漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符 「同ドウ」 <まるい筒形の容器>

2013年11月29日 | 漢字の音符
 ドウ・おなじ  口部 

解字 甲骨文・金文は「凡(盤=容器)+口(まるい口)」の会意。凡は甲骨・金文の形から板製の角ばった水槽などの象形と考えられ、容器の意。これに口のついた同は、まるい筒型の容器で、酒器・酒杯を表わす。酒杯の酒を大地にかけて清め、また、集まった者同士が酒杯を交わして一体となる儀礼に用いる。この儀礼の参加者が合一して一体となるのが原義。一体となることから、同じ・ひとしい意となった[参考:字統]。同を音符に含む字は、同が筒型の酒器であることから、「筒の形」「穴があく」イメージがある。
意味 (1)おなじ(同じ)。ひとしい。「同一ドウイツ」「同窓ドウソウ」 (2)ともにする。一緒に。「共同キョウドウ」「同伴ドウハン」 (3)あつまる。「会同カイドウ」 (4)さかずき。

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 「同じ・同一」
(同・銅)
 同が筒型の酒器であることから「つつの形」(筒・胴)
 筒型の酒器は「穴があいている」(洞・桐・恫)
音の変化  ドウ:同・胴・洞・銅・恫  トウ:筒・桐 

同じ・同一
 ドウ・あかがね  金部
解字 「金(黄金)+同(同じ)」の会意形声。金は当初、銅(青銅)の意味で使われた。青銅(銅と錫の合金)は本来、淡い金色をしており当時の最高級の金属原料であった。のち、鉄や金銀の加工技術が普及し、「金」は、金属の総称、また黄金を指して使われるようになったので、銅を表すため金に同をつけた銅が作られた。意味は、黄金と同じような色をしている銅(青銅)を表す。多くの銅鉱石は錫を同時に含むので自然に青銅が得られた。のち、精錬技術が発展し純度の高い銅がつくられると、あかがねと呼ばれるようになった。[甲骨文字小字典]
意味 どう(銅)。あかがね(銅)。「銅貨ドウカ」「銅銭ドウセン」「銅鐸ドウタク」「赤銅シャクドウ
※こがね(黄金)・しろがね(白金=銀)・くろがね(鉄)・あかがね(銅)
 
つつの形
 トウ・つつ  竹部
解字 「竹+同(つつの形)」の会意形声。中が中空になっている竹のつつ。
意味 (1)竹のくだ。「竹筒たけづつ」 (2)中がうつろの円柱。「水筒スイトウ」「煙筒エントウ」(=煙突) (3)[国]つつ(筒)。銃身または砲身。鉄砲または大砲。「大筒おおづつ
 ドウ  月部にく
解字 「月(からだ)+同(つつの形)」の会意形声。身体の筒のかたちの部分。
意味 (1)首・手足を除いた体の中央の部分。「胴体ドウタイ」「胴上(どうあ)げ」 (2)物の中央の太い部分。物事の中央。「胴元ドウもと

穴があいている
 ドウ・ほら  氵部
解字 「氵(水)+同(穴があいている)」の会意形声。水が大地の中を流れて造りだした穴。
意味 (1)ほら(洞)。ほら穴。「洞窟ドウクツ」「洞穴ドウケツ」「空洞クウドウ」 (2)つらぬく。見とおす。「洞察ドウサツ
 トウ・ドウ・きり  木部
中心に穴があいている桐丸太
解字 「木(き)+同(穴がある)」の会意形声。幹の中心部に穴があき空洞となる木。桐の木の中心部は必ず穴があいて空洞となっている。
意味 (1)きり(桐)。ゴマノハグサ科の落葉高木。成長が早く材は軽い。湿気を通さず、割れや狂いが少ないという特徴があり、家具などの木材として重宝される。「桐箪笥きりダンス」「桐油トウユ」(アブラギリの種からとる油)「桐花紋トウカモン」(桐の花を意匠化した家紋) (2)あおぎり。
 ドウ・トウ  忄部
解字 「忄(こころ)+同(穴があく)」の会意形声。心に穴があくような状態。心が痛んだり、おそれること。
意味 (1)いたむ。心がいたむ。「恫痛ドウツウ」(かなしみいたむ) (2)おそれる。「恫疑ドウギ」(おそれて疑う) (3)おどす。おどかす。「恫喝ドウカツ」(おどして恐れさせる)
<紫色は常用漢字>

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音符 「即ソク」 <ご馳走の前にひざまずく>

2013年11月25日 | 漢字の音符
[卽] ソク・すなわち・つく  卩部ふしづくり

解字 古代文字はご馳走を盛った器の前に人がひざまずく形。旧字は 「皀キュウ(ご馳走を盛った器)+卩セツ(ひざまずいた人)」の会意。ご馳走を盛った器の前にひざまずく、つまり食事の席に「つく」こと。「すぐに」の意は、即座(席につくとすぐに)からくる。新字体は、旧字の卽⇒即へ変化する。
意味 (1)つく(即く)。地位や位置につく。「即位ソクイ」 (2)すぐに。ただちに。「即興ソッキョウ」(その場ですぐに詩歌などを作る)「即時ソクジ」 (3)すなわち(即ち)。「色即是空シキソクゼクウ」(色とは即ち空なり)

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 ご馳走の前に「ひざまずく」(即・節)
 「くぎり(節)」(櫛)
音の変化  ソク:即  セツ:節  シツ:櫛

ひざまずく
 セツ・セチ・ふし  竹部
解字 「竹+即(ひざまずく)」 の会意形声。ひざを折って折り目がついたように、竹の茎に出ている折り目のようなふし。
意味 (1)ふし(節)。竹のふし。身体のふし。つなぎめ。「関節カンセツ」 (2)くぎり。「音節オンセツ」(ひとまとまりに発音される最小単位)「文節ブンセツ」 (3)とき。おり。気候の変わり目「時節ジセツ」「節句セック」「季節キセツ」 (4)ほどよい。ひかえめ。「節制セッセイ」「節度セツド」 (5)しるし。割符。節のある竹の左右に同じ文章を書き、竹を割って双方がもち、後に節を合わせることにより証とする。「符節フセツ」(符も節も割符の意)「使節シセツ」(割符を持って行く使い)

くぎり(節) 
櫛[櫛󠄁] シツ・くし  木部
解字 「木(き)+節(くぎり)」の会意形声。木に一定の間隔でくぎりとなる刻み目をたくさん入れたクシ。櫛の中の食は、旧字の食へんの変化した形。新字体に準じた櫛󠄁も可。
意味 (1)くし(櫛)。くしけずる。髪をすいたり、髪飾りにつかう結髪具。木・竹・べっ甲・象牙などで作る。「櫛笥くしげ」(櫛などを入れる箱)「櫛風沐雨シップウモクウ」(風が髪をくしけずり、雨が体をあらう意。非常に苦労すること) (2)くしの歯のように並ぶ。「櫛比シッピ」(隙間なく並ぶ)「櫛比シッピする家々」(隙間なくならぶ家々)
<紫色は常用漢字>

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音符 「唐トウ」 <つきかためる・かたい>

2013年11月22日 | 漢字の音符
 トウ・から  口部                  

解字 篆文は、「口(場所)+庚コウ」 の会意。部首は口。コウ は、十干の「かのえ」に仮借カシャ(当て字)されているが、元の意味は、キネ状のものを両手で持ち上げて搗く意。それに口(場所)を加えた唐は、ある場所を搗き固める意で、塘トウ(つき固めた堤)の原字。しかし、もとの意味でなく中国の王朝名として用いられる。また、蕩トウ(思うまま)に通じ、荒唐という熟語で、大きなことを言う意味ともなる。字体は隷書レイショ(漢代の役人などが主に使用した字体)から大きく変り、現代字はさらに変化した唐になった。唐を音符に含む字は、「つきかためる」「かたい」イメージを持つ。
意味 (1)中国の王朝名。「遣唐使ケントウシ」「唐三彩トウサンサイ」 (2)から(唐)。もろこし。むかし中国を指して言ったことば。 (3)大言。ほら。「荒唐コウトウ」 (4)だしぬけ。「唐突トウトツ

イメージ  「つきかためる」 (唐・塘)
       つきかためて 「かたい」 (糖)
音の変化  トウ:唐・塘・糖

つきかためる
 トウ・つつみ  土部
解字 「土(つち)+唐(つきかためる)」 の会意形声。土を搗きかためること。溝を掘り、出た土を左右に積み上げ突き固めてできる堤。溝に水がたまると池になる。池は日本では庭園の池のイメージが強いが、本来は人工的な堀をいう。
意味 (1)つつみ(塘)。どて。「堤塘テイトウ」(つつみ)「池塘チトウ」(池のつつみ。池) (2)いけ。ためいけ。

かたい
 トウ・あめ  米部
解字 「米(こめ)+唐(かたい)」 の会意形声。米などを発芽させて作る飴(あめ)のうち、固いあめをいう。中国では、固いあめを糖トウ、水あめなどのやわらかいあめを飴と使い分ける。のち、砂糖の意味になった。
意味 (1)あめ(糖)。 (2)さとう。「砂糖サトウ」「糖衣錠トイウジョウ」(糖で外側を包んだ錠剤) (3)甘みのある炭水化物。「糖分トウブン」「血糖ケットウ」「糖尿トウニョウ
<紫色は常用漢字>

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音符 「台ダイ」 <スキで大地を起こし始める>

2013年11月15日 | 漢字の音符
 ダイ・タイ・イ    口部           

解字 「ム(スキ)+口サイ」の会意。ムは大地を耕すスキ、口は神に祈る言葉を入れる器。台はスキを祓い清めて豊作を祈る儀礼。生産を始めるときの儀礼である[字統]。台を音符に含む字は、スキで生産を始める意から、「行動をはじめる・きざす」また、スキで大地を掘り起こして柔らかくする意から「やわらかい」イメージを持つ。※高台の意の「台」と同じ形だが意味が違う。
[臺] ダイ・タイ  口部                

解字 篆文は、「高の変形の上部(高い)+至(いたる)」 の会意。高い建物に至る、即ち、丘の上のうてな・高殿の意。新字体は、この字を発音が同じ「台」に置き換えた。
意味 (1)うてな。高い建物。「灯台トウダイ」「楼台ロウダイ」 (2)高く平らな土地「台地ダイチ」「高台たかだい」 (3)物を乗せたり、人が上ったりするもの。「舞台ブタイ」「寝台シンダイ」 (4)仕事などのもとになるもの。「台帳ダイチョウ」「台本ダイホン

イメージ  の略字である「うてな・高殿」、生産を始める儀礼から「行動をはじめる・きざす」、スキで大地を掘り起こす事から「やわらかい」イメージがある。
  「うてな・高殿」(台)
  「行動をはじめる・きざす」(胎・始・颱・殆)
  「やわらかい」(怠・怡・駘・冶・苔・飴)
  「同音代替」(治)
音の変化  ダイ:台  タイ:胎・殆・怠・駘・苔・颱  イ:怡・飴  
      シ:始  チ・ジ:治  ヤ:冶 
 
行動をはじめる・きざす
 タイ・はらむ  月部にく
解字 「月(からだ)+台(行動をはじめる・きざす)」 の会意形声。身体の中で赤子が動き始めること。
意味 (1)みごもる。はらむ(胎む)。「受胎ジュタイ」「胎児タイジ」 (2)子の宿るところ。「胎盤タイバン」「母胎ボタイ
 シ・はじめる・はじまる  女部
解字 「女+台(行動をはじめる・きざす)」 の会意。女の腹の中でみずから動き始めた生命の意。意味は胎と同じだが、胎は胎児の意に、始は始めの意に用いる。
意味 (1)はじめる(始める)。はじまる(始まる)。「開始カイシ」「始動シドウ」「年始ネンシ」 (2)物事のおこり。「始祖シソ
 タイ  風部
解字 「風+台(行動をはじめる)」 の会意形声。台風を一つにした字。みずから行動をはじめて進んでゆく風。
意味 たいふう(颱風)。台風。海上に発生して島や陸地を襲う竜巻状の暴風雨。
 タイ・あやうい・ほとんど  歹部
解字 「歹(死)+台(きざす)」  の会意形声。死のきざしがすること。
意味 (1)あやうい(殆うい)。危険。あやうくする。「危殆キタイ」(非常にあぶないこと)「疑殆ギタイ」(疑いおそれる) (2)ほとんど(殆ど)。おそらく。きっと。

やわらかい
 タイ・おこたる・なまける  心部
解字 「心+台(やわらかい⇒だらけた)」 の会意形声。だらけた心。
意味 おこたる(怠る)。なまける(怠ける)。たるむ。「怠惰タイダ」「怠慢タイマン」「怠業タイギョウ」(ストライキ)
 イ・よろこぶ  忄部
解字 「忄(心)+台(やわらかい)」の会意形声。こころがやわらぐこと。心がなごみ楽しむこと。
意味 やわらぐ。よろこぶ(怡ぶ)。「怡顔イガン」(やわらいだ顔つき)「怡怡イイ」(なごやかに楽しむさま)「怡悦イエツ」(楽しみ喜ぶ)
 タイ・ダイ  馬部
解字 「馬+台(=怡。やわらぐ)」の会意形声。馬がやわらいでいる様子。
意味 (1)のどかである。ゆったりしている。「駘蕩タイトウ」(駘はのどか、蕩はのびやかの意)「春風駘蕩シュンプウタイトウ」(春風がふき、のどかでのびのびしたさま) (2)にぶい。のろい。
 ヤ・いる  冫部
解字 「冫(金属の塊)+台(やわらかい)」 の会意形声。一般に冫(にすい)は氷を意味するが、[字統]によると、古い形は鈞キン(溶けた金属がまんべんなくゆきわたる⇒均等)の右辺・匀の二と同じで、銅のかたまりを表すという。従って、冶は「溶けているやわらかい金属」の意となる。
意味 とかす。いる(冶る)。「冶金ヤキン」(金属をとかす)「陶冶トウヤ」(陶器を造り鋳物をいる。人材を養成すること)
 タイ・こけ  艸部
解字 「艸(くさ)+台(やわらかい)」 の会意形声。やわらかいじゅうたんを敷いたようなこけ。
意味 こけ(苔)。コケ類の総称。「蘚苔センタイ」(こけ類)「海苔のり
 イ・あめ  食部
解字 「食の旧字(たべもの)+台(やわらかい)」 の会意形声。やわらかいねばねばするあめ。飴の左辺は食と書いても可。
意味 あめ(飴)。米・芋などの澱粉を麦芽で糖分にかえた柔らかい食物であるアメ。「水飴みずあめ」「飴細工あめざいく」「飴煮あめに」 ※かたいアメを糖トウという。

同音代替 
 チ・ジ・おさめる・おさまる・なおる・なおす  氵部
解字 「氵(水)+台(ジ・シ)」 の形声。台の古音シは司(つかさどる)に通じ、水をおさめる意。台に始の音がある。さらに転じて、世の中をおさめる、病気をおさめる意ともなる。
意味 (1)おさめる(治める)。おさまる(治まる)。整える。取り締まる。「治水チスイ」「治安チアン」「政治セイジ」 (2)なおす(治す)。なおる(治る)。「治療チリョウ」「治癒チユ」「全治ゼンチ
<紫色は常用漢字>

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音符 「劦キョウ」 <多くのちから> 「協キョウ」「脅キョウ」「脇キョウ」

2013年11月14日 | 漢字の音符
 キョウ  力部           

解字 力を三つ組み合わせた形。力は土を掘り起こすスキの象形。三人協力して耕すことを示す[字統]。

イメージ  「多くのちから」(協・脅)
      「同音代替」(脇)
音の変化  キョウ:協・脅・脇

多くのちから
 キョウ・かなう  十部  
解字 「十(ひとまとめ)+劦(おおくの力)」 の会意形声。十は集めまとめる意味があり、多くの力を一つにあわせる意。
意味 (1)あわせる。力を一つにあわせる。「協力キョウリョク」「協議キョウギ」「協奏曲キョウソウキョク」 2)かなう(協う)。うまくいく。「協調キョウチョウ」「妥協ダキョウ
 キョウ・おびやかす・おどす・おどかす・おびえる  月部にく
解字 「月(からだ)+劦(おおくの力)」 の会意形声。おおくの力で身体をおさえつけること。
意味 (1)おびやかす(脅かす)。おどす(脅す)。「脅迫キョウハク」「脅威キョウイ」 (2)おびえる(脅える)。すくむ。「脅息キョウソク」(息をころす)「脅肩キョウケン」(肩をすくめる)

同音代替
 キョウ・わき  月部にく
解字 「月(からだ)+劦(キョウ)」 の形声。キョウは挟キョウ(はさむ)に通じ、両側からはさまれる胴の部分、すなわち両脇をいう。したがって、劦は横に付いている。
意味 (1)わき(脇)。「脇腹わきばら」「両脇りょうわき」。「脇見わきみ」(よそみ) (2)かたわら。そば。「脇息キョウソク」(ひじかけ)「脇侍キョウジ」(仏像の左右に置かれる像。脇士わきじ
<紫色は常用漢字>

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