漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

漢字音の五十音図表

2021年06月28日 | 漢字音
 このブログでは、取り上げた音符字とその音符家族字の発音を「音の変化」と題してそれぞれの代表音をまとめて掲載している。表記はカタカナでおこなっているので、その一覧表を漢字音の五十音図としてまとめてみた。

 上の表が日本漢字の五十音図である。すべてカタカナ表記とし、拗音ヨウオン(い段の発音で語頭音のうしろにヤ・ユ・ヨがつづくとき、母音のい(i)が略されて発音され、表記が小さな「ゃ・ゅ・ょ」になること。例:き[ki]+や[ya]=きゃ[kya]。)は、い段の横に記載した。

音符「京キョウ」の場合
 実際の音符で説明させていただくと、例えば「京キョウ・ケイ・キン」の代表音の変化は、以下のようになっている。 音符「京キョウ」
音の変化  キョウ:京  ケイ:勍  ゲイ:鯨・黥  リャク:掠  リョウ:涼・椋・諒

 この変化を五十音図表で説明してみたい。まず、音符「京」は、キョウ・ケイ・キンの三つの発音があるが、キョウは漢音、ケイは呉音、キンは唐音で、いずれも語頭音のキョ・ケ・キの発音は「か行」内の変化におさまっている。
 次に代表音の分布は、語頭音が「か(が)行」内にあるものが、キョウ(キョ)・ケイ(ケ)・ゲイ(ゲ)で、残るリャク(リャ)・リョウ(リョ)は、語頭音が「ら行い段」に属している。つまり、音符「京」の発音は、一見ランダムにみるが、「か(が)行」と「い段」を交差させたT字路の中に収まっている。

音符「竜リュウ」の場合
 もうひとつ、音符「竜[龍]」をとりあげてみると、竜はリュウ・リョウの発音があり、リュウは呉音、リョウは漢音で、語頭音のリュ・リョは「ら行」内の変化に収まっている。 音符「竜」
 音符「竜リュウ」の代表音の変化は以下のとおり。
音の変化  リュウ:竜  シュウ:襲  チョウ:寵  ロウ:滝・籠・聾・朧・壟・隴

 このうち、リュウ・ロウは、語頭音(リュ・ロ)が、「ら行」内の変化で、残りの、シュウ・チョウは、語頭音がシュ・チョで、シュは「さ行い段」に、チョは「た行い段」にあり、いずれも「い段」にあることが共通している。
 音符「竜リュウ」の全体でみると、語頭音は、①「ら行」内変化。②「い段」内変化です。そして、リュウの語頭音「リュ」は「い段」ですので、全体が、「ら行」と「い段」を交差する⊥字形の中に収まっている。

「五十音図」の分布で何が分かるか
 このように音符の分布を「五十音図」に当てはめてみると、同じ行内の変化、または同じ段内の変化に収まるものが多く、さらに広がっても、同行と同段の交差する発音を介在して十字型に範囲が限られることが分かります。
 もし、これ以外の広がりがみられる音符字は、その中に会意文字を含むか、文字の形成過程でほかの字の影響を受けて変化したことが考えられます。音符の家族字すべてを「五十音図」に当てはめることによって、音符字全体の成り立ちを考察する手がかりになると考えられます。



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音符 「丩キュウ」<よじりあわせる> と 「糾キュウ」「叫キョウ」「収シュウ」

2021年06月25日 | 漢字の音符
 キュウ  l

解字 甲骨文字は、「曲がったものを組み合わせる様子を表している」(甲骨文字辞典)とし、[字統]は、「縄形のものが相まつわりつく形。糾の原字」とする。丩の音符字から見て私は、音符イメージを「よじりあわせる・ねじる」「からみつく」の二つとしたい。
意味 からみつく。まつわる。もつれる。「結丩ケッキュウ」(まつわりむすびつく=結糾)

イメージ 
 「よじりあわせる・ねじる」
(糾・赳)
 「からみつく」(収)
 「キョウの音」(叫)
音の変化  キュウ:糾・赳  キョウ:叫  シュウ:収

よじりあわせる・ねじる
[糺] キュウ・あざなう・ただす  糸部
解字 「糸(いと)+丩(よじりあわせる)」の会意形声。糸や縄をよじりあわせること。あざなう・よる意となる。また、もつれる意ともなる。「ただす」意は、人を縄でしばって(よじりあわせて)責めたてることから。糺キュウは異体字。
意味 (1)あざなう(糾う)。縄をよる。あわせる。「糾合キュウゴウ」(よじり合わせるように一つにまとめる) (2)もつれる。からみつく。「紛糾フンキュウ」(もつれ乱れる) (3)ただす(糾す)。しらべる。「糾弾キュウダン」(問いただして非難する)「糾明キュウメイ」(問いただし明らかにする) (4)異体字「糺キュウ」。「糺(ただす)の森」(京都の下鴨神社の森をいう)
 キュウ・たけし  走部
解字 「走(はしる)+丩(ねじる)」の会意形声。軽快に動いて相手をねじりたおすこと。勇ましく強いさまをいう。
意味 (1)たけし(赳し)。勇ましいさま。強いさま。たけだけしい。「赳赳キュウキュウたる武夫」(勇ましい武士) (2)<名前>たけ。たけし。「赳夫たけお」「赳男たけお

からみつく
[收] シュウ・おさめる・おさまる  又部  

解字 篆文は「攴ボク(手に棒状のものを持ちたたく)+丩(からみつく)」の会意。手に棒を持ちたたいて人を縄でからみつけて捕まえること。[説文解字]は、「捕らえる也」という。本来の意味は捕まえることだった。捕まえると、治安が回復することから、もとにもどる意味ともなる。また、捕まえる意から転じて、手に入れる意味が出た。字形の変遷について「広韻」(漢字の発音を中心に解説した字書。1008年成立)に「收は俗に収に作る」とあり、宋代の頃には俗字として攵⇒又に変化した「収」があった。日本では新字体として「収」が使われた。
意味 (1)とらえる。「収捕シュウホ」(捕らえる) (2)もとにもどる。もどす。「収兵シュウヘイ」(兵を引き上げる)「撤収テッシュウ」(①取り去って仕舞う。②軍を引き上げる) (3)おさめる(収める)。獲得する。手にいれる。「収穫シュウカク」(農作物を取り入れること。得たもの)「収容シュウヨウ」(収も容も、受け入れる意) (4)おさまる(収まる)。「収束シュウソク」(おさまりがつく)「収縮シュウシュク」(縮んで収まる。ちぢまること)

キョウの音
 キョウ・さけぶ  口部
解字 「口(くち)+丩(キョウ)」の形声。キョウは叫び声の擬声語で、叫はキャーと口から声を出すこと。
意味 さけぶ(叫ぶ)。大声をあげる。「絶叫ゼッキョウ」「叫喚キョウカン」(大声でわめき叫ぶこと。叫も喚も、さけぶ意)「阿鼻叫喚アビキョウカン」(阿鼻地獄での叫び声)
<紫色は常用漢字>

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音符「山サン」と「仙セン」 

2021年06月22日 | 漢字の音符
 山が部首になる常用漢字を追加しました。
 サン・セン・やま  山部

山が三つ地表に付き出た形の象形。山は部首となるが、山の意で音符ともなる。
意味 (1)やま(山)。山の形をしたもの。「火山カザン」「氷山ヒョウザン」「山脈サンミャク」(2)寺院。「山門サンモン」(3)やま。物事の頂点。「山場やまば
山は部首「山やま」になる。漢字の偏や冠などに付き、山・高い意味を表す。「新漢語林」で225字収録されている。
常用漢字 16字
 サン・やま(部首)
 ガイ・がけ(山+音符「厓ガイ」)
 ガク・たけ(山+丘の会意)
 ガン・いわ(山+石の会意)
 ガン・きし(山+音符「厈カン」)
 (山+音符「支シ」)
 キ・さき(山+音符「奇キ」)
 キョウ・はざま(山+音符「夾キョウ」)
 コウ・おか(山を含む会意)
 コウ・みさき(山+音符「甲コウ」)
 スウ・シュウ・たかい( 山+音符「宗シュウ」)
 島[嶋]トウ・しま(山+音符「鳥チョウ⇒トウ」)
 ホウ・みね(山+音符「夆ホウ」)
 ホウ・くずれる(山+音符「朋ホウ」)
 ラン・あらし(山+風の会意)
 とうげ(山+上+下の国字)
  なお、このうち山サン・岡コウ・島トウは音符にもなる。

イメージ   
 「やま」
(山・仙・辿・疝・杣)
音の変化  サン・セン:山   セン:仙 ・疝  テン:辿   そま:杣

や ま
 セン  人部
解字 「イ(ひと)+山(やま)」の会意形声。山にすむ人の意。
意味 (1)せんにん。山に入って不老不死の術を修めた人。「仙人センニン」 (2)俗界を離れた人。また、そのところ。「仙郷センキョウ」 (3)すぐれた。非凡な。極めた人。「詩仙シセン」(①詩の大家。②李白の敬称)
辿 テン・たどる  辶部
解字 「辶(行く)+山(やま)」の会意。山道をゆっくり歩く意。日本では、いろんな所を尋ねあるく意味に用いられる。
意味 (1)ゆっくり歩く。 (2)[国]たどる(辿る)。さがしながら行く。すじ道を追い求めて考える。
 セン  疒部
解字 「疒(やまい)+山(やま)」の会意形声。下腹部にふくらみ(山)が出る病気。ヘルニア(脱腸)に当てる。ヘルニアとは、筋膜が薄くなっている部分から、腸などの内臓が腹腔外に飛び出す病気。また、広く臓器が通常の位置から、皮膜の弱い部分を通り移動することによる腹部や腰の痛みをいう。後漢の[説文解字]は「腹痛なり」としている。
意味 (1)はらいたみ。あたはら(あたばら)。「疝気センキ」(下腹部や腰がひきつって痛む病気)「疝痛センツウ」(疝気による痛み)「疝癪センシャク」(胸・腹部のさしこんで痛む病気。癪は急に痛くなること) (2)ヘルニアに当てる(おもに中国)。「疝気センキ」(ヘルニア)「股疝コセン」(大腿ヘルニア。脱腸)「腰疝ヨウセン」(椎間板ヘルニア)
<国字> そま  木部
解字 「木(き)+山(やま)」の会意。木をとる山の意の国字。
意味 (1)そま(杣)。そまやま(杣山)。木材とする木を植えている山。 (2)そまき(杣木)。山林から切り出した材木。 (3)そまびと(杣人)。きこり。
<紫色は常用漢字>

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音符「坴リク」<家々が続いて集まり住む土地> と「陸リク」「睦ボク」

2021年06月19日 | 漢字の音符
 逵キを追加しました。
 リク・ロク  土部

解字 陸の旁(つくり)となる字で、音符をあらわすため後から作られた字。もととなる陸の金文(陸を参照)は、「六ロク+六ロク+土(つち)」の会意。六はテントの形をした家を表し、六六は家が続く形。それに土のついた坴は、家々が集まって住む土地の意。陸や睦の右辺の音符となる字で単独で使われることはない。埶ゲイの左辺と形が同じだが、成り立ちの異なる字。 音符「埶ゲイ」を参照。

イメージ 
 「家々が続いて集まり住む土地」
(陸・逵・睦)
音の変化  リク:陸  ボク:睦  キ:逵

家々が続いて集まり住む土地
 リク・ロク・おか  阝部
 
  陸姓の図(上)と、陸の古代文字(右)
解字 陸は、もともと山東省平原郡陸郷を表す地名字。のち、斉の宣王(戦国時代)の子、田通が平原郡陸郷に封じられ陸姓を名乗ったとされ、姓ともなった。図版は陸姓を表す図で、両側を丘にかこまれた土地に家が並ぶさまを描く。文字の陸もこれと似ており、金文第一字は、「阝(おか)+六ロク(家)+六ロク(家)」の会意形声。丘のふもとに家々が続いて集まる集落の意。金文第二字で、家々の下に土がついた字が出現し、篆文以降、六六と土が融合した坴となり現代に続く。陸はもと、丘のふもとの家々がつづく土地の意だったが、大きな広い土地の意となった。
意味 (1)おか(陸)。くが。「陸地リクチ」「大陸タイリク」「上陸ジョウリク」(2)つづくさま。「陸続リクゾク」(3)たいらな。「陸屋根ロクやね」(4)姓のひとつ。「陸游リクユウ」(南宋の詩人)
 キ・ギ・おおじ  辶部
解字 「辶(ゆく)+陸の略体(家々が続いて集まり住む土地)」の会意。陸の古字は丘のふもとに沿って家々が続いて集まり住む土地で、そこに辶(ゆく)がついた逵は、陸の土地を通る大きな道をいう。また、馗(九方に通じる道)に通じる。中国古代の字書である[爾雅ジガ]にも「九達これを逵という」とあり、四方八方に通じる路。また[左伝](歴史書「春秋」の注釈書)に市場の意味で用いている。
意味 (1)おおじ(逵)。おおどおり。「大逵タイキ」(おおきな道)「通逵ツウキ」(大通り)(2)四方八方に通じる路。「逵路キロ」(四方八方に通じる路)(3)人のあつまるところ。「逵市キイチ」(城内の広場で市の立つところ)
 ボク・むつまじい  目部
解字 「目(め)+陸の略体(陸の里)」の会意形声。同姓である陸の里の人々が互いを目で見つめる態度がむつまじいこと。同族の親しい間柄をいう。
意味 (1)むつまじい(睦まじい)。むつむ。親しい。「親睦シンボク」「睦親ボクシン」(親しい身内) (2)仲直りすること。「和睦ワボク
<紫色は常用漢字>

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音符「女ジョ」<おんな> と「如ジョ」「恕ジョ」

2021年06月16日 | 漢字の音符
 字形変遷図を中心に修正しました。
 ジョ・ニョ・ニョウ・おんな・め  女部

解字 甲骨文字は女性がひざまずいて両手を前に合わせている姿の象形。金文から篆文まで次第に立ち姿に近づいた。隷書レイショ(漢代)から、身体の線が直線になり全体が約90度左回転した形になった。現代字の女は俗語で「くノ一」と言うが、肩から右腕の線が「く」、左腕が「ノ」、身体が「一」で「女」となる。
女は部首となる一方、会意文字・形声文字の構成要素ともなる。
意味 (1)おんな(女)。め(女)。婦人。「女性ジョセイ・ニョショウ」「女房ニョウボウ」「天女テンニョ」 (2)むすめ。おとめ。「処女ショジョ」「息女ソクジョ」(身分ある人のむすめ。また、他人のむすめを敬っていう語) (3)なんじ。(=汝)
参考 ジョは、部首「女おんな・おんなへん」となる。漢字の左辺や下に付き、女性や女性の状態など表す。常用漢字の女偏は36字あり部首の第14位。また約14,600字を収録する『新漢語林』では、210字が女部に含まれている。
常用漢字 36字 
 女ジョ・おんな  部首
 イ・ゆだねる(女+禾の会意)
 イ・おどす(女+音符「戌ジュツ⇒イ」)
 イン(女+音符「因イン」)
 エン・ひめ(女+音符「爰エン」)
 カ・よめ(女+音符「家カ」)
 キ・ひめ(女+ 音符「𦣝イ⇒臣」)
 ケン・きらう(女+音符「兼ケン」)
 ゴ・たのしむ(女+音符「呉ゴ」)
 コウ・このむ(女+子の会意)
 コン(女+音符「昏コン」)
 サイ・つま(女+手にかんざしを持つ、の会意)
 (女+音符「市」)
 シ・はじめる(女+音符「台シ」)
 姿シ・すがた(女+音符「次シ」)
 シツ・ねたむ(女+音符「疾シツ」)
 ジョ・ごとし(口+音符「女ジョ」)
 ジョウ・むすめ(女+音符「良リョウ」)
 ジョウ・むすめ(女+音符「襄ジョウ」)
 シン・はらむ(女+音符「辰シン」)
 セイ(女+音符「生セイ」)
 婿セイ・むこ(女+音符「胥ショ」)
 (女+上からの手、の会意)
 チャク・よつぎ(女+音符「啇テキ」)
 ト・ねたむ(女+音符「石セキ⇒ト」)
 ド・やっこ(女+又の会意)
 ニン(女+音符「壬ジン」)
 バ・ばば(女+音符「波ハ」)
 バイ・なこうど(女+音符「某バイ・ボウ」)
 ヒ・きさき(女+音符「己キ」)
 フ・おんな(女+「帚ソウ」の会意)
 ボウ・さまたげる(女+音符「方ホウ」)
 マイ(女+音符「未」)
 モウ・ボウ・みだり(女+音符「亡ボウ」)
 ミョウ(女+音符「少ショウ」)
 ヨウ(女+音符「夭ヨウ」)
 さらに女部の、如ジョ、奴、妟エン、妻サイ、妾ショウ、妥、は音符となる。

イメージ 
 「おんな」
(女・姦) 
 「ジョの音」(汝)
音の変化  ジョ:女・汝  カン:姦

おんな
 カン・かしましい  女部
解字 「女+女+女」の会意。女が3人集まり悪だくみをすること。どんな悪だくみかというと、[説文解字]に「私するなり。三女に従う」とあり、自分たちの利益だけを考えることだという。また、奸カン(おかす)に通じ、男女間の不義をいう。日本では、女が3人集まって「かしましい」意となる。
意味 (1)わるがしこい。よこしま。「姦計カンケイ」(わるだくみ)「姦商カンショウ」(ずるい商人)「姦臣カンシン」(主君に対し悪いことをたくらむ臣下) (2)みだら(姦)。男女間の不義。「姦通カンツウ」(浮気をすること) (3)[国]かしましい(姦しい)。やかましい。

ジョの音
 ジョ・なんじ  氵部
解字 「氵(みず)+女(ジョ)」の形声。ジョという名の川の名。仮借カシャ(当て字)されて、二人称に用いる。
意味 (1)なんじ(汝)。おまえ。きみ。「汝我ジョガ」(きみとぼく)「汝輩ジョハイ」(おまえたち) (2)川の名。「汝水ジョスイ」(河南省にある川の名)


     ジョ <神のお告げをうける>
 ジョ・ニョ・ごとし  女部  

解字 「口(神への祝詞を納める器)+女(みこ)」の会意形声。口は神への祝詞(願いの言葉)を納める器のかたち。如は、女(みこ)が神へ願いをかけ、また、その結果として神のお告げを受ける状態をいう。そこから神意を「はかる」、神意に「したがう」意となる。また、祈祷や神託をうける時に、神がかりとなる動作を伴ったものと思われる。そんな巫女の状態をあらわす「ごとし」の意となる[字統を参考]。
意味 (1)いかがか。「如何いかん・いかが」 (2)したがう。「如意ニョイ」(意にしたがう。思うようになる) (3)ごとし(如し)。状態を表わす。「如実ニョジツ」「欠如ケツジョ」「如雨露ジョウロ」(雨露の如し。一説にポルトガル語のjorroの当て字。水をかける道具) (4)もし(如し)。仮定。 (5)「如月きさらぎ」とは、陰暦2月の別称。

イメージ
 「神意にしたがう」
(如・恕)
 意味(3)の「ごとし」(絮・茹・洳)
音の変化  ジョ:如・恕・茹・絮・洳

神意にしたがう
 ジョ・ゆるす  心部
解字 「心(こころ)+如(神意にしたがう)」の会意形声。神意にしたがう心。神の大きな心で相手をおもいやり、ゆるすこと。
意味 (1)おもいやり。いつくしみ。「忠恕チュウジョ」(真心とおもいやりがあること)(2)ゆるす(恕す)。大目にみる。「寛恕カンジョ」(ひろい心でゆるすこと)「宥恕ユウジョ」(ゆるすこと。宥も恕も、ゆるす意)

ごとし
 ジョ・わた  糸部
解字 「糸(いと)+如(ごとし)」の会意形声。糸のごとしの意で、古くはマユ(繭)から作った真綿(まわた)を言い、のち栽培植物の綿(わた)も言う。
 柳絮
意味 (1)わた(絮)。まわた(真綿)。のち、綿わた。古いわた。 (2)柳のわた毛。柳は楊ヨウ(葉の垂れないヤナギ)も含めて言う。「柳絮リュウジョ」(春に柳の熟した実から綿毛をもった種子が飛び散るさま。また、柳のわた毛) (4)(まわたのように)こんがらかってつながる。「絮説ジョセツ」(くどくどした説明=絮語ジョゴ
 ジョ・ゆでる  艸部
解字 「艸(草)+如(ごとし)」の会意形声。草のごとしの意から、葉物の野菜をいい、また、その野菜を食べる意。日本では、野菜をゆでてやわらかくする意で使われる。
意味 (1)野菜。「茹菽ジョシュク」(野菜と豆) (2)くう。野菜をたべる。「茹菜ジョサイ」(野菜をたべる) (3)[国]ゆでる(茹でる)。ゆでたもの。 (4)[国]うだる(茹だる)。暑さのため体がぐったりする。
 ジョ・ニョ  氵部
解字 「氵(水)+如(ごとし)」の会意形声。水の如しで、水にうるおう、ひたる、じめじめする意を表す。
意味 (1)水にうるおう。「沮洳ショジョ」(①ぬかるみ。低湿地。沮も洳も、湿気の多い地の意。②牢獄) (2)川の名。「洳河ジョカ」(河北省東部を南流する川)
<紫色は常用漢字>

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音符「甚ジン」<カマドにおいた鍋>と「堪カン」「勘カン」「斟シン」

2021年06月13日 | 漢字の音符
  戡カンを追加しました。
 ジン・はなはだ・はなはだしい・いたく  甘部

解字 金文は「甚諆臧鼎ジンキゾウテイ」(西周中期)にある文字だが、鼎の最初の三文字を名称としており意味は不明。楚系簡帛(戦国)の字形は、[字統]がほぼ同じ形の説文古文の字形について、「烹炊ホウスイ(煮炊き)の器をかまどにおいた形」としている。これは後に火をつけた「煁ジン(おきかまど)」という漢字があることも理由のひとつとしている。一方[説文解字]は、篆文の字形を「甘(あまい)+匹(夫婦)」とし夫婦の甘いたのしみと解釈し、ほとんどの字典がこれに従っている。しかし、甚の音符字には「はなはだ」で解釈できる字も多いが、そのほかに「かまどと鍋」で解釈できるものも結構ある。甚の音符字を統一的に解字するためには、「烹炊の器をかまどにおいた形」がよいと考える。現代字は篆文が変化した「甚」になった。意味はカマドの火がはげしく燃えているさまから、「はなはだ」の意となる。
意味 (1)はなはだ(甚だ)。はなはだしい(甚だしい)。いたく(甚く)。度をこえる。「甚大ジンダイ」「激甚・劇甚ゲキジン」(極めてはなはだしい)「甚雨ジンウ」(大雨)(2)[国]「甚句ジンク」とは、七・七・七・五の四句からなる俗謡の一種。

イメージ 
 「はなはだ」
(甚・湛・戡)
 「カマドと鍋」(煁・堪・斟)
 「形声字」(勘・椹・碪)
音の変化  ジン:甚・煁  シン:斟  カン:堪・戡・勘  タン:湛  チン:椹・碪

はなはだ
 タン・チン・たたえる  氵部
解字 「氵(水)+甚(はなはだ)」の会意形声。水がはなはだ多く、満ちていること。
意味 (1)たたえる(湛える)。水が満ちている。ゆたか。「湛湛タンタン」(水が満ちているさま)「湛水タンスイ」(ダムや水田に水をためること)「湛然タンゼン」(水などを充分にたたえたさま。静かなさま)(2)ふかい。「湛恩チンオン・タンオン」(深い恩。あつい恵み)
 カン  戈部
解字 「戈(オノ型ほこ)+甚(はなはだ)」の会意形声。オノ型ほこ(戈)を激しく用いて敵を皆殺しにすること。
意味 ころす(戡す)。かつ(戡つ)。「戡殄カンテン」(皆殺しにして絶やす。殄は、つきる・絶える意)「戡定カンテイ」(戡(か)って乱を平定する)「戡乱カンラン」(乱を平定する)「戡難カンナンの功」(災難を平定した功績)

かまどと鍋
 ジン  火部
解字 「火(ひ)+甚(かまど)」 の会意形声。甚は鍋をおいたかまどの象形。甚が、はなはだの意となったので、火をつけて元のかまどを表す。[説文解字]は「烓ケイ(携帯こんろ)也。火に从(したがい)甚ジンセイ」としている。
意味 かまど(煁)。おきかまど。火炉。「煁烓ジンケイ」(携帯コンロ)「煁(かまど)于(で)烘(た)く」(詩経・小雅・白華)
 カン・タン・たえる・こらえる  土部
解字 「土(つち)+甚(かまど)」 の会意。土で作られたかまど。かまどが炎をたててはげしく燃えるさまから、高熱に「たえる」、転じて「うちかつ」意となる。
意味 (1)たえる(堪える)。こらえる(堪える)。「堪忍カンニン」(こらえしのぶ)(2)うちかつ。すぐれる。「堪能タンノウ」(すぐれる。満足する)
 シン・くむ  斗部
解字 「斗(ひしゃく)+甚(かまどのなべ)」 の会意形声。かまどの鍋からヒシャクで中のものをくむこと。
意味 (1)くむ(斟む)。汲む。くみとる。「浅斟センシン」(浅く斟む。少量の酒を飲むこと)「浅斟低唱センシンテイショウ」(酒を軽く飲んで歌や詩を小声で口ずさむ) (2)分量をはかりながらくむ。はかりとる。相手の心や事情をはかり考える。「斟酌シンシャク」(相手の心や事情をくみとる。斟も酌も、くむ意)「斟量シンリョウ」(くむ量を加減する。=斟酌)「斟酌折衷シンシャクセッチュウ」(それぞれの事情を汲み取り、その中間を取ること) (3)くんだものをつぐ。「斟酒シンシュ」(酒をつぐ)

形声字
 カン  力部
解字 「力(ちから・影響をおよぼす)+甚(ジン⇒カン)」の形声。くらべる意味をあらわすが、監・鑑カンに通じて、よく知らべる意にも用いる。主な意味は、①くらべる。くらべて調べる。②かんがえる。③罪を問いただす。④[国]かん。第六感。などの多様性をもつ字である。
意味 (1)くらべる。調べる。「勘校カンコウ」(校正する)「勘合カンゴウ」(①くらべ合わせる。②許可を証明する割符)「勘合貿易カンゴウボウエキ」(勘合符による貿易)「勘定カンジョウ」(①調べ定める。②[国]①計算する。②支払い) (2)かんがえる。「勘案カンアン」(つき合わせて考える)「勘考カンコウ」(調べ考える) (3)罪を問いただす。「勘当カンドウ」(①罪を勘案して法に当てて処罰する。②縁を切って追い出す) (4)[国]かん(勘)。ぴんとくる心の働き。「山勘ヤマカン」「勘(かん)がいい」
 チン・ジン・さわら  木部
解字 「木(き)+甚(チン)」 の形声。チンは砧チン(きぬた。布を打つ台)に通じ、木製の台をいう。日本では、樹木の「さわら」に当てる。
意味 (1)あてぎ。木を割るとき下におく台。「椹質チンシツ」(物を打ったり切ったりする台)(2)[国]さわら(椹)。ヒノキ科の常緑高木。ヒノキによく似た木で高さ30mに達する。木曽五木のひとつ。
 チン・きぬた  石部
解字 「石(いし)+甚(チン)」 の形声。チンは砧チン(きぬた。布を打つ台)に通じ、石製の台をいう。砧チンの異体字。
意味 (1)きぬた(碪)。布地などを打つとき使う石の台。碪をうつ。「碪声チンセイ」(碪を打つ音) 
<紫色は常用漢字>

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音符「咢ガク」と「愕ガク」「顎ガク」「鍔ガク」「鰐ガク」

2021年06月10日 | 漢字の音符
咢[噩] ガク  口部           

解字 金文第一字(上)は、「口4つが四方に配置され、中央の人に横線が入った形」。第二字は人の首の付近にS状の横線が入った形」。成り立ちの意味は不明だが、金文で国名と人名に用いられている。楚帛ソハク(春秋戦国)は、口四つに十字が配置された形だが、篆文[説文解字]は「口口+屰ギャク」になり、現代字は咢ガクに変化した。一方、楚帛の「口四つに十字形」は、楷書で噩ガクに変化している。両字は異体字で同字とされている。
 字の初形の意味は不明だが、地名・人名以外に、愕ガクの原字である「おどろく」。そのほか「わるい」「やかましい・さわがしい」意がある。また、音符字を見ると「口を大きくあける」イメージで説明できる字が多い。
意味 (1)おどろく。おそろしい。「咢然ガクゼン」(=愕然) (2)わるい。不吉だ。「噩音ガクオン」(訃報)「噩報ガクホウ」(凶報) (3)やかましい。さわがしい。

イメージ 
 「おどろく」
(咢・愕) 
 意味(3)の「やかましい」(諤)
 「口を大きくあける」(顎・鰐・萼・鍔)
音の変化  ガク:咢・愕・顎・鰐・萼・諤・鍔

おどろく
 ガク・おどろく  忄部
解字 「忄(心)+咢(おどろく)」の会意形声。咢には、もともとおどろく意があり、忄(心)をつけておどろく意を明確にした。
意味 おどろく(愕く)。あわてる。「驚愕キョウガク」(非常に驚くこと)「愕然ガクゼン」(ひどくおどろくさま)

やかましい
 ガク 言部
解字 「言(はなす)+咢(やかましい)」の会意形声。やかましくうったえること。
意味 おそれず直言する。遠慮なく言う。「諤々ガクガク」(直言する)「侃々諤々カンカンガクガク」(遠慮することなく議論する)

口を大きくあける
 ガク・わに  魚部
解字 「魚(さかな)+咢(口を大きくあける)」の会意形声。口を大きくあけて獲物におそいかかる魚(水にすむ動物)のワニ。
意味 わに(鰐)。ワニ科の爬虫類。熱帯の川や湖にすむ鋭い歯をもつ肉食性の動物。「鰐口わにぐち」(口の形が横にひろいもの。がまぐち。また、社殿や仏堂につるす扁円の音響具)
 ガク・うてな  艸部
解字 「艸(くさ)+咢(口を大きくあける)」の会意形声。口を大きくあけて花を包むように外側にある花のガク。
意味 うてな(萼)。花のがく。花の外側にあって花を保護し支えているもの。花びらを包んで支える器官。「花萼カガク
 ガク・あご 頁部
解字 「頁(かお)+咢(口を大きくあける)」の会意形声。顔の中の口を大きくあける部分である「あご」。
意味 (1)ほお骨の張った顔。 (2)[国]あご(顎)。「上顎うわあご」「下顎カガク」(したあご)
 ガク・つば  金部
解字 「金(金属)+咢(口をあける)」の会意形声。口があいていて刀身を通す金属製のつば。刀の柄(つか)と刀身の間にはめる金具で、柄を持つ手を保護する。
意味  (1)[国]つば(鍔)。刀のつば。「鍔迫り合い」(相手の刀を鍔で受けて押しあうこと)「金鍔キンツバ」(金で装飾した鍔。また、鍔の形をした菓子) (2)中国では、刀の刃や、刀のみね、の意味で使われる。
<紫色は常用漢字>

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 してほしくない、こんな「部首テスト」

2021年06月07日 | 特殊化した部首
次の漢字の部首を答えてください。
問題1  丘キュウ
問題2  亜ア
問題3  兼ケン
問題4  世セイ
問題5  五ゴ
問題6  兆チョウ
問題7  率リツ
問題8  半ハン
問題9  酒シュ
問題10  輝キ

いずれも常用漢字で、よく見かける字です。皆さんはこれらの部首を答えられますか? 正解は以下のカッコ内です。

正解
問題1  丘キュウ(部首:一いち)
問題2  亜ア  (部首:二に)
問題3  兼ケン (部首:八はち)
問題4  世セイ (部首:一いち)
問題5  五ゴ  (部首:二に)
問題6  兆チョウ(部首:儿ひとあし)
問題7  率リツ (部首:亠なべぶた)
問題8  半ハン (部首:十じゅう)
問題9  酒シュ (部首:酉とり)
問題10  輝キ  (部首:車くるま)

 みなさんは何問、正解だったでしょうか。おそらく全問正解した人は極めて少ないと思います。
 それもそのはず、これらの漢字の部首を覚えてもまったく役にたたないからです。むしろ、有害でさえあります。丘や亜や兼などの字は、漢字辞典で調べるとき、画数索引か発音でしらべれば見つかります。無理に丘や亜の部首を覚える必要はないのです。
 ここに挙げた問題の1~8までの漢字は音符字です。漢字音符は象形文字や指示文字それに会意文字であり、基本的に分解不可能な字なのです。ですから無理に部首を作っても、部首以外の部分はまったく意味のない漢字の体をなさないものになっているのです。
 なぜ、こんな部首を作ったのでしょうか。それは漢字を部首別に配列する部首別字典があるからです。この字典は漢字の構造を示す有意義な字典ですが、収録するすべての漢字に部首を付けなければなりません。そこで、分解できない漢字にも無理に部首を設定することになるのです。
 画数のすくない部首には、どこにも分類できない漢字が集中しています。
 ここに、一画と二画の主な部首から、その状態を説明します。

部首「一いち」の主な漢字
一:丁・七・三・上・下・丈・万・不・与・丙・世・且・丘・丞・両・並
 意味を表すのは一だけで、その他の字は中に一を含むため便宜的に入っています。また、これらの字は同時に音符になります。ところで最後の並はなぜ一部なのか、よくわかりません。

部首「二に」の主な漢字
二:互・五・亘・亜・井・云・些・于
 意味を表すのは二と些(二+音符「此」)だけで、残りは字体のなかに二が含まれているため便宜的に入っています。このうち、互・五・亘・亜・井・云・于は、音符になります。

部首「八はち」の主な漢字
八:共・兵・具・典・其・六・兼・公
 意味を表すのは八だけで、残りは字体のなかに八が含まれているため便宜的に入っています。このすべてが音符になります。

部首「十じゅう」の主な漢字
十:廿・協・博・午・卒・卓・升・千・半・卑・南
 十は数字の10の意味を表すのは廿(十がふたつ)、また、多い意で協・博があります。残りの午・卒・卓・升・千・半・卑・南は、字体のなかに十が含まれているため便宜的に入っています。これらの字は音符ともなります。

部首「亠なべぶた」の主な漢字
亠:亡・亢・亦・亥・交・京・享・亭・商・率
 亠(なべぶた)は、屋根を表すかたちが変化したもので、京・享・亭は建物を表しています。残りは字体のなかに亠が含まれているため便宜的に入っています。このうち亡・亢・亦・亥・交・京・率は、音符になります。

部首「儿ひとあし」の主な漢字
儿ジン:允イン・元・兄・光・充・先・兆・克・児・兎・禿・免・党
 儿は人の下部を表すことが多いので「ひとあし」と呼ばれます。この意味を持つのは、允・元・兄・光・充・先・克・児・禿・免・党で、二画の部首としては珍しく意味をあらわしています。残りの兆・兎は、字体に儿が含まれているため便宜的に入っています。また、儿部のすべての字が音符になります。

酒の部首は、なぜ酉?
 酒の部首は普通に考えると氵(さんずい)ですが、なぜか酉ユウになっています。酉は酒つぼの象形文字です。この字は金文で酒の意味で使われていました。のちに氵のついた酒の字が現れ、酒の意味で使われるようになりましたが、酒の部首は古代からの慣習をひきついで酉になっています。

輝の部首はなぜ車?
 輝キの字を分解すると「光+音符[軍グン⇒キ]」から成ります。普通に考えると、光が部首です。ところが現在の部首に光はありません。そこで音符・軍の中にある車が部首になっています。この字はもともと煇キと書かれていました。この字の、火⇒光に変わった字が輝で、これまでの部首の枠にはいらない字なのです。

 以上にあげた部首のうち、1~8は音符となる漢字の一部を部首にしたかたち。9~10は特別な理由があって部首となった字です。
 これらの変則的な部首をテスト問題にすると、学ぶ側が混乱します。部首は「部首+音符字」として教えるのが正道です。変則的な部首は、学ぶ側から質問があったとき初めて答えればよく、教える側から積極的に説明する性質のものではないと思います。


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音符「会カイ」<あう・あつまる> と「絵カイ」「膾カイ」「獪カイ」

2021年06月04日 | 漢字の音符
[會] カイ・エ・あう  人部


こしき(甑)による調理(「高坂丘陵ねっと」より)
解字 甲骨文字は、甑(こしき:蒸し器)にフタをかぶせた形の象形。上図では下で火をたき、甕かめの水を沸騰させ、その蒸気で蒸し器(底に細かな穴がたくさんある)にいれた穀物などを蒸している。上のAがフタ(イラスト図版はナベブタになっている)、真ん中の日のような字がこしき、下の口が甕かめを表している。金文は「A(ふた)+田(こしき)+日(水[一]の入ったかめ)」になり、篆文からA⇒亼、下部の田も真ん中の横画が分離した會になった。調理をするときフタとこしきをあわせることから「あう」、甕からこしき・フタまで揃えることから、あつまる意を持つ。新字体で、⇒会に簡略化された。
意味 (1)あう(会う)。であう。「会見カイケン」 (2)あつまる。「会議カイギ」「会合カイゴウ」 (3)心にかなう「会得エトク」 (4)とき・おり「機会キカイ」 

イメージ 
 「あう」
(会)
  甕からフタまで「よせあわせる」(絵・膾・鱠・檜・薈)
 「同音代替」(獪)
音の変化  カイ:会・絵・膾・鱠・檜・獪  ワイ:薈

よせあわせる
 カイ・エ  糸部
解字 旧字は繪で、 「糸(いと)+會(よせあわせる)」 の会意形声。各種の色糸を刺繍でよせあわせて模様をつくること。色糸による刺繍の絵模様をいう。新字体は、繪⇒絵に変化。
意味 え(絵)。いろどり。もよう。線や色で姿や形を描いたもの。また、描くこと。「絵画カイガ」「絵巻エマキ」「絵空事えそらごと
 カイ・なます  月部にく
解字 「月(にく)+會(よせあわせる)」 の会意形声。こまかく切った生肉や魚肉にネギなどの薬味や酢を寄せ合わせたもの。
意味 なます(膾)。①生肉を細かくきって味付けしたもの。「膾炙カイシャ」(きざみ肉と炙(あぶ)り肉。広く世間に好まれること)「人口に膾炙カイシャする」(おいしい膾炙のように広く人々の口の端にのぼってもてはやされる) ②[国]なます(膾)。こまかく切った魚肉を野菜や酢であえたもの。 ③[国]なます(膾)。大根・人参を細かく刻んで酢であえた料理。
 カイ・なます  魚部
解字 「魚(さかな)+會(よせあわせる)」 の会意形声。こまかく切った魚肉を薬味や酢で寄せ合わせたもの。
意味 なます(鱠)。こまかく切った魚肉と野菜を酢であえた食品。
檜[桧] カイ・ひのき・ひ  木部
解字 「木(き)+會(よせあわせる)」 の会意形声。中国でビャクシン属の常緑高木をいう。若い樹は葉が針状で、成長すると鱗状になるため、同じ樹で異なった葉をあわせ持っていることが、木の名のいわれとされる。日本ではヒノキをいう。
意味 (1)「檜柏ひのきかしわ」(中国原産の常緑高木。イブキビャクシン) (2)[国]ひのき(檜)。ヒノキ科の常緑高木で、上質の建築用材となる。「檜扇ひおうぎ」(檜の薄い板で作った扇)「檜皮ひわだ」(檜の皮)「翌檜あすなろ」(明日はヒノキになろうの意。ヒノキ科の常緑高木。ヒノキに似た木で木曽五木のひとつ)
 ワイ  艸部
解字 「艸(くさ)+會(よせあわせる⇒あつまる)」の会意形声。草が多いさま。
意味 (1)草が盛んに生い茂る。「叢薈ソウワイ」(生い茂る)「翳薈エイワイ」(草木がおおい茂り陰ができている)(2)霧や雲がわきおこる。「蔚薈ウツワイ」(わきおこる)(3)集まる。集める。「薈萃ワイスイ」(集中する)「新聞薈叢ワイソウ」(新聞の記事集成)

形声字
 カイ・わるがしこい  犭部
解字 「犭(いぬ)+會(カイ)」の形声。カイは快カイ(はやい)に通じ、すばやく動く犬を人に例え、すばやく動いて立ち回るずるい人をいう。なお、音符「夬ケツ・カイ」の字に㹟(犭+夬)カイ・ケツ(犬が走る。狂う。ずるい。獪と同じ)がある。発音で分類した辞書の[正韻]は「本(もと)㹟カイに作る。狡コウ(ずるい)也」とあり、音符「會カイ」と快カイに字音の共通性があることがわかる。
意味 わるがしこい(獪い)。ずるい。「老獪ロウカイ」(世俗の経験を積んでずるい)「狡獪コウカイ」(わるがしこい。狡も獪も、ずるい意)「獪猾カイカツ」(ずるい。獪も猾も、ずるい意)
<紫色は常用漢字>

<関連音符>
曽 [曾] ソウ・ソ・かつて  日部       

解字 金文は、「八(ゆげ)+田(むしき)+日(水を入れた釜:古代では甕かめ)」を組み合わせた形。上に蒸し器を、下に水を入れた釜を重ねて置き、湯気のたちのぼる形で、穀物をふかす甑ソウ(こしき)の象形。甑の原字。層をなして重なる意を示す。篆文以降の字は、この字形が変形したもの。「かつて」「すなわち」など、かさなる意以外は仮借カシャ(当て字)の用法である。曽を音符に含む字は、「かさなる」イメージを持つ。新字体は、曾⇒曽へ変化する。
意味 (1)かつて(曽て)。これまで。「未曽有ミゾウ」(いまだかつてない) (2)すなわち。 (3)かさなり。血のつながりの三代前。「曽祖父ソウソフ」(ひいおじいさん)「曽孫ソウソン・ひまご」(孫のこども)
イメージ 
 「かさなる」
(曽・層・増・憎・贈・噌)
 「こしき」(甑)  
 「ソウの音」(僧)
音の変化  ソウ:曽・層・甑・僧  ゾウ:増・憎・贈  ソ:噌
音符「曽ソウ」

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音符「羊ヨウ」<ひつじ>「洋ヨウ」「様ヨウ」「窯ヨウ」「祥ショウ」「詳ショウ」「美ビ」と 「羔コウ」<こひつじ>

2021年06月01日 | 漢字の音符
  佯ヨウを追加しました。
 ヨウ・ショウ・ひつじ  羊部

解字 前からみた羊の象形。羊の角の下部に羊のからだを描いている。牛が角を上に向けて描かれているのに対し、羊は角を下に向けている。ひつじの意を表す。羊は古くから家畜として飼われ、毛は毛織物、肉は食用として利用された。古代の中国人にとって重要な動物で神事に使われることも多かった。また、羊の字はその発音:ヨウ・ショウで同音代替されることが多い。
意味 ひつじ(羊)。ウシ科の哺乳類。「羊毛ヨウモウ」「牧羊ボクヨウ
参考 羊は部首「羊ひつじ」になる。漢字の上部や右辺や左辺に付いて「ひつじ」の意を表す。常用漢字で7字、漢字の中字典で約40字ある。なお、羊が上につくとき、美のように羊の下部が省略されることが多い。おもな字は以下のとおり。
常用漢字 7字
 ヨウ・ひつじ(部首)
 ギ・よい(羊+音符「我ガ」)
 グン・むれ(羊+音符「君クン」)
 シュウ・はじる(羊+丑 の会意)
 セン・うらやむ(羊+氵(水)+欠の会意)
 チャク・つく(著の変形字) 
 ビ・うつくしい(羊+大の会意)
常用漢字以外
 レイ(羊+音符「令レイ」)
 コウ・こひつじ(羊+灬(火)の会意)ほか

イメージ 
 「ひつじ」
(羊・養・鱶・祥・詳・遅・美・躾・様)
 「形声字」(洋・佯・痒・恙・翔・窯)
音の変化  ヨウ:羊・養・様・洋・佯・窯・痒・恙  ショウ:祥・詳・翔・鱶  チ:遅  ビ:美  しつけ:躾

ひつじ
 ヨウ・やしなう  食部

解字 「食(たべる)+羊の略体(ひつじ)」 の会意形声。羊の肉を食べて力をつけること。なお、甲骨文・金文は「羊+攴(うつ)」の形で、羊を放牧しムチを打って群れを誘導しながら飼う意。途中から字形が変わった。従って、放牧して飼う・育てる意と、羊の肉を食べて養生する意がある。
意味 (1)やしなう(養う)。育てる。世話をする。「養育ヨウイク」 (2)飼う。「養蚕ヨウサン」「養殖ヨウショク」「養鶏ヨウケイ」 (3)身体を大事にする。「養生ヨウジョウ」「静養セイヨウ」  (4)心をやしなう。「教養キョウヨウ」「修養シュウヨウ
 ショウ・ひもの・ふか  魚部
解字 「魚(さかな)+養(やしない⇒栄養となるたべもの)」の会意形声。魚を加工した栄養のあるたべものの意で、ひものを表す。日本では「ふか」の意で用いる。
意味 (1)ひもの(鱶)。干した魚。ほしうお。 (2)[国]ふか(鱶)。大形のサメ類の俗称。特に関西地方以西でいうことが多い。鱶のヒレを干してフカヒレをつくることから、ひものの意である鱶を当てたか。「鱶鰭フカヒレ」(鱶のヒレを干したもの。中華料理の高級食材)
 ショウ・さいわい ネ部
解字 「ネ(示:祭壇)+羊(ひつじ)」 の会意形声。羊を神にそなえて願うこと。すると、神からの前ぶれが表れること。その結果、さいわいがもたらされる。
意味 (1)きざし。前ぶれ。「祥雲ショウウン」「祥瑞ショウズイ」(めでたい前ぶれ) 「発祥ハッショウ」(①天子となるめでたいしるしがあらわれること。②物事が起こりあらわれること)「発祥地ハッショウチ」(ある物事が初めて起こりあらわれた土地)(2)さいわい(祥い)。さち。めでたいこと。「吉祥キッショウ」(めでたいきざし)「不祥フショウ」(不吉なこと。災難や不運)「不祥事フショウジ」(不名誉で好ましくない事件)
 ショウ・くわしい・つまびらか  言部
解字 「言(ことば)+羊(=祥。羊を神にそなえる)」の会意形声。羊を神にそなえて願った結果、出てきた前ぶれをくわしく話すこと。
意味 くわしい(詳しい)。つまびらか(詳らか)。「詳細ショウサイ」「詳報ショウホウ
[遲] チ・おくれる・おくらす・おそい  辶部
解字 旧字は「辶(ゆく)+犀サイ」の会意。犀サイがゆく意で、歩みの遅い動物であるサイに辶(ゆく)をつけ、遅い意を表した。現代字は犀サイの尸以外の部分を羊に置き換えた字。
覚え方 この(コノ⇒)ひつじ()ゆく()のが(おそ)い。
意味 (1)おそい(遅い)。のろい。にぶい。「遅遅チチ」「遅筆チヒツ」「遅鈍チドン」(遅くてにぶい。機転がきかない) (2)おくれる(遅れる)。間に合わない。「遅刻チコク」「遅延チエン」「遅配チハイ」 (3)(ゆっくりの意から)まつ。気長に待つ。「遅明チメイ」(夜明けをまつ頃。夜明け)「遅旦チタン」(日の出をまつ頃。夜明け)
 ビ・うつくしい  羊部
解字 「羊(立派なひつじ)+大(おおきい)」 の会意。大きく立派な羊の意。大きな羊は、「すぐれる・よい」「うまい」意となり、さらにその良さを「たたえる」、最後に「美しい」意となる。
意味 (1)よい。すぐれる。「美徳ビトク」 (2)うまい。おいしい。「美味ビミ」「美酒ビシュ」 (3)ほめる。たたえる。「賛美サンビ」 (4)うつくしい(美しい)。きれい。「美人ビジン」「優美ユウビ
<国字> しつけ  身部
解字 「身(からだ)+美(うつくしい)」の会意。身のこなしを美しくするよう仕込む意。
意味 しつけ(躾)。礼儀作法などを身につけさせる。

形声字
 ヨウ  氵部
解字 「氵(川)+羊(ヨウ)」の形声。ヨウという名の川を言った。[説文解字]は「斉郡(山東省)の高山に源を発し、東北に流れて鉅定キョテイ湖に注ぐ川の名」とする。また、ヨウは漾ヨウ(水の広大なさま・川の長いさま)に通じる。この意をうけて、洋はさらに広大な海の意として使われる。
意味 (1)大きな海。「海洋カイヨウ」「遠洋エンヨウ」 (2)世界を二つに分けたそれぞれの部分。「東洋トウヨウ」「西洋セイヨウ」 (3)西洋の略。「洋式ヨウシキ」「洋食ヨウショク
[樣] ヨウ・さま  木部
解字 旧字は樣で 「木(き)+永(ながい)+羊(ヨウ)」 の会意形声。「木+永(ながい)」は永い寿命の立派な樹木の意。羊ヨウは、その樹木の発音を表す。[説文解字注]は「栩(くぬぎ)の實(み)なり」とするが、クヌギ(栩・橡・栃)などの樹容の立派なさまから、ありさま(有様)の意味に用い、転じて、文様・きまった様式の意ともなる。また、日本では敬語として用いる。新字体は旧字の永⇒水に変化する。
意味 (1)さま(様)。ありさま。「様子ヨウス」「様相ヨウソウ」 (2)あや(綾)。図柄。「模様モヨウ」 (3)きまった形式。かた。「様式ヨウシキ」「仕様シヨウ」 (4)敬意を表す語。「上様うえさま」(5)とちの実。どんぐり。
 ヨウ・いつわる  イ部
解字 「イ(ひと)+羊(ヨウ)」の形声。ヨウは様ヨウ(様子。ありさま)に通じ、人が表面のありさまで人をいつわることをいう。
意味 (1)いつわる(佯る)。ふりをする。「佯死ヨウシ」(死んだふりをする)「佯狂ヨウキョウ」(狂人のふりをする)「佯病ヨウビョウ」(仮病)「佯北ヨウホク」(いつわった敗北)「佯北には従うこと勿(なか)れ<孫子>」(偽って退却する敵を追ってはならない)(2)あざむく。だます。「詐佯サヨウ」(うそ。いつわり)
 ヨウ・かゆい  疒部
解字 「疒(やまい)+羊(ヨウ)」の形声。ヨウは瘍ヨウ(かさ・できもの)に通じる。痒ヨウは、かさ・できもので病むこと。また、できものがかゆい意となる。
意味 (1)やむ(痒む)。 (2)かさ。できもの。はれもの。 (3)かゆい(痒い)。「痛痒ツウヨウ」(痛みと痒み)「掻痒ソウヨウ」(痒いところを掻く)「隔靴掻痒カッカソウヨウ」(靴を隔てて痒いところを掻く。もどかしい)
 ヨウ・つつが  心部
解字 「心(こころ)+羊の略体(=痒。やむ)」の会意形声。心が病むこと。すなわち、うれいをいう。
意味 つつが(恙)。 (1)病気。心配。憂い。「微恙ビヨウ」(気分が少しすぐれない)「恙無(つつがな)し」(うれいがない。平安無事である。) (2)ツツガムシ(恙虫)の略。ツツガムシ科のダニの総称。噛まれると高熱を発し感染症となる。
 ショウ・かける・とぶ  羽部
解字 「羽(はね)+羊(ショウ)」の形声。ショウは上ショウ・ジョウ(上にあがる)に通じ、鳥が羽で高く舞い上がること。翔の漢音はショウ、上の漢音はショウで一致する。
意味 鳥が羽を広げたまま空を旋回する。空高くとぶ。かける(翔る)。とぶ(翔ぶ)。「飛翔ヒショウ」(空高く飛ぶ)「高翔コウショウ」(高く飛ぶ)「翔破ショウハ」(長い距離をとびきる)
 ヨウ・かま  穴部
解字 「穴(あな)+灬(火)+羊の略体(ヨウ)」の形声。ヨウは䍃ヨウ(かめ・もたい)に通じ、かめを丘の斜面の穴がまにいれて火で焼くこと。陶器を焼く穴窯や登り窯をいう。䍃に穴のついた窰ヨウは、窯の異体字。
意味 かま(窯)。すえもの。陶器。「窯業ヨウギョウ」(窯を用いる工業、陶磁器・ガラス・煉瓦などの製造業)「陶窯トウヨウ」(陶器を焼く窯)「窯変ヨウヘン」(窯の中で陶器の色や形に予期しない変化がおこること)


    コウ <こひつじ>
 コウ・こひつじ  羊部

解字 「羊の略体(ひつじ)+灬(火)」の会意。羊を丸焼きする形で、丸焼きするのに適している子羊をいう。
意味 こひつじ(羔)。羊の子。「羔裘コウキュウ」(子羊の皮で作った衣服)「羔羊コウヨウ」(子羊と大きな羊)
イメージ  「こひつじ」 (羔・
音の変化  コウ:羔・

こひつじ
 コウ・カン・あつもの  羊部  
解字 「羔(こひつじ)+美(おいしい)」の会意形声。子羊のおいしい料理。子羊の肉を野菜と煮た、あつものが原義。子羊の肉に限らず、肉と野菜のあつものをいう。
意味 (1)あつもの()。肉と野菜を混ぜて煮た熱い吸物。あつものとは熱物(あつもの)の意。「斎羹サイコウ」(精進料理のあつもの)「に懲りて膾(なます)を吹く」(熱い汁ものに懲りて、冷たい膾(魚や生肉を細く切ったもの)を吹いて食べる)(2)とろりとした濃いスープ。(3)「羊羹ヨウカン」(カンは唐音)とは、小豆を主体とした餡(あん)を型に流し込み寒天で固めた和菓子。最初は羊肉の濃いスープとして禅僧により中国から伝わったが、禅宗では肉食が禁じられているため、精進料理として羊肉の代わりに小豆を用いたものが、日本における羊羹の原型になったとされる。
<紫色は常用漢字>

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