漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「魚ギョ」<さかな>「漁ギョ」 と 「鮮セン」「蘚セン」「癬セン」

2013年07月28日 | 漢字の音符
 ギョ・うお・さかな  魚部

解字 魚を描いた象形。頭を上に尾を下に描く。甲骨文字は写実的であるが、金文から尾びれが火と同じ形になり、現代字では灬(列火)に変化している。
意味 うお(魚)。さかな(魚)。「魚介ギョカイ」(魚と貝)「魚礁ギョショウ」「魚河岸うおがし」(魚介類の競り市場)「鮮魚センギョ」「幼魚ヨウギョ

イメージ
 「さかな」
(魚)
 「さかなをとる」(漁)
音の変化 ギョ:魚・漁

魚をとる   
 ギョ・リョウ・すなどる  氵部

解字 「さんずい(水)+魚(さかなをとる)」の会意形声。甲骨文は網を手でもち魚をとる形。金文は網がなく水と魚と両手を描く。篆文は水と魚だけになり、現在の字形のもとになった。したがって漁は水中で魚をとること。リョウの音は猟リョウと混同した通俗の音。
意味 (1)すなどる(漁る)。魚や貝をとる。「漁業ギョギョウ」「漁撈ギョロウ」「漁夫ギョフ」「漁火いさりび」 (2)あさる(漁る)。むさぼる。「漁色リョウショク」(女をもてあそぶこと)



    セン <とれたばかりの魚と羊のなま肉>         
 セン・あざやか  魚部

解字 「魚(さかな)+羊(ひつじ)」の会意。とれたばかりの魚と羊のなま肉。
意味 (1)なまで新しい。「新鮮シンセン」「鮮魚センギョ」「鮮度センド」 (2)<転義>あざやか(鮮やか)。「鮮明センメイ」「鮮烈センレツ

イメージ  「生きがいい」(鮮・蘚・癬)
音の変化  セン:鮮・蘚・癬

生きがいい
 セン・こけ  艸部
解字 「艸(くさ)+鮮(生きがいい)」の会意形声。湿気の多い所に生えるみずみずしく生きのいい草であるこけ。
意味 こけ(蘚)。湿地、古木などに生える植物。「蘚類センルイ」「蘚苔センタイ」(蘚も苔も、こけの意)「水蘚みずごけ
 セン  疒部
解字 「疒(やまい)+鮮(=蘚。こけ)」の会意形声。皮膚病の一種。最初は皮膚が赤く痒くなるが、さらに進むと白っぽいこけが生えたようになる病気。
意味 たむし。ひぜん(皮癬)。ヒゼンダニの寄生による皮膚感染症。「疥癬カイセン」(指の間、腋の下、内またなどに生じる伝染性皮膚病。ひどくかゆくなる)「疥癬虫カイセンチュウ」(ヒゼンダニの別称)「乾癬カンセン」(後天性の角化症のなかで角化した皮膚に炎症が生じる病気)
<紫色は常用漢字>





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音符「舄セキ」 <カササギが出入する> と 「写シャ」「瀉シャ」

2013年07月14日 | 漢字の音符
編集中です。
 セキ・シャク  臼部

解字 カササギの象形で、鳥のカササギを表わす。本字はは俗字。また、発音の藉セキ(しきもの・しきものをふむ)に通じ、大地をふむ「くつ」を表す。カササギは留鳥であり一つの場所を「出入りする」イメージをもつ。
意味 (1)かささぎ。鵲ジャクにおなじ。(2)くつ。
鸟名。喙尖,身体大部分为黑色,肩、腹白色,翼暗蓝色,尾长为蓝绿色,尾下覆羽黑色。传说听见鹊噪,表示将有喜事降临。通称“喜鹊”。

イメージ  
カササギは留鳥であり、人が住む場所で来たり去ったりして棲息している。そこで
 「出たり入ったりする」(潟)
 「出る・移る」(写・瀉)
音の変化  セキ:潟  シャ:写・瀉

出入りする
 セキ・かた  氵部
解字 「氵(水)+舄(出入りする)」 の会意形声。海水が出たり入ったりする所。
意味 (1)かた(潟)。海水がさしたり引いたりするひがた。「干潟ひがた」(遠浅の海岸で潮が引いて現われたところ) (2)砂丘などによって外から隔てられた海や湖。「潟湖セキコ」(外海から砂州などで分離した湖。外海とは水路でつながり潮の満ち干の影響をうける) (3)地名。「新潟にいがた」(信濃川河口の都市。県の名前にもなる)

出る・移る
[寫] シャ・うつす・うつる  冖部
解字 旧字は寫で 「宀(たてもの)+舄(移す)」の会意形声。家から物を外へ移しかえること。転じて、文字を他の紙に「書き写す」意となった。新字体は、旧字の宀 ⇒ 冖に、 舄⇒ 与と大幅に簡略化された。
意味 (1)うつす(写す)。書きうつす。「筆写ヒッシャ」「写本シャホン」 (2)そっくりそのまま表わす。「写実シャジツ」「写真シャシン」「謄写トウシャ」(①上から紙をあててそっくり書き写す。②謄写版で印刷する)「謄写版トウシャバン」(原紙をやすりの上におき鉄筆で文字などを書いて、その部分のロウを落とし、インクをつけて印刷する) (3)写真や映画をうつす。「映写エイシャ
 シャ・そそぐ・はく  氵部
解字 「氵(水)+寫(=舄。移る)」 の会意形声。水や液体が内から外へ、または、上から下へ移ること。 
意味 (1)そそぐ(瀉ぐ)。そそぎ流す。流れ出る。「瀉出シャシュツ」(そそぎ出る) 「一瀉千里イッシャセンリ」(一たび流れると一気に千里も流れる。物事が速やかにはかどること)「瀉血シャケツ」(治療の目的で患者の静脈から血液を体外に移すこと) (2)はく(瀉く)。はきだす。くだる。下痢をする。「水瀉スイシャ」(水のような激しい下痢をする。水様性下痢)「吐瀉トシャ」(嘔吐と下痢。はきくだし) (3)①「沢瀉(澤瀉)タクシャ・おもだか」とは、サジオモダカの塊茎。 漢方薬に用いる生薬(しょうやく)の一つ。オモダカ科サジオモダカの塊茎(かいけい)を乾燥させたもの。漢方で利尿・止渇薬などに用いる。②「澤瀉屋おもだかや」とは、歌舞伎役者の屋号。 名称は初代市川猿之助(二代目市川段四郎)の生家が副業として薬草の澤瀉を商う薬舗をやっていたことに由来する。
<紫色は常用漢字>

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音符「集シュウ」 <あつまる> と 「雑ザツ」「囃ソウ」

2013年07月09日 | 漢字の音符
 シュウ・あつまる・あつめる・つどう  木部              
  
解字 篆文の第一字は「隹(とり)三羽+木」の会意。たくさんの鳥が木の上にあつまった形で、あつまる意。篆文第二字と現代字は隹が一羽になっている。
意味 (1)あつまる(集まる)。あつめる(集める)。つどう(集う)。「集結シュウケツ」「集積シュウセキ」 (2)あつまり。つどい。「集落シュウラク」「集会シュウカイ」 (3)集めたもの。「画集ガシュウ」「詩集シシュウ

イメージ  
 「あつまる」
(集・雑・囃)
音の変化  シュウ:集  ザツ:雑  ソウ:囃

あつまる
[雜] ザツ・ゾウ・まじる  隹部ふるどり             

解字 篆文は「衣(ころも)+集(あつまる)」の会意形声。いろんな衣服を着た人が集まること。まじる・まざる意となる。旧字は雜で、衣が変形し、さらに新字体は、衣の変形部⇒九に変化した。
意味 (1)まじる(雑じる)。まざる。まぜる(雑ぜる)。「雑然ザツゼン」「複雑フクザツ」「雑炊ゾウスイ」(いろんな具をまぜて炊いたおかゆ) (2)まとまりのない。とりとめのない。「雑学ザツガク」 (3)あらい。おおまか。「粗雑ソザツ
覚え方  (ここのつのいろんなもの)+(あつまる)⇒雑  
 ソウ・はやし・はやす  口部
解字 「口(いう)+雜(いろんな衣服を着た人が集まる)」の会意形声。いろんな人が口々に声をそろえて言うこと。
意味 (1)はやす(囃す)。口をそろえてほめたりからかったりする。 (2)はやす(囃す)。声を出して歌曲の調子をとる。 (3)はやし(囃・囃子)。歌の伴奏をする笛や太鼓などの鳴り物。「囃子方はやしかた」(囃子を担当する人。笛方・太鼓方など)「五人囃子ごにんばやし
<紫色は常用漢字>

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音符 「隻セキ」 <とり一羽を手にもつ>

2013年07月08日 | 漢字の音符
 セキ・ひとつ  隹部ふるどり

解字 「隹(とり)+又(手)」の会意。とり一羽を手にもつ形。一羽のとりを意味する。転じて、ひとつ、対になるものの片方などの意となる。
意味 (1)ひとつ(隻つ)。ただ一つ。「隻句セキク」(ひとこと) (2)対になるものの片方。かたわれ。⇔双ソウ。「隻手セキシュ」(片手)「隻眼セキガン」(片目) (3)船などを数える言葉。「一隻の船」

イメージ  
 「とり一羽」
(隻) 
  「とり二羽」(双)
音の変化  セキ:隻  ソウ:双

とり二羽
[雙]ソウ・ふた・ならぶ  又部

解字 篆文・旧字は 「隹(とり)+隹(とり)+又(手)」の会意。二羽で一つがいのとりを手でもつ形。ふたつで対になるものを表わす。新字体は「又+又」の双に変化した。
意味 (1)ふた(双)。ふたつで対になるもの。「一双イッソウ」「双璧ソウヘキ」(同じようにすぐれた二人の人物)「双肩ソウケン」(左右双方の肩。転じて責任・任務を負う)「双子ふたご」 (2)ならぶ(双ぶ)。ならび。「無双ムソウ」(ならぶもののない)
<紫色は常用漢字>

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