋ヨク」を参照。鳥の群れに、いぐるみ(弋矢ヨクヤ)を放ち、紐を鳥に巻き付かせて捕獲する。鳥を捕獲すると鳥に巻き付いている紐が矢とつながっている箇所を外し、新しい紐に代えるので、「かえる」イメージがある。したがって、「イ(ひと)+弋ヨク(かえる)」 の会意は、人を新しくかえる意となり、人が交代すること、かわる・かえる意となる。
意味 (1)かわる(代わる)。かえる(代える)。「交代コウタイ」「代理ダイリ」(本人に代わって事を処理する) (2)代わりになるもの。「代価ダイカ」「代金ダイキン」「形代かたしろ」(神の代わりとなるもの) (3)王の一代の期間。年齢や年号の範囲。よ(世)。「唐代トウダイ」「上代ジョウダイ」 (4)[国]しろ(代)。田地。「苗代なわしろ・なえしろ」(稲の種をまいて苗を育てるところ)
入れかわる(代)
貸 タイ・かす 貝部
解字 「貝(財貨)+代(入れかわる)」 の会意形声。お金(貝)を受け取り、代わりに物や場所を使わせてあげること。
意味 かす(貸す)。かし。「賃貸チンタイ」(家賃など[賃料]をとって貸す)「貸与タイヨ」(貸し与える。貸すこと)「貸付かしつけ」
袋 タイ・ふくろ 衣部
解字 「衣(ぬの)+代(入れかわる)」 の会意形声。いろんな物を次々と入れかえて中につめる布のふくろ。袋の篆文は「帒」で、現代字は帒の字の巾(ぬの)⇒衣に変わった形。
意味 (1)ふくろ(袋)。「皮袋かわぶくろ」「袋綴ふくろとじ」(冊子本の綴じ方の一つ。紙の中央を折りたたんで綴じる)「有袋類ユウタイルイ」(母親のお腹の袋で子を育てる動物) (2)[国]行きづまり。「袋小路ふくろこうじ」
<紫色は常用漢字>
参考 音符「化カ」へ
音符「壬ジン・任ニン」へ
音符「代ダイ」へ
化 カ・ケ・ばける・ばかす ヒ部
解字 左は立った人、右は逆さになった人を合わせた会意。立った形から逆さへと姿を変えることを示す。部首は逆さになった人を示すヒ。化を音符に含む字は、「かわる・かえる」イメージを持つ。
意味 (1)ばける(化ける)。ばかす(化かす)。かわる。かえる。「化身ケシン」「変化ヘンカ」 (2)影響を及ぼす。「感化カンカ」「教化キョウカ」 (3)異なる物質が結合して新しい物質になる。「化合カゴウ」
かわる・かえる
貨 カ・たから 貝部
解字 「貝(かい)+化(かわる)」 の会意形声。貝が値うちのあるものに変わること。
意味 (1)たから(貨)。価値のあるもの。「財貨ザイカ」 (2)おかね。「貨幣カヘイ」「金貨キンカ」 (2)しなもの。商品。「貨物カモツ」「雑貨ザッカ」
任 ニン・まかせる・まかす イ部
解字 壬は甲骨文字で工具の省略形と同形であることから「工具の一種」とされる(具体的に何を表すかは不明)。任の甲骨文字は、「イ(人)+工(工具の一種)」で、工具を背負ったり、前でかかえる人を表す。工具を携えて定められた職務を行う人の意と思われる。[甲骨文字辞典]によると、意味は職名で地名に付す場合が多く、地方領主またはその副官と推定されるという。金文以降、工⇒壬に変化し 「イ(人)+壬ジン・ニン(工具の一種)」 の会意形声。意味は、①工具をになう・かかえる、②工具を用いての、つとめ・仕事、③つとめを、まかす・まかせる、意味となった。
意味 (1)になう。かかえる。「肩任ケンニン」(肩でになう)「重石を任(かか)える」(重い石をかかえる) (2)しごと。役目。「任務ニンム」「任命ニンメイ」「就任シュウニン」 (3)まかせる(任せる)。まかす(任す)。ゆるす。「任意ニンイ」「一任イチニン」 (4)任務をになう意気込み。おとこ気。「任侠ニンキョウ」
しごと(任務)
賃 チン 貝部
解字 「貝(財貨)+任(任務・しごと)」 の会意形声。お金を払って任務(しごと)をしてもらうこと。雇った人にはらう金銭をいう。
意味 (1)やとう。やとわれる。 (2)やとった人にはらうお金。代償としてはらう金銭。「賃金チンギン」(労働者が任務をして受け取る報酬)「運賃ウンチン」(運んだ代金)「賃料チンリョウ」(代償として払う料金)「賃貸チンタイ」(賃料をとって貸すこと)「賃貸住宅チンタイジュウタク」(家賃[賃料]をとって貸す住宅)「賃貸借契約チンタイシャクケイヤク」(家賃[賃料]をとって貸す方と借りる方が結ぶ契約)
代 ダイ・タイ・かわる・かえる・よ・しろ イ部
解字 弋ヨクは、杙ヨク(くい)の原字であるが、単独では、いぐるみ(紐をつけた矢)に仮借カシャ(当て字)して用いられる。音符「弋ヨク」を参照。鳥の群れに、いぐるみ(弋矢ヨクヤ)を放ち、紐を鳥に巻き付かせて捕獲する。鳥を捕獲すると鳥に巻き付いている紐が矢とつながっている箇所を外し、新しい紐に代えるので、「かえる」イメージがある。したがって、「イ(ひと)+弋ヨク(かえる)」 の会意は、人を新しくかえる意となり、人が交代すること、かわる・かえる意となる。
意味 (1)かわる(代わる)。かえる(代える)。「交代コウタイ」「代理ダイリ」(本人に代わって事を処理する) (2)代わりになるもの。「代価ダイカ」「代金ダイキン」「形代かたしろ」(神の代わりとなるもの) (3)王の一代の期間。年齢や年号の範囲。よ(世)。「唐代トウダイ」「上代ジョウダイ」 (4)[国]しろ(代)。田地。「苗代なわしろ・なえしろ」(稲の種をまいて苗を育てるところ)
入れかわる(代)
貸 タイ・かす 貝部
解字 「貝(財貨)+代(入れかわる)」 の会意形声。お金(貝)を受け取り、代わりに物や場所を使わせてあげること。
意味 かす(貸す)。かし。「賃貸チンタイ」(家賃など[賃料]をとって貸す)「貸与タイヨ」(貸し与える。貸すこと)「貸付かしつけ」
袋 タイ・ふくろ 衣部
解字 「衣(ぬの)+代(入れかわる)」 の会意形声。いろんな物を次々と入れかえて中につめる布のふくろ。袋の篆文は「帒」で、現代字は帒の字の巾(ぬの)⇒衣に変わった形。
意味 (1)ふくろ(袋)。「皮袋かわぶくろ」「袋綴ふくろとじ」(冊子本の綴じ方の一つ。紙の中央を折りたたんで綴じる)「有袋類ユウタイルイ」(母親のお腹の袋で子を育てる動物) (2)[国]行きづまり。「袋小路ふくろこうじ」
<紫色は常用漢字>
参考 音符「化カ」へ
音符「壬ジン・任ニン」へ
音符「代ダイ」へ