漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「晋シン」 <すすむ> と 「縉シン」

2019年09月24日 | 漢字の音符
晋[晉] シン・すすむ  日部

解字 甲骨文・金文は「下向きの矢2本+日(太陽)」 の会意。下向きの矢は至(いたる)の原字。至が2つの臸ジツは、いたる意のほかに、すすむ意がある。臸ジツ(すすむ)に日(太陽)がついて太陽が「すすむ」意となる。篆文は「臸+日」となり、さらに旧字の晉をへて、現代字は晋に簡略化された。
意味 (1)すすむ(晋む)。進む。「晋山シンザン」(僧侶が一寺の住職となって新しく入ること)「晋山式シンザンシキ」(晋山の式) (2)さしはさむ。(=縉)。 (3) 中国の国名。王朝名。「晋シン」(春秋時代の列国の一つ)「西晋セイシン」(三国の魏に代わって司馬炎によって3世紀に建てられた王朝)。「東晋トウシン」(西晋が滅ぼされた後に、司馬睿によって4世紀に建てられた王朝)。 (4)易の64卦の一つ。
覚え方 あまねく(普)の上にそ(ソ)あり、すすむ(晋)にそ(ソ)なし

イメージ 「すすむ」(晋・縉)
音の変化  シン:晋・縉
すすむ
 シン・さしはさむ  糸部
解字 「糸(ぬのおび)+晉(すすむ・いれる)」 の会意形声。布帯を締めた高官が笏シャクを帯にさしはさむこと。転じて、帯を締める服装をする高位高官の人。
意味 (1)さしはさむ(縉む)。 (2)高位高官の人。身分が高い人。「縉紳シンシン」(紳は大帯、縉は大帯にさしはさむ意で、このような服装をする高位高官の人をいう)。

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音符 「而ジ」 <あごひげ> と「耐タイ」「輀ジ」「恧ジク」

2019年09月21日 | 漢字の音符
  部首「而しかして」を追加しました。
 ジ・しかして・しかも  而部 

解字 甲骨文字第一字は、口の下に垂れる四本の線を描いており、あごひげを表す。第二字は、下くちびるの線から、ひげが垂れる形。金文・篆文は、かなり変形した。現代字の而には、横一線と4本の垂れる線があり、甲骨文の面影を残している。ただし、古くから接続詞・指示詞などに仮借カシャ(当て字)された。
意味 (1)しかして(而して)。そして。順接をしめす語。「而立ジリツ」(30歳の称。論語の「三十にして立つ」から)「而今ジコン」(今にして。今この瞬間) (2)しかも(而も)。しかれども(而れども)。逆接を示す語。「形而上ケイジジョウ」(形はあれども、その上。形を離れたもの)「似而非えせ」(形は似ている、でも非:ちがう) (3)すなわち(而ち)。そのときは。 (4)なんじ。おまえ。
参考 而は部首「而しかして」になる。漢字の上部や左辺(偏)に付いて「あごひげ・やわらかい」意を表す。この部首は数がすくなく、常用漢字は耐タイの1字しかない(この字を部首「寸」に入れる字典もある)。[新漢語林]には、6字が収録されている。主な字は以下のとおり。
 而(部首)・耐タイ(而+寸の会意)・耏(彡+音符「而ジ」)・輀(車+音符「而ジ」)・耎ゼン・ナン・ネン(大+而の会意)・耑タン(山+而の会意)
 このうち、耐タイ・耏・輀・耎ゼン・ナン・ネンは、本ページに収録している。なお、耑タンは音符になる。(音符「耑タン」へ)

イメージ 「仮借(当て字)」された意味のほか、原義である「ひげ」、また、長く垂れ下がったあごひげは「やわらかい」イメージがある。
 「仮借(当て字)」(而)
 「あごひげ」(耏・耐・輀)
 「やわらかい」(耎・恧・胹)
音の変化  ジ:而・耏・輀・胹  ジク:恧  ゼン:耎  タイ:耐

あごひげ
 ジ  而部
解字 「彡(毛のはえる形)+而(あごひげ)」の会意形声。あごひげの横に毛のはえる形で、あごひげの上横に生える頬ひげをいう。
意味 頬(ほお)ひげ。獣のむくげ。
 タイ・たえる  而部  
解字 「而(あごひげ)+寸(手の動作)」の会意。あごひげや耏(ほおひげ)を手で剃ること。耐刑タイケイというヒゲを剃る刑罰をいう。[説文解字](後漢)に、「頭髪を剃る刑罰にまで行かないもの」と書かれている。軽い刑罰として2年間、ひげを剃ることが行なわれたらしい。当時、ひげを生やすのは一人前の男子の証であり、ひげを剃るのは屈辱的なことだった。そこで、ひげを剃られて世間の冷ややかな目に、たえる・我慢する意となる。転じて、たえる能力がある意ともなる。
意味 (1)たえる(耐える)。しのぶ。我慢する。「忍耐ニンタイ」「耐乏タイボウ」(乏しいのを耐えしのぶ)「耐寒訓練タイカンクンレン」(2)ねばり強い。持ちがよい。「耐久タイキュウ」(長く持ちこたえる)「耐火煉瓦タイカレンガ」「耐震タイシン」(地震に耐える)
 ジ  車部
解字 「車(くるま)+而(あごひげ)」の会意形声。あごひげのような垂れ下がる飾りを多くつけた、ひつぎを運ぶ車。
意味 ひつぎぐるま。高貴な人の葬儀で、ひつぎをのせて運ぶ車。「霊輀レイジ」(ひつぎぐるま)

やわらかい
 ゼン・ナン・ネン  而部
解字 「大(ひと)+而(やわらかい)」の会意。やわらかい意に人をつけた形で、人に限らず、やわらかい、また、よわい意となる。この字のナンの発音が、軟ナン(やわらかい)の同音代替の元の字として使われている。(音符「欠ケン」を参照)
意味 (1)やわらかい。柔軟なさま。「耎脆ゼンゼイ」(やわらかくもろい) (2)よわい。「怯耎キョウゼン」(臆病で気がよわい)
 ジク・はじる  心部
解字 「心(こころ)+而(やわらかい)」の会意。やわらかい心。すなわち感受性のある心⇒恥じらう⇒はずかしい意となる。ジクの発音が忸ジク(はじる)の同音代替の元の字として使われる。(音符「丑チュウ」を参照)
意味 はじる(恧じる)。はじいるさま。「愧恧キジク」(愧も恧も、はじる意)「恧怩ジクジ」(恥じ入ること=忸怩ジクジ
 ジ  月部にく
解字 「月(にく)+而(やわらかい)」の会意形声。肉をやわらかくなるまで煮ること。
意味 にる(胹る)。煮る。肉をやわらかく煮る。
<紫色は常用漢字>

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音符「酉ユウ」<酒つぼ> と 「酒シュ」「醜シュウ」

2019年09月16日 | 漢字の音符
    ユウ <元は酒つぼ>
 ユウ・とり  酉部

 酒つぼで長期熟成されている紹興酒
https://www.nomooo.jp/column/112256/

解字 酒つぼを描いた象形。中国の古代からの酒は黍(きび)や米を原料とする醸造酒であるが、日本の酒とことなり、上等な酒は酒つぼに入れて長期間熟成させる。このために用いるのが酒つぼである。写真は熟成されている紹興酒の酒つぼであるが、持ち運ぶため六つ目網みの籠で包んだり(手前)、その奥は、つぼ同士が当たる衝撃を和らげるため中央に縄を幾重にも巻いたりしている。酉の字形の模様はこうした酒つぼの状態を描いたのかもしれない。酉はさけの意も表し酒の原字。しかし甲骨文字の時代から仮借カシャ(当て字)して十二支の10番目の「とり」に当てられている。
意味 とり(酉)。十二支の第十位。方位は西、時刻は午後6時およびその前後1時間。動物はにわとりに当てる。「酉(とり)の市」(11月の酉の日に行なわれる鷲(おおとり)神社の市)
 
十二支(酉は西で8月「暮らし歳時記」より)②酉年の年賀状見本

参考 酉は部首「酉とり・とりへん・ひよみ(暦)のとり・さけのとり」になる。漢字の左辺について、酒・発酵の意味を表す。
常用漢字  14字
 コウ(酉+音符「孝コウ」)
 コク・むごい(酉+音符「告コク」)
 サク・す(「酉+音符「乍サ」」
 サン・すい(酉+音符「夋シュン」)  
 シャク・くむ(酉+音符「勺シャク」) 
 シュ・さけ( 氵+音符「酉ユウ」)
 シュウ・むくいる(酉+音符「州シュウ」)
 シュウ・みにくい(鬼+音符「酉=酒シュ」)  
 ジョウ・かもす(酉+音符「襄ジョウ」)   
 スイ・よう(酉+音符「卆(卒)ソツ」) 
 セイ・さめる(酉+音符「星セイ」) 
 チュウ(酉+音符「肘チュウの略」) 
 ハイ・ならぶ(酉+己の会意)        
 ラク(酉+音符「各カク」)
 
イメージ 
 「とり(仮借)」(酉)
 「さけ」(酒・醜)
音の変化  ユウ:酉  シュ:酒  シュウ:醜
さ け
 シュ・さけ・さか  酉部
 
熟成された酒つぼ6個が1箱に入った中国の洞蔵老酒(熟成酒)販売広告(中国のネットより)。傍らに酒つぼから直接、盃(さかずき)に酒を注ぐ写真が添えられている。

解字 甲骨文第1字は酒つぼから酒が注がれている形を三つの線で表している。第2字は注ぐ酒を4つの点で表している。大きな酒つぼから酒を注ぐことは無理であるが、小さな酒つぼから酒を器に注ぐことは現在でも行われている(上の写真)。酒は酉(酒つぼ)の中に入っているので酉が酒の意味を表している。金文第1字は酉の字で酒を表し、第2字は酉の中に点や線を付けて中に酒が入っていることを示している。篆文になり「氵(液体)+酉(さけ)」となり現在に続く。
酒の部首はなぜ氵(さんずい)でないのか?
 甲骨文から金文まで酒の意味は酉が表している。篆文から「氵(液体)+酉(さけ)」となったが、この字は意味を表す酉さけのとり(酒)にそれが液体(氵)である記号がついているだけで、氵は部首とはみなされない。なお、甲骨文字にも酒の字があるが、[甲骨文字辞典]によると、意味は酒でなく川の名前を表している。
意味 さけ(酒)。さけを飲む。さかもり(酒盛り)。「酒蔵さかぐら」「飲酒インシュ」「酒宴シュエン」「酒豪シュゴウ」(大ざけのみ)
 シュウ・みにくい・しこ  鬼部
解字 「鬼(おに)+酉(=酒。さけに酔った)」の会意形声。酒に酔った鬼。この字は酉部にする辞書もある。
意味 (1)みにくい(醜い)。けがらわしい。「醜悪シュウアク」(みにくい。見苦しい)「醜名シュウメイ」(悪い評判)「醜態シュウタイ」「醜聞シュウブン」 (2)にくむ。きらう。 (3)しこ(醜)。みにくいものをののしる語。「醜女しこめ」「醜男しこお」   
<紫色は常用漢字>

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音符「犬ケン」と 「献ケン」 と 「獄ゴク」

2019年09月01日 | 漢字の音符
猋ヒョウを追加しました。
      ケン <いぬ>
 ケン・いぬ  犬部

解字 いぬを描いた象形。現代字は大に点がついた形になったが、点は犬の耳を表わしている。犬は犠牲(いけにえ)とされることが多い動物であった。
意味 いぬ(犬)。子犬は狗と書く。「番犬バンケン」「犬猿ケンエン
参考 犬は、部首「犬いぬ」になる。漢字の右辺について犬の意味を表す。常用漢字では、犬のほか、
状[狀]ジョウ(犬+音符「爿ショウ」)
コン(犬+南の会意)
ジュウ(単+口+犬の会意)、がある。
それ以外に、猋ヒョウ(犬+犬+犬の会意)などがある。
犬が左辺に来るとき、部首「犭けものへん」になり、犬やけものの意味を表す。常用漢字には、
ハン(犭+音符「㔾(ハン)」)
キョウ(犭+音符「往オウの略体」)
(犭+音符「且ソ」)
シュ(犭+音符「守シュ」)
独[獨]ドク(犭+音符「蜀ショク」)
狭[狹]キョウ(犭+音符「夾キョウ」)
モウ(犭+音符「孟モウ」)
猟[獵]リョウ(犭+音符「巤リョウ」)
ビョウ(犭+音符「苗ビョウ」)
ユウ(犭+音符「酋シュウ」)
エン(犭+音符「袁エン」)
ゴク(犭+言+犬の会意)
カク(犭+音符「蒦カク」)がある。この他、
(犭+音符「瓜カ」)
チョ(犭+音符「者シャ」)
ロウ(犭+音符「良リョウ」)などがあり、
約14,600字を収録する『新漢語林』では、犭部に127字が収録されている。

イメージ 
 「いぬ」
(犬・献・吠・哭・猋・飇
音の変化  ケン:犬・献  コク:哭  ハイ:吠  ヒョウ:猋・飇  

い ぬ
[獻] ケン・コン  犬部 
解字 旧字は 「 ケン(虎の模様がある煮炊きの用具。こしき)+犬」 の会意。犠牲にした犬の肉をこしきで調理し、これを相手に贈呈(献上)すること。料理を作って贈呈することから、たてまつる・ささげる意となった。新字体は、旧字の ⇒南に簡略化された献となった。
意味 (1)たてまつる。ささげる。「献上ケンジョウ」「献呈ケンテイ」(物をさしあげること)「献金ケンキン」(2)贈呈する料理。料理や酒を相手にすすめる。「献立コンダテ」(料理の種類や順序)「献酬ケンシュウ」(酒の盃をやりとりすること)「一献イッコン」(盃一杯の酒。また、小さな酒宴)
覚え方 そりをひく、なん()きょくの、いぬ()の献立、豪華です。
 ハイ・バイ  口部
解字 「口+犬(いぬ)」の会意。犬が口でほえること。犬はよくほえる動物であるから、この字はまことにうまく出来ている。
意味 ほえる(吠える)。犬がなく。「吠夜之犬ハイヤのいぬ」(一匹の犬が夜吠えると他の犬も一緒に吠える)
 コク・なく  口部         
解字 「口口(口ぐちに大声を出す)+犬(犬の犠牲)」の会意。共に埋葬する犠牲の犬で葬送の儀礼をあらわし、口口で大きな声でなくことを示す。原義は葬送の時、なくこと。口口は人が泣くのであり、犬が鳴くのではない。犬が鳴くのは吠ハイで表す。
意味 なく(哭く)。声をあげてなく。「哭泣コッキュウ」「慟哭ドウコク」(大声をあげてなげき哭くこと)
 ヒョウ  犬部
解字 「犬+犬+犬」の会意。犬3匹が群がり走るさま。転じて、つむじかぜを云う。
意味 (1)はしる。犬が群がりはしる。 (2)つむじかぜ。「猋風ヒョウフウ」(つむじかぜ)「猋迅ヒョウジン」(つむじ風のようにはやい)「猋飛ヒョウヒ」(つむじ風のように飛ぶ)
 ヒョウ・つむじかぜ  風部
解字 「風(かぜ)+猋(つむじかぜ)」 の形声。猋(つむじかぜ)の意を風をつけて確認した字。
意味 (1)つむじかぜ(飇)。「飇風ヒョウフウ」「飇回ヒョウカイ」(つむじ風が回るように荒れ狂う)「飇起ヒョウキ」(にわかに起こる)「飇塵ヒョウジン」(つむじ風の吹き上げる土埃ほこり) 


     ゴク <言い争う>
 ゴク  犭部

解字 「犭(犬)+言(いう)+犬」の会意。犬と犬が吠えあうように、人間が言葉で言い争うこと。訴えから裁判を経過して罪を得て牢屋につながれるまでの一連の流れをいう。
意味 (1)うったえる(訴)。訴え。「獄訟ゴクショウ」(訴訟) (2)さばく(裁)。「疑獄ギゴク」(真相がはっきりしない裁判)「獄辞ゴクジ」(裁判の判決文) (3)ひとや(獄)。牢屋。「獄門ゴクモン」「獄舎ゴクシャ」「獄囚ゴクシュウ」 (4)つみ(罪) (5)おきて。

イメージ 
 「言い争う」
(獄) 
 「形声字」(嶽)
音の変化  ゴク:獄  ガク:嶽

形声字
嶽[ ガク・たけ  山部     

解字 甲骨文字は山上に羊がいる山の形で山岳やその神格として記されている。殷代前期の都に近い嵩山(すうざん)とする説が有力[甲骨文字辞典]。[字統]は「この山が牧羊人である羌キョウ人の聖地であったとする伝承を字形上に存するもの」とする。しかし、羌人の歴史と分布は深く広いものがあり、この説は今後の課題であると思う。篆文は羊の部分獄ゴクに置き換わった嶽ゴク⇒ガクになった。新字体は「山+丘」の岳ガクを使うが、旧字を残した表現も多い。ガクも参照のこと。
意味 (1)たけ(嶽)。高く大きな山。「山嶽サンガク」「富嶽フガク」(富士山) (2)妻の父母の呼称。「嶽父ガクフ」「嶽母ガクボ
※五嶽ゴガクとは中国の五つの名山の総称で、東嶽(泰山)・西嶽(華山)・南嶽(衡山)・北嶽(恒山)・中嶽(嵩山)の五山をいう。いずれの山も高くけわしい岩山で信仰の対象となっている。中嶽(嵩山スウザン)の周辺はかつて羌人の居住地であったという。
<紫色は常用漢字>

      犬が大に変わる字
 犬が漢字のなかで部首や音符となって使われる字は多い。しかし、第二次大戦後誕生した新字体において、犬の点が省略され、大の字になるものがかなりある。犬⇒大になる字を調べてみると次のような法則があることがわかる。

(1)旧字で犬が字の下部につく字は、新字体で犬⇒大となる。   
   突トツ・つく    旧字は「穴+犬」であるが、新字体で突になる。
   臭シュウ・におう  旧字は「自(はな)+犬」だが、新字体で臭になる。
   戻レイ・もどる   旧字は「戸+犬」であるが、新字体では戻になる。

(2)旧字で犬が字の中に入る字は、新字体で犬⇒大となる。
   器キ・うつわ  旧字は「口四つ+犬」であるが、新字体で犬⇒大となった器になる。

(3)2010年に新指定の常用漢字は、旧字のまま使用するため、(1)(2)の法則は適用されない。   
   嗅キュウ・かぐ、は新指定の常用漢字のため旧字のまま。
   しかし、犬→大と書いても可とされている。
   覚え方 「犬は嗅覚キュウカクがするどい」と覚え、嗅の字は犬にする。

          犬が変化しない字

(1)犬が旁ツクリ(右辺)になる場合は犬のままで、変化しない。
  伏フク・ふせる、献ケン・コン、状ジョウ、獣ジュウ・けもの、黙(黒+犬)モク・だまる、など。


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