漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

第2回漢字音符研究会のお知らせ

2017年02月25日 | 漢字音符研究会
           第2回漢字音符研究会のお知らせ

日 時 2017年3月11日(土) 10時30分~12時
会 場 喫茶ほっとはあと 京都市中京区西大路御池北西角  地下鉄東西線「西大路御池」下車すぐ
    http://www.kyoto-hotheart.jp/cafe/shops/oike/

講 師  石沢誠司氏  ブログ「漢字の音符」編集者
テーマ  「中国の漢字音符辞典『学生識字快車』について」
 「学生识字快车(学生識字快車)」
 中国では2004年に漢字音符字典である『学生识字快车(学生識字快車)』が刊行されています。題名を訳すと「学生が文字を識る急行列車」ですから、いわば「学生版早わかり簡体字字典」といえましょう。ページをめくると、同じ文字要素を一つに集めて、その要素を字根と名付け一覧表にし、表の下に簡単に各文字の説明をしています。字根は日本では音符または声符とよばれるものと一緒ですが、現代中国の簡体字は、文字に大胆な省略や改変をしていますので、文字要素を抜き出すと音符だけがそろうことになりません。
 例えば簡体字では、漢⇒汉 権⇒权 鶏⇒鸡 戯⇒戏 のように異なる音符を又に置き換えた文字が多いので、字根「又you・ユウ」の部には、本来の友you・ユウのほかに、汉han・权quan・鸡ji・戏xiなどが含まれるため、発音がそろわないことが多いのです。このため、音符や声符という代わりに字根という言葉を用いているのではないかと思われます。
 しかし、「字根」という言葉は、さらに考察すると音符や声符を越えた、もっと深い意味を表す単語として興味深いものです。今回は、中国の『学生識字快車』を紹介するとともに、字根と名付けられた文字の本質を探ります。
参加費  300円(資料代を含む) ※飲み物は各自、別途注文してください。
参加申込  資料作成の都合がありますので、事前に下記へお申し込みください。
          電話 072-627-0271(石沢誠司)  
         

     第3回予定
日 時 2017年5月13日(土) 10時30分~12時
会 場 喫茶ほっとはあと 京都市中京区西大路御池北西角  地下鉄東西線「西大路御池」下車すぐ
講 師  山本康喬氏  『漢字音符字典』著者・漢字教育士
テーマ  六書(象形・指示・会意・形声・仮借・転注)と音符の関係

 私は漢字を音符で分類して、漢字の持つ問題点(すなわちその習得が大変困難である事)を解決する方法を開発したいと考えて活動しています。
 漢字そのものを分類するものとして六書があります。六書とは、象形・指示・会意・形声・仮借・転注で、漢字の成り立ちの原理です。一方、私が漢字習得に役立つものとして提唱する音符は、六書とは別の系列の原理です。
音符とは何なのか、どこからきたのか、どのくらいの数の音符があるのか。などを説明してその本質に迫りたいと思います。ただし音符についての資料文献が少ないので十分な調査ができるかどうか、がんばります。
コメント

音符 「舀ヨウ・トウ」<米を精白する>と「稲トウ」「蹈トウ」

2017年02月21日 | 漢字の音符
 ヨウ・(トウ)  臼部

解字 篆文は、中に穀物などをいれて搗く道具である臼(うす)から、爫(上からの手)で中のものをすくいとる形。何をすくい取っているか描かれていないが、稲の金文をみると米をすくっていることがわかる。収穫した稲の籾(もみ)を臼でついて精白をした米を取り出しているところ。は、「とりだす」「米を精白する」イメージをもつ。発音はヨウであるが、組み合わせ字になると、なぜかすべてトウになるのが不思議である。
意味 すくう。くむ。

イメージ 
 臼から米を「とりだす」
(搯・鞱)
 「米を精白する」(稲・蹈)
 「同音代替」(滔)
音の変化  トウ:搯・鞱・稲・蹈・滔

とりだす
 トウ  扌部
解字 「扌(て)+舀(とりだす)」の会意形声。手でとりだすこと。
意味 とりだす。「搯擢トウテキ」(とりだして引き抜く)
 トウ・つつむ  韋部
解字 「韋(なめしがわ)+舀(とりだす)」の会意形声。韋は、なめし革の袋の意。弓や剣を入れておき、そこから取り出す袋から、つるぎ袋・弓袋をいう。転じて、つつむ・かくす意。
意味 (1)つるぎ袋。弓袋。革へんの鞱トウは同字。「韜弓トウキュウ」(①弓袋。②弓を袋に入れて用いない) (2)つつむ(韜む)。かくす。「韜光トウコウ」(光をかくして外にださない)「韜晦トウカイ」(才知・学問などを包みかくして外に表さないこと。=韜光養晦トウコウヨウカイ

米を精白する
 トウ・いね・いな  禾部  

解字 甲骨文字は、上部に稲の穂を描き下部に臼を描く。臼は先がとがっており地中にさして使った石うすと思われる。イネの穂を脱穀した籾(もみ)を臼で搗いて精白する作業を意味する。金文は、「米(こめ)+舀(臼から手ですくいだす)」で、精白した米を臼からすくいだしている形。篆文から、「禾(こくもつ)+舀(精白した米をすくいだす)」となり、精白した米である禾(こくもつ)のイネを表す。新字体は、臼⇒旧に変化した稲となる。
意味 いね(稲)。イネ科の一年草。「稲作いなサク」「稲田いなだ」「水稲スイトウ」「稲熱病いもちビョウ」(種子がつかなくなる稲の病気)
 トウ・ふむ  足部  
 足蹈臼1   足蹈臼2
解字 「足(あし)+舀(米を精白する)」の会意形声。足ふみ式の臼で、何回もふんで米を精白すること。
意味 ふむ(蹈む)。足ぶみする。踏トウとも書く。ふみおこなう。「蹈襲トウシュウ」(前人のあとをそのまま受け継ぐこと=踏襲)「蹈鞴たたら」(足でふみ、風を送るふいご=踏鞴)「蹈臼ふみうす

同音代替
 トウ・はびこる  氵部
解字 「氵(水)+舀(トウ)」の形声。トウはトウ(水がわきあがる)に通じる。滔は水がわきあがり、勢いよく流れひろがる意となる。
意味 はびこる(滔る)。水が勢いよくひろがる。広くおおきい。「滔滔トウトウ」(水が勢いよく流れるさま)「滔天トウテン」(水が天までみなぎりわたる。勢いの盛んなさま)
<紫色は常用漢字>


            





コメント

音符 「交コウ」  <人が脚を交差させる>

2017年02月14日 | 漢字の音符
 コウ・まじわる・まじえる・まじる・まざる・まぜる・かう・かわす  亠部

解字 人が脚を交差させた姿の象形。X型に交わる意味をしめす。
意味 (1)まじわる(交わる)。まじえる(交える)。まじる(交じる)。「交際コウサイ」「交渉コウショウ」「交流コウリュウ」 (2)かえる。かわす(交わす)。かう(交う)。「飛び交う」「交易コウエキ」「交換コウカン」「交互コウゴ」 (3)いれかわる。引き換えにわたす。「交付コウフ

イメージ  
 人が脚を交差させる形から「交差させる」(校・絞・纐・効・咬・鮫・蛟)
 「まじわる」(較・郊・狡)
 「まぜる」(餃)
音の変化  コウ:校・絞・纐・効・咬・鮫・郊・餃・狡・蛟  カク:較

交差させる
 コウ・キョウ  木部
解字 「木(き)+交(交差させる)」の会意形声。木を交差して組んだ軍営の柵から軍隊の陣営・とりで、転じて軍隊を指揮する将官をいう。また、教キョウ・コウ(おしえる)に通じ、教育する木造の校舎。較コウに通じ、くらべる意など多彩である。
意味 (1)陣営の指揮官。「将校ショウコウ」 (2)まなびや。がっこう。「学校ガッコウ」「校舎コウシャ」 (3)くらべる。しらべる。考える。「校正コウセイ」(くらべ合わせて誤り等を訂正する)「校閲コウエツ」(調べてなおす) (4)木を組み合わせたもの。あぜ(校)。「校倉あぜくら」(木材を交差させ建てた倉)
 コウ・しぼる・しめる・しまる  糸部
解字 「糸(ひも)+交(交差させる)」の会意形声。糸(ひも)を交差させてしめること。
意味 (1)しめる(絞める)。「絞殺コウサツ」(絞め殺す)「絞首コウシュ」(首を絞める) (2)しぼる(絞る)。「絞り染め」
 コウ  糸部
解字 「頁(あたま)+絞(しぼる)」の会意形声。布の一部をつまんで、てるてる坊主のように、あたまを残して糸でくくり染料につける染め方。括った部分が染まらず模様が出る。しぼり染め。
意味 しぼり。しぼりぞめ。「纐纈コウケチ・コウケツ」(奈良・飛鳥時代に行なわれた絞り染の名。布帛を糸でくくって染料に浸して染める模様染め)
 コウ・きく  力部
解字 「力(ちから)+交(交差する)」の会意形声。ハサミなど交差した道具の柄を持って力をいれると、てこの原理でより大きな効き目がでること。旧字は效だが、新字体で解字した。
意味 きく(効く)。ききめ。役に立つ。「効果コウカ」「効率コウリツ」「効用コウヨウ
 コウ・かむ  口部
解字 「口(くち)+交(交差させる)」の会意形声。口のなかで歯や牙を交差させて咬むこと。また、鳥が飛び交いながら鳴く意もある。
意味 (1)かむ(咬む)。かじる。「咬菜コウサイ」(野菜を食う。粗食に甘んじる) (2)鳥の鳴く声。「咬咬コウコウ
 コウ・さめ  魚部
解字 「魚(さかな)+交(交差させる)」の会意形声。するどい歯を交差させて獲物を襲うサメ。
意味 (1)さめ(鮫)。サメ科の海魚。肉食でするどい歯をもつ。「鮫肌さめはだ」(鮫のようにザラザラした肌) (2)みずち(鮫)。想像上の動物。蛇に似て身をくねらせて水中を泳ぎ、空をとぶ竜に似た架空の動物。
 コウ・みずち  虫部
解字 「虫(動物)+交(=鮫。さめ)」の会意形声。鮫のように身をくねらせて水中を泳ぎ、また空をとぶ竜に似た架空の動物。
意味 みずち(蛟)。想像上の動物。竜の一種。「蛟竜コウリュウ」(①水中にすみ、雨に乗じて天に昇り竜になるとされる。②英雄や豪傑)

まじわる
 カク・コウ・くらべる  車部
解字 「車(くるま)+交(まじわる)」の会意形声。多くの車が一か所で交わり合うこと。その結果、互いに相手の車を見くらべること。
意味 (1)くらべる(較べる)。つきあわせる。「比較ヒカク」「較量コウリョウ」(くらべてはかる) (2)あきらか。「較然コウゼン」 (3)おおむね。「大較タイコウ
 コウ  阝部おおざと
解字 「阝(みやこ・まち)+交(まじわる・行き来する)」の会意形声。都や町から行き来できる範囲の村里。
意味 まちはずれ。都のそと。「郊外コウガイ」「近郊キンゴウ
 コウ・ずるい・こすい  犭部
解字 「犭(いぬ)+交(まじわる)」の会意形声。犬は中国でわるものとされており、人に移して悪者とまじわること。悪者は、付き合ってみると、ずるい・こすい意となる。転じて、すばしこい意ともなる。
意味 (1)ずるい(狡い)。こすい(狡い)。わるがしこい。「狡猾コウカツ」 (2)すばしこい。「狡兎コウト」(すばしこい兎)「狡兎三窟コウトサンクツ」(すばしこいうさぎは三つの隠れ穴をもって危険から身を守る)

まぜる
 コウ  食部
解字 「食の変形(たべる)+交(まぜる)」の会意形声。ひき肉や野菜などいろんな材料をまぜあわせ、小麦粉の薄い皮に包んで焼いたりゆでたりした食べ物。
意味 「餃子ギョーザ」に用いられる字。読みは中国語方言からと言われる。
<紫色は常用漢字>

                バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。

コメント

音符 「音オン」 <おと> 

2017年02月11日 | 漢字の音符
 オン・イン・おと・ね  音部                   

解字 金文は、言(いう)の口のなかに短線を入れた形で、言葉を言うのでなく口からでる音声を表した指事文字。人の声帯の振動をともなう音声がもとの意。のち物の振動から出る音やひびきもいう。篆文で、「口+短線」は日となり、現代字は上が立に変化した音になった。
意味 (1)おと(音)。ひびき。ねいろ。「音楽オンガク」「音階オンカイ」(人が言葉を出すときの音)「音色ねいろ」(音の特性) (2)こえ。「音声オンセイ」(人の言葉の音) (3)おん(音)。漢字の字音。「呉音ゴオン」「音訳オンヤク」(外国語の音を漢字の音で表すこと) (4)知らせ。たより。「音信オンシン
参考 音は部首「音おと」になる。左辺や下部に付いて音の意味を表す。しかし、主な字は響キョウ・ひびく(音+音符「郷キョウ」、韻イン・ひびき(音+音符「員イン」)の2字しかない。

イメージ 「おと」 (音)
      「同音代替」 (暗・闇・諳)
音の変化  オン:音  アン:闇・暗・諳

同音代替
 アン・くらい  日部
解字 「日(太陽)+音(アン)」 の形声。アンはアン(くらい)に通じる。アンは「日+奄エン(おおう・さえぎる)」で、日の光がさえぎられて、くらい意。暗も同じく、日がさえぎられてくらい意となる。
意味 (1)くらい(暗い)。くらがり。やみ。「暗黒アンコク」「暗雲アンウン」 (2)隠れていて見えない。「暗礁アンショウ」 (3)あんに。ひそかに。「暗殺サンサツ」 (4)おろか。「暗愚アング」 (5)そらで覚える。「暗記アンキ」  
 アン・やみ・くらい 門部
解字 「門(もん)+音(=暗。くらい)」 の会意形声。門を閉じて中が暗いこと。
意味 (1)くらい(闇い)。やみ(闇)。くらがり。「夕闇ゆうやみ」「闇夜やみよ」 (2)ひそかに。こっそりと。「闇市やみいち」 (3)とじる。門をとじる。
 アン・そらんじる  言部
解字 「言(いう)+音(=暗。くらい)」の会意形声。暗い中で文字を見ずに言うこと。
意味 そらんじる(諳んじる)。そらでおぼえる。「諳記アンキ」(そらでおぼえる=暗記)「諳誦アンショウ」(そらでおぼえていて口に出していう=暗誦)
<紫色は常用漢字>



コメント

音符 「竟キョウ」 <長い祭祀がおわる>

2017年02月08日 | 漢字の音符
 私はこれまで竟を篆文の字体である「音+儿(人)」で解字していたが、このたび甲骨文字・金文が判明したので、やり直しました。しかし、漢字の書き方としては「音+儿」で覚えるほうが書きやすいとおもいます。

 キョウ・ケイ・ついに・おわる  立部

解字 甲骨文第1字は、「冠の形+兄キョウ(神に祈る人)」 の会意形声で、冠をつけた貴人が祭祀(祖先や神をまつる)をおこなっているさま。(兄は音符「兄キョウ」を参照)。甲骨文第2字は、冠の略体(▽)をつけた形。意味は、①祭祀名。②人名だという(甲骨文字辞典)。金文も甲骨第1字を踏襲しているが、篆文から、冠⇒辛、口⇒曰、人⇒儿に変化し、現代字は、「音+儿」の竟になった。意味は、祭祀が長きに「わたる・つづく」、祭祀が「ついに、おわる」こと。また、おわった所が「さかいめ」の意がある。
意味 (1)わたる。つづく。「竟日キョウジツ」(一日中)「竟夕キョウセキ」(夜どおし) (2)ついに(竟に)。「畢竟ヒッキョウ」(つまるところ)「竟成キョウセイ」(ついに成る)「有志竟成ユウシキョウセイ」(志の有る者は事をついに成し遂げる) (3)おえる。おわる(竟わる)。「竟宴キョウエン」(祭事のおわった後に開く宴会) (4)さかいめ。「竟内ケイダイ」(区域のうち。=境内)

イメージ
 「わたる・おわる」
(竟)
  終わったところが「さかいめ」(境・鏡)
音の変化  キョウ:竟・境・鏡

さかいめ
 キョウ・ケイ・さかい  土部
解字 「土(とち)+竟(さかいめ)」の会意形声。土地のさかいめ。
意味 (1)さかい(境)。「境界キョウカイ」「国境コッキョウ」「境内ケイダイ」(境界の内。社寺の境域の内) (2)中央から離れた土地。場所。「辺境ヘンキョウ」「秘境ヒキョウ」 (3)人が置かれている状況。「苦境クキョウ」「境遇キョウグウ
 キョウ・かがみ  金部
解字「金(金属)+竟(さかいめ)」の会意形声。金属をみがいて境目を反射させるようにした鏡。
意味 (1)かがみ(鏡)。「銅鏡ドウキョウ」「水鏡みずかがみ」「手鏡てかがみ」 (2)レンズ。「眼鏡めがね」「拡大鏡カクダイキョウ」「望遠鏡ボウエンキョウ
<紫色は常用漢字>

コメント