漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「替タイ」<二人が役割をかえる>と「潜セン」

2013年12月30日 | 漢字の音符
 タイ・かえる・かわる  曰部

解字 金文は、二人の立った人の形で、二人が話をしているさまと思われる。篆文は「立立+曰(言う)」の会意。立った二人の人が会話をしている形。二人が引き継ぎをして役割を交替するさまから「かわる」意味をもつ。交替が済んだ方は役割からはずれるので、おとろえる意となる。現代字は、篆文の立立⇒夫夫(おとこ)に、曰⇒日に変化した替になった。立った人から夫(おとこ)に変わっただけで意味は同じである。
意味 (1)かわる(替わる)。かえる(替える)。「交替コウタイ」「両替リョウがえ」「為替かわせ」(とりかわす。ひきかえ。交換) (2)[国]かえ。身代わり。「替え玉かえだま」 (3)すたれる(替れる)。おとろえる。「隆替リュウタイ」(盛んになることと衰えること)「興替コウタイ」(さかえ、おとろえる)「替廃タイハイ」(すたれる)

同体異字
潜[潛] セン・ひそむ・もぐる・くぐる  氵部
解字 旧字は潛で 「氵(水)+朁セン(=兓シン。はいりこむ)」 の会意形声。水にはいりこむ、即ち、もぐる意。新字体は旧字の兓 ⇒ 夫夫に変化した潜になった。右辺の替は、替タイ(かえる)と字形が同じであるが別字である。 音符「朁セン」を参照。
意味 (1)もぐる(潜る)。水にもぐる。くぐる(潜る)。「潜水センスイ」「潜航センコウ」「潜り戸くぐりど」 (2)ひそむ(潜む)。かくれる。ひそかに。「潜入センニュウ」「潜在センザイ
<紫色は常用漢字>

                
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音符「乂ガイ」<ハサミのかたち> と「刈ガイ」「苅ガイ」「艾ガイ」

2013年12月15日 | 漢字の音符
 ガイ  ノ部          

草刈りばさみの形からできた字。
解字 ハサミの刃を左右に交差させて、草木を刈りとるさまを示す象形。また、刈り取ってととのえる・ととのう意にもなる。刈ガイの原字。乂を音符に含む字は、「かる」意を表わす。
意味 (1)かる。草をかる。 (2)おさめる。おさまる。「乂安ガイアン」(世の中が治まって安らかなこと)「乂寧ガイネイ」(世の中がよく治まって安寧なこと)(3)ととのう。すぐれる。「俊乂シュンガイ」(才徳のすぐれた人。俊英)

イメージ 
 「かる」
(乂・刈・苅・艾)
音の変化  ガイ:乂・刈・苅・艾

か る
 ガイ・かる  刂部 
解字 「刂(かたな)+乂(かる)」の会意形声。刂(刃物)を付けて草をかる意をはっきりさせた字。
意味 かる(刈る)。かりとる。草をかる。「刈穫ガイカク」(穀物をかりとる)「刈安かりやす」(ススキに似たイネ科の多年草)「刈萱かるかや」(イネ科の多年草)
 ガイ・かる  艸部
解字 「艸(草)+刈(かる)」の会意形声。草を刈ること。刈の俗字。
意味 かる(苅る)。草をかる。主に地名や姓に用いられる。「苅谷かりや」(姓)
 ガイ・よもぎ・もぐさ  艸部
解字 「艸(くさ)+乂(かる)」の会意形声。(春になると)刈りとる草の意で、ヨモギをさす。
意味 (1)よもぎ(艾)。蓬ホウとも書く。キク科の多年草。若芽は食用となり煎じて薬にもなる。また、葉を乾燥してもぐさを作る。 (2)もぐさ(艾)。ヨモギの葉を干したもので灸(きゅう)につかう。 (3)(頭髪がもぐさの色に似ていることから)としより。老人。「艾髪ガイハツ」「艾年ガイネン」(50歳。髪がもぐさの色になることから)
<紫色は常用漢字>


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