増補改訂しました。
冊[册] サツ・サク・ふみ 冂部
解字 冊には2系統ある。ひとつは甲骨・金文の第一字で、竹簡や木簡を糸でつないだ形。二つめは甲骨・金文の第二字で防禦用や牧場のさくで「柵」の原字にあたる[甲骨文字小字典]。両者は篆文以降、同じ形になった。現代字の冊は、糸でつないだ竹簡や木簡、および、つなぐ前の竹や木のふだの意味で使われる。冊を音符に含む字は、「木や竹を並べてつなぐ」イメージがある。
意味 (1)ふみ(冊)。とじた書物。木簡や竹簡をひもで綴じたもの。これが書物の原型である。「書冊ショサツ」 (2)ふだ。書きつけ。「短冊タンザク」 (2)中国で天子の任命書。「冊封サクホウ」(冊により爵位や称号を封ほうじる(授ける)こと。=柵立サクリツ)
イメージ
木や竹を並べてつないだ「木簡・竹簡」(冊・刪・典・腆)
木や竹を並べてつないだ「さく」(柵・珊)
音の変化 サク・サツ:冊・柵 サン:刪・珊 テン:典・腆
木簡・竹簡
刪 サン・けずる 刂部
解字 「刂(かたな)+冊(木簡・竹簡)」の会意形声。木簡や竹簡に書いた字を訂正するため、表面を刀で削りとり、その上に書きなおすこと。
意味 けずる(刪る)。けずりとる。不要の字句を除く。「刪修サンシュウ」(不要な字句をけずって文章を整える)「刪正サンセイ」(字句をけずり文を正す)
典 テン・ふみ・のり ハ部
解字 篆文は「冊(木簡・竹簡=書冊)+丌(台)」の会意。上部は冊(書冊)で、下部にそれをのせる台を加えた形。台にのせた書物の意から、特に選ばれた大事な書、転じて、のり・手本の意となる。現代字は、冊と丌(台)が合体した典になった。
意味 (1)ふみ(典)。書物。「典籍テンセキ」「教典キョウテン」「古典コテン」 (2)のり(典)。手本。「典型テンケイ」「典範テンパン」(手本となる正しい事柄) (3)儀式・儀礼。「典礼テンレイ」(定まった儀式)「式典シキテン」
腆 テン・あつい 月部にく
解字 「月(にく)+典(意味③の儀式・儀礼)」の会意形声。典は、ここで儀式・儀礼の意。肉をたくさん神や先祖にお供えした儀式の意で、神や先祖にたいして手厚い意となる。
意味 (1)あつい(腆い)。手厚い。丁重。「腆志テンシ」(手厚い心)「腆贈テンゾウ」(手厚い贈り物) (2)ゆたかな。数が多い。「不腆フテンの田」(稔り豊かでない耕作地)
さく
柵 サク 木部
解字 「木(き)+冊(さく)」の会意形声。木のさく。木や竹を並べて囲いとしたもの。
意味 (1)木や竹の囲い。やらい。「木柵モクサク」「鉄柵テツサク」 (2)しがらみ(柵)。さまたげになるもの。 (3)とりで(柵)。ちいさな城。「柵塁サクルイ」(柵も塁も、とりでの意)「城柵ジョウサク」(とりで)
珊 サン 玉部
桃色珊瑚(「宝石珊瑚について(日本珊瑚商工協同組合)」より)
解字 「王(玉)+冊(さく)」の会意形声。木の柵のように並んで生えている海底のサンゴ。宝石となる。
意味 「珊瑚サンゴ」に用いられる字。珊瑚は、サンゴ虫の群体の骨格で装飾用などに加工される。「珊瑚礁サンゴショウ」(珊瑚が堆積した岩礁)
跚 サン 足部
解字 「足(あし)+冊(さく)」の会意形声。足の動きが冊にはばまれて進めず、徘徊ハイカイ(あるきまわる)すること。たちもとおる。
意味 「蹣跚マンサン」に用いられる字。蹣跚マンサンとは、行きなやむさま。「蹣跚(よろけ)る」「酔歩蹣跚スイホマンサン」(酔ってよろめきあるく)「蹣跚縞よろけじま」(経たて、または緯よこ糸を湾曲させて波状の縞模様を出した織物)
<紫色は常用漢字>
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※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
冊[册] サツ・サク・ふみ 冂部
解字 冊には2系統ある。ひとつは甲骨・金文の第一字で、竹簡や木簡を糸でつないだ形。二つめは甲骨・金文の第二字で防禦用や牧場のさくで「柵」の原字にあたる[甲骨文字小字典]。両者は篆文以降、同じ形になった。現代字の冊は、糸でつないだ竹簡や木簡、および、つなぐ前の竹や木のふだの意味で使われる。冊を音符に含む字は、「木や竹を並べてつなぐ」イメージがある。
意味 (1)ふみ(冊)。とじた書物。木簡や竹簡をひもで綴じたもの。これが書物の原型である。「書冊ショサツ」 (2)ふだ。書きつけ。「短冊タンザク」 (2)中国で天子の任命書。「冊封サクホウ」(冊により爵位や称号を封ほうじる(授ける)こと。=柵立サクリツ)
イメージ
木や竹を並べてつないだ「木簡・竹簡」(冊・刪・典・腆)
木や竹を並べてつないだ「さく」(柵・珊)
音の変化 サク・サツ:冊・柵 サン:刪・珊 テン:典・腆
木簡・竹簡
刪 サン・けずる 刂部
解字 「刂(かたな)+冊(木簡・竹簡)」の会意形声。木簡や竹簡に書いた字を訂正するため、表面を刀で削りとり、その上に書きなおすこと。
意味 けずる(刪る)。けずりとる。不要の字句を除く。「刪修サンシュウ」(不要な字句をけずって文章を整える)「刪正サンセイ」(字句をけずり文を正す)
典 テン・ふみ・のり ハ部
解字 篆文は「冊(木簡・竹簡=書冊)+丌(台)」の会意。上部は冊(書冊)で、下部にそれをのせる台を加えた形。台にのせた書物の意から、特に選ばれた大事な書、転じて、のり・手本の意となる。現代字は、冊と丌(台)が合体した典になった。
意味 (1)ふみ(典)。書物。「典籍テンセキ」「教典キョウテン」「古典コテン」 (2)のり(典)。手本。「典型テンケイ」「典範テンパン」(手本となる正しい事柄) (3)儀式・儀礼。「典礼テンレイ」(定まった儀式)「式典シキテン」
腆 テン・あつい 月部にく
解字 「月(にく)+典(意味③の儀式・儀礼)」の会意形声。典は、ここで儀式・儀礼の意。肉をたくさん神や先祖にお供えした儀式の意で、神や先祖にたいして手厚い意となる。
意味 (1)あつい(腆い)。手厚い。丁重。「腆志テンシ」(手厚い心)「腆贈テンゾウ」(手厚い贈り物) (2)ゆたかな。数が多い。「不腆フテンの田」(稔り豊かでない耕作地)
さく
柵 サク 木部
解字 「木(き)+冊(さく)」の会意形声。木のさく。木や竹を並べて囲いとしたもの。
意味 (1)木や竹の囲い。やらい。「木柵モクサク」「鉄柵テツサク」 (2)しがらみ(柵)。さまたげになるもの。 (3)とりで(柵)。ちいさな城。「柵塁サクルイ」(柵も塁も、とりでの意)「城柵ジョウサク」(とりで)
珊 サン 玉部
桃色珊瑚(「宝石珊瑚について(日本珊瑚商工協同組合)」より)
解字 「王(玉)+冊(さく)」の会意形声。木の柵のように並んで生えている海底のサンゴ。宝石となる。
意味 「珊瑚サンゴ」に用いられる字。珊瑚は、サンゴ虫の群体の骨格で装飾用などに加工される。「珊瑚礁サンゴショウ」(珊瑚が堆積した岩礁)
跚 サン 足部
解字 「足(あし)+冊(さく)」の会意形声。足の動きが冊にはばまれて進めず、徘徊ハイカイ(あるきまわる)すること。たちもとおる。
意味 「蹣跚マンサン」に用いられる字。蹣跚マンサンとは、行きなやむさま。「蹣跚(よろけ)る」「酔歩蹣跚スイホマンサン」(酔ってよろめきあるく)「蹣跚縞よろけじま」(経たて、または緯よこ糸を湾曲させて波状の縞模様を出した織物)
<紫色は常用漢字>
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