漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「火カ」と「灰カイ」「炭タン」 と 「炎エン」<火が二つ>「談ダン」「淡タン」

2022年01月19日 | 漢字の音符
音符「火カ」と「炎エン」は、火が一つと二つの形。発音は異なるが、それぞれ燃える火の意味で音符を作っている。

 カ・ひ・ほ  火部
 
解字 火の燃える形の象形(金文は単独字としては存在しないが、炎から1字を抜き出した)。「ひ」の意味を表わす。火は部首となり、火の意味で会意文字となる。
意味 (1)ひ(火)。ほのお。「火力カリョク」(2)かじ。「火災カサイ」「失火シッカ」(3)光りのあるもの。明かり。「灯火トウカ」(4)五行(木・火・土・金・水)の一つ。「火星カセイ」(5)七曜の一つ。「火曜日カヨウビ
参考 火は部首「火ひ・ひへん」になる。漢字の左辺(偏)や下部に付いて、火や火の状態を表す。常用漢字は14字、約14,600字を収録する『新漢語林』では194字が収録されている。主な字は以下のとおり。
 火[部首]:
 灯[燈]トウ(火+音符「登トウ」) 
 焼ショウ(火+音符「尭ギョウ」)
 煙エン(火+音符「垔イン」)
 燃エン(火+音符「然ゼン」)
 燥ソウ(火+音符「喿ソウ」)
 爆バク(火+音符「暴ボウ」)
 煩ハン(火+頁の会意)
 炉[爐](火+音符「盧ロ)
 灰カイ(火+又の会意)
 災サイ(火+音符「巛サイ」)
 炎エン(火+火の会意)
  このうち、灰カイ・炎エン、は音符になる。

火が下部に付いたとき、多くが部首「灬れっか・れんが」に変化する。常用漢字で12字、『新漢語林』では45字が収録されている。主な字は以下のとおり。
 灬れっか・れんが[部首]:
 点テン(灬+音符「占セン」)
 烈レツ(灬+音符「列レツ」)
 煎セン(灬+音符「前ゼン」)
 照ショウ(灬+音符「昭ショウ」)
 煮シャ(灬+音符「者シャ」)
 熟ジュク(灬+音符「孰ジュク」)
 熱ネツ(灬+音符「埶ゲイ」)
 熊ユウ・くま(灬+能の会意)
 焦ショウ(灬+隹の会意)
 為(灬を含む会意)
  このうち、焦ショウ・為、は音符になる。

イメージ   
 「ひ」
(火・灰・炭)
 「同音代替」(恢・詼)
音の変化  カ:火  カイ:灰・恢  タン:炭


 カイ・はい  火部    

解字 篆文は「又(て)+火」の会意。手であつかえるようになった火。つまり火が燃えつきて粉状になり手であつかえることのできる灰を表している。この字の面影は旧字に残っている。旧字のナの部分は手の形。現代字は、ナ⇒厂に変化した灰になった。
意味 (1)はい(灰)。もえがら。はいにする。「灰汁あく」(灰を水に溶いた上澄み液)「灰燼カイジン」(灰ともえかす。ほろびる)「灰塵カイジン」(灰とちり。値打ちのないもの)(2)活気がないもの。静かなさま。「灰心喪気カイシンソウキ」(失意のあまり元気をなくす)
 タン・すみ   火部
解字 「山(やま)+灰(もえがら)」の会意。ここで灰は、完全に燃え尽きた灰(はい)でなく、酸素の供給を断たれて燃え尽き、炭素のかたまりとなった「すみ」である。炭は、山中のカマでむし焼きされてできた燃えがら。即ちすみ。「すみ」は原料の木がすぐ取れる山で作られる。部首は火部になっているので注意。
意味 (1)すみ(炭)。木をむし焼きにして作った燃料。「木炭モクタン」「薪炭シンタン」(まきと炭)(2)石炭のこと。「炭坑タンコウ」(3)元素の一つ「炭素」のこと。炭素は非金属元素のひとつ。「炭化タンカ」(有機物が化学変化により炭素分が大部分を占めるようになること)「炭酸タンサン」(二酸化炭素が水に溶けた時できる弱い酸)

同音代替
 カイ・ひろい  忄部
解字 「忄(こころ)+灰の旧字(カイ)」の形声。カイは傀カイ・魁カイ(おおきい)に通じ、心が大きく広いこと。心にかぎらず、ひろい・おおきい意で使われる。
意味 (1)ひろい(恢い)。おおきい。「恢恢カイカイ」(広く大きいさま)「天網恢恢テンモウカイカイにして漏らさず」(天の網は広く目は粗いが何一つ取りこぼすことはない。悪事をはたらいた者は必ずその報いがある<老子>。)「恢宏カイコウ」(ひろいさま。事業などをおしひろめる。=恢弘カイコウ) (2)かえる。もどる。「恢復カイフク」(失ったものをとりもどす。=回復)
 カイ・たわむれる  言部
解字 「言(いう)+灰の旧字(カイ)」の形声。[広雅、釈詁四]に「調(たわむ)るるなり」とあり、詼謔カイギャク(ざれごと)をいう。
覚え方 カイは諧カイ(たわむれる)に通じ、たわむれる意。(注:詼カイ(クワイ)と諧カイは日本語では同音だが、中国語の古代音および現代音ともに異なるので同音代替にならないので「覚え方」として)
意味 たわむれる(詼れる)。おどける。からかう。「詼諧カイカイ」(おどけ)「詼謔カイギャク」(ざれごと)「詼調カイチョウ」(ふざけかう)「詼笑カイショウ」(おどけてわらう)


     エン <ほのお>
 エン・ほのお  火部
   
解字 「火(ひ)+火(ひ)」の会意。火をかさねて火焔(ほのお)を表わす。ほのお・もえる・あつい意味を示す。
意味 (1)ほのお(炎)。「火炎カエン」(2)もえる。「炎上エンジョウ」(3)焼けるように熱い。「炎天下エンテンカ」(4)痛み・はれ・熱をともなう症状。「肺炎ハイエン」「炎症エンショウ

イメージ 
 「ほのお・熱い」
(談・痰)
 炎がもえるさまから「さかんに」(啖・餤)
 「同音代替」(淡・毯)
音の変化  エン:炎  タン:啖・痰・餤・淡・毯  ダン:談  

ほのお・熱い
 ダン・タン・かたる   言部
解字 「言(ことば)+炎(ほのお)」の会意。炎がもえる囲炉裏を囲んだり暖炉の近くで話をすること。くつろいで話すこと。 
意味 (1)かたる(談る)。話す。「会談カイダン」「雑談ザツダン」(2)はなし。ものがたり。「美談ビダン」「冗談ジョウダン
 タン  疒部
解字 「疒(やまい)+炎(熱い・炎症)」の会意形声。喉の炎症が原因で、気管から吐き出される粘液性のたん。転じて、ひろく気管から排出される分泌物をいう。
意味 たん(痰)。「血痰ケッタン」(血の混じったたん)「痰壷たんつぼ」(たんを吐きいれる壷)「喀痰カクタン」(痰を吐くこと)

さかんに
 タン・くう・くらう  口部
解字 「口(くち)+炎(さかんに)」の会意形声。口からさかんに食べること。また、口から激しい言葉を言うこと。
意味 (1)くう(啖う)。くらう。むさぼり食う。「健啖ケンタン」「健啖家ケンタンカ」(大食い)(2)勢いするどい言葉をいう。「啖呵タンカ」(勢い鋭い言葉。まくしたてる)「啖呵を切る」
 タン  食部
解字 「食(たべる)+炎(さかんに)」の会意形声。さかんに食べまた、相手にすすめること。また、啖と通用する。
意味 (1)くらう(餤う)。すすむ(餤む)。かつかつと食べる。 (2)くらわす(餤らわす)。すすめる(餤める)。 (3)小麦粉をこねて作った食品。「餅餤ヘイタン」(ビスケット状の菓子)

タンの音
 タン・あわい  氵部
解字 「氵(水)+炎(タン)」の形声。タンは覃タンに通じる。覃タンは、壷の中に塩で味付けした食物が熟している形。淡は、そこに水をいれて味がうすまること。音符「覃タン」を参照。
意味 (1)あわい(淡い)。うすい。味がうすい。色がうすい。「淡彩タンサイ」「淡白タンパク」(味がうすい。欲がない)(2)欲がない。あっさりとした。「淡交タンコウ」(あっさりした交わり)「冷淡レイタン」(3)塩分を含まない。「淡水タンスイ
 タン  毛部
解字 「毛(け)+炎(タン)」の形声。タンは亶タン・セン(厚い)に通じ、毛を織り込んだ厚めの敷物。毛氈モウセンの氈セン(「毛+亶タン・セン(厚い)」=毛織の厚い敷物)と成り立ちが同じ。
意味 毛で織った敷物。もうせん(毛氈)。けむしろ。「絨毯ジュウタン」※絨ジュウは厚い毛織物の意。
<紫色は常用漢字>

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音符「夗エン」<まるくかがむ> と「怨エン」「宛エン」「腕ワン」

2022年01月16日 | 漢字の音符
 エン  夕部 

解字 金文・篆文は、「タ(=月にく。からだ)+卩(ひざまずく人)」 の会意。人がひざまずいて身体をまげている形。まがる意を表す。現代字は卩の下部が湾曲して夗となった。単独で使われることはない。音符に用いられると「まがる」「くぼんでまがる」イメージを持つ。
意味 ころがりふす。

イメージ 
 「まがる」
(怨・宛・婉・腕・蜿)
 「くぼんでまがる」(鴛・盌・椀・碗・鋺)
 「形声字」(豌・苑)
音の変化  エン:怨・宛・婉・蜿・鴛・豌・鋺・苑  ワン:盌・腕・椀・碗

まがる
 エン・オン・うらむ  心部
解字 「心(こころ)+夗(まがる)」の会意形声。押し曲げられたような心の状態。抑圧されて相手をうらむ意となる。
意味 うらむ(怨む)。うらみ。あだ。かたき。「怨恨エンコン」「憤怨フンエン」「怨念オンネン」「怨霊オンリョウ」(怨みを抱いてたたりをする霊魂)「怨嗟エンサ」(うらみなげく)
 エン・あて・あてる・あたかも  宀部
解字 「宀(建物)+夗(まがる)」の会意形声。祖先をまつる廟屋のなかで、ひざまずいて身体をまげて祈るさま。その姿がおごそかなさまから、副詞化し「あたかも・さながら」の意を生じた。なお、日本では宛先・宛名などの意味に仮借カシャ(当て字)される。
意味 (1)まがる。かがむ。「宛延エンエン」(うねうねと長くつづく)「宛転エンテン」(①言葉・声などがなめらかに出る。②ゆるやかな曲線を描くさま) (2)あたかも(宛も)。さながら(宛ら)。「宛然エンゼン」(あたかも) (3)[国]あて(宛て)。あてる(宛てる)。あてはめる。「宛先あてさき」「宛名あてな
 エン  女部
解字 「女(おんな)+宛(身体をまげて祈る)」 の会意形声。宛は、廟屋のなかで身体をまげて祈る形。そこに女をつけた婉は、うずくまって祈る女を表し、祈る姿から、したがう・おだやか・しとやかの意となる。
意味 (1)したがう。すなお。「婉順エンジュン」 (2)おだやか。遠まわし。「婉曲エンキョク」「婉語エンゴ」(遠まわしに言う言葉) (3)うつくしい。しなやかで美しい。しとやか。「婉然エンゼン
 ワン・うで  月部にく
解字 「月(からだ)+宛(まがる)」の会意形声。上半身で曲がる部分がある肩口から手首までの部分。中国では手首のつけねをいう。
意味 (1)うで(腕)。かいな(腕)。肩から手首までのあいだ。また、肩から肘までのあいだ。「腕章ワンショウ」「上腕ジョウワン」(肩関節と肘関節のあいだ。二の腕) (2)うでまえ。はたらき。「手腕シュワン」「辣腕ラツワン」 (3)手首のつけね。「腕骨ワンコツ」(手首の骨。手根骨。8個からなる)
 エン  虫部
解字 「虫(へび)+宛(まがる)」の会意形声。蛇などがまがりくねるさま。
意味 蛇や虫がからだをくねらせるさま。「蜿蜿エンエン」(蛇や竜がうねりながら動くさま。=「蜿蜒エンエン」)

くぼんでまがる
 エン・おしどり  鳥部
 鴛鴦 (左がオス、右がメス)
解字 「鳥(とり)+夗(くぼんでまがる)」の会意形声。背がくぼんでまがる鳥。
意味 「鴛鴦エンオウ・おしどり」に使われる字。鴛鴦はカモ目の水鳥。鴛エンは、後方のイチョウ葉形の羽が立つので背がくぼんで見えるオスの水鳥。鴦オウは、中央が少しふくらんでみえるメス鳥。雄雌むつまじく離れないので、夫婦仲のむつまじいことに例える。「鴛鴦夫婦おしどりふうふ
 ワン  皿部
解字 「皿(さら。食物を盛る鉢)+夗(くぼんでまがる)」の会意形声。食物・汁などを盛るまるい小鉢をいう。
意味 食物・汁などを盛る小鉢。中国で古くは盌が使われ、のち椀・碗ができた。現在は、椀・碗の異体字となっている。「茶盌チャワン」(茶道の抹茶碗に使われる)
 ワン  木部
解字 「木(き)+宛(ワン)」の形声。ワンは盌ワン(おわん)に通じ木製のわんをいう。
意味 わん(椀)。食物・汁などを盛る、まるく刳りぬいた木製の食器。木製に限らず用いられる。「膳椀ゼンワン」(お膳とお椀。また、食器類の総称)「飯椀めしわん
 ワン  石部
解字 「石(磁器)+宛(ワン)」の形声。ワンは盌ワン(おわん)に通じ磁器製のわんをいう。
意味 わん(碗)。食物・汁などを盛る、まるい形の陶磁器製の食器。「茶碗チャワン
 エン・かなまり  金部
解字 「金(金属)+宛(=椀・碗)」の会意形声。日本では椀・碗に通じ、金属製の盌(おわん)をいう。中国では夗エン(くぼんでまがる)に通じ、秤(はかり)の皿を言った。したがって発音はエン。
意味 (1)[国]かなまり(鋺)。金属製のわん。「銀(しろがね)の鋺(かなまる)を持ちて水を汲みありく」(竹取物語)。 (2)秤(はかり)の金属製の皿。「秤鋺ショウエン」(はかりの皿)

形声字
 エン  豆部
解字 「豆(まめ)+宛(エン)」形声。エンという名のマメ科の植物。
意味 「豌豆エンドウ」に用いられる字。豌豆とは、マメ科の二年草。若いサヤと種子は食用となる。未熟の種子をグリンピースといい形がまるい。エンドウマメ。「莢豌豆さやエンドウ」(若いエンドウで、莢ごと食用にする)
 エン・オン・その  艸部
解字 「艸(草)+夗(エン)」の形声。エンは園エン(その・庭園)に通じ、草木の生えた庭園。
意味 その(苑)。庭園。「神苑シンエン」「外苑ガイエン」(神社などの外側にある広い庭園)「鹿苑ロクオン」(釈迦が悟りをひらいた後、はじめて教えを説いたという所) (2)特定の場所。文学者・芸術家の集まり。「芸苑ゲイエン」(学芸の社会)「文苑ブンエン」(文学者の世界。文壇)
<紫色は常用漢字>

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音符「育イク」「棄キ」 と「㐬リュウ」 「流リュウ」「硫リュウ」

2022年01月13日 | 漢字の音符
𠫓  トツ  ム部          

解字 子の生まれ出る形の象形。赤子が頭を下にした正常な姿で生まれるさま。篆文の一字は、生まれ出るときの羊水を描いている。この字が単独で使われることはなく、生まれ出た子の意で会意文字を作る。

イメージ  「生まれ出た子」(育・棄)
音の変化  イク:育  キ:棄

生まれ出た子
 イク・そだつ・そだてる・はぐくむ  月部にく
解字 「𠫓(生まれ出た子)+月(からだ)」の会意。生まれ出た子のからだを表す。生まれた子は日一日と大きくなるので、子が育つ・育てる意となる。
意味 (1)そだてる(育てる)。はぐくむ(育む)。やしなう。「育成イクセイ」「養育ヨウイク」「育英イクエイ」(才能ある青少年を教育すること)「育苗イクビョウ」(苗を育てる)(2)そだつ(育つ)。成長する。「発育ハツイク
 キ・すてる  木部

甲骨文は、「生まれた子(まわりに羊水を描く)+箕(み)+両手」の会意形声。生まれた子を両手で持った箕に受ける形で、捨て子(棄子)の意。[字統]は、生まれた子を一旦すてた形にして他人に拾わせる「捨て子」の習俗と解釈している。篆文は、生まれる子の頭を下にし、甲骨文の箕⇒柄の出たチリトリの形に変えた。箕の形がなくなったので会意となる。現代字は子の羊水を省く。また、両手と柄の一部が合わさり「木」の形になった。覚えにくいので、下記のごろ合わせを使うと便利。
意味 すてる(棄てる)。ほうり出す。しりぞける。「廃棄ハイキ」「棄権キケン」(権利を棄てて行使しない)「選挙を棄権する」
覚え方 なべぶた()を、()りに31(卅一)こ、き()でつくって廃する。

棄キの筆順  棄キの正しい書き順 


    リュウ <ながれ出る>
 リュウ  川部      

解字 「頭を下にした胎児+ながれる水」の象形。出産の際、羊水が出るさま。流れ出る意を表す[学研漢和]。

イメージ  
 「ながれ出る」
(流・硫・旒)
 「リュウの音」(琉)
音の変化  リュウ:流・硫・旒・琉

ながれ出る
 リュウ・ル・ながれる・ながす  氵部
解字 「氵(水)+㐬(ながれ出る)」の会意形声。水がながれ出ること。
意味 (1)ながれる(流れる)。ながす(流す)。「流水リュウスイ」「海流カイリュウ」(2)広まる。ゆきわたる。「流行リュウコウ」「流布ルフ」(3)さすらう。さまよう。「流民リュウミン」「流浪ルロウ」(4)しかた。やりかた。「流儀リュウギ」「亜流アリュウ」 (5)根拠のない。「流言リュウゲン
 リュウ  石部
解字 「石(鉱物)+㐬(ながれ出る)」の会意形声。火山の噴火により流れ出てできた石(鉱物)。
意味 「硫黄いおう」に使われる字。硫黄とは火山の噴火で流れ出る黄色の鉱物。また、硫リュウだけでも硫黄を表す。「硫化水素リュウカスイソ」(硫黄と水素の化合物)「硫酸リュウサン」(硫黄・酸素・水素が化合した強い酸性の液)
 リュウ・ル  方部
旒旗  旒冕
旒旗 http://www.zgshoes.com/news/m/view-879.html
旒冕 https://www.duitang.com/blog/?id=1145353977
解字 「方𠂉(旗の略体)+㐬(ながれる)」の会意形声。旗の横や下からいくつも流れるように出る細長い装飾がついたもの。また転じて、流れるような装飾がついた冠をいう。
意味 (1)はたあし(旒)。旗の縁に装飾の布を付けたもの。「旒旗リュウキ」(いくつもの細長い縁飾りがついた旗)(2)冠の前後に流れるように垂らした玉飾り。「旒冕リュウベン」(前後に玉飾りを垂らした冠。身分の高い人が用いる)

リュウの音
 リュウ・ル  王部
解字 「王(たま)+㐬(リュウ・ル)」の形声。リュウ・ルという名の宝石。
意味 (1)宝石の名前。「琉璃ルリ=瑠璃」(美しい青色の宝石。ガラスの古称)(2)地名。「琉球リュウキュウ」(沖縄の別称)「琉金リュウキン」(金魚の一品種。琉球から渡来した金魚の意)
<紫色は常用漢字>

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音符「昔セキ」<洪水による水害>「惜セキ」「籍セキ」「錯サク」「借シャク」「措ソ」

2022年01月10日 | 漢字の音符
 セキ・シャク・むかし  日部

解字 甲骨文は、「キザキザ印二つ(水害)+日(日数)」の会意。キザキザ印の重なりは災の異体字で水害を表す。日は日数を意味し、これにギザギザ印を加えた「昔」は、水害のあった数日前のむかしの意。甲骨文字では数日から十数日前を指すという[甲骨文字辞典]。字形はほぼ同じ形を保って金文まで続き、篆文でギザギザ印がVの左右に横線がついた形2つになり、これが現代字では龷に変化し昔になった。意味は、甲骨文字の十数日前から、過去・いにしえの意となった。
意味 むかし(昔)。いにしえ。「昔日セキジツ」「今昔コンジャク」「昔時セキジ」(いにしえ)

イメージ 
 「水害・洪水」
(昔・借・惜・鵲)
 水害で土砂が「かさなる」(錯・醋・措・耤・籍・藉)
音の変化  セキ:昔・惜・耤・籍・藉  サク:錯・醋  シャク:借  ジャク:鵲  ソ:措

水害・洪水
 シャク・シャ・かりる  イ部
解字 「イ(人)+昔(水害)」 の会意形声。水害にあい他人の力をかりること。
意味 かりる(借りる)。物や力をかりうける。「借金シャッキン」「拝借ハイシャク」「借財シャクザイ」「貸借タイシャク」(貸し借り)
 セキ・シャク・おしい・おしむ  忄部
解字 「忄(心)+昔(水害)」の会意形声。水害にあい失ったものを名残おしく思うこと。
意味  おしい(惜しい)。おしむ(惜しむ)。「惜別セキベツ」「哀惜アイセキ」(悲しみ惜しむ)「惜敗セキハイ」「不惜身命フシャクシンミョウ」(仏法のため身命を惜しまず、ささげる)
 ジャク・かささぎ  鳥部
解字 「鳥(とり)+昔(洪水)」の会意形声。洪水で渡れない天の川に鳥の橋を掛け渡し織姫と彦星を会わせた伝説をもつ鳥。
意味 かささぎ(鵲)。スズメ目カラス科の鳥。烏鵲ウジャクともいう。「鵲かささぎの橋」(陰暦7月7日の夜、牽牛星と織女星を会わせるため、鵲が翼をならべて天の川に渡す伝説上の橋)

かさなる
 サク・あやまる・まじる  金部
解字 「金(金)+昔(かさねる)」の会意形声。清代の[説文解字通訓定聲]は「金を涂(=塗)る也。今のいわゆる(所謂)鍍金トキン(メッキ)。俗字は鍍に作る」とする。青銅などの器の表面に金メッキ(金の膜を塗る)をすること。金メッキをすると下地の金属が隠されるので見誤る意となる。また、金メッキは薄い膜なので、器が物に強く触れたときなどにメッキの一部がはがれるので、はがれた部分が、まじる意となる。
古代の金メッキはどのように行われたか。
 メッキは水銀に金を溶かし(水銀の金アマルガム)それを表面に塗ったのち、熱によって水銀を蒸発させる方法で行われた。中国では、紀元前500年ごろに青銅器に「金めっき」を施したとされ、それ以降盛んに行われた。日本では奈良の大仏の造営で用いられた(この時、水銀中毒の可能性があることが研究者により指摘されている)。なお、メッキとは外来語ではなく、水銀に金がとけて消えることから「滅金メッキン」という言葉の省略語。
意味 (1)あやまる(錯まる)。まちがえる。「錯覚サッカク」「錯誤サクゴ」 (2)まじる(錯じる)。まざる。入り乱れる。「錯綜サクソウ」「交錯コウサク」「錯乱サクラン
 サク・ソ・す  酉部
解字 「酉(さけ)+昔(時をかさねる)」の会意形声。できあがった酒に古い酢を種として少し入れ日をかさねて発酵させるとできる酸っぱい液体。また、「酉(さけ)+昔(かさねる)」で、酒の杯のやりとりをかさねる意から、むくいる意味となる。
意味 (1)す(醋)。日本では同音の酢サクを用いる。酸味のある液体の調味料。「醋酸サクサン」(臭気と酸味をもつ無色の液体。酢の酸味の主成分。=酢酸) (2)すい。すっぱい。 (3)むくいる。杯をやりとりする。「酬醋シュウサク」(酒杯のやりとり)
 ソ・おく  扌部
解字 「扌(手)+昔(かさねる)」 の会意形声。かさねる動作を手をつけて表し、置く意。また置いたものをうまく配置すること。
意味 おく(措く)。すえおく。とりはからう。「措辞ソジ」(文字や言葉の配置のしかた)「措置ソチ」(うまく置く。とりはからう)「挙措キョソ」(挙は手をあげる、措は手をおく、手の動作から立ち居ふるまいをいう)
 セキ・ジャク  耒部
解字 「耒(スキ)+昔(かさねる)」の会意形声。スキで土を起こして重ねること。
意味 田畑をたがやす。「耤田セキデン」(耕作地)
 セキ・ジャク・ふみ  竹部
解字 「竹(竹簡)+耤(=昔。かさねる)」の会意形声。文字を書いた竹簡を重ねて保存すること。
意味 (1)ふみ(籍)。文書。「漢籍カンセキ」「書籍ショセキ」 (2)役所の人別・戸別の文書。「戸籍コセキ」「本籍ホンセキ」「入籍ニュウセキ
 セキ・シャ・しく  艸部
解字 「艸(くさ)+耤(=昔。かさねる)」の会意形声。草をかさねるように編んだ敷物のゴザをいう。また、耤の本来の意である「耕す」に艸をつけて、特に天子が祭礼で自ら耕す意に用いる。
意味 (1)しきもの。草で編んだ敷物。(2)(敷物を)しく(藉く)。(敷物の上を)ふむ。(転じて)ふみにじる。「狼藉ロウゼキ」(狼がふみにじる意から、①乱雑なさま。②理不尽に暴行する) (2)天子が自らたがやす。「藉田セキデン」(天子が祖先の祭礼に用いる米をつくるため自ら耕す田。およびその儀式。=籍田) (3)(敷き物を敷いて相手を)いたわる。「慰藉イシャ」(なぐさめ、いたわる。=慰謝)
<紫色は常用漢字>
 
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音符 「伏フク」 <ふせる>  と 「袱フク」

2022年01月07日 | 漢字の音符
 フク・ふせる・ふす  イ部

解字 金文は、人の後ろの下方に犬を描いた形。意味は分からないが、史伏尊という器に「史伏が作る」とあることから姓か人名と思われる。篆文は「人+犬」の会意。後漢の[説文解字]は「司(=伺う)なり」とし、犬が人の様子を伺う、とするが納得できる説明ではない。[字統]は「墓で人を収めた棺の下に殉死させた犬を埋葬した殉葬の形」とする。伏流水や潜伏など、地下にもぐるイメージの熟語があることを考えると、金文の解字として独創的だと思われる。こうした説も念頭に私は『「イ(人)+犬(いぬ)」の会意。犬が人につき従い、飼い主の横で姿勢を低くしているさま、犬が伏せている姿を人にも及ぼしていう。また、犬が人に服従する意となる。さらに、転じて伏せてかくれる。ひそむ意味ともなる』との解字としたい。
意味 (1)ふせる(伏せる)。ふす(伏す)。うつむく。「伏臥フクガ」(ふす。ねる。伏も臥も、ふす意) (2)したがう。服従する。「屈伏クップク」「伏罪フクザイ」(罪に伏する) (3)ふせてかくれる。ひそむ。「伏兵フクヘイ」「潜伏センプク」「伏流フクリュウ」「伏魔殿フクマデン」 (4)姓のひとつ。「伏羲フクギ」(古代中国神話に登場する神または伝説上の帝王、文化をはじめてつくった存在として語られる) (5)地名。「伏見ふしみ」(京都市南東部にある地名。伏見区、伏見稲荷、伏見山(明治天皇陵墓)、などがある。語源は断層崖などの上から伏して見る(俯瞰する)意らしい。すると京都の場合、宇治・巨椋池を俯瞰できる伏見山が語源としてふさわしい。)

イメージ
 「ふせる」(伏・袱・茯・鮲)
音の変化 フク:伏・袱  ブク:茯  こち:鮲

ふせる
 フク・ふくさ  衤部
 
進物を載せる盆の上に掛けた袱紗 
【京都西陣】織屋ぼちぼちブログから
解字 「衤(ぬの)+伏(ふせておおう)」の会意形声。物の上にふせる(おおう)ぬの。物をおおいかくす布をいう。
意味 ふくさ(袱)。絹などの小形のふろしき。「袱紗フクサ=袱」(①進物などの上に掛ける小型のふろしき。②茶の湯で使う絹布)
 ブク・フク  艸部

ブクリョウ(茯苓)「生薬図鑑」(大正製薬情報サイト)より
解字 「艸(くさ)+伏(ふせる)」の会意形声。地中に伏せている植物(菌類)の意。
意味 「茯苓ブクリョウ」に使われる字。茯・苓ともに地中にある根を利用する生薬を意味する。赤松や黒松の切り株から3~5年を経た根の周囲の土中に生ずるマツホド(松塊)の菌核の外装を除いて乾燥させたもの。鎮静、利尿薬として、多くの漢方薬の要薬として使用される。
 なお、苓レイ・リョウはマメ科カンゾウ属の多年草。根は赤褐色で甘根・甘草とよび生薬として鎮痛・鎮咳薬剤として使われる。
鮲[国] こち  魚部

マゴチ(ウィキペディアより)
解字 「魚(さかな)+伏(ふせる)」の会意の国字。砂地のなかに伏せるようにして生息する魚で、コチをいう。
意味 こち(鮲)。鯒とも。上から押しつぶされたような平たい体と大きなひれをもち、海底に腹ばいになって生活する海水魚の総称。口は大きく尾は細い。ネズミゴチ、マゴチ、メゴチなどがいる。 
<紫色は常用漢字>

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