漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「鬥トウ」 <二人がたたかう> と 「鬪トウ」「鬧ドウ」

2017年05月21日 | 漢字の音符
 トウ・たたかう  鬥たたかいがまえ        

解字 甲骨文は髪を振り乱した二人の人が手を出し合って闘うさま。篆文は向き合う二人(略体)の間に二つの手を入れたかたち。現代字は、向かい合う人⇒タテの二線、二つの手⇒王王に変化した鬥になった。意味は二人の人が、たたかうこと。
意味 たたかう(鬥う)。向かい合ってたたかう。あらそう。
参考 トウは部首「鬥たたかいがまえ」となる。文字の構えとなり、たたかう意味を表す。主な字は以下のとおり。
 鬨コウ・とき(鬥+音符「共キョウ
 キュウ・くじ(鬥+音符「キ・キュウ」)

イメージ
 「たたかう・あらそう」
 (鬥・鬧・鬪)
音の変化  トウ:鬥・鬪  ドウ:鬧

たたかう・あらそう
鬧[閙] ドウ・さわぐ・さわがしい  鬥たたかいがまえ
解字 「市(いちば)+鬥(たたかう・あらそう)」の会意形声。市場で人々があらそって買い物をする様子。鬥は部首になり、また音符となっている。閙ドウは鬥を門に変えた異体字。
意味 さわぐ(鬧ぐ)。さわがしい(鬧がしい)。さわがす。「鬧熱ドウネツ」(さわがしくにぎやかで活気があること)「鬧事ドウジ」(騒動。事件を起こす)
鬪[闘] トウ・たたかう  鬥たたかいがまえ
解字 「鬥(たたかう・あらそう)+豆(トウ)+寸」 の形声。鬥は二人がたたかう意。「豆(トウ)+寸」は、たかつきを持つ形だが発音だけ表わし、意味は鬥トウ(二人がたたかう姿)が示している。鬥は部首になり、また豆とともに音符ともなっている。新字体は、旧字の鬥⇒門に変わった闘になった。新字体は音符「豆トウ」に収録している。
意味 (1)たたかう(鬪う)。あらそう。「鬪争トウソウ」(=闘争)「鬪志トウシ」(=闘志) (2)たたかわせる。「鬪犬トウケン」(=闘犬)「鬪牛トウギュウ」(=闘牛)

            バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。




            
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漢字の分類(象形、指事、会意、形声、仮借)と音符  山本康喬

2017年05月19日 | 漢字音符研究会
第3回音符研究会 2017年5月13日    

テーマ  漢字の分類(象形、指事、会意、形声、仮借)と音符 
              ~音符は六書のどこから来ているのか~
講 師   山本康喬  『漢字音符字典』著者・漢字教育士

 私は漢字を音符で分類して、漢字の持つ問題点 すなわちその習得が大変困難である事を 解決する方法を開発したいと考えて活動しています。まず、漢字そのものを分類するものとして六書があります。その六書について実態を解明します。

1、六書とは
 紀元100年に許慎が「説文解字」を著し、そのなかで漢字が作られた方法を説き、六書を初めて紹介しました。
それは 象形 指事 会意 形声 転注 仮借です。それぞれの定義は後でのべますが、まず常用漢字(2136字)を六書で分類してみます。

   常用漢字(2136字)の六書別一覧
 六 書    字数    比率      備    考
 象 形   265字  12・4%  日 月 山 川 田 木 鳥 魚 九 など
 指 事    10字   0・5%  一 二 三 八 十 百 上 下 本 末 など
 会 意   530字  24・6%  解 安 定 家 官 など
 形 声  1312字  61・4%  江 河 など (字数がアップすると比率アップ)
 仮 借    13字   0・6%  四 五 六 七 我 今 昔 東 西 不 無 など 
 転 注 ?  なし          定義がハッキリせず不明
 国 字     6字   0・3%  込 峠 栃 匂 畑 枠
 合 計  2136字   100%

 最初に作られた漢字が象形文字です。目に見えるものの形をヒントに作られました。また、指事文字も少し遅れてですが同時に作られました。抽象的な概念を表す工夫をしました。次に作られたのが、二つ以上の字を組み合わせて作られた会意と形声字です。
 会意文字は二つ以上の字形を組み合わせ、その意味のまとまりから新たな意味を表した字です。牛と角に刀で解く、解剖するという意味を表します。この方法により多くの意味を表す字が工夫されました。会意文字は特に制約や規則は有りません。自由に組み合わせたらよいのです。その字の音も任意に決められました。音を決める方法や根拠は全く不明なので、音を推測する手がかりすらなく、学習する上で最も厄介です。解は会意文字の代表です。カイという音は牛、角、刀のどの音とも異なるので、兎に角憶えるのみです。

 形声文字は字形と音を表す音符と、字の意味の範疇を表す意符(部首)とを組み合わせて作られました。字が作られるはるか以前から身の回りのものは、呼び名がありました。この呼び名を表す音を持つ音符と部首を組み合わせると、誰にもわかりやすく、しかも呼び名をそのまま発音とする文字が出来ました。合理的な方法で作られたので、以後の漢字の主流となりました。
 形声文字は音符の音を用います。また字形も音符の字形が遺伝子のごとく引き継がれます。一つの音符から生まれた形声文字は、学習し記憶するのに便利であり、脳内に漢字を記憶し保持しておくのに基本の体系をなすので、多数の漢字を整理して記憶する手段として有用です。 常用漢字では形声文字が全体の61%、会意文字が26%を占めています。

 次に字を作る方法の一つに仮借があります。目に見えない抽象的な概念を表す方法として、既にある文字を借り、字形と音は同じですが、意味は抽象的な概念を表す字としました。形と音を他の字から借用するので仮借と名付けています。どういう字が仮借なのか、備考欄の字を憶えて下さい。
 その他に、わが国で作られた国字があります。訓のみで音はありません。これも数少ないので憶えてください。音は無いので音符で分類する方法では枠外の字です。転注は未だ何を表すのか不明の方法です。
 
2、音符と意符
 六書とは別に、漢字の働きを表す言葉に音符と意符(部首)というのがあります。皆さんは漢字を憶える際に部首を学びますので、大抵の漢字の部首は知っていますね。しかし、漢字の世界では意符という言葉がより正確に表現できるので用いられますが、大部分は部首と同じと思って下さい。

 音符という言葉は最近、私の「漢字音符字典」で用いましたので、少しは知られるようになりました。少し昔は音記号や声符とか、「声は」などと呼ばれ、学者先生により呼び方が違うことがありました。最近では大部分の先生が音符と呼んでいます。また数年前ぐらいから中学の国語教科書で音符の説明が載っています。しかし、ほとんどの大人は音符について学んでいません。馴染みがない言葉ですが、漢字を学ぶには今後非常に有用になるので要注意です。
 ここで1級対象漢字6445字(JIS第1、第2水準)の六書分類を見てみましょう。字数の( )内は常用漢字です。

    1級対象漢字6445字の六書別一覧
  六 書    字 数          比率  
  象 形   463字( 265字)  7・2%
  指 事    11字(  10字)  0・2%
  会 意   866字( 530字) 13・4%
  形 声  4934字(1312字) 76・5%
  仮 借    15字(  13字)  0・2%
  国 字   156字(   6字)  2・4%
  合 計  6445字(2136字)  100%

 字数を約3倍まで広げて六書別の字数を見てみると、象形文字は1・75倍で字数はあまり増加していません。象形文字はあまり作られておらず、その増加には限界があります。また、会意文字も1・6倍であり、象形文字と同じようにあまり増加していません。指事文字・仮借に至っては1~2字の増加にとどまり、ほとんど変わりません。
 一方形声文字は3・8倍となり、文字数の増加の割合(3倍)より更に多くなり、比率も76%を超えました。1万字以上の辞書で見てみると、形声字が80%を超えています。形声文字は意符と音符の組み合わせで作られるので、形声文字が3・8倍にもなったということは、音符の数が急増していることにほかなりません。
 なお、ここで注目すべきは国字の増加で26倍です。国字は日本で作られた字ですので音を持ちませから六書の範囲外になっていますが、ほとんどは会意の原理で作られていますので、国訓をもつ会意文字といえます。

3、音符とは何か、どこから来たか
 そこで、形声文字の増加を支えている音符とは何なのか、どこから来るのか考えてみましょう。 
 私の「漢字音符字典」で会意文字の見本といわれる 解 の字を引いてみましょう。

<音符> 解カイ・とく
 <形声文字> 廨カイ・役所  懈カイ・ケ・怠る  邂カイ・あう  蟹カイ・かに

 会意文字である解は、4個の形声文字において立派に音符として機能しています。会意文字が音符になったのです。
 また 連 の字も会意文字ですが、
<音符> 連レン・つらなる
 <形声文字> 蓮レン・はす  漣レン・さざなみ  縺レン・もつれ  鏈レン・くさり

 同様に会意文字の連は、4個の形声文字において音符の役割を果しています。

 このようにどんな字も、また文字要素であっても別の形声文字で音符としての働きをしている限り、音符になり得るのです。音符を持たない字から音符そのものに変身したのです。会意字として生まれた字が、音符という新たな機能を担った字に転換したのです。非表音字が表音文字に転化したともいえます。
 ここで1級対象漢字6445字を収録している「漢字音符字典」において音符となっている字の六書を調べました。

    漢字音符字典(6445字)の六書別音符数
  六 書    字数     比率   音符数 
  象 形   463字   7・2%   437字   
  指 事    11字   0・2%     7字 
  会 意   866字  13・4%   516字   
  形 声  4934字  76・5%   207字  
  仮 借    15字   0・2%    10字  
  国 字   156字   2・4%     0   
  合 計  6445字   100%  1177字  

 調べてみますと象形文字の内437字、会意文字の内516字が、見事に音符に変身しているのです。一つの音符を持たない字が音符そのものに変身して、新たな形声文字の誕生に貢献しているのです。漢字音符字典の1177字ほどの音符の内953字程は象形と会意字でした。象形文字は大部分が音符に転換しています。会意文字は60%ほどが音符に転換しています。音符を含んでいる形声文字も、さらにその一部が音符に転換しています。

 解や連は会意文字であると同時に音符なのです。音符かどうかを確かめるには、他の同じ音の漢字において音符の役割を果たしているかどうかです。一つでも形声文字があれば音符です。一般に一つの音符はせいぜい10数個程度の形声文字を作ります。同じ音の字はそう沢山は存在できないのです。

4、音符にならない字の扱い
 以上の分析により、六書分類された字のうち多くが音符となっていることが明らかになりました。では、音符と無関係な字とは、どんな字なのでしょうか?以下は「漢字音符字典」(1級対象漢字6445字)の音符以外の字を六書別に表にしたものです。

   漢字音符字典(1級対象漢字6445字)の音符以外の字(六書別)
  六 書    字数    比率    音符字   音符以外の字 
  象 形   463字   7・2%   437字     26字
  指 事    11字   0・2%     7字      4字
  会 意   866字  13・4%   516字    350字
  形 声  4934字  76・5%   207字   4727字
  仮 借    15字   0・2%    10字      5字
  国 字   156字   2・4%     0      156字
  合 計  6445字   100%  1177字   5268字(541)

 音符以外の字は、象形文字で26字、指事文字4字、会意文字350字、仮借文字5字、国字156字の合計541字あります。音符以外の字とは、音符と結びつきのない言わば孤独な字です。これらの541字は全体の8.3%になります。(なお、音符以外の字のうち形声文字は4727字ありますが、この字にはすでに音符が含まれていますので省きます。)
 私の「漢字音符字典」では、このうち会意文字については音符と字形が同じものは、便宜的にその音符に含めています。例えば、災サイは「巛(川)+火」の会意字ですが、音符「川セン」に含めています。これにより音符「川セン」には異質の発音であるサイが含まれています。
 同じように会意文字の原理からなる国字は、参考のためその字形を含む音符に含めています。例えば、音符「入ニュウ」には、込こ(む)・叺かます・魞えり・鳰にお、などです。あくまでも参考ですから色の薄いグレーの字にしています。(ただし、常用漢字は赤、準1級字は黒です)

 こうした処理により、音符と無関係の字は37字となり巻末に1級対象漢字として50音別に排列しています。また、国字は各音符にグレーの文字(ただし、常用漢字は赤、準1級字は黒)で挿入していますが、巻末に1級対象国字として107字を訓読みの50音順に排列しています。
 これらの方法は純粋な音符の視点から外れますが、音符と結びつきのない字を、できるだけ音符と関連づけることにより漢字の習得を容易にしたいと思うからです。将来的に、こうした字については音符グループのなかで、六書の所属を個別に明示したいと考えています。

5、終わりに~会意字と形声字の見分けについて
 本文の中で常用漢字および1級対象漢字(JIS第1、第2水準)の六書ごとの一覧表を掲載しました。この表を作成するにあたり最も厄介だったのは会意字と形声字の区分です。未だに、一部の字でその明確な区別がつきません。辞書別に相違がありどちらが真実なのかの判定がつかないからです。判断がつきにくい字については各辞書を参考にしたうえで独自に決めさせていただきました。極端に言えば学者先生の数だけ相違があり、いちいち対応しきれないと感じたからです。したがって一覧表の六書ごとの数字は必ずしも確定されたものでなく、今後、変動する可能性があることをお断りしておきます。
 これからも少しでも両者の正確な区別に努めますが、漢字を勉強する多くの方々にとって、ほんの一部の会意と形声の区別がそれほど重要だとは思いません。それより、漢字の習得が困難であるという問題を音符による学習で克服できる可能性を大事にしてゆきたいのです。   



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音符「黽ベン」<カエルなど>「縄ジョウ」と「亀キ」<かめ>

2017年05月15日 | 漢字の音符
 ベン・ビン・ボウ・ミョウ・ミン・メン・モウ  黽部おおがえる

解字  甲骨文字は、カエルを描いた象形といわれる。しかし原義での用法がなく、占卜に関する文字に使われ、吉凶を表す語(おそらく凶)や祭祀名に用いる[甲骨文字辞典]。また、カメにも似ており、後代にはこの字を部首とする黽部には、カエルやカメなど水と縁のある両生類や爬虫類である、「ア」(かえる)「ゴウ」(おおがめ)「ベツ」(スッポンやタイマイなどの亀)などが含まれる。
 音符となるとき、発音を利用した同音代替で使われる。新字体になるとき、黽 ⇒縄の右辺に変化する。
意味 (1)甲骨文で吉凶を表す語。 (2)あおがえる。「蛙黽アボウ」 (3)(ベンの発音が勉ベンに通じることから)つとめる。勉強する。

イメージ 
 「発音を表す文字」
(縄・蠅・竃)
音の変化  ジョウ:縄  ソウ:竃  ヨウ:蠅
 
発音を表す文字として
[繩] ジョウ・なわ  糸部  
解字 旧字は繩で「糸(ひも)+黽(ジョウ)」の形声。ジョウは定ジョウ(さだめる)に通じ、墨(すみ)のついたひもを弾いて線をつけて位置を定める細いなわをいう。太いものを索サクといい細いもの縄という。新字体は、繩⇒縄に変化。
意味 (1)なわ(縄)。よりなわ。「縄文ジョウモン」「縄張なわばり」「藁縄わらなわ」(わらで編んだ縄) (2)すみなわ。大工が線を引くのに用いる墨のついた縄。「縄墨ジョウボク
蠅[蝿] ヨウ・はえ  虫部  
解字 「虫(むし)+黽(ヨウ)」の形声。ヨウは揺ヨウ(ゆれる)に通じ、空中をゆれるようにあちこち飛び回るハエをいう。新字体に準じた、蠅⇒蝿も使われる。
意味 はえ(蠅)。ハエや近縁の昆虫の総称。「青蠅セイヨウ・あおばえ」「蒼蠅ソウヨウ・あおばえ」(体が青黒いイエバエ科の大形のハエ。うるさくつきまとう者をののしって言う)「蠅帳はいちょう」(食卓の上をおおう蚊帳状のもの)「蠅集ヨウシュウ」(はえのように群がり集まる)
竈[竃] ソウ・かまど  穴部  
解字 「穴(あな)+土(つち)+黽(ソウ)」の会意。土に穴があいている土製のかまどをいい(会意)、ソウは会意の発音をあらわす。新字体に準じたが用いられることが多い。
 土のかまど
意味 (1)かまど()。へっつい。物を煮炊きする設備。「塩しおがま」(海水を煮て塩を製するかまど)「ソウシン」(かまど神) (2)姓。「かまど」「門炭治郎かまどたんじろう」(漫画「鬼滅の刃」の主人公)


     キ <かめ>
[龜] キ・キュウ・かめ  亀部

解字 カメを描いた象形。旧字までは亀の絵を見るような見事な象形である。新字体は旧字の龜⇒亀に変化した。亀は、黽ベンの新字体の上にクをつけた形。亀は長寿を保つめでたい動物とされる。また、未来を予知する能力があるとされ、亀のお腹の甲羅を用いて占いが行なわれた。亀には占いに関する言葉や、甲羅が区画された模様をしているため、ひび割れるなどの意味がある。
 亀は象形文字のため部首になっているが、亀部に属する字は極めて少なく、また、ポピュラーな字はない。
意味 (1)かめ(亀)。かめの甲。「亀甲キッコウ」(かめの甲羅)「亀卜キボク」(かめの甲羅を焼いておこなう占い) (2)ひび。あかぎれ。「亀裂キレツ」「亀手キシュ」(あかぎれの手)
参考 亀は部首「亀(龜)かめ」になる。この部首の字は非常に少なく、亀・龜、以外にベツ(=。すっぽん)があるくらい。

イメージ
 「かめ」
(亀)
 「同音代替」

 キュウ・くじ  鬥部たたかいがまえ
解字 「鬥(たたかう)+龜(キュウ)」の形声。キュウは糾キュウ(あざなう・よじりあわせる)に通じる。後漢の字書『説文解字』に、「鬥(たたか)い取るなり。読みて三合縄糾の若(ごと)くす」とある。この文をもとに「くじ」の成り立ちを想像してみると以下のようになる。
 三合縄糾サンゴウジョウキュウとは、三本の縄をよりあわせること。これに鬥(たたかう)がついたキュウは、1本の先に印をつけた3本の縄をよりあわせると、その途中で3人がそれぞれの端をもち引っ張り、よりを戻してゆく。そして最後に印のある縄を引いたものが当たりになる。よってキュウは、「くじ」の意味になると思われる。
意味 (1)くじ()。当たりを分からないようにしておき、任意に引かせて当たり外れを決めること。籤センとも書く。「鬮戯キュウギ」(くじあそび)「鬮定キュウテイ」(くじで決める)「(くじ)を引く」 (2)たたかいとる。あらそう。
<紫色は常用漢字>

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京都大学講義 「中国文字文化論 全14回」 教授 阿辻哲次

2017年05月03日 | 書評
 京都大学の講義「中国文字文化論 全14回」が昨年(2016)11月にユーチューブにアップされた。これは2013年の前期講義(全学共通科目)として京都大学教授の阿辻哲次氏が4月18日~7月25日の間、14回にわたって行われた講義を公開したもの。

 阿辻先生は漢字学の泰斗であり、漢字に関する多くの書籍を出版されている。私も、初期の研究書である『漢字学―『説文解字』の世界』(東海大学出版会、1985)、『図説 漢字の歴史』(大修館書店、1989)から始まり、教養書である『漢字の字源』(講談社現代新書、1994)、『部首のはなし』(中公新書、2004)『部首のはなし<2>』(中公新書、2006)、『近くて遠い中国語―日本人のカンちがい』(中公新書、2006)、それに近年の著作である『戦後日本漢字史』(新潮選書、2010)まで、多くの著書を読んで参考にさせていただいた。

 この碩学が大学で講義しておられる様子を見る事ができる。私は期待して視聴した。1回が約1時間30分の講義である。かなり長いが、本に例えると1章くらいの内容である。回の内容によっては、先生の著書を読んでいるので分かったつもりでいたが、実際に視聴してみると先生のしっかりとした話しぶりに改めて感心した。その内容は先生が中国で収集した資料や写真、また現地で売っていた実物のミニチュア製品などを材料に、体験談も交えて漢字を総合的な角度から語る姿には、本を読む以上の説得力を感じた。この講義をブログで紹介したのは、こうした形でまとめておいて私自身も、あとで何回も見たいからである。

 なお阿辻哲次教授は、今年(2017年)3月末で京都大学を退職された。その時の講義である、京都大学 2016年度退職教員最終講義 阿辻 哲次 教授「電子時代の漢字研究」(2017年3月15日)が、ユーチューブにアップされているので、これも併せて最後に追加させていただいた。

 
          ユーチューブの画面

第1回 漢字の特徴 2013年4月18日
https://www.youtube.com/watch?v=-5A1-xqeN7A

第2回 漢字の起源をめぐって 2013年4月25日
https://www.youtube.com/watch?v=qIwIvCCP7Bw

第3回 甲骨文字の世界 2013年5月9日   
https://www.youtube.com/watch?v=cm5zz1BoZ8M&t=228s

第4回 青銅器の銘文-金文について 2013年5月16日
https://www.youtube.com/watch?v=C0e7TJwgEKA

第5回 春秋戦国時代の文字文化 2013年5月23日
https://www.youtube.com/watch?v=8XLZhzT4sv0

第6回 始皇帝の統一帝国と漢字 2013年5月30日
https://www.youtube.com/watch?v=pCdWn_5kwZU

第7回 さまざまな書写材料 2013年6月6日
https://www.youtube.com/watch?v=JuzPTwV3n0Y

第8回 漢字の学習・教育・研究 2013年6月13日
https://www.youtube.com/watch?v=eFgaelwN_lA

第9回 儒教と漢字 2013年6月20日
https://www.youtube.com/watch?v=eBRrTfr-OZs

第10回 規範と審美一科挙と書道藝術 2013年6月27日
https://www.youtube.com/watch?v=SVL-Q9WlZww

第11回 印刷のはじまり 2013年7月4日
https://www.youtube.com/watch?v=oLjfdk2fRuY

第12回 日本への漢字の伝来 2013年7月11日
https://www.youtube.com/watch?v=cqt-mlkmoZE

第13回 中国の文字革命 2013年7月18日
https://www.youtube.com/watch?v=bxWd9I13wJs

第14回 現代日本の漢字文化 2013年7月25日
https://www.youtube.com/watch?v=k_VcLL4DAq4

京都大学 2016年度退職教員最終講義
阿辻 哲次 教授「電子時代の漢字研究」2017年3月15日
https://www.youtube.com/watch?v=A3FOIkyep2I

 
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第3回漢字音符研究会のお知らせ

2017年05月01日 | 漢字音符研究会
            第3回漢字音符研究会のお知らせ

日 時 2017年5月13日(土) 10時30分~12時
会 場 喫茶ほっとはあと 京都市中京区西大路御池北西角  地下鉄東西線「西大路御池」下車すぐ
    http://www.kyoto-hotheart.jp/cafe/shops/oike/

講 師  山本康喬氏  『漢字音符字典』著者・漢字教育士
テーマ  六書(象形・指示・会意・形声・仮借・転注)と音符の関係

 私は漢字を音符で分類して、漢字の持つ問題点(すなわちその習得が大変困難である事)を解決する方法を開発したいと考えて活動しています。
 漢字そのものを分類するものとして六書があります。六書とは、象形・指示・会意・形声・仮借・転注で、漢字の成り立ちの原理です。一方、私が漢字習得に役立つものとして提唱する音符は、六書とは別の系列の原理です。
 音符とは何なのか、どこからきたのか、どのくらいの数の音符があるのか。などを六書とのかかわりの中で説明してその本質に迫りたいと思います。ただし音符についての資料文献が少ないので十分な調査ができるかどうか、がんばります。

参加費  300円(資料代を含む) ※飲み物は各自、別途注文してください。
参加申込  コピー資料作成の都合がありますので、事前に下記へお申し込みください。
          電話 072-627-0271(石沢誠司)
          メール seijiishizawa@yahoo.co.jp
  
 

   第4回予定
日 時 2017年7月8日(土) 10時30分~12時
会 場 喫茶ほっとはあと 京都市中京区西大路御池北西角  地下鉄東西線「西大路御池」下車すぐ
講 師  石沢誠司氏  ブログ「漢字の音符」編集者
テーマ  部首と音符の関係について
 音符を簡単に説明する方法として「部首(偏など)を除いた残りの部分(旁つくりなど)が音符であることが多い」という言い方をします。この説明は多くの音符に当てはまります。ほとんどの音符が部首と組み合わさって形声文字、また会意文字を作るのが代表的な形です。
 しかし、音符と部首の関係を見てゆくと、(1)部首となる漢字も音符になったり、(2)音符にも必ず部首があるという関係があることが分かります。たとえば、部首となる山サン・センには、仙セン、疝セン・サンなど山が音符となる字があります。山本康喬編著『漢字音符字典』には、部首となる音符は横に印がついていますが、それを数えると166字になります。部首は約220ありますので、部首の75%が音符にもなっているわけです。
 また、音符にはかならず部首があります。これは、すべての漢字をいずれかの部首に組み込んでいるからです。このため多くの音符が、部首=意符とは無縁の肩身の狭い部首に押し込まれていますが、この点についても触れたいと思います。
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