漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

特殊化した部首 「手シュ」 と 「扌てへん」

2018年09月07日 | 特殊化した部首
 手が部首になるとき、手のかたちのままと、扌に変化する場合がある。扌は左辺(偏)に置かれたとき変化するかたちで「てへん」と呼ばれる。

 シュ・て・た  手部

解字 金文・篆文は五本の指のある手を描いた象形。甲骨文字では三本指を描いた「又(手)」が用いられていたので五本指の手が出現するのは金文からである。隷書(漢代の役人が主に使用した書体)から、上部の曲線がノになって独立し、現在の手が成立した。手は音符にならず看カン(手+目)の字で会意となるのが例外で、組み合わせ漢字になるとき、ほとんどが部首となる。
意味 (1)て(手)。「手相てソウ」「手綱たづな」 (2)てなみ。うでまえ。「手段シュダン」「妙手ミョウシュ」 (3)てずから。「手記シュキ」 (4)てにする。「入手ニュウシュ」 (5)ある仕事をする人。「歌手カシュ」 (6)技芸にすぐれた人。「名手メイシュ
部首の手 手は部首「手て」になる。漢字の下部について手の意味を表す。常用漢字で9字、約14,600字を収録する[新漢語林]では34字が収録されている。主な字は以下のとおり。
(手+音符「麻マ」)、掌ショウ(手+音符「尚ショウ」)、摯(手+音符「執シツ」)、撃[擊]ゲキ(手+音符「毄ゲキ」)、拳ケン(手+音符「巻カン」)、挙[擧]キョ(手+音符「與ヨ」)、拿(手+合の会意)

「扌てへん」の成立
カツにみる「扌てへん」の変遷
下図は篆文~現代(楷書)の括カツの変遷、上に手の部分を抜き出した。

括の字で篆文の手は元の字とほぼ同じ。隷書は指を表す上向きの半円2つが2本の線になり、またタテの線が下部で湾曲した。現代字は横2線にまっすぐのタテ線が下ではねた「扌」になった。

部首「扌部てへん」 手が漢字の左側(偏)の位置に置かれたときの形で、手の意味を表す。常用漢字で87字(第3位)、約14,600字を収録する[新漢語林]で470字が収録されている。扌部と音符は大変なじみがよく、扌部と組み合わさる字はほとんど音符である。例外は形が似ているため便宜的に扌部に含めている才サイだが、この字も音符となる。扌の主な字は以下のとおり。
 打(扌+音符「丁テイ」)、扱キュウ(扌+音符「及キュウ」)、扶(扌+音符「夫フ」)
 批(扌+音符「比ヒ」)、枝(扌+音符「支シ」)、抄ショウ(扌+音符「少ショウ」)、
 披(扌+音符「皮ヒ」)、抵テイ(扌+音符「氐テイ」)、抗コウ(扌+音符「亢コウ」)




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 特殊化した部首 「犬いぬ」 ... | トップ | 音符 「橐タク」 <ふくろ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

特殊化した部首」カテゴリの最新記事