漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符 「奞シュン」<とびたつ> と「奮フン」「奪ダツ」

2016年06月29日 | 漢字の音符
 シュン・スイ  大部

解字 「大(おおきく)+隹(とり)」の会意。隹がつばさを大きくひろげ飛び立つこと。
意味 はばたく。羽を張る。

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 「とびたつ」
 (奮・奪)
音の変化  フン:奮  ダツ:奪

とびたつ
 フン・ふるう  大部
解字 「田(た)+奞シュン(とびたつ)」の会意。隹(とり)が田からつばさをひろげ飛び立つこと。はばたく・とびたつ意。また、人に移して、勇み立つ・ふるいたつ意となる。部首は大部になっているので注意。
意味 (1)はばたく。とぶ。「奮飛フンヒ」(強くはばたいて飛ぶ)(2)ふるう(奮う)。ふるいたつ。いさむ。勇み立つ。「奮闘フントウ」「奮起フンキ」(気力を奮い起こす)「興奮コウフン」(感情がたかまる)
 ダツ・うばう  大部
解字 「寸(て)+奞シュン(とびたつ)」の会意。羽をひろげて飛び立とうとする隹(とり)を寸(て)でつかむこと。隹をうばう意となる。部首は大部になっているので注意。
意味 うばう(奪う)。うばいとる。「奪取ダッシュ」(奪い取る)「争奪ソウダツ」(奪い争う)「奪回ダッカイ」(奪いかえす)「奪胎ダッタイ」(胎児[おなかの子]を奪って育てる。転じて、①詩文を作るのに,先人の作品の語句や形式を換えて、独自の意味内容を付与すること。②他人の作品を作りかえて、自分の作品のように見せかける。=換骨奪胎カンコツダッタイ
<紫色は常用漢字>

 バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。



音符「雋シュン」と「儁シュン」「鐫セン」

雋 シュン・セン・すぐれる 

解字 金文は隹(とり)が脚を出して飛翔するさま。(しかし隹が飛翔するときは脚を後ろにまっすぐ伸ばすので、脚を出すのは着地の準備をしている形である。)。篆文は隹の下が弓を下向きにした形に変化したので、[説文解字]は「肥肉也(なり)。弓に従う、所以(だから)隹を射る」と解釈して「弓で隹(鳥)を射た肥肉(肥えた肉)」とする。現代字は雋となり、俊シュンに通じ、すぐれる意味で用いられる。
意味 (1)鳥の肥肉。鳥の肉が肥えてうまいさま。「雋永センエイ」(①肥えてうまい肉。②詩文が味わい深いさま) (2)すぐれる(雋れる)。「雋朗シュンロウ」(才知にすぐれ明敏なさま)「雋乂シュンガイ」(=俊乂シュンガイ。すぐれた人。「乂」は賢い意 )(3)姓のひとつ。

イメージ
 「すぐれる」(雋・儁)
 「形声字」(鐫)

すぐれる
儁 シュン シュン・すぐれる  イ部
解字 「イ(ひと)+雋(シュン)」の形声。シュンは俊シュンに通じて、すぐれる意があり、イ(ひと)がついた儁シュンはすぐれた人の意。
意味 (1)すぐれた人。「儁傑シュンケツ」(儁も傑も、すぐれる意)「儁異シュンイ」(才知がすぐれていて普通の人と異なる人)(2)すぐれる(儁れる)。まさる。「儁逸シュンイツ」(とりわけすぐれていること。=俊逸)「儁秀シュンシュウ」(=俊秀)

形声字
鐫 セン・のみ・ほる  金部
解字 「金(金属)+雋(シュン⇒セン)」の形声。[説文解字]は「木を穿(うが)つ鐫セン也(なり)」とし金属製の鐫(のみ)をいう。また、「金に従い雋センの聲(声)。一に曰く石を琢(たた)く也(なり)」と石を加工する工具ともする。
(1)のみ(鐫)。穴をあける工具。(2)ほる(鐫る)。える。ほりつける。うがつ。「鐫刻センコク」(3)ひき下げる。しりぞける。「鐫黜センチュツ」(しりぞけられる。黜はしりぞける意)(4)いましめる。忠告を与える。「鐫喩センユ」(深く教えさとす)

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   Goo システムメンテナンスの結果は?

2016年06月25日 | 日記
 2016年6月14日(火)午前、突然、Gooブログの閲覧・更新ができなくなった。
 画面には「 Gooブログサービス停止を伴うシステムメンテナンスのお知らせ」とあり、「お客様にサービスをより快適にご利用いただくためのメンテナンスを実施しています」とのこと。
 当初、【実施時間】が6月14日(火) 0:00~12:00 (予定)となっていたので、午後1時すぎに閲覧したところ、さらに「誠に申し訳ありませんが、本メンテナンスにつきまして、14時(予定)まで延長させて頂くこととなりました。」とあって、まだ閲覧できない。
 結局、13時45分ごろにメンテナンスは完了したそうだが、私は午後4時すぎに閲覧したので、この日は朝から午後のほとんどをGoo ブログにアクセスできなかった。

「氵さんずい」「疒やまいだれ」「扌てへん」などの部首が直接表示できた 
 これほど時間をかけてGooはどんなサービスを向上させたのだろうか?
 翌日、ブログを更新していて気のついたことがある。まず数字のフォントが以前と異なったものになっていた。少し違和感があったが、そうたいした問題ではない。
 次に気がついたのは原稿を入れてからプレビユー画面を出したとき、いつも置き換え作業をしている特殊な文字、たとえば「氵さんずい」や「疒やまいだれ」「扌てへん」などの部首が、置き換えが済んでいないにもかかわらず、ちゃんと表示されていたことである。さらに、置き換え作業をしても変換できなかった「辶・辶しんにゅう」も出る。(私はこれまで之で代用してきた。しかし、これを辶に置き換えるのは大変だからする予定はない)

 これまでネットの画面にでない特殊な文字は、Xiuyin というサイトで数値文字に変換してから入力していた。このサイトには大変お世話になったが、今回、その置き換えが不必要になったのである。これは私にとって飛び上がるほど嬉しいことだった。
 なぜかというと、数値文字による変換は、永久のものでないからである。一旦ブログに文章を掲載してアップしてから、次にその内容を修正しようと再度ページを開くと、その途端に数値文字変換は無効になり、元の特殊文字にもどってしまうのである。
 だから、ページをアップしたあとで、ちょっとした間違いを見つけても、あの数値文字変換の作業を考えると、修正する気が起こらず、そのままにしておくことが多かった。今回、その変換作業が無くなったのだ。

JIS第三水準・第四水準の漢字もそのまま出る
 それに加え、さらに判明したのは、部首などの特殊文字だけでなく、普段使われることが少なくインターネットで文字化けしてしまうJIS第三水準・第四水準の漢字も、そのまま出るではないか(全部確認したわけではないが)。
 例えば、イン(均・鈞の音符字)、エン(怨・宛・婉・腕・鴛などの音符字)、カク(確・鶴の音符字)など、音符となる字は、文中で何回も使うから変換作業の手間がかからず本当に助かる。

 これまでの私は、このいわゆる拡張文字を使うたびに発音順に一覧表にして保存し、次に使うときの資料としてきた。「ユニコードとHTML一覧表」として収録してきた漢字は、約500字にのぼる。今後、この一覧表を使うことなく、ワードで打ち込んだ文字はそのままネットに表示されるのである。こんなにうれしいことがあろうか。
 私のブログ「漢字の音符」は、常に追加修正をくりかえしているが、この作業が格段に便利になった。この与えられた環境を生かしてよりよい内容のブログにしてゆきたいと思う。

中国簡体字もそのまま表示
 最後に試してみたら中国簡体字もそのまま表示されることが分かった。
 你好(こんにちは)  学习(学習)  飞机(飛行機)  马路(馬路:大通り)
 出る出る! 日本語と混ぜても大丈夫。今後、見出し漢字の横に参考として簡体字を配置することも可能だ。いろいろ可能性が拡がる。

 今回のシステムメンテナンス、私にとって大変有益でした。拡張文字を使う多くの利用者の方々にとっても同じだと思います。Gooのみなさま、ありがとうございます。感謝。



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音符 「年ネン」<穀物のみのり> と 「禿トク」<頭のはげた人>

2016年06月20日 | 漢字の音符
 ネンと禿トクは成り立ちが 「禾(こくもつ)+人(儿)」 で同じ文字。どうして形と意味がこんなに違ってしまったのか? 同じ構造の秀も参考にしながら、その秘密を解き明かしてみました。

 ネン・とし  干部

解字 「禾(こくもつ)+人(ひと)」 の会意。甲骨文は、人が実った穀物を肩または頭上にのせている形で、穀物を収穫して運んでいるさま。穀物がみのる意を表わす。また、穀物の収穫は年に一度であるので一年の意となる。金文で人の下部に肥点がつき、篆文で一(一度の意)をつけ年一度の収穫を表した形から現在の字が出来あがった。
意味 (1)みのる。穀物のみのり。「祈年祭キネンサイ」(五穀の豊穣と国の安寧などを祈る祭り) (2)とし(年)。一年。「年俸ネンポウ」「新年シンネン」 (3)よわい。年齢。「老年ロウネン」「少年ショウネン


     禿 トク <頭のはげた人>
禿 トク・はげ・はげる・ちびる・かむろ  禾部
 上は秀シュウ、下が禿トク
解字 秀シュウと禿トクは、篆文において「禾(穀物の実ったかたち)+人の変形」であり、字の成り立ちは同じ。しかし、両者は禾の解釈によって異なった字となった。禾は、粟(あわ)などの穀物が実り、穂がたれているかたちで、それに人をつけた秀は、穀物が実るように頭が充実しているすぐれた人の意となった。音符「秀シュウ」を参照。
  一方、禾は粟のような丸くつるつるした穀粒がみのったかたちでもあり、それに人をつけた禿トクは、つるつるしたまるい実のような頭の人⇒頭のはげた人の意となった。現代字は下部の、人⇒乃に変化した秀と、人⇒儿に変化した禿になった。
意味 (1)はげ(禿)。はげる(禿げる)。頭髪がない。山に樹木がない。「禿頭トクトウ・はげあたま」「禿山はげやま」 (2)ちびる(禿びる)。先がすりきれる。「禿筆トクヒツ・ちびふで」(先のすりきれた筆) (3)[国]かむろ(禿)。かぶろ。髪を短く切りそろえた昔の童子の髪型。

イメージ  「頭髪がない」 (禿・頽)
音の変化  トク:禿  タイ:頽

頭髪がない
頽[禿頁(正字) タイ・くずれる  頁部
解字 正字は、「頁(あたま)+禿(頭髪がない)」 の会意。頁ケツは人の頭部を表す字。正字は頭に頭髪がない人、老境にさしかかり頭髪がなくなった人を意味し、おとろえるさまをいう。転じて、すたれる・くずれる意となる。頽は異体字だが、こちらが通用している。常用漢字でないため、「退」に書き換えることがある。
意味 (1)おとろえる。すたれる。「頽齢タイレイ」(老いおとろえた年齢)「衰頽スイタイ」(おとろえること。=衰退)「頽廃タイハイ」(おとろえすたれる。=退廃) (2)くずれる(頽れる)。こわれ落ちる。「頽唐タイトウ」(くずれ落ちる。勢力がおとろえる。道徳が乱れる)
<紫色は常用漢字>

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