改訂しました。
念 ネン・おもう 心部 上が念ネン、下が今コン
解字 「心(こころ)+今(コン⇒ネン)」の形声。いちずに心の思いをこめることを念ネンという。今コンは「いま」の意味があるが、念では発音のネンのみを表している。後漢の[説文解字]は「常に思う也(なり)。心に従い今の聲(声)、(発音は)奴店切(ネン)」とする。念は金文からあり、[簡明金文詞典]は「金文の初義は心中で黙念(黙って考える)と為すが、引伸して思念(常に心に思う)、懐念(懐かしい思い)、忘れず、などの義と為す」としている。※今コンの音符は、音符「今コン」を参照。
意味 (1)おもう(念う)。思う気持ち。「念頭ネントウ」「残念ザンネン」「念願ネンガン」 (2)心にとどめる。とどめて忘れない。「執念シュウネン」「念書ネンショ」(後日の証拠として相手に渡す書面)「丹念タンネン」( まごころをこめ念をいれる)(3)となえる。「念仏ネンブツ」(仏の名前を唱えること)「念珠ネンジュ」(数珠)(4)よむ。「念書人ネンショジン」(中国で学者の意)
イメージ
「おもう」(念)
「形声字」(捻・稔・唸・鯰)
音の変化 ネン:念・捻・鯰 ジン:稔 テン:唸
形声字
捻 ネン・ひねる 扌部
解字 「扌(手)+念(ネン)」の形声。手や指でひねることを捻ネンという。[説文新附]は「指でひねる。手から構成され念ネンが音」とあり、扌(手)へんだが、指でひねる意味を強調している。 意味 ひねる(捻る)。ねじる。よじる。「紙捻シネン」(紙をねじったこより)「捻挫ネンザ」(関節をねじって傷めること)「捻出ネンシュツ」(ひねり出す)「捻転ネンテン」(ねじれて向きがかわる。「腸捻転チョウネンテン」)
稔 ジン・ニン・ネン(慣用)・みのる 禾部
解字 「禾(こくもつ)+念(ネン⇒ジン)」の形声。穀物がみのることを稔ジンという。後漢の[説文解字]は「穀コク熟(みの)る也(なり)。禾に従い念の聲(声)(発音は)而甚切(ジン)」とする。
意味 (1)みのる(稔る)。「豊稔ホウジン」(ゆたかにみのる)「稔熟ジンジュク」(穀物が十分に稔る)「稔歳ジンサイ・ネンサイ」(穀物がよく実った年)(2)とし(稔)。穀物が一回みのる期間。(=年)
唸 テン・うなる・うなり 口部
解字 「口(くち)+念(ネン⇒テン)」の形声。口を閉じてうなることを唸テンという。
意味 うなる(唸る)。うなり(唸り)。長くひくい音を出す。「唸り声」 鯰 <国字> ネン・なまず 魚部
解字 「魚(さかな)+念(ネン)」の形声。ネンは粘ネン(ねばる)に通じ、体表面がぬるぬるする魚の「なまず」をいう。
なまず(鯰)(釣倶楽部「ナマズの特長」より)
意味 なまず(鯰)。ナマズ科の淡水魚。うろこがなく体表はなめらか。「鯰に瓢箪ヒョウタン」(鯰をヒョウタンでつかまえる意で、とらえどころのないこと) ※中国では、粘ネン(ねばる)の占をつけた鮎ネンが、なまずの意。日本では鮎ネンは、あゆの意。 <紫色は常用漢字>
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