漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符 「釆ハン・ベン」 <獣の爪> と 「悉シツ」

2014年09月26日 | 漢字の音符
 ハン・ベン   釆部のごめ

解字 甲骨文は手で物をはさみ持つ様子を表した形の一種。本来の意味で使われず、地名またはその長、および祭祀名となっている[甲骨文字辞典]。金文は米と似た形になり意味は地名、篆文から獣の足指や爪の別れている形として用いられた。わかれる意で部首となる。
意味 つめ。わかつ。
参考 釆は部首「釆のごめ・のごめへん」になる。「のごめ」の名称は「ノ+米」からきている。偏(左辺)になり、わかれる・ばらばらになる意を表す。この部首は非常にすくなく、主な字は、釈[釋]シャク・とく、釉ユウ・うわぐすり、の2字しかない。しかも釉の釆は、采サイの変形字で便宜的な部首のため、本来の部首は釈のみ。なお、番バンは「釆+田」の象形で釆を含む字だが、部首は田。

イメージ  
 「獣の爪」
(悉)
 「シツの音」(蟋)
音の変化  シツ:悉・蟋

獣の爪
 シツ・ことごとく   心部
解字 「心(心臓)+釆(獣の爪)」の会意。捕えたケモノの足の爪から心臓まで、ことごとく利用すること。
意味 (1)ことごとく(悉く)。のこらず。「悉皆シッカイ」(みな。のこらず)(2)つくす。「悉心シッシン」(心を尽くす)「悉知シッチ」(知りつくす) (3)梵語の音訳字。「悉達多シッタルタ」(釈迦が出家する前の名)

シツの音
 シツ  虫部
解字 「虫(むし)+悉(シツ)」の形声。シツと鳴く虫。コオロギの鳴く音の擬声語。
意味 「蟋蟀こおろぎ」に使われる字。コオロギはバッタ目コオロギ科の昆虫の総称。羽を擦り合わせて音を出す。蟋蟀は音で「シッシュツ」となり、こおろぎが羽をすりあわせる音の擬声語。

<関連音符>
 バン  田部
解字 「釆ハン(獣の爪)+田」で、動物の足の爪とひら(掌)を表す。釆ハンは獣の爪の別れている形で、田は足のひら(掌)である。また、爪とひらがくっきりとつく、動物の足跡の形。大きな動物が通ったあとは、はっきりと順々に足あとが地上に残っている。そこで、足あとの形は、順序よくの意となり、当番・順番の意味となる。 音符「番バン」を参照。
意味 (1)順序。順位。「番号バンゴウ」「一番イチバン」 (2)かわるがわる。「輪番リンバン」「当番トウバン」 (3)見張り。「番人バンニン

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音符「札サツ」 <木の薄片> と 「紮サツ」

2014年09月24日 | 漢字の音符
 サツ・ふだ   木部

解字 「木(き)+乚サツ(木の薄片)」の会意形声。乚サツは、薄い木片の形で札の原字。独立して用いられることはなく、木をつけて形を整える[字統]。のち、紙のふだにも使われる。
意味 (1)ふだ(札)。木のふだ。「簡札カンサツ」(文字を書きしるす木や竹の札) (2)書きもの。書きつけ。「書札ショサツ」「鑑札カンサツ」(許可証。鑑定書) (3)[国]おさつ。紙幣。「札束サツたば」 (4)[国]ふだ(札)。いれふだ。「入札ニュウサツ」 (5)[国]たてふだ。「高札コウサツ」 (5)[国]乗車券。「改札カイサツ

イメージ 
 「ふだ」
(札・紮)
音の変化  サツ:札・紮 

ふだ 
 サツ・からげる  糸部
解字 「糸(ひも)+札(ふだ)」の会意形声。ふだの束を紐でくくること。
意味 (1)たばねる。からげる(紮げる)。くくる。「結紮ケッサツ」([医]血管をしばって血行を止めること) (2)とどまる。軍隊がとどまる。「駐紮チュウサツ」(軍隊が駐屯すること)

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音符 「叟ソウ」 <手に火(灯り)を持つ> と 「捜ソウ」

2014年09月23日 | 漢字の音符
 ソウ・おきな  又部

解字 甲骨文字は、建物の中で灯り(火)を手にもつ形。灯りを用いて家屋の中を捜す様子を表している[甲骨文字辞典]。篆文は、「宀(廟)+火(あかり)+又(て)」の会意。廟中で手に灯りをとる意で、祭事にそのことに当たる人は、氏族の長老であるから、その人を叟ソウという[字統]。篆文第2字(六書通)に、異体字の叟が表れ、この字が現在に続いている。新字体の音符になるとき、「申+又」の形になる。
意味 (1)おきな(叟)。としより。「村叟ソンソウ」(いなかの老人)「迂叟ウソウ」(世事にうとい老人。老年男子が自分を謙遜して言う語) (2)老人の尊称。

イメージ  「老人・年上」 (叟・痩・嫂)
       本来の形である 「灯りを持つ」 (捜)
       「同音代替」 (艘)
音の変化  ソウ:叟・痩・嫂・捜・艘

老人・年上
ソウ・やせる・こける  疒部
解字 旧字は 「疒(やまい)+叟(老人)」 の会意形声。老人が病になり身体が細くなること。新字体は、叟⇒「申+又」に変化。
意味 (1)やせる(痩せる)。身体がやせる。病気でやせる。こける(痩ける)。「頬ほほが痩ける」「痩身ソウシン」「痩骨ソウコツ」(やせ細って骨ばる) (2)土地がやせる。「痩せ地やせち
覚え方 やまい()のとこから、もうし()ます、また()、 せました。
 ソウ・あによめ  女部
解字 「女(おんな)+叟(年上)」 の会意形声。年上の女の意で、兄の嫁を指す。
意味 あによめ(嫂)。兄の妻。

灯りを持つ 
 ソウ・さがす  扌部
解字 旧字は搜で、 「扌(手)+叟(灯りを持つ)」 の会意形声。手で灯りをもち照らしながら捜すこと。新字体は、叟⇒「申+又」に変化。
意味 さがす(捜す)。さぐる。「捜査ソウサ」「捜索ソウサク

同音代替
 ソウ  舟部
解字 「舟(ふね)+叟(ソウ)」の形声。ソウは艚ソウ(ふね)に通じ、舟を表す。また船の数をかぞえる語を表す。
意味 (1)舟の数をかぞえる語。「三艘の舟」 (2)ふねの総称。
<紫色は常用漢字>

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音符「关ソウ」<ささげ持つ>と「送ソウ」「朕チン」「鎹かすがい」

2014年09月19日 | 漢字の音符
 ソウ

解字 現在の漢和辞典には収録されていない字。古代文字は「朕チン」から月を省いて作成した。关の字も中国簡体字からの借用である。甲骨文字は両手で棒状のものを持って奉ずるかたち。このタテ線が何を表しているか不明だが、貴重な品物であろう。金文はタテ線に肥点がつき上に八が加わった。篆文で火に似た形となったが、旧字で下部の両手と一体となって「八+天」の形になり、さらに新字体で「关」となった。貴重なものを両手でささげ持つ意を表わす。送ソウの原字。

イメージ 
 「ささげ持つ」
(送・鎹・朕)
音の変化  ソウ:送  チン:朕  かすがい:鎹

ささげもつ
 ソウ・おくる  辶部  

解字 「辶(ゆく)+关(ささげ持つ)」の会意形声。物をささげ持って行くこと。辶(ゆく)は古代文字で「彳(行く)+止(あし)」で表されている。旧字はパソコンで表示されないので省略した。
意味 おくる(送る)。(1)物をおくり届ける。「運送ウンソウ」「配送ハイソウ」 (2)情報をおくり届ける。「伝送デンソウ」「放送ホウソウ」 (3)人を見おくる。「送別ソウベツ」「歓送カンソウ
<国字> かすがい  金部
 かすがい
解字 「金(かなもの)+送の旧字(おくりとどける)」の会意。こちらから向こうに送りとどけて、つなぎとめるコの字形の金くぎ。
意味 かすがい(鎹)。(1)材木と材木をつなぎとめる両端の曲がった釘。「鎹(かすがい)を打つ」(2)人と人をむすびつけるもの。「子は鎹(かすがい)」
 チン・われ  月部

解字 甲骨文字は舟および両手で棒状のものを持って奉ずるかたち。このタテ線が何を表しているか不明だが、意味は一人称(われ)の用例しかないという[甲骨文字辞典]。この字は送るの原文であることから、贈り物を差し上げる謙譲の意味の「小生(われ)」であろう。金文はタテ線に肥点がつき上に八が加わった。意味は一人称および人名。篆文の[説文解字]は「我也。闕ケツ(欠ける・除く)」とする。これは秦の始皇帝が天子の自称として用いることとしたため、説明を省いたのであろう。以後、中国では皇帝の自称として用いられた。
意味 われ(朕)。中国皇帝の自称。日本の天皇の自称。日本では第二次大戦まで天皇は朕を用いたが、戦後は「わたくし」を用いている。
<紫色は常用漢字>

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音符「串カン」<つらぬく> と 「患カン」

2014年09月18日 | 漢字の音符
 カン・セン・くし  部

解字 ものを串ざしにした形の象形。つらぬく意を表わす[字統]。篆文の字形は患から復元した。
意味 (1)つらぬく。うがつ。 (2) [国]くし(串)。「串焼(くしや)き」「串団子くしだんご

イメージ  「つらぬく」 (串・患)
音の変化  カン:串・患

つらぬく
 カン・わずらう  心部
解字 「心(こころ)+串(つらぬく)」 の会意形声。心が何かにつらぬかれたようになった状態。心が痛むこと。うれえる意。また、病気になること。
意味 (1)うれえる(患える)。心が苦しむ。思い悩む。心配する。「内憂外患ナイユウガイカン」(内と外の心配ごと) (2)わずらう(患う)。病気になる。「患部カンブ」「患者カンジャ

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音符「奚ケイ」<一筋につながる> と 「渓ケイ」「鶏ケイ」

2014年09月10日 | 漢字の音符
 ケイ  大部   

解字 甲骨文第一字は、女のくびに縄(幺)をかけて手でひく形。甲骨文第二字と金文・篆文は、女⇒大(ひと)になった。いずれも首に縄をかけて手でひく奴隷を表す。旧字は、「爫(手)+幺(なわ)+大(ひと)」の奚ケイになった。新字体で使われるとき、奚⇒「ノツ夫」に変化する。意味は、どれい・女どれいであるが、また、助字の「なんぞ」「なに」に仮借カシャ(当て字)される。
意味 (1)なに。なんぞ(奚ぞ)。疑問・反語を表す助字。 (2)しもべ。女の奴隷。「奚奴ケイド」(宮中などで使役される女どれい。めしつかい)「奚童ケイドウ」(こどものめしつかい)

イメージ 
 「どれい」
(奚)
 縄でくくられた奴隷が一列に「つながる」(渓・谿・蹊・鶏)
音の変化  ケイ:奚・渓・谿・蹊・鶏

つながる
 ケイ・たに  氵部
解字 旧字は溪で「氵(水)+奚(一筋につながる)」の会意形声。水が一筋につながった谷川。新字体は、溪⇒渓に変化する。
意味 たに(渓)。たにがわ。「渓谷ケイコク」「渓流ケイリュウ
谿 ケイ・たに  谷部
解字 「谷(たに)+奚(=溪。たにがわ)」の会意形声。溪ケイ(たに・たにがわ)の意味を、谷をつけて強調した字。
意味 たに(谿)。たにがわ。「谿水ケイスイ」(谷川。谷川の水)「谿声ケイセイ」(谷川の水の音)
 ケイ  足部
解字 「足(あし)+奚(一筋につながる)」の会意形声。足のふみあとが一筋につながる小道。
意味 こみち。ほそみち。「成蹊セイケイ」(徳のある者には世人がその徳を慕って集まり、そこに自然に道ができる)「山蹊サンケイ」(山のこみち)
 ケイ・にわとり  鳥部
解字 旧字は鷄で「鳥(とり)+奚(つながる)」 の会意形声。夜明けの時を告げる「コケコッコー」と長くつながる声を出すにわとり。長く鳴くのは雄鶏であるが、雄雌をふくむニワトリの全体をいう。新字体は、鷄⇒鶏に変化する。
意味 にわとり(鷄)。「鶏冠ケイカン」(鶏のとさか)「鶏鳴ケイメイ」「養鶏ヨウケイ
覚え方 のつおどり(ノツ夫鳥)で
<紫色は常用漢字>

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音符「爻コウ」<まじわる>と「肴コウ」「淆コウ」「教キョウ」「駁バク」

2014年09月05日 | 漢字の音符
 コウ   爻部

解字 交差する形の乂を二つ重ねた形で、交わるさまの象形。「まじわる」、まじわって「伝える」イメージをもつ。
意味 (1)まじわる。 (2)易エキの卦(吉凶判断のもとの形)を組み立てる要素。「陽爻ヨウコウ」(ー 印)「陰爻インコウ」(--印)

イメージ 
 「まじわる」
(爻・駁)
 「つたえる」(教・肴) 
 「形声字」(淆)
音の変化 コウ:爻・肴・淆  キョウ:教  バク:駁

まじわる
 バク・まだら  馬部
解字 「馬(うま)+爻(まじわる)」の会意。馬の毛色が純でなく、他の色がまじることで、雑然としている状態をいう。また、暴バク・ボウ(あばれる)に通じ、暴れ馬を表し、人に移して反抗的な態度をいう。
意味 (1)まだら(駁)。ぶち(駁)。いりまじる。「雑駁ザッパク」(雑然としてまとまりがない) (2)ただす。非難する。「反駁ハンバク」(反対して言い返す)「駁撃バクゲキ」(他人の言葉を非難し攻撃する)

つたえる
[敎] キョウ・おしえる・おそわる  攵部

解字 甲骨から篆文まで「子(こども)+攴(うつ)+爻(つたえる)」の会意形声。先生が子どもを教鞭で打って(攴)厳しく鍛え、知識を伝えること。旧字体から、攴⇒攵に変化した。新字体では、旧字の左辺上のメ⇒十に変化した。
意味 (1)おしえる(教える)。おしえ導く。「教育キョウイク」「調教チョウキョウ」 (2)いましめ。神仏のおしえ。「教理キョウリ」「宗教シュウキョウ」「教会キョウカイ
 コウ・さかな  月部にく
解字 「月(にく)+爻(つたえる)」の会意形声。肉に火をつたえた(火を通した)ものの意で、火にかけた肉料理が原義。
意味 (1)さかな(肴)。火をとおした鳥・魚などの肉。ごちそう。「肴膳コウゼン」(ごちそう) (2)さかな(肴)。酒菜(さかな)の意。酒を飲む時に添えて食べるもの。また、酒の席に興をそえる歌舞や話題など。「酒肴シュコウ」(酒と酒のさかな)

形声字
 コウ・まじる  氵部
解字 「氵(水)+肴(コウ)」の形声。コウは交コウ(まじえる・まぜる)に通じ、水をかきまぜた状態をいう。
意味 まじる(淆じる)。いりまじる。「混淆コンコウ」(いりまじること。混も淆も、まじる意)「玉石混淆ギョクセキコンコウ」「淆乱コウラン」(ごちゃまぜになる)
<紫色は常用漢字>

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音符「沓トウ」<すらすら言う>と「踏トウ」

2014年09月04日 | 漢字の音符
 トウ・くつ  水部

解字 「水(みず)+曰(いう)」の会意。水は流れる水の意。曰エツは言うの意。水の流れるようにすらすら言うこと[大修館漢語新辞典]。現代字は、曰エツ⇒日に変化した。日本では鞜トウ(かわぐつ)に当て、沓を、くつの意で使う。
意味 (1)すらすらと言う。流暢にしゃべる。「沓沓トウトウ」(得意になってしゃべるさま) (2)あふれる。水があふれる。 (3)あう(合う)。まじりあう。かさなる。多い。「雑沓ザットウ=雑踏」(ひとごみ) (4)[国]くつ(沓)。「沓石くついし」(柱をささえる土台石)

イメージ 
 「すらすら言う」
(沓・誻)
 「同音代替」(踏・鞜)
音の変化  トウ:沓・誻・踏・鞜

すらすら言う
 トウ 言部
解字 「言(いう)+沓(すらすら言う)」の会意形声。沓(すらすら言う)にさらに言をつけ、沓を強調した字。また、ののしる意ともなる。
意味 (1)おしゃべり。多言。「誻誻トウトウ」(多言のさま) (2)そしる。ののしる。

同音代替
 トウ・ふむ・ふまえる  足部
解字 「足(あし)+沓(トウ)」の形声。トウは蹈トウ(ふむ)に通じ、足でふむこと。
意味 (1)ふむ(踏む)。あるく。ふみおこなう。「踏青トウセイ」(春に若草を踏んで郊外を散歩する)「踏破トウハ」(歩きとおす)「踏歌トウカ」(足踏みして調子をとって歌う)「舞踏ブトウ」(ダンス) (2)ふまえる(踏まえる)。ある事実や考え方を根拠とする。「踏襲トウシュウ」(前人のあとを受けつぐ)
 トウ・くつ  革部
解字 「革(かわ)+沓(=踏。ふむ)」の会意形声。踏む足につける革のくつ。
意味 くつ(鞜)。かわぐつ。
<紫色は常用漢字>

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音符「鎖サ」 <小貝がつらなる> と 「瑣サ」

2014年09月04日 | 漢字の音符
サ・くさり・とざす  金部

解字 「金(金属)+[小+貝](小さい貝が連なる=つらなる)」 の会意形声。音符は右辺の「小+貝」の部分。小さな貝がつらなっているさまで、これに金がついた鎖は、小さい金輪が連なったくさりをいう。また、くさりでつなぐ、つないでとざす意ともなる。
意味 (1)くさり(鎖)。金属製の輪をつないだもの。錠前。かぎ。「鉄の鎖」 (2)つなぐ。「連鎖レンサ」「鎖骨サコツ」(胸骨と肩甲骨をつなぐ骨)②とざす(鎖す)。とじる。「鎖国サコク」「封鎖フウサ

イメージ 
 小さい貝が「つらなる」(鎖)
 貝が 「小さい」(瑣)
音の変化  サ:鎖・瑣

小さい
  サ・ちいさい  王部
解字 「王(玉)+[小+貝](小さい貝=小さい)」 の会意。玉のちいさなくずをいう。転じて、こまかい・つまらない意となる。本来、つらなる意があったと思われるが、現在この意味ではほとんど使われない。
意味 ちいさい(瑣さい)。こまかい。わずらわしい。「瑣末サマツ」(とるに足りないこと)「瑣細ササイ」(=些細。わずか)「煩瑣ハンサ」(こまごまとわずらわしい)「瑣瑣ササ」(微小なさま。こまかくてわずらわしいさま)

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音符「念ネン」<中に閉じこめる>「捻ネン」 と 「侌イン」 「陰イン」

2014年09月01日 | 漢字の音符
 ネン・おもう  心部  

解字 「心(こころ)+今コン(中に閉じこめる)」の会意形声。今は、「印(ふた)+一印」で、ふた()を、もの(一)にかぶせて、閉じこめること。念は、心の中に思いを閉じこめること。 
※今コンの字形変化については、音符「今コン(前項)を参照。
意味 (1)おもう(念う)。考える。「念頭ネントウ」「残念ザンネン」「念願ネンガン」 (2)心にとめて忘れない。ねんのため。「念書ネンショ」「丹念タンネン」 (3)よむ。となえる。「念仏ネンブツ」(仏の名前を唱えること)

イメージ 
 「中に閉じこめる」
(念・捻・稔・唸)
 「形声字」 (鯰)
音の変化  ネン:念・捻・鯰  ジン:稔  テン:唸

中に閉じこめる
 ネン・ねじる・ひねる  扌部
解字 「扌(手)+念(中に閉じこめる)」の会意形声。中に閉じこめるため袋などの口を手でひねること。
意味 ねじる(捻じる)。ひねる(捻る)。よじる。「捻挫ネンザ」(関節をねじって傷めること)「捻出ネンシュツ」(ひねり出す)「念転ネンテン」(ねじれて向きがかわる)
 ジン・ネン・ニン・みのる  禾部
解字 「禾(こくもつ)+念(中に閉じこめる)」の会意形声。穀物の実が養分をとじこめてふくらむこと。また、発音のネンは、年ネン(みのる)に通じ、穀物がみのると解字することもできる。
意味 (1)みのる(稔る)。「豊稔ホウジン」(ゆたかにみのる)「稔熟ジンジュク」(穀物が十分に稔る)(2)とし。穀物が一回みのる期間。(=年)
 テン・うなる・うなり  口部
解字 「口(くち)+念(閉じ込める)」の会意形声。口を閉じて声を出すこと。
意味 うなる(唸る)。うなり(唸り)。長くひくい音を出す。「唸り声」

形声字
<国字> ネン・なまず  魚部
解字 「魚(さかな)+念(ネン)」の形声。ネンは粘ネン(ねばる)に通じ、表面がぬるぬるするなまず。
意味 なまず(鯰)。ナマズ科の淡水魚。うろこがなく体表はなめらか。「鯰に瓢箪」(鯰をヒョウタンでつかまえる意で、とらえどころのないこと) ※中国では、粘ネン(ねばる)の占をつけた鮎ネンが、なまずの意。日本では鮎ネンは、あゆの意。


   イン <くらい>
 イン     

解字 「今(ふさぐ)+云(立ちのぼる雲気)」の会意。今は「印(ふた)+一印」で、ふた()を、もの(一)にかぶせて、ふさぐこと。侌インは、立ちのぼる雲気をふさいだ形で、雲気が上昇できず、たれこめて暗いこと。陰の原字。単独では使われない。
意味  くらい。

イメージ 
 雲気がたれこめて「くらい」(陰・蔭)
音の変化  イン:陰・蔭

くらい
 イン・かげ・かげる  阝部
解字 「阝(おか)+侌(くらい)」の会意形声。太陽の光が丘にさえぎられて暗くなっているところ。日光が当らない丘の北側が、かげる形だが、広く日かげ・かげの意で用いる。
意味 (1)かげ(陰)。かげる(陰る)。ひかげ(日陰)。物に覆われている所。「山陰サンイン」(①山のかげ。山の北側。②山陰道・山陰地方の略)「陰影インエイ」(かげ。陰も影も、かげの意) (2)人目につかない。ひそかに。「陰謀インボウ」「陰険インケン」(陰で意地悪なさま) (3)くらい。消極的な。⇔陽ヨウ。「陰気インキ」「陰陽インヨウ」 (4)時間。「光陰コウイン」「寸陰スンイン
 イン・かげ  艸部
解字 「艸(草木)+陰(かげ)」の会意形声。草木におおわれてできたかげ。
意味 かげ(蔭)。(1)こかげ(木陰)。草木におおわれて日光のあたらない所。「緑蔭リョクイン」(=緑陰)「桐蔭トウイン」(桐樹のかげ)「涼蔭リョウイン」(涼しい木蔭) (2)他人の助け。おかげ。「蔭官インカン」(父祖のおかげで得た官)「庇蔭ヒイン」(ひさしのかげ。かばうこと)
<紫色は常用漢字>

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