漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符 「堇キン」 <ひでり> と 「謹キン」

2018年07月19日 | 漢字の音符
 キン  土部

解字 [字統]は甲骨文を、ひでりの時、巫祝フシュク(みこ)を焚(や)いて雨乞いをする形を表した字とする。一方[甲骨文字辞典]は、動物の皮革の象形に火を加えた形とし暵カン(日照り)の原字と推定しているが、火の意味には言及していない。意味は両書とも日照りである。甲骨文字の時代に巫祝フシュクを焚(や)いて雨乞いをする風習があったか明らかでないが、[字統]の解字が火の意味を説明しているので、覚え方としてとりあえずこの解字を尊重したい。
 金文もほぼ同じ形を踏襲したが、篆文で下部が火⇒土に誤った変化をし、意味も「ねばつち」や「ぬる」意となったが、形声字の音符になると「ひでり」、ひでりで実りが「わずか・すくない」イメージをもつ。新字体では堇の上部の、廿⇒廾に変化する。
意味 (1)ねばつち。=墐キン。 (2)ぬる。 (3)わずか。=僅。

イメージ  「日でり」 (饉・殣・勤・懃)
       日でりで稔りが 「わずか・すくない」 (謹・僅・槿・菫)
音の変化  キン:饉・殣・勤・懃・謹・僅・槿・菫

日でり
 キン・うえる  食部
解字 「食(たべもの)+堇(日でり)」 の会意形声。日でりで作物の育ちが悪く、食べ物が極端に少ないこと。食へんは旧字体。
意味 うえる(饉える)。うえ。ひどく空腹になる。作物の凶作。「飢饉キキン」(農作物が実らず飢え苦しむこと)「凶饉キョウキン」(飢饉。凶作)
 キン  歹部
解字 「歹(しぬ)+堇(=饉。うえる)」 の会意形声。飢えて死ぬこと。
意味 うえじに。餓死する。ゆきだおれ。「道殣ドウキン」(ゆきだおれ)
 キン・ゴン・つとめる・つとまる  力部
解字 「力(ちから)+堇(日でり)」 の会意形声。勤は、日でりの続く困難な状況で力のかぎりをつくすこと。つとめる・はげむ意となる。
意味 (1)つとめる(勤める)。精を出す。「勤勉キンベン」「勤労キンロウ」 (2)つとめ。しごと。「勤務キンム」 (3)つとめ。修行。「勤行ゴンギョウ
 キン・ゴン・ねんごろ  心部
解字 「心(こころ)+勤(つとめる)」 の会意形声。まじめに勤める心。
意味  ねんごろ(懃ろ)。ていねい。「慇懃インギン」(ねんごろで、ていねいなこと)「慇懃無礼インギンブレイ」(うわべはていねいだが、実は相手を見下していること)

わずか・すくない
 キン・つつしむ  言部
解字 旧字は 「言(ことば)+堇(すくない)」 の会意形声。言葉を少なくしてつつしむこと。
意味 つつしむ(謹む)。かしこまる。「謹慎キンシン」「謹告キンコク」(つつしんでお知らせする)「謹賀キンガ」(つつしんで祝う)
 キン・わずか  イ部
解字 「イ(ひと)+堇(わずか)」 の会意形声。堇は飢饉で食べ物が「わずか」の意。その意味を、イべんを付けて表した字。
意味 わずか(僅か)。ほんの少し。「僅少キンショウ」「僅差キンサ
槿 キン・むくげ  木部
解字 「木(き)+堇(わずかの時間)」の会意形声。朝咲いた花が夕方にしぼむ、はかない花をつける木。
意味 むくげ(槿)。木槿とも書く。アオイ科の落葉低木。花は一日でしぼむ。「槿花キンカ」(むくげの花)
 キン・すみれ  艸部
解字 「艸(草)+堇(わずかの時間)」の会意形声だが、堇の上部の廿⇒一に簡略化されている。当初、槿(むくげ)と同じ意味で使われたが、のちムクゲは槿・木槿と書くようになり、スミレに使われるようになった。なぜスミレに使われたかは不明。
意味 (1)むくげ。 (2)すみれ(菫)。スミレ科の多年草。道ばたで春に濃紫色の小さな花を咲かせる野草。「菫色すみれいろ」(濃紫色) (3)とりかぶと。キンポウゲ科の多年草。毒草の一種。
<紫色は常用漢字>

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音符 「王オウ」 <おう・きみ> と 「狂キョウ」

2018年07月14日 | 漢字の音符
 音符「王オウ」の家族字は、王をのぞくと全てがもと「止+王」の形である。この字について字統は「王がでかける」意としており、私もこの見解を受け継 いで解字してきた。しかし、王の家族字を「王がでかける」意で解字するのは無理がともなうことが分かったので、今回、王オウは発音だけ表す形声字として位置付けたところ、結構うまく解字できることがわかった。
 以下は王の呪縛から解き放たれ、この字を発音オウ・キョウを表す字に限定した解字である。
  


 オウ・きみ  王部       

解字 大きな戉エツ(まさかり)の刃部を下にして置く形の象形。王位を示す儀式の器として玉座の前におかれた。武器(武力)によって天下を征服した者のこと[字統]。
意味 (1)きみ(王)。君主。「王朝オウチョウ」「国王コクオウ」 (2)最も力のある者。第一人者。「王者オウジャ」「王座オウザ

イメージ  「王」 (王)
       「ゆく・すすむ(止+王)」 (往・旺・狂・誑・逛・汪)
音の変化  オウ:王・往・旺・汪  キョウ:狂・誑・逛

ゆく・すすむ
 オウ・ゆく  彳部           

解字 甲骨文は王の上に止(足の形)が乗った形。止(あるく)が意符で王を声符(音符)とした形声字。意味は、ゆく・往路をゆくこと。発音はオウ(王)[甲骨文字辞典]。金文以降、彳(ゆく)が付き、出かけて行く意が明確になった。現代字は「止+王」が主オウに変化した往になった。この主オウは主シュとは別の字である。
意味 (1)ゆく(往く)。すすむ。⇔復。「往診オウシン」「往路オウロ」「往復オウフク」「往来オウライ」(①往き来する。往き来の道。②手紙のやりとり)(2)ゆき過ぎる。いにしえ。「往時オウジ」「往古オウコ
 オウ・さかん  日部                     

解字 篆文は、「日(太陽)+往(ゆく・すすむ)」 の会意形声。太陽がゆく意で、日がかがやく形。転じて、さかん・さかんなさまを表す。現代字は往⇒王に変化した旺となった。
意味 (1)さかん(旺ん)。さかんなさま。「旺盛オウセイ」「旺文社オウブンシャ」(出版社の名前) (2)美しい・光を放って美しく輝く。
 キョウ・くるう・くるおしい  犭部     

解字 甲骨文・篆文とも、「犭(いぬ)+「止+王」=往オウの略体(ゆく・すすむ)」 の形。発音はオウ⇒キョウに変化した。犬がゆく、すすむこと。甲骨文は地名の用例しかないという。金文は人名の用例がある。この字が狂うという意味をもつのは篆文からのようである。後漢の[説文解字]は、噛み癖のある犬としているので、出歩いている凶暴な犬を人に移して「くるう」となった。現代字は右辺の「止+王」⇒王に変化した狂になった。
意味 (1)くるう(狂う)。気がちがう。くるおしい(狂おしい)。「狂乱キョウラン」 (2)くるったように。「狂喜キョウキ」「狂信キョウシン」 (3)こっけい。おどける。「狂言キョウゲン」「狂歌キョウカ
 キョウ・たぶらかす  言部
解字 「言(いう)+狂(くるう)」 の会意形声。おかしなことを言って相手をだますこと。
意味 たぶらかす(誑かす)。たらす(誑す)。だます。あざむく。「誑惑キョウワク」(人をあざむいてまどわす)
 キョウ  辶部
解字 「辶(ゆく)+狂(犬がゆく)」 の会意形声。狂は甲骨文・篆文でわかるように犬がゆく・すすむ形で、犬がぶらぶら歩く意。その犬が噛みつくので狂う意となったので、さらに辶(ゆく)をつけて、もとのぶらぶら歩く意を表す。人に移して使う。
意味 (1)あてもなく歩きまわる。ぶらつく。「逛逛キョウキョウ」(ぶらつく)「逛蕩キョウトウ」(ぶらぶらする)
 オウ  氵部

解字 金文・篆文は、「氵(みず)+「止+王」=往オウの略体(ゆく)」の会意形声。水が行きあふれる意で、水が広がってひろい意をあらわす。現代字は「氵+王」の汪になった。
意味 ひろい。深くひろい。「汪汪オウオウ」(水の広く深いさま)「汪然オウゼン」(広く深いさま)「汪洋オウヨウ」(大海。広々と大きい)
<紫色は常用漢字>

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音符 「叕テツ」 <つながる> と 「綴テイ」

2018年07月11日 | 漢字の音符
 テツ  又部

解字 組みひもの編み方を描いた象形。組みひもは、よりをかけた糸束を3条以上用い、互い違いに組み合わせて編み上げ、紐をつくる。糸同士がからみあってつながるので、つづる・つながる意となる。篆文の形は手がつながっているように見えるので、現代字は又(て)四つに変化した。綴の原字。
意味 つづる。継ぎあわす。つらなる。

イメージ  「つながる」 (綴・錣・畷・啜・掇)
       「つぎあわす」 (輟)
音の変化  テイ:綴  テツ:綴・錣・畷・啜・掇・輟

つながる    
  テイ・テツ・つづる  糸部
解字 「糸(いと)+叕(つながる)」の会意形声。糸をつなぎあわせること。転じて、言葉をつないで文章をつくる意となり、これが主流となった。
意味 (1)つづる(綴る)。つなぐ。つなぎ合わせる。「点綴テンテイ」(点をひとつひとつ結びつける) 「綴合テツゴウ」(竹簡の一つ一つをつなぎ合わせる)「合綴ガッテツ」(冊子などをとじ合わせて一つにする) (2)詩や文章をつくる。「綴文テイブン」(文章をつづる。作文)「綴(つづ)り方」(文章の作り方。作文)「綴字テイジ」(言語の音声を表音文字でつづり表すこと。また、そのつづった字) (3)つくろう。「補綴ホテイ・ホテツ」(①破れた所を補ってつづる。②詩文を作るのに古句を補ってつくる)
 テツ・しころ  金部
 
解字 「金(金属)+叕(つながる)」の会意形声。鉄の札(さね)を組み紐でつなぎあわせたもので、かぶとの鉢に垂らして首を保護する。
意味 しころ(錣)。かぶとの鉢に垂らして首をおおうもの。革または鉄のさね(札)を組み紐でつなぎあわせる。「錣山しころやま」(大相撲の部屋のひとつ)
 テツ・なわて  田部
解字 「田(耕作地)+叕(つながる)」の会意形声。耕作地をつないで走るあぜみち。
意味 (1)なわて(畷)。縄手とも書く。あぜみち。たんぼ道。 (2)まっすぐで細長い道。 (3)地名。「四條畷市シジョウなわてシ」(大阪府東部の市)
 テツ・セツ・すする  口部
解字 「口(くち)+叕(つながる)」の会意形声。液状のものやソバなどを、つながるように口へ入れること。
意味 (1)すする(啜る)。液状のものをすこしずつ口に吸いこむ。ソバやうどんを口に吸いこむ。「蕎麦を啜る」 (2)すすり泣く。啜り泣く。小刻みに啜りあげるようにして泣く。
 テツ・ひろう  扌部
解字 「扌(て)+叕(つながる)」 の会意形声。下にあるものを手でつなげてひろうこと。
意味 ひろう(掇う)。ひろいとる。「掇拾テツシュウ」(掇も拾も、ひろう意)。「掇遺テツイ」(先人の遺業をひろいあつめる)

つぎあわす
 テツ・やめる  車部
解字 「車(くるま)+叕(つぎあわす)」 の会意形声。車の欠けたところを、継ぎあわせて補修すること。そのため車の使用を休む意となり、転じてやめる意ともなる。
意味 (1)やすむ。「輟耕テツコウ」(耕す手をやすめる) (2)やめる(輟める)。「輟業テツギョウ」(業務をやめる)「輟食テツショク」(食事を途中でやめる)「輟筆テツヒツ」(筆をとめる)

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音符 「𦝠ラ」 <神獣>  と 「嬴エイ」 「贏エイ」

2018年07月09日 | 漢字の音符
𦝠[𣎆] ラ・(エイ) 月部にく

解字 動物の象形。[説文解字]は獣の名とし、その他にも(螺・にし)の初文で巻貝とする説もあるが、甲骨文では細長い胴体が表現されており、また頭部に虍(トラ)のような形を用いたものや多足の象形などがあり、字源はムカデのような「噛みつく節足動物」と思われる[甲骨文字辞典]。金文は中央の頭の下方に月(にく)が付加された形をへて、篆文で上部が亡+口、下が月+丮となり、現代字(楷書)の𦝠になっているが、卂の部分が丮や凡になっている字も同字である。
 [甲骨文字辞典]は、意味が災厄であることから「噛みつく節足動物」としているが、私は中国ネットに出ていた「神獣」説を取りたい。理由は、この字と女を組み合わせたエイが姓となっており、神獣を後ろ盾にした姓と考えられるからである。
意味 (1)(甲骨文字で)災厄。主に神や祖先の祟りとして用いられる。また、地名。祭祀名。 (2)(説文解字で)浅毛の獣。虎・豹・象の類。 (3)(騾に通じ)らば。うさぎうま。

イメージ  「神獣」 (𦝠・嬴・瀛・贏)
       「同音代替」 (蠃・臝・羸)
音の変化  ラ:𦝠・蠃・臝  ルイ:  エイ:嬴・瀛・贏

神獣
 エイ  女部  
解字 「女(おんな)+𦝠ラ(神獣)」 の会意。𦝠は神獣と考えられ、これに女をつけたエイは神獣を後ろ盾とした女の意。母系制社会の時代に作られた姓のひとつ。姓セイは、「女+生(うまれる)」で、女から生まれる子へとつながる血筋を表す。古代の母系制の名残を残す字。中国古代の母系制社会の姓は、女偏がつく姜キョウ、姬(姫)、姚チョウ、などがあり、エイはそのひとつ。秦の王室の姓でもある。また、盈エイ(みちる)に通じて、みちる意がある。
意味 (1)姓のひとつ。秦の王室はエイ姓を名乗った。「エイセイ」(秦の始皇帝の本名。姓がで実名(諱いみな)が政。 (2)[盈エイ(みちる)に通じて]みちる。のびる。「エイシュク」(のびちぢみ)「エイド」(肥沃の地)
 エイ・うみ  氵部 
解字 「氵(みず)+エイ(意味②の、みちる)」 の会意形声。エイは盈エイ(みちる)に通じ、水が満ちる意で海をいう。
意味 うみ(瀛)。大海。「エイカイ」(大海)「エイシュウ」(中国の東海にあるという神山)
贏 エイ・あまる・あまり・かつ  貝部
解字 「貝(財貨)+𦝠エイ(=嬴エイの略体(意味②の、みちる)」 の会意形声。エイはエイの意味②、みちるに通じ、財貨がみちること。財貨がみちて、あまる。また、財貨がみちることから転じて勝つ意となる。
意味 (1)あまる(る)。「エイリ」(ありあまるもうけ。=利益)「エイトク」(利益を得る) (2)かつ(贏つ)。「エイシュ」(勝ちと負け。は勝つ、輸は負け)

同音代替
 ラ  虫部
解字 「虫(むし)+𦝠(ラ)」の形声。ラは螺(にな・にし)に通じ、巻貝の仲間を言う。
意味 (1)にな(蠃)。にし。たにし。=螺。 (2)「蜾カラ」はジガバチのこと。
 ラ・はだか  月部にく
解字 「果(果たす。果たした結果)+𦝠(=の略体。にな・にし)」 の会意形声。は、ここで巻貝の貝殻に体を入れ、貝殻を背負って生活する甲殻類のやどかりをいう。やどかりの身体が大きくなり(果たす)、果たした結果、今までの貝を捨て(脱いで)他の貝に移ること。人に例えて、はだ脱ぐ・はだかの意となる。
意味 (1)はだか()。はだぬぐ。はだかになる。=裸
 ルイ・つかれる  羊部
解字 「羊(ひつじ)+𦝠(ラ⇒ルイ)」 の形声。ルイは累ルイ(しばる。つなぐ。=縲ルイ。)に通じ、しばられた羊の意。しばられた羊は、やせる・つかれる・よわる。転じて、よわい意。人に移して用いる。
意味 (1)つかれる(羸れる)。よわる。よわい。「ルイジャク」(つかれ弱る。弱い)「ルイシ」(つかれ弱った軍隊) (2)やせる。「ルイソウ」(つかれやせおとろえる)「ルイセキ」(やせおとろえる)

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音符 「羅ラ」 <鳥あみ>

2018年07月06日 | 漢字の音符
 ラ・あみ  罒部  

解字 甲骨文は「网(あみ)+隹(とり)」 の形で、細い糸でできた目の細かいカスミ網で、隹(とり)を捕えること。篆文は、これに糸をつけて鳥あみが細い糸でできていることを表した。現代字は、网(あみ)⇒ 罒に変化した羅となった。意味は細かい鳥あみ、(支柱を立てて鳥あみをいくつも)並べる、鳥あみのような細かい薄絹をいう。
意味 (1)あみ(羅)。鳥あみ。あみで捕える。「網羅モウラ」(網は魚をとるあみ、羅は鳥あみ。もらすことなく、すべて収め入れること)「雀羅ジャクラ」(雀をとらえるあみ)「門前雀羅モンゼンジャクラ」(門の前に雀羅を張れるほど人の出入りが少ない。さびれている)(2)(鳥あみを)つらねる。ならべる。「羅列ラレツ」(つらなり並ぶ)(3)うすい絹。あやぎぬ。「羅衣ライ」(うすものの着物)「綺羅キラ」(あやぎぬと、うすぎぬ。うつくしくきれいな衣服)(4)梵語の音訳。外国地名。「羅漢ラカン」(梵語のarhan(阿羅漢アラカン)の略。仏教修行の最高段階に達した人)「羅馬ローマ」(イタリアの首都)(5)「羅針盤ラシンバン」とは、磁石の針を利用して方位を知る装置。船や飛行機の航行に用いる。語源は、中国の風水術で地相占いに使われる羅盤ラバンというアミの目のように細かく方位が書かれた盤の中央に方位磁針を組み込んだので羅針盤と呼ばれた)

イメージ  「とりあみ」 (羅・邏・蘿)
       「とりあみにかかる」 (罹)
       「ラの音」 (鑼)
音の変化  ラ:羅・邏・蘿・鑼  リ:罹

とりあみ
 ラ・めぐる  之部
解字 「之の旧字(ゆく)+羅(とりあみ)」 の会意形声。鳥あみの目のように細かくすみずみまで歩いて巡回すること。
意味 めぐる(邏る)。見回る。「邏卒ラソツ」(見回りの兵士)「警邏ケイラ」(見回って警戒すること。また、その人)「巡邏ジュンラ」(巡回して警備すること。パトロール)
 ラ・つた  艸部
解字 「艸(くさ)+羅(とりあみ)」 の会意形声。とりあみのようにからまって生える草で、つた・かずらをいう。
意味 (1)つた(蘿)。かずら。「蘿経ラケイ」(つたのしげった小道)「蘿月ラゲツ」(つたにかかって見える月)「蘿衣ライ」(こけの一種。さるおがせ)「蘿匐ラフク」(大根の漢名。すずしろ) (2)つのよもぎ。

とりあみにかかる
 リ・かかる   忄部
解字 「忄(こころ)+羅の略体(とりあみにかかる)」の会意形声。あみにかかった鳥の心情を人に例えて、うえれる・なやむ意となる。また、鳥が不幸にもあみにかかることから、病気にかかったり災難に出会う意で用いられる。
意味 (1)うれえる。なやみ。「百罹ヒャクリに逢えり」(多くのなやみに逢う)(2)かかる(罹る)。こうむる。病気にかかる。「罹患リカン」(病気にかかる。罹も患も、病気にかかる意=罹病リビョウ)「罹災リサイ」(災難や災害にあう)

ラの音
 ラ  金部
 銅鑼
解字 「金(金属)+羅(ラ)」の形声。ラと呼ばれる円盤状の金属製打楽器をいう。銅製のものを銅鑼ドウラといったので、短縮したドラという名称で知られる。
意味 どら(銅鑼)。銅製の盆形の打楽器。紐で吊り下げてバチで打ち鳴らす。仏教の法要、民俗芸能の囃子、歌舞伎の下座(舞台の左方で演奏される)音楽、茶席に入るときの合図、出帆の合図などに用いられる。「銅鑼焼ドラやき」(銅鑼の形をした和菓子)
<紫色は常用漢字>

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