梻しきみを追加しました。
弗 フツ・ず 弓部
解字 甲骨文第一字は、二本の木に縄または、つるがまきついている形。まっすぐ伸びようとする木が巻きついたものを、ふりはらう意。第二字は、木がタテの棒二つになった。金文・篆文は、「ハ(そりかえる形)+まいた縄」の形で、同じ意味を表す。弗は、はらいのける・ふりはらう等の意味があるが、仮借カシャ(当て字)されて、否定の意味に用いられる。漢字検索の手掛かりとしての部首は弓。新字体に含まれるときは、弗 ⇒ ムと変化することが多い。音符イメージは、つるや縄・紐(ひも)を「はらいのける」「ふりはらう」となる。
意味 (1)~ず(弗)。~ない。打ち消しの助字。「平らかなら弗(ず)」 (2)[国]ドル。米国の貨幣の単位。「弗箱ドルばこ」(金庫) (3)「弗素フッソ」(非金属元素のひとつ)の略。
イメージ
「仮借カシャ」(弗)
「はらいのける・ふりはらう」(払・沸・費)
「ブツ・フツの音」(仏・梻・彿・髴)
「ヒの音」(狒)
音の変化 フツ:弗・払・沸・彿・髴 ブツ:仏 ヒ:費・狒 しきみ:梻
はらいのける・ふりはらう
払[拂] フツ・はらう 扌部
解字 旧字は拂で「扌(手)+弗(はらいのける)」の会意形声。手で左右にはらいのけること。新字体は、弗⇒ムに変化した。
意味 (1)はらう(払う)。はらいのける。なくなる。「払底フッテイ」(すっかりなくなる)「払拭フッショク」(はらいぬぐう) (2)夜があける。「払暁フツギョウ」 (3)[国]お金をはらう。「支払(しはら)い」「月払(つきばら)い」
沸 フツ・わく・わかす 氵部
解字 「氵(水)+弗(はらいのける)」の会意形声。煮えたぎった湯が下から回りをはらいのけるように上がってくること。
意味 わく(沸く)。わかす(沸かす)。たぎる。「煮沸シャフツ」「沸点フッテン」「沸騰フットウ」
費 ヒ・ついやす・ついえる 貝部
解字 「貝(財貨)+弗(ふりはらう)」の会意形声。お金をふりはらうように使ってしまうこと。
意味 (1)ついやす(費やす)。ついえる(費える)。「消費ショウヒ」「浪費ロウヒ」 (2)ついえ。物入り。「費用ヒヨウ」「会費カイヒ」「食費ショクヒ」
ブツ・フツの音
仏[佛] ブツ・フツ・ほとけ イ部
解字 旧字は佛で 「イ(人)+弗(ブツ)」の形声。ブツの音を表し、梵語のbuddha:佛陀ブッダ(さとりを開いた人)に当てる。新字体は、弗⇒ムに変化。また、弗には助字で打消しの意味があり、「イ(人)+弗(フツ)」で人をはっきり認識できない⇒ほのか・似ているの意味がある。
意味 (1)ほとけ(仏)。悟りを開いた人。ブッダ(仏陀)。釈迦。「仏教ブッキョウ」「仏門ブツモン」 (2)[国]ほとけ(仏)。死人。 (3)[国]フランス。「仏蘭西フランス」の略。「仏文フツブン」(フランス文学) (3)ほのか。かすか。似ている。「仿仏ホウフツ」(仿は似る意、仏は、かすかの意で、かすかに似る意。また、仏を似る意味にすると、ありありと思いだす意味ともなる。)
梻 <国字> しきみ 木部
解字 「木(き)+佛(ほとけ)」の会意。香気があり枝葉を仏(佛)前に供える木。樒とも書く。
意味 しきみ(梻)。モクレン科の常緑小高木。枝葉を仏(佛)前にそなえる。山地に自生し、寺院や墓地に植栽されている。また葉や樹皮の粉末が抹香、線香として利用される。名前の由来は、実が猛毒のため「悪しき実」から[広辞苑]という。シキビとも。
彿 フツ 彳部
解字 「彳(ゆく)+弗(=佛。似る)」の会意形声。仿仏ホウフツ(ありありと思いだす)の意を、発音を表す「方弗ホウフツ」に彳を付けて表した字。
意味 「彷彿ホウフツ」に使われる字。彷彿ホウフツとは、ありありと思い浮かぶ。「叔母さんは幼いころの母を彷彿とさせた」
髴 フツ 髟部
解字 「髟(髪の毛)+弗(=佛。似る)」の会意形声。仿仏ホウフツ(ありありと思いだす)の意を、発音を表す「方弗ホウフツ」に髟(髪の毛=人の姿)を付けて表した字。ここまでくると、かなり凝った字としか言いようがない。
意味 「髣髴ホウフツ」に使われる字。よく似ているさま。ありありと思い浮かぶ。「街道の家並みは江戸期の姿を髣髴とさせる」
ヒの音
狒 ヒ 犭部
解字 「犭(けもの)+弗(ヒ)」の形声。ヒという名の獣。ヒのイメージは不明。一説に非ヒ(わるい)に通じ、人を食べる猿に似た伝説上の獣とする。
意味 「狒狒ヒヒ」に使われる字。狒狒ヒヒとは、①古くは、中国や日本で、大形の猿のような妖怪を言った。「石見重太郎の狒狒退治伝説」②オナガザル科の大形の猿の総称。アフリカにすむ口先が突き出て犬歯が発達し、性質が荒いマントヒヒなどをいう。
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
弗 フツ・ず 弓部
解字 甲骨文第一字は、二本の木に縄または、つるがまきついている形。まっすぐ伸びようとする木が巻きついたものを、ふりはらう意。第二字は、木がタテの棒二つになった。金文・篆文は、「ハ(そりかえる形)+まいた縄」の形で、同じ意味を表す。弗は、はらいのける・ふりはらう等の意味があるが、仮借カシャ(当て字)されて、否定の意味に用いられる。漢字検索の手掛かりとしての部首は弓。新字体に含まれるときは、弗 ⇒ ムと変化することが多い。音符イメージは、つるや縄・紐(ひも)を「はらいのける」「ふりはらう」となる。
意味 (1)~ず(弗)。~ない。打ち消しの助字。「平らかなら弗(ず)」 (2)[国]ドル。米国の貨幣の単位。「弗箱ドルばこ」(金庫) (3)「弗素フッソ」(非金属元素のひとつ)の略。
イメージ
「仮借カシャ」(弗)
「はらいのける・ふりはらう」(払・沸・費)
「ブツ・フツの音」(仏・梻・彿・髴)
「ヒの音」(狒)
音の変化 フツ:弗・払・沸・彿・髴 ブツ:仏 ヒ:費・狒 しきみ:梻
はらいのける・ふりはらう
払[拂] フツ・はらう 扌部
解字 旧字は拂で「扌(手)+弗(はらいのける)」の会意形声。手で左右にはらいのけること。新字体は、弗⇒ムに変化した。
意味 (1)はらう(払う)。はらいのける。なくなる。「払底フッテイ」(すっかりなくなる)「払拭フッショク」(はらいぬぐう) (2)夜があける。「払暁フツギョウ」 (3)[国]お金をはらう。「支払(しはら)い」「月払(つきばら)い」
沸 フツ・わく・わかす 氵部
解字 「氵(水)+弗(はらいのける)」の会意形声。煮えたぎった湯が下から回りをはらいのけるように上がってくること。
意味 わく(沸く)。わかす(沸かす)。たぎる。「煮沸シャフツ」「沸点フッテン」「沸騰フットウ」
費 ヒ・ついやす・ついえる 貝部
解字 「貝(財貨)+弗(ふりはらう)」の会意形声。お金をふりはらうように使ってしまうこと。
意味 (1)ついやす(費やす)。ついえる(費える)。「消費ショウヒ」「浪費ロウヒ」 (2)ついえ。物入り。「費用ヒヨウ」「会費カイヒ」「食費ショクヒ」
ブツ・フツの音
仏[佛] ブツ・フツ・ほとけ イ部
解字 旧字は佛で 「イ(人)+弗(ブツ)」の形声。ブツの音を表し、梵語のbuddha:佛陀ブッダ(さとりを開いた人)に当てる。新字体は、弗⇒ムに変化。また、弗には助字で打消しの意味があり、「イ(人)+弗(フツ)」で人をはっきり認識できない⇒ほのか・似ているの意味がある。
意味 (1)ほとけ(仏)。悟りを開いた人。ブッダ(仏陀)。釈迦。「仏教ブッキョウ」「仏門ブツモン」 (2)[国]ほとけ(仏)。死人。 (3)[国]フランス。「仏蘭西フランス」の略。「仏文フツブン」(フランス文学) (3)ほのか。かすか。似ている。「仿仏ホウフツ」(仿は似る意、仏は、かすかの意で、かすかに似る意。また、仏を似る意味にすると、ありありと思いだす意味ともなる。)
梻 <国字> しきみ 木部
解字 「木(き)+佛(ほとけ)」の会意。香気があり枝葉を仏(佛)前に供える木。樒とも書く。
意味 しきみ(梻)。モクレン科の常緑小高木。枝葉を仏(佛)前にそなえる。山地に自生し、寺院や墓地に植栽されている。また葉や樹皮の粉末が抹香、線香として利用される。名前の由来は、実が猛毒のため「悪しき実」から[広辞苑]という。シキビとも。
彿 フツ 彳部
解字 「彳(ゆく)+弗(=佛。似る)」の会意形声。仿仏ホウフツ(ありありと思いだす)の意を、発音を表す「方弗ホウフツ」に彳を付けて表した字。
意味 「彷彿ホウフツ」に使われる字。彷彿ホウフツとは、ありありと思い浮かぶ。「叔母さんは幼いころの母を彷彿とさせた」
髴 フツ 髟部
解字 「髟(髪の毛)+弗(=佛。似る)」の会意形声。仿仏ホウフツ(ありありと思いだす)の意を、発音を表す「方弗ホウフツ」に髟(髪の毛=人の姿)を付けて表した字。ここまでくると、かなり凝った字としか言いようがない。
意味 「髣髴ホウフツ」に使われる字。よく似ているさま。ありありと思い浮かぶ。「街道の家並みは江戸期の姿を髣髴とさせる」
ヒの音
狒 ヒ 犭部
解字 「犭(けもの)+弗(ヒ)」の形声。ヒという名の獣。ヒのイメージは不明。一説に非ヒ(わるい)に通じ、人を食べる猿に似た伝説上の獣とする。
意味 「狒狒ヒヒ」に使われる字。狒狒ヒヒとは、①古くは、中国や日本で、大形の猿のような妖怪を言った。「石見重太郎の狒狒退治伝説」②オナガザル科の大形の猿の総称。アフリカにすむ口先が突き出て犬歯が発達し、性質が荒いマントヒヒなどをいう。
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。