漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符 「𢇍ゼツ」 <糸束を刀で切る> と 「絶ゼツ」 「断ダン」 「継ケイ」

2018年06月29日 | 漢字の音符
𢇍 ゼツ 幺部

解字 「上下の幺幺(糸束2つ)+刀(かたな)」の会意。糸束を刀で絶つこと。𢇍ゼツは絶ゼツの金文であり、絶の原字。
意味 たつ(絶つ)。

イメージ  「糸束を断つ」 (絶・断・継)
音の変化  ゼツ:絶  ダン:断  ケイ:継

糸束を断つ
 ゼツ・たえる・たやす・たつ  糸部

解字 金文は𢇍ゼツで、「上下の幺幺(糸束二つ)+刀(かたな)」の会意。上下の幺幺(糸束二つ)を刀で切る形で糸束を切 断すること。絶の古字。篆文は𢇍ゼツが「糸+刀」に変化し、発音を表す卩セツ(ゼツ)を付けた。旧字は卩⇒ 巴に変化した絕ゼツになった。ところが新字体は右辺⇒色に変化した絶になった。したがって、絶の右辺の「色」は色彩の「色」とは関係ない。絶は糸束を刀で切る意であり、(断)の字と構造が同じで、絶と断はほぼ同じ意味となる。同じ意味同士の漢字を合わせた言葉に「断絶ダンゼツ」がある。
意味 (1)たつ(絶つ)。うちきる。やめる。「絶交ゼッコウ」「断絶ダンゼツ」 (2)たえる(絶える)。たやす(絶やす)。とぎれる。「根絶コンゼツ」「廃絶ハイゼツ」 (3)遠く離れる。「隔絶カクゼツ」 (4)ことわる。「拒絶キョゼツ」 (5)すぐれる。はなはだ。「絶景ゼッケイ」「絶妙ゼツミョウ
[斷] ダン・たつ・ことわる  斤部

解字 篆文は𣃔ダンで、「𢇍ゼツ(糸束を切る)+斤(おの)」の会意。𢇍ゼツは、上下の幺幺(糸束二つ)を刀で切ること。それに斤(おの)がついた𣃔ダンは、𢇍ゼツの意味を、斤をつけて強めた形(会意)で切断する意。旧字は、𢇍ゼツを反転したに斤をつけたダンになった。新字体は、⇒断に変化する。
意味 (1)たつ(断つ)。たちきる。たえる。「断絶ダンゼツ」「切断セツダン」 (2)きめる。さばく。「決断ケツダン」「判断ハンダン」 (3)ことわる(断る)。「無断ムダン
[繼] ケイ・つぐ  糸部

解字 篆文および旧字はケイで 、「糸(いと)+(=𢇍ゼツの反転字。糸束を断つ)」 の会意。断たれた糸束を糸でつなぐこと。新字体は、⇒継に変化する。
意味 (1)つぐ(継ぐ)。つなぐ。うけつぐ。「継続ケイゾク」「継承ケイショウ」「継嗣ケイシ」(あとつぎ) (2)まま(継)。血のつながりがない。「継子ケイシ・ままこ」「継母ケイボ・ままはは
<紫色は常用漢字>  

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音符 「匃カイ」 <死者のよみがえりを願う> と 「曷カツ」 「掲ケイ」

2018年06月25日 | 漢字の音符
 カイ  勹部     

解字 篆文は、「勹ホウ(人が身体をまるくした形)+亾ボウ(=亡。死者)」の会意。亾ボウは死者の象形、勹ホウは人が身体をまるくして包む形、両者を合わせた匃カツは、死者を抱いて、そのよみがえることを願うこと。
意味 もとめる。請う。ねがう。


            カツ <請い求める>  
 カツ・なんぞ・いずくんぞ  日部   

解字 篆文は「曰エツ(いう)+匃カイ(もとめる)」の会意。匃カツは死者をだいて、そのよみがえりをねがう形。曰エツは、いう意(現代字で日に変化)。両者を合わせた曷は、よみがえりの願いを大きな声で言う形で、「請い願う」意味となる。しかし、本来の意味でなく、「なんぞ」「いずくんぞ」の助字に仮借カシャ(当て字)された。新字体の音符になるとき、下部が、匃⇒匂に変化する。
意味 (1)なんぞ(曷ぞ)。いずくんぞ。 (2)いつか。

イメージ  「仮借カシャ」 (曷) 
       「請い求める」 (渇・葛・褐・謁・靄・藹)
       よみがえりを願って 「大きな声をだす」 (喝・歇) 
       「同音代替」 (掲・羯・臈)
音の変化  カツ:曷・渇・葛・褐・喝・羯  ケイ:掲  ケツ:歇  
        アイ:靄・藹  エツ:謁  ロウ:臈  

請い求める
 カツ・かわく  氵部
解字 旧字は渴で、「氵(水)+曷(請い求める)」 の会意形声。咽がかわいて水を欲しがること。また、水がかわく・かれる意味となる。新字体は渇になる。
意味 (1)ひどく欲しがる。咽がかわく。「渇望カツボウ」 (2)かわく(渇く)。かれる。「渇水カッスイ」「枯渇コカツ
 カツ・くず・かずら  艸部   ※新指定の常用漢字のため下部を匂にしても可。
解字  「艸(草)+曷(請い求める)」 の会意形声。光りを求めてツルをのばして繁茂する草。つる性の植物をいう。
意味 (1)くず(葛)。マメ科のつる性の多年草。根から生薬や葛粉を作り、つるの繊維から布を作る。「葛布くずふ」「葛粉くずこ」 (2)かずら(葛)。つる草。「葛藤カットウ」(かずらや藤のつるがもつれ、からむこと。もつれ。心の迷い) (3)人名。地名。「葛飾北斎カツシカホクサイ」(江戸後期の浮世絵師)「葛飾区カツシカク」(東京都の区名)
 カツ・ぬのこ  衤部
解字 旧字は褐で、「衤(衣)+曷(=葛。くず)」 の会意形声。葛布(くずふ)で作った衣。新字体で褐に変化。
意味 (1)ぬのこ(褐)。あらい布の粗末な衣服。「褐衣カツイ」(褐布のかたびら) (2)かわいた感じの茶色。「褐色カッショク」「褐炭カッタン」(暗褐色の質のよくない石炭)
 エツ・まみえる 言部
解字 旧字は謁で、「言(いう)+曷(請い求める)」の会意形声。請い求める意の曷カツが、仮借カシャされ別の意味になったため、言をつけて元の意味をあらわした。また、身分の高い人に請い求める形から、まみえる(謁見する)意となる。
意味 (1)請う。求める。申し上げる。 (2)まみえる(謁える)。身分の高い人に会う。「謁見エッケン」「拝謁ハイエツ
 アイ・もや  雨部
解字 「雨(あめ)+謁(=曷。請い求める)」の会意形声。雨を神に請い求めること。それに応えて神がその徴候をみせること。
意味 もや(靄)。雲気がたちこめること。空気中に一面に水蒸気が立ちこめること。霧より見通しのよいものをいう。「朝靄あさもや」「夕靄ゆうもや」「靄靄アイアイ」(雲やかすみの集まりたなびくさま。ゆったりしているさま)
 アイ  艸部
解字 「艸(草)+謁(=靄。もや)」の会意形声。靄は雲気のたちこめるさま。艸がついた藹は、草の気がたちこめる意。草木が繁茂しその気のたちこめる状態をいう。また、人の心にたとえて、心が充実しおだやかなことをいう。
意味 (1)草木のしげるさま。さかんなさま。「藹然アイゼン」(①草木の盛んなようす。②気持ちがおだやかなさま) (2)おだやかなさま。心がなごむさま。「和気藹藹ワキアイアイ

大きな声をだす
 カツ・しかる  口部
解字 旧字は噶で、「口(くち)+曷(大きな声をだす)」 の形声。口から大きな声を出すこと。新字体は喝に変化。
意味 (1)しかる(喝る)。おどす。「恫喝ドウカツ」 (2)大声をあげる。「喝采カッサイ」(やんやともてはやす)「喝破カッパ」(①つきやぶるような大声。 ②邪説をしりぞけ真理を言う)
 ケツ・やむ  欠部
解字 「欠(口をあける)+曷(大きな声をだす)」  の会意形声。口をあけて大きな声を出し、相手の勢いを止めること。
意味 (1)やむ(歇む)。やめる。「間歇カンンケツ」(一定の間隔をもって止み、また起きること)「間歇泉カンケツセン」(一定の間隔をおいて周期的に熱湯を噴き出す温泉)「歇後ケツゴ」(後をやむ。成語の後半を省略すること) (2)つきる。 (3)やすむ。

同音代替
 ケイ・ケツ・ゲチ・かかげる  扌部
解字 旧字は揭で、「扌(手)+曷(ケツ・ゲチ)」 の形声。ケツ・ゲチは桀ケツ・ゲチ(かかげる)に通じ、手でたかくかかげること。
意味 (1)かかげる(掲げる)。高くさしあげる。「掲揚ケイヨウ」 (2)目につくよう示す。貼り出す。「掲載ケイサイ」「掲示ケイジ
 カツ・ケツ  羊部
解字 「羊(ひつじ)+曷(カツ)」 の形声。カツは割カツ(わける)に通じ、オスの羊の精巣を取り去って去勢すること。また、羊を飼う民族である五胡のひとつをいう。
意味 (1)異民族の名。五胡のひとつで匈奴の別種。中国の山西省内に居住した。「羯鼓カッコ」(①雅楽に使う両面太鼓。②能楽や歌舞伎で使う小太鼓。異民族で五胡のひとつである羯ケツが用いた鼓から)(2)去勢した雄羊。「羯羊カツヨウ
 カツ・ケツ・さそり  虫部
解字 「虫(むし)+歇(カツ)」 の形成。カツという名の虫。さそりをいう。カツのイメージは不明。
意味 さそり(蠍)。サソリ目の節足動物。尾の先の針に毒をもち刺す。蝎カツとも書く。「蠍座さそりざ」(サソリの形をした星座。夏の星座)「蛇蠍・蛇蝎ダカツ」(へびとさそり。人が恐れ嫌うものの例え)
 ロウ  月部にく
解字 「月(肉)+葛(ロウ)」 の形声。ロウは臘ロウ([国]仏教寺院の僧侶の年功によって得られる身分)に通じ、地位の称。
意味 (1)まつりの名。冬至後に歳を送る祭り。(=臘ロウ) (2)[国]僧の位。また、宮廷の官女の高位のもの。「上臈ジョウロウ」(①修行を積んだ高僧。②宮中の高位の女官。③江戸幕府大奥の御殿女中の高位のもの)
<紫色は常用漢字> 

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紛らわしい漢字 「宣セン」 と 「宜ギ」

2018年06月23日 | 紛らわしい漢字 
 宣センと宜ギは似ている。しかし、よく見ると、宀(ウかんむり)は共通だが、その下は亘センと且ソだ。この違いが分かれば、この字の違いは理解できる。

    セン <めぐる・めぐらす>
 セン・カン・コウ・わたる  二部          

解字 甲骨文および金文は、回りこむ形を表している。篆文で上下に囲みをあらわす二線が加えられ、隷書で回り込む形が日に変化した亘になった。回りこむ形から「めぐる」、篆文から囲みを表す二線が加えられ「めぐらす」意となるほか、同音である亙コウ(わたる)に通じ、わたる意も表わす。 
意味 (1)めぐる。めぐらす。 (2)わたる(亘)。人名に用いる。

イメージ 「めぐる・めぐらす」(亘・垣)
音の変化  セン・カン・コウ:亘  エン:垣

めぐる・めぐらす
 エン・かき  土部
解字 「土(つち)+亘(めぐらす)」の会意形声。周囲にめぐらした土塀。日本では土塀だけでなく、かきねの意に用いる。
意味 かき(垣)。かきね。かこい。「垣根かきね」「柴垣しばがき」「垣内かいと」(垣根の中。小集落)「垣外かいと」(垣根の外)「垣籬エンリ」(竹や柴などで作った垣)「垣屏エンベイ」(垣も屏も、かきの意)

    セン <天子が居住する正殿>
 セン・のたまう  宀部

解字 「宀(たてもの)+亘(めぐらす=垣)」の会意形声。周 囲を垣(土塀)で取り巻いた宮殿。特に天子が居住する正殿をさす。転じて、宮殿に住む天子から発せられるお触れをいう。
意味 (1)告げ知らせる。ひろく知らせる。「宣言センゲン」(広く外に表明する)「宣伝センデン」 (2)のたまう(宣う)。天子が意向を知らせる。「宣旨センジ」(天皇の命を伝える公文書)「託宣タクセン」(神のおつげ)
イメージ  「広く知らせる」(宣・喧)  
音の変化  セン:宣  ケン:喧

広く知らせる
 ケン・かまびすしい・やかましい  口部
解字 「口(くち)+宣(ひろく知らせる)」の会意形声。口で自分の主張をひろく知らせることが原義。大声で言うことから、転じて、やかましい・さわがしい意となる。
意味 かまびすしい(喧しい)。やかましい(喧しい)。さわがしい。「喧伝ケンデン」(やかましく世間にいいふらす)「喧騒ケンソウ」(やかましくさわがしい)「喧嘩ケンカ」(①やかましいこと。②いさかい・争い)


    ショ・ソ <供物の肉がつみ重なる>
 ショ・ソ・かつ  一部

解字 犠牲の肉をのせた供物台の象形。俎ソ(供物台が転じた、まないた)の原字。また、祖先を祀る祭礼に供物台として用いられたので、甲骨文字では祖ソ(祖先)の意味でも使われた。したがって祖の原字でもある。しかし、且から俎や祖が分離すると、本来の役割を終え、「まさに」「かつ」の意に仮借カシャ(当て字)された。且を音符に含む字は、「供物台」の他、供物の肉が「つみ重なる」イメージを持つ。
意味 (1)かつ(且つ)。 (2)まさに~す。 (3)しばらく。
参考 音符「且ソ」へ

    ギ <祭肉が盛大にのったさま>
 ギ・よろしい・むべ  宀部

解字 甲骨文・金文は、且ソ(肉をのせた供物台の象形)の中に、さらに夕や月(いずれも肉)を描いた形で、俎ソ(肉をのせた供物台にさらに肉を描いた形)と同じ成り立ちの字。俎ソが、祭肉がのった供物台、のちに俎板(まないた)の意になったのに対し、宜ギは祭肉が盛大にのったさまを表し、準備が整い神祭りが「よろしい」意となる。字形は篆文から外側の線と肉(夕・月)が分離し、現代字は外側の線が宀(建物)となり、内側の肉が且に変化した宜となった。
意味 (1)よろしい(宜しい)。「宜春ギシュン」(よろしい春の意で、立春をいう)「時宜ジギ」(時がよい) (2)都合がよい。「適宜テキギ」(その場・状況に合わせて)「便宜ベンギ」(便利なこと) (2)むべ(宜)。うべ(宜)。もっともなこと。「宜(むべ・うべ)なるかな」(もっともなことだなあ) (3)助字。よろしく~べし。
覚え方 (建物)の中に肉をのせたソ(供物台)が置かれ、祭りがすべて(よろ)しい。

イメージ  「よろしい」(宜・誼)
音の変化  ギ:宜・誼 
   
よろしい
 ギ・よしみ  言部
解字 「言(いう)+宜(よろしい)」の会意形声。よろしいと言うこと。正しいすじみちの意。のち、人が他人に「よろしい」と言って好意をしめす意となり、親しいつきあいを言う。
意味 (1)よい。正しいすじみち。「仁誼ジンギ」(いつくしみの心とただしいすじ道=仁義) (2)よしみ(誼)。親しいつきあい。「友誼ユウギ」(友だちのつきあい)「厚誼コウギ」(親しいつきあい)
<紫色は常用漢字>

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音符 「貝 バイ」  <かい>

2018年06月16日 | 漢字の音符
 バイ・かい  貝部        

解字 子安貝のかたちの象形。かいの意味を表わす。また、子安貝は貨幣として使われたので、かね・たからの意となる。
 子安貝の貝貨
意味 (1)かい(貝)。かいがら。「貝殻かいがら」「貝塚かいづか」「法螺貝ほらがい」 (2)たから。かね。「貝貨バイカ
参考 貝は部首「貝かい」になる。漢字の左辺や下部について、お金や財産の意味を表す。常用漢字で35字(16位)、約14,600字を収録する『新漢語林』では、117字が収録されている。主な漢字は以下のとおり。
形声(部首+音符)となるもの
ザイ(貝+音符「才サイ」)、貢コウ(貝+音符「工コウ」)、貨(貝+音符「化カ」)、販ハン(貝+音符「反ハン」)、貧ヒン(貝+音符「分ブン」)、貪ドン(貝+音符「今コン」)、貯チョ(貝+音符「宁チョ」)、貸タイ(貝+音符「代ダイ」)、費(貝+音符「弗フツ」)、貼テン(貝+音符「占セン」)、賀ガ(貝+音符「加カ」)、資シ(貝+音符「次シ」)、賞ショウ(貝+音符「尚ショウ」)、購コウ(貝+音符「冓コウ」)、贈ゾウ(貝+音符「曽ソウ」)、賦(貝+音符「武ブ」)など。
会意となるもの(字の組み合わせが発音と無関係)
テイ(貝+卜ボク)、負(貝+人の変形)、責セキ(貝を含む会意)、賜(貝+易)、質シツ(貝+斤二つ)、賛サン(貝+夫二つ)
このうち、貞テイ・責セキ・質シツ、は音符になる。

イメージ  「かい・財貨」(貝・敗・負・買・売・贔・屭)
       「バイの音」(唄・狽)
音の変化  バイ:貝・買・売・唄・狽  ハイ:敗  
        ヒ:  フ:負  キ:

かい・財貨
 ハイ・やぶれる  攵部
解字 「攵ボク(=攴。うつ)+貝(宝器)」 の会意形声。宝器を打ってこわすこと。戦いに敗れたとき持っている宝器を打ちこわして逃げるので、敗北する意となる。
意味 (1)やぶれる。「敗北ハイボク」「敗走ハイソウ」 (2)そこなう。だめになる。くさる。「敗毀ハイキ」(敗も毀もこわれる意)「腐敗フハイ」(3)しくじる。「失敗シッパイ
 フ・おう・まける・まかす  貝部          

解字 「人(ひと)+貝(貝貨)」 の会意。(つながった)貝貨を人が背負う意。貝の貨幣は大量に必要とされるときは、背負って運んだ。また、財貨を背負うことから、たよる、たのむ意が生まれた。なお、負ける・負かす意は、負債(借金)がある意から生まれた。現代字は、人⇒クに変化した負になった。
意味 (1)おう(負う)。せおう。「負担フタン」「負荷フカ」 (2)受ける・こうむる。「負傷フショウ」 (3)たよる。たのむ。「自負ジフ」(自分の能力や仕事に自信をもつこと)「抱負ホウフ」(抱いている自負。将来の計画や決意) (4)まける(負ける)。まかす。「勝負ショウブ
 バイ・かう  貝部
解字 「罒(=网・あみ)+貝(おかね)」 の会意形声。網をおおうように貝(おかね)で物を買い集めること。
意味 かう(買う)。代金を払って品物を求める。「仲買なかがい」「買収バイシュウ」「購買コウバイ」(買いいれること)
[賣] バイ・うる・うれる  士部              

解字 篆文は「出(でる)+買(かう)」 の会意形声。買ったものを出す、すなわち売ること。旧字で「士+買」に変化し、さらに新字体で「売」に変わった。
意味 うる(売る)。あきなう。ひろめる。「売却バイキャク」「商売ショウバイ」「売名バイメイ
 ヒ・ヒイ  貝部
解字 「貝+貝+貝」の会意。貝(財貨)を三つならべた形で、たくさんの財貨を表す。たくさんの財貨で人を援助する意の「贔屓ひいき」に使われる字。
意味 「贔屓ひいき」とは、気に入った者に特別目をかけ、力を添えて助けること。「贔屓目ひいきめ」(好意的な見方)
屭[屓] キ  尸部
解字 「尸(すわるひと)+(たくさんの財貨)」の会意。すわる人の前にたくさんの財貨を置いたかたち。たくさんの財貨で人を援助する意の「贔屓ひいき」に使われる字。屓は略字だが新字体と同じに用いられる。
意味 「贔屓ひいき」とは、気に入った者に特別目をかけ、力を添えて助けること。「贔屓の引き倒し」(ひいきすることにより、かえってその人を不利にすること)


バイの音
 バイ・うた  口部
解字 「口+貝(バイ)」 の形声。口から発せられるバイの音。梵語・バイの音訳語に使う。
意味 (1)梵唄ボンバイとは、仏典を調子にあわせて歌うこと。 (2)[国]うた(唄)。民謡や俗謡のこと。「小唄こうた
 バイ  犭部
解字 「犭(けもの)+貝(バイ)」 の形声。バイという狼の一種、狼は前足が長く後足は短いのに対し、狽はその逆。両者はいつも共に行動し、離れると倒れて、うろたえることから、あわてふためくこと[広辞苑]。「狼跋ロウバツ」(うろたえつまずく)と同じく平衡を失する状態をいう語[字統]。
意味 うろたえる。よろける。「狼狽ロウバイ」(うろたえること。狼はみだれる意)
<紫色は常用漢字>
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音符 「八ハチ」 <やっつ> と 「分ブン」

2018年06月14日 | 漢字の音符
 ハチ・や・やつ・やっつ・よう  八部

解字 左右二つに分けたことを表す指事文字。仮借カシャ(当て字)して数字の八に当てる。刀をつけて分(わける)となるので分の原字ともいえる。八は部首となる。
意味 (1)やっつ(八つ)。数の名。やたび。はちばんめ。「八度ハチド」「八番目ハチバンメ」「八景ハッケイ」「八日ようか」 (2)多くの。数の多いさま。「八重やえ」「八つ裂き」
参考 八は、部首「八はち」になる。八の意味を表すのでなく、下部が八の形をしている漢字を便宜的に分類しているにすぎない。主な字は以下のとおり。
 八ハチ・公コウ・六ロク・共キョウ・兵ヘイ・其・具・典テン・兼ケン
 これらの文字は、いずれも分解不可能な象形文字や会意文字で、本来、部首別に分類するのは無理な字。そこで漢字の下部に八のかたちがあるものを無理やり八部とした。部首は意味を表すという部首別分類の矛盾がここにあらわれている。このうち、公コウ・六ロク・共キョウ・其キ・具グ・典テン・兼ケンは、音符となり多くの音符家族字を作っている。

イメージ  「やっつ」(八)
      「ハの音」(叭)
音の変化  ハチ:八  ハ:叭

ハの音
 ハ  口部
解字 「口(くち)+八(ハ)」の形声。口から出るハの音。ハの発音を表す。
意味 「喇叭ラッパ」に用いられる字。喇叭とは、オランダ語roeperから来たといわれ、先が大きく開いている管に息を吹きいれ音を出す楽器をいう。「進軍喇叭シングンラッパ」「喇叭飲み」(瓶の口に直接口をつけて飲むこと)



    ブン <わける>
 ブン・フン・ブ・わける・わかれる・わかる・わかつ  刀部

解字 「八(左右にわかれる)+刀(かたな)」の会意。八は左右にわかれる形。これに刀を加え、二つに切り分けることを示し、分ける意味になる。
意味 (1)わける(分ける)。いくつかにわける。「分類ブンルイ」「分解ブンカイ」 (2)くばる。「分配ブンパイ」 (3)わかれる(分かれる)。ばらばらになる。「分散ブンサン」「分裂ブンレツ」 (4)物質の要素。「分子ブンシ」「成分セイブン」 (5)状態。程度。「気分キブン
イメージ 
 「わける」
(分・頒・貧・盆・躮)
 「細かく分かれる」(紛・雰・芬・枌・粉・扮)
 「同音代替」(忿)
音の変化  ブン:分  フン:紛・雰・芬・枌・粉・扮・忿  ハン:頒  ヒン:貧  ボン:盆  せがれ:躮

わける
 ハン・わける  頁部  
解字 「頁(あたま)+分(わける)」の会意形声。あたま数にわけること。斑ハン(まだら)に通じ、まだらの意もある。
意味 (1)わける(頒ける)。わけあたえる。広く行きわたらせる。「頒布ハンプ」(多くの人に配り分ける)「頒価ハンカ」(頒布する時の値段) (2)まだら。「頒白ハンバク」(しらが混じりの頭髪)
 ヒン・ビン・まずしい  貝部
解字 「貝(財貨)+分(わける)」の会意形声。財貨を分けてしまい、手元の財貨が少なくなるので、まずしい意味になる。
意味 (1)まずしい(貧しい)。みすぼらしい。「貧困ヒンコン」「貧民ヒンミン」「貧相ヒンソウ」 (2)たりない。劣る。「貧血ヒンケツ」「貧弱ヒンジャク
 ボン  皿部 
 陶盆 
解字 「皿(うつわ)+分(分れる)」の会意形声。上に分かれて開いたうつわ。皿は、ここでうつわ一般を表す。盆は底がせまく上にひろがる形のうつわ。日本では浅く平たい皿状のものもいう。
意味 (1)ぼん(盆)。上に開かれた形の容器。「盆栽ボンサイ」「盆地ボンチ」(盆のような地形) (2)[国]ぼん(盆)。浅く平たい、物を載せる道具。「角盆カクボン」(四角い盆) (3)[仏]梵語のullambanaウランバナの音訳字:盂蘭盆に使われる字。「盂蘭盆ウラボン」とは、先祖の霊を迎えて供養する行事。「盆踊り」(盂蘭盆に祖霊を迎え慰める踊り)
 <国字> せがれ  身部
解字 「身(からだ)+分(わかれる)」の会意。自分の身体から分かれた分身の意で、自分の息子をいう。
意味 せがれ(躮)。自分の息子を謙遜していう。倅ソツとも書く。

細かく分かれる
 フン・まぎれる・まぎらわす・まぎらわしい  糸部
解字 「糸(いと)+分(分散する)」の会意形声。糸があちこち分散し入りみだれること。
意味 (1)まぎれる(紛れる)。「紛失フンシツ」 (2)いりみだれる。「紛糾フンキュウ」「内紛ナイフン」「紛争フンソウ
 フン  雨部
解字 「雨(あめ)+分(細かくわかれる)」の会意形声。雨が細かくわかれて、できるきり。また、もや。転じて、あたりにただよう気配、その場の空気等の意となる。
意味 (1)きり。もや。 (2)き(気)。大気。気分。けはい。「雰囲気フンイキ
 フン・かおる  艸部
解字 「艸(草花)+分(細かくわかれる)」の会意形声。草花の香りが分散すること。
意味 かおる(芬る)。かおり。こうばしい。「芬芬フンプン」(よい香りがする)「芬芳フンポウ」(こうばしいにおい)「芬郁フンイク」(かおりの高いさま)
 フン・そぎ  木部
解字 「木(き)+分(細かくわける)」の会意形声。木を薄くそいだ板をいう。
意味 (1)[日]そぎ(枌)。木を薄くそいだ板。「枌板そぎいた」 (2)ニレの一種。樹皮が白い。「枌楡フンユ」(ニレ。枌も楡も、にれの意)
 フン・こ・こな  米部
解字 「米(こめ)+分(細かくする)」の会意形声。米などの穀類の実を細かく磨りつぶして粉にすること。また、できた粉をいう。
意味 (1)こ(粉)。こな(粉)。「粉末フンマツ」「胡粉ゴフン」(白色顔料) (2)粉にする。「粉骨砕身フンコツサイシン」(骨を粉にし身を砕くほど努力する) (3)粉のおしろい。「粉白フンパク」 (4)かざる。「粉飾フンショク」(①よくみせようとして装い飾る。②実情を隠して見かけをよくする)
 フン・ハン  扌部
解字 「扌(て)+分(=粉。おしろい)」の会意形声。手でおしろいをつけて化粧すること。転じて、身なりを飾ること。
意味 よそおう。かざる。「扮飾フンショク」(①身なりを飾る。②化粧する) 「扮装フンソウ」(ある人物に似せてよそおう)

同音代替
忿 フン・いかる  心部
解字 「心(こころ)+分(フン)」の形声。フンは憤フン(いきどおる)に通じ、心からいかること。
意味 いかる(忿る)。「忿然フンゼン」(=憤然)「忿怒フンヌ」(=憤怒)
<紫色は常用漢字>

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