「畜チク」と「蓄チク」の違いは、草かんむりが、ないか・あるか、だけ。家畜の意味の「畜チク」に草かんむりを付けたら、なぜ蓄(たくわ)える意味になるのか。
畜 チク・キク・キュウ・やしなう・かう 田部
解字 甲骨文は「幺(糸束)+鹵ロ(カゴ状のうつわに塩を入れたさま)」の会意。鹵ロは塩地から取れる天然塩をカゴ状のうつわにいれたさまの象形。これに幺(糸束。ここでは、ひもの意)がついた畜は、塩を入れたカゴなどの口をひもで結んで「たくわえる」こと。金文から、鹵⇒田に変化し、篆文から幺⇒玄に変化した畜になった。[落合淳思『漢字の成り立ち』を参照した]
意味は甲骨文にあり、塩を「たくわえる」意だが、もうひとつの発音:キクは「鞠育キクイク」(鞠も育も育てる意)に通じ、やしなう・かう意となる。そこから、動物を飼う意となり家畜の意味ができた。現在はキク⇒チクの発音になっている。なお、鞠は本来「身+匊(まるく)」の身匊キク(これで一字。身をまるくかがめる)に通じ、身をかがめて子を抱き育てる意。この字が、まりの意味である同音の鞠キクで代用されている。
意味 (1)たくわえる(=蓄)。「予(よ=母鳥)の畜(たくわ)える所(ところ)は租(=苴。巣に敷く藁わら)なり」「『詩経』豳ヒン風・鴟鴞シキョウ)翻訳:私(母鳥)が蓄えるのは(巣に敷く)敷き藁です。 (2)やしなう(畜う)。かう(畜う)。「牧畜ボクチク」「畜養チクヨウ」(畜い養う) (3)人に飼われている動物。「家畜カチク」「六畜ロクチク」(馬・牛・羊・鶏・犬・豚の六種をいう)「畜産チクサン」「畜生チクショウ」(①人に飼われて生きるもの。②人をののしる語)
覚え方 ゲンタ(玄田)の家畜。(ゲンタくんの家の家畜)
イメージ
「たくわえる」(畜・蓄)
音の変化 チク:畜・蓄
たくわえる
蓄 チク・キク・たくわえる 艸部
解字 「艸(くさ)+畜(たくわえる)」の会意形声。畜は本来、たくわえる意であるが、家畜の意味に使われるようになったので、草をつけて本来の「たくわえる」意味を表した。
意味 たくわえる(蓄える)。たくわえ(蓄え)。「蓄財チクザイ」「蓄積チクセキ」「貯蓄チョチク」「備蓄ビチク」
覚え方 草(艹)を刈り、冬の家畜のエサにと蓄える。
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
畜 チク・キク・キュウ・やしなう・かう 田部
解字 甲骨文は「幺(糸束)+鹵ロ(カゴ状のうつわに塩を入れたさま)」の会意。鹵ロは塩地から取れる天然塩をカゴ状のうつわにいれたさまの象形。これに幺(糸束。ここでは、ひもの意)がついた畜は、塩を入れたカゴなどの口をひもで結んで「たくわえる」こと。金文から、鹵⇒田に変化し、篆文から幺⇒玄に変化した畜になった。[落合淳思『漢字の成り立ち』を参照した]
意味は甲骨文にあり、塩を「たくわえる」意だが、もうひとつの発音:キクは「鞠育キクイク」(鞠も育も育てる意)に通じ、やしなう・かう意となる。そこから、動物を飼う意となり家畜の意味ができた。現在はキク⇒チクの発音になっている。なお、鞠は本来「身+匊(まるく)」の身匊キク(これで一字。身をまるくかがめる)に通じ、身をかがめて子を抱き育てる意。この字が、まりの意味である同音の鞠キクで代用されている。
意味 (1)たくわえる(=蓄)。「予(よ=母鳥)の畜(たくわ)える所(ところ)は租(=苴。巣に敷く藁わら)なり」「『詩経』豳ヒン風・鴟鴞シキョウ)翻訳:私(母鳥)が蓄えるのは(巣に敷く)敷き藁です。 (2)やしなう(畜う)。かう(畜う)。「牧畜ボクチク」「畜養チクヨウ」(畜い養う) (3)人に飼われている動物。「家畜カチク」「六畜ロクチク」(馬・牛・羊・鶏・犬・豚の六種をいう)「畜産チクサン」「畜生チクショウ」(①人に飼われて生きるもの。②人をののしる語)
覚え方 ゲンタ(玄田)の家畜。(ゲンタくんの家の家畜)
イメージ
「たくわえる」(畜・蓄)
音の変化 チク:畜・蓄
たくわえる
蓄 チク・キク・たくわえる 艸部
解字 「艸(くさ)+畜(たくわえる)」の会意形声。畜は本来、たくわえる意であるが、家畜の意味に使われるようになったので、草をつけて本来の「たくわえる」意味を表した。
意味 たくわえる(蓄える)。たくわえ(蓄え)。「蓄財チクザイ」「蓄積チクセキ」「貯蓄チョチク」「備蓄ビチク」
覚え方 草(艹)を刈り、冬の家畜のエサにと蓄える。
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。