漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符 「十ジュウ」 <とお>

2016年09月30日 | 漢字の音符
 ジュウ・ジッ・とお・と  十部

解字 数字の十をあらわす指示文字。甲骨文はタテの一線で表わし、金文はタテ線に肥点を加えた形。篆文から十字形になった。漢字は十進法を採用しており、甲骨文では一から四まで横線をかさねた形で表している。十は、桁がかわる数字であり、一をタテにして十および十の位を表した。十は部首となるが、また音符ともなる。
意味 (1)とお(十)。数の名。「十指ジッシ」「十階ジッカイ」 (2)満ち足りているさま。「十分ジュウブン」「十全ジュウゼン」 (3)数の多いこと。「十把一絡(じっぱひとから)げ」
参考 部首としての十。十は、数の十や、多い・集まる意で部首となる。しかし、この意の字はすくなく、漢字の一部に十が含まれるものを便宜的に十部に入れているものが多い。常用漢字で11字、約14,600字を収録する『新漢語林』では156字が十部に収録されている。十部の主な字は以下の通り。
十の意味が含まれる字
廿ジュウ(十+音符「十ジュウ」)・卅[丗]ソウ(十+十+十)・協キョウ(十+音符「劦キョウ」)・博ハク(十+音符「尃フ」)
便宜的に十部に入っている字。(ほとんど音符)
干カン・午ゴ・卒ソツ・卓タク・升ショウ・半ハン・卑ヒ・南ナン・千セン・卉キ、は最後の卉キを除きすべて音符となる字。ここから分かるように音符になる字は、分解することがむずかしく独立性の高い字である。すなわち、部首となじまない独立性をもち、主に発音をつかさどっている字が音符と言える。

イメージ  「とお」 (十・什・廿・卅・計・汁)
       「十字形」 (辻) 
       「同音代替」 (叶・針)
音の変化  ジュウ:十・什・廿・汁  シン:針  キョウ:叶  ケイ:計
        ソウ:卅  つじ:辻
とお
 ジュウ  イ部
解字 「イ(人)+十(とお)」の会意形声。十人のひと。また、十人一組の単位をいう。
意味 (1)とお(十)。数の十。 (2)十で一組のもの。「什伍連坐ジュウゴレンザ」(十家または五家の組の中から罪を犯せば、組の全戸が処罰される制度。連帯責任を負わせた) (3)さまざまな物。「什器ジュウキ」(日常生活の家具・道具類)「什宝ジュウホウ」(秘蔵する器物)
廿 ジュウ・にじゅう  十部
解字 「十(とお)+十(とお)」 の会意形声。十を二つ下部でつないだ形。二十を表わす。
意味 にじゅう(二十)。はたち。「廿日はつか
卅[丗] ソウ  十部
解字 「十(とお)+十(とお)+十(とお)」の会意。十を三つ合わせた形。三十を表す。丗は俗字。
意味 三十。みそ。
 ケイ・はかる・はからう  言部
解字 「言(いう)+十(とお)」 の会意。一から十までの数字を言いながら、ものを数えること。
意味 (1)かぞえる。量をはかる。「計算ケイサン」「集計シュウケイ」 (2)はかる(計る)。くわだてる。「計画ケイカク」「計略ケイリャク」 (3)数量を計る器具。「時計トケイ
 ジュウ・しる  氵部
解字 「氵(水)+十(とお⇒たくさん)」 の会意形声。たくさんの物が中に溶け込んでいる液体をいう。
意味 (1)しる(汁)。物体からしみ出る液。しぼりとった液。「胆汁タンジュウ」(胆臓から分泌される液)「果汁カジュウ」 (2)[国]つゆ(汁)。吸い物。

十字形
<国字> つじ  辶部
解字 「辶(ゆく)+十(十字形)」の会意。十字形の道。
意味 つじ(辻)。十字路。交差点。また、道端もいう。「辻占つじうら」(辻に立って占いをした人)「辻説法つじせっぽう」(道端で通行人に説教すること)「辻斬つじぎり」(夜、街頭で武士が通行人を刀で斬ること)

同音代替
 キョウ・かなう  口部
解字 「口(くち)+十(キョウ)」の形声。キョウは協キョウ(あわせる)に通じ、口をあわせて相談し、うまくまとめること。日本では、思い通りになる意もある。
意味 (1)かなう(叶う)。=協。調和する。うまく合う。「条件に叶う」(2)[国]かなう(叶う)。①思いどおりになる。「願いが叶う」②匹敵する。「彼には叶わない」
 シン・はり  金部
解字 「金(金属)+十(シン)」 の形声。シンは辛シン(入れ墨をする針)に通じ、金属の針のこと。十は辛の下部を抜き出してつけたと思われる。
意味 (1)はり(針)。「縫い針」「運針ウンシン」(裁縫での針の使い方) (2)針のように先が細い。「針葉樹シンヨウジュ」「針小棒大シンショウボウダイ」 (3)羅針盤のはり。方向。「針路シンロ」(船や飛行機が進む方向)「指針シシン
<紫色は常用漢字>

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音符 「目モク」 <め> と 「眉ビ」 <まゆ>

2016年09月29日 | 漢字の音符
 モク・ボク・め・ま  目部          

解字 めを描いた象形。甲骨文・金文は、目の形をそのまま描いているが、篆文からタテになった。目は、目の動きや状態、見るなどの意で部首となる。
意味 (1)め(目)。ものを見るめ。見る。「目前モクゼン」「注目チュウモク」「目(ま)のあたりにする」 (2)めあて。大切なところ。「目当(めあ)て」「目的モクテキ」 (3)見出し。区切った一つ一つ。「目次モクジ」「項目コウモク」 (4)かお。名誉。「面目メンボク」(人に合わせる顔)
参考 モクは部首「目め・めへん」になる。意味は目・目の動作・見る意を表す。目は部首としての活躍が中心で、音符「目モク」で、モク・ボクの発音を受け継ぐポピュラーな字は見当たらない。ここに収録した泪ルイは会意である。部首「目め・めへん」に属する字は、常用漢字で20字、約14,600字を収録する『新漢語林』では156字が収録されている。
目部の主な字は以下のとおり。
モウ(目+音符「亡ボウ」)・睡スイ(目+音符「垂スイ」)・眠ミン(目+音符「民ミン」)・眺チョウ(目+音符「兆チョウ」)・瞬シュン(目+音符「舜シュン」)・眼ガン(目+音符「艮コン」)・瞭リョウ(目+音符「尞リョウ」)・督トク(目+音符「叔シュク」)・瞳ドウ(目+音符「童ドウ」)・相ソウ(目+木の会意)・盾ジュン(目を含む象形)・直チョク(目を含む会意)・眉(目を含む象形)、なお目の形が含まれるので便宜的に目部に属す字に、真シン・県ケンがある。
目部のうち、会意や象形に属する、相ソウ・盾ジュン・直チョク・眉・真シン・県ケンは音符にもなる。

イメージ  「め」(目・泪)
音の変化  モク:目  ルイ:泪


 ルイ・なみだ  氵部
解字 「氵(水)+目(め)」 の会意。目から流れる水、つまりなみだの意。涙ルイの異体字。現代中国では、涙が異体字で、泪は標準字として使われている。
意味 なみだ(泪)。なみだを流す。



       ビ <まゆ>
 ビ・ミ・まゆ  目部

解字 甲骨文・金文は、目の上にあるマユを描いた象形。篆文から、目がタテ書きになったのに伴い、マユのかたちもタテ書きになって変形し、現代字は尸のなかにタテ棒が入った形になった。
覚え方 め()の上のコノ()ぼう(I)は毛なり。[漢字川柳]
意味 (1)まゆ(眉)。まゆげ。「眉目ビモク」(眉と目。容貌)「眉目秀麗ビモクシュウレイ」(容貌が優れて美しい)「白眉ハクビ」(同類の中で最も傑出している人や物)「眉墨まゆずみ」「眉間ミケン」(まゆとまゆの間)「焦眉ショウビの急」(火が眉をこがすほどの急) (2)としより。老年。「眉雪ビセツ」(雪のような眉)

イメージ  「まゆ」 (眉・媚)
音の変化  ビ:眉・媚

まゆ
 ビ・こびる・こび  女部
解字 「女(おんな)+眉(まゆ)」 の会意形声。女の眉を強調した字で、女が眉をうごかして色っぽくふるまうこと。
意味 (1)こびる(媚びる)。こび(媚)。へつらう。なまめかしい。「媚笑ビショウ」(なまめかしい笑い)「媚態ビタイ」(男にこびる女の態度)「媚薬ビヤク」(性欲を増進させるとされる薬) (2)うつくしい。「風光明媚フウコウメイビ
<紫色は常用漢字>

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音符 「女ジョ」 <おんな> と 「如ジョ」

2016年09月19日 | 漢字の音符
 ジョ・ニョ・ニョウ・おんな・め  女部

解字 女性がひざまずいて両手を前に合わせている姿の象形。ひざまずく姿は横から見た卩セツの形であり、両手を合わせるかたが左側に配置されている。
意味 (1)おんな(女)。め(女)。婦人。「女性ジョセイ」「女房ニョウボウ」「天女テンニョ」 (2)むすめ。おとめ。「処女ショジョ」「息女ソクジョ」(身分ある人のむすめ。また、他人のむすめを敬っていう語) (3)なんじ。(=汝)
参考 ジョは、部首「女おんな・おんなへん」となる。漢字の左辺や下に付き、女性や女性の状態など表す。常用漢字(2136字)のうち女偏は36字あり部首の第14位。また約14,600字を収録する『新漢語林』では、210字が女部に含まれている。主なものは以下のとおり。
(女+音符「市」)・妙ミョウ(女+音符「少ショウ」)・妖ヨウ(女+音符「夭ヨウ」)
ジョ(口+音符「女ジョ」)・妹マイ(女+音符「未」)・妊ニン(女+音符「壬ジン」)
セイ(女+音符「生セイ」)・婚コン(女+音符「昏コン」)・姻イン(女+音符「因イン」)
 さらに女部の、如ジョ、奴、妟エン、妻サイ、妾ショウ・妥、は音符となる。

イメージ  「おんな」 (女・姦) 
       「ジョの音」 (汝)
音の変化  ジョ:女・汝  カン:姦

おんな
 カン・かしましい  女部
解字  「女+女+女」の会意。女が3人集まり悪だくみをすること。また、奸カン(おかす)に通じ、男女間の不義をいう。日本では、女が3人集まって「かしましい」意となる。
意味 (1)わるがしこい。よこしま。「姦計カンケイ」(わるだくみ) (2)みだら。男女間の不義。「姦通カンツウ」(浮気をすること) (3)[国]かしましい(姦しい)。やかましい。

ジョの音
 ジョ・なんじ  氵部
解字 「氵(みず)+女(ジョ)」 の形声。ジョという名の川の名。仮借カシャ(当て字)されて、二人称に用いる。
意味 (1)なんじ(汝)。おまえ。きみ。「汝我ジョガ」(きみとぼく)「汝輩ジョハイ」(おまえたち) (2)川の名。「汝水ジョスイ」(河南省にある川の名)


           ジョ <神のお告げをうける>
 ジョ・ニョ・ごとし  女部  

解字 「口(神への祝詞を納める器)+女(みこ)」 の会意形声。口は神への祝詞(願いの言葉)を納める器のかたち。如は、女(みこ)が神へ願いをかけ、また、その結果として神のお告げを受ける状態をいう。そこから神意を「はかる」、神意に「したがう」意となる。また、甲骨文は女の手の向きが通常と逆で、女が身をよじって口(器)に向く形で、祈祷や神託をうける時に、神がかりとなる動作を伴ったものと思われる。そんな巫女の状態をあらわす「ごとし」の意となる[字統を参考]。
意味 (1)いかがか。「如何いかん・いかが」 (2)したがう。「如意ニョイ」(意にしたがう。思うようになる) (3)ごとし(如し)。状態を表わす。「如実ニョジツ」「欠如ケツジョ」 (4)もし(仮定)。 (5)「如月きさらぎ」とは、陰暦2月の別称。

イメージ 「神意にしたがう」 (如・恕)
      意味(3)の 「ごとし」 (絮・茹)
音の変化  ジョ:如・恕・茹・絮

神意にしたがう
 ジョ・ゆるす  心部
解字 「心(こころ)+如(神意にしたがう)」の会意形声。神意にしたがう心。神の大きな心で相手をおもいやり、ゆるすこと。
意味 (1)おもいやり。いつくしみ。「忠恕チュウジョ」(真心とおもいやりがあること) (2)ゆるす(恕す)。大目にみる。「寛恕カンジョ」(ひろい心でゆるすこと)「宥恕ユウジョ」(ゆるすこと。宥も恕も、ゆるす意)

ごとし
 ジョ・わた  糸部
解字 「糸(いと)+如(ごとし)」 の会意形声。糸のごとしの意で、古くはマユ(繭)から作った真綿(まわた)を言い、のち綿のわたを言う。
 柳絮
意味 (1)わた(絮)。まわた(真綿)。のち、綿わた。古いわた。 (2)柳のわた毛。柳は楊ヨウ(葉の垂れないヤナギ)も含めて言う。「柳絮リュウジョ」(春に柳の熟した実から綿毛をもった種子が飛び散るさま。また、柳のわた毛) (4)(まわたのように)こんがらかってつながる。「絮説ジョセツ」(くどくどした説明=絮語ジョゴ
 ジョ・ゆでる  艸部
解字 「艸(草)+如(ごとし)」 の会意形声。草のごとしの意から、葉物の野菜をいい、また、その野菜を食べる意。日本では、野菜をゆでてやわらかくする意で使われる。
意味 (1)野菜。「茹菽ジョシュク」(野菜と豆) (2)くう。野菜をたべる。「茹菜ジョサイ」(野菜をたべる) (3)[国]ゆでる(茹でる)。ゆでたもの。 (4)[国]うだる(茹だる)。暑さのため体がぐったりする。
<紫色は常用漢字>

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音符 「非ヒ」 <互いに背を向けた人>

2016年09月18日 | 漢字の音符
 ヒ・あらず・そしる  非部

解字 頭部を強調した人が互いに背を向けた姿の象形[甲骨文字小字典]。背を向け合って相手を拒否しているので、否定の意味に、また転じて悪い意に使われる。篆文から形が変化 し、現代字は非になった。
意味 (1)あらず(非ず)。~でない。否定を表わす助字。「非常ヒジョウ」「非凡ヒボン」 (2)正しくない。わるい。過ち。「非行ヒコウ」「非道ヒドウ」 (3)そしる。「非難ヒナン

イメージ  
 「わるい・あらず」
(非・罪・匪・榧・誹・蜚)
  人が「左右に分かれる」(扉・排・俳・悲・徘)
  人が「左右にいる」(輩・斐・琲・靡)
 「その他」(腓・緋・翡)
音の変化  ヒ:非・匪・榧・誹・蜚・扉・悲・斐・琲・腓・緋・翡  ビ:靡  ザイ:罪  ハイ:排・俳・徘・輩

あらず・わるい
 ザイ・つみ  罒部よこめ
解字 「罒(法のあみ)+非(わるい)」の会意。罒は网モウの変形で網の意。悪事を働き法の網にかかること。
意味 つみ(罪)。つみする。「罪人ザイニン」「犯罪ハンザイ」「罪名ザイメイ
 ヒ・あらず  匚部はこがまえ
解字 「匚(かくれる)+非(わるい者)」の会意形声。隠れ住んでいる悪者。
意味 (1)わるもの。「匪賊ヒゾク」(徒党を組んで掠奪などをする盗賊)「匪徒ヒト」(=匪賊) (2)あらず。否定の助字。「匪石之心ヒセキのこころ」(石のように転がることのない心。自分の信念を堅く守ること)
 ヒ・かや  木部
解字 「木(き)+匪(かくれ住む)」の形声。耐陰性が強く樹林内部であまり日の当たらないところでも育つことができる木。
意味 かや(榧)。イチイ科の常緑高木。成長は遅いが寿命は長い。実は食用・薬用となり、また油を搾る。材は堅く最高の碁盤の材料となる。「榧実ヒジツ」(榧の種子。漢方薬や食用とする)
 ヒ・そしる  言部
解字 「言(いう)+非(わるい)」の会意形声。悪口を言うこと。
意味 そしる(誹る)。悪口をいう。「誹謗ヒボウ」(誹も謗もそしる意)
 ヒ  虫部
解字 「虫(むし)+非(わるい)」の会意形声。悪い虫。稲などにつく害虫。また、飛に通じ、飛ぶ意がある。
意味 (1)あぶらむし。ごきぶりのなかま。「蜚ヒレン・ごきぶり」 (2)とぶ(蜚ぶ)。「蜚鳥ヒチョウ」(飛鳥)「蜚語ヒゴ」(作りごとをいいふらす。=飛語)「流言蜚語リュウゲンヒゴ」(デマ)

左右に分かれる
 ヒ・とびら  戸部
解字 「戸(出入り口)+非(左右に分かれる)」の会意形声。左右に分かれて開くとびら。
意味 とびら(扉)。開き戸。「門扉モンピ」(門のとびら)「開扉カイヒ
 ハイ  扌部
解字 「扌(手)+非(左右に分ける)」の会意形声。手で左右に押しのけること。また、配ハイ(ならべる)に通じ、並べる意味もある。
意味 (1)おしのける。しりぞける。「排斥ハイセキ」「排外ハイガイ」 (2)ならぶ。つらねる。「排列ハイレツ」「按排アンバイ」(ほどよく並べる)
 ハイ  イ部
解字 「イ(人)+非(左右に分かれる)」の会意形声。左右に分かれて掛けあいの芸をする人。もと、二人が組になり、おどけて笑わせる道化の芸人。
意味 (1)わざおぎ。役者。「俳優ハイユウ」 (2)おどけ。たわむれ。「俳諧ハイカイ」(①おどけ・たわむれ。②滑稽味を帯びた和歌) (3)俳句のこと。「俳壇ハイダン」「俳聖ハイセイ」(特に松尾芭蕉をいう)
 ヒ・かなしい・かなしむ  心部
解字 「心(こころ)+非(左右に分かれる)」の会意形声。心が左右に裂けた状態をいう。
意味 (1)かなしい(悲しい)。かなしむ(悲しむ)。「悲哀ヒアイ」(悲しく哀れ)「悲運ヒウン」 (2)[仏]あわれみの心。「慈悲ジヒ」(あわれみいつくしむ心)「悲願ヒガン」(①仏が、その慈悲心から発する願い。②どうしても達成したい願い)
 ハイ  彳部
解字 「彳(ゆく)+非(左右に)」の会意形声。左右に行ったり来たりする。
意味 さまよう。ぶらぶら歩く。「徘徊ハイカイ」(歩きまわる)

左右にいる
 ハイ・やから  車部  
解字 「車(くるま)+非(左右にいる)」の会意形声。車が左右に並ぶこと。車に乗る者同士が並ぶので、仲間の意となる。
意味 ともがら。やから(輩)。なかま。「先輩センパイ」「後輩コウハイ」「輩出ハイシュツ」(才能のある者が続々と世にでる)
 ヒ・あや  文部
解字 「文(もよう)+非(左右にならぶ)」の会意形声。文様が続いて並ぶこと。
意味 (1)あや(斐)。文様が並んで美しいさま。「斐然ヒゼン」 (2)地名。「甲斐国かいのくに」(山梨県の旧国名。甲州)
 ヒ・ハイ  玉部
解字 「王(玉)+非(左右にならぶ)」の会意形声。並んでつながる玉飾り。
意味 (1)玉を連ねた飾り。 (2)コーヒーの音訳字。「珈琲コーヒー」(中国では咖啡と書く)
 ビ・ヒ・なびく  非部
解字 「麻(麻の皮)+非(左右にならぶ)」の会意形声。繊維をとるため精製した麻皮を乾燥させるため竹竿に並べ干したかたち。その麻皮が風にゆれるさまをいう。部首は本来「麻」のはずだが、なぜか非になっている。
意味 (1)なびく(靡く)。風などになびく。「風靡フウビ」(風になびく。風が草をなびかすように、その時代の人々をなびき従わせること)「一世を風靡する」 (2)ある者の意思にしたがう。「権威に靡く」

その他
 ヒ・こむら  月部にく
解字 「月(からだ)+非(ヒ)」の形成。ヒは肥ヒ(ふとる)に通じる。月(からだ)のどの部分がふとっているか明確でないが、腓は、脛ケイ(すね)に対し、その後ろのふくらんだ所である「ふくらはぎ」をいうので、腓の月は、脛ケイの略体であると思われる。これに対し、骨に卑(=肥ヒ。ふとる)がついた脾は、ふとももをいう。脾ヒを参照。
意味 こむら(腓)。ふくらはぎ。すねの後ろのふくらんだところ。「腓返(こむらがえ)り」(こむらが急にけいれんすること)「腓骨ヒコツ」(脛すねの外側背面の細い骨)
 ヒ・あか  糸部
解字 「糸(ぬの)+非(ヒ)」の形声。ヒという名の色のぬの。濃い赤色の絹をいう。転じて、赤い色の意。非のイメージは不明。
意味 (1)あか(緋)。こい赤色。ひいろ。「緋鯉ヒゴイ」「緋色ヒイロ」 (2)あかい絹。
 ヒ  羽部
 カワセミ(ウィキペディアより)
解字 「羽(はね)+非(=緋。あかい)」の会意形声。腹部の羽毛があかい鳥。
意味 「翡翠かわせみ」に用いる字。「翡翠かわせみ」とは、腹部の羽毛があかく(翡)、つばさの羽が緑色(翠)の水辺に生息する小鳥。
「翡翠ヒスイ」とは、カワセミの羽に似た鮮やかな翠緑色(みどりいろ)の玉。装身具・装飾品として用いられる。
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音符 「介カイ」  <よろいをつけた人>

2016年09月15日 | 漢字の音符
 カイ・たすける  人部       

解字 人の前後によろいを付けた形の象形[字統]。甲骨文は、人が上部と下部によろいを付けた形。篆文以降、よろいの線が二つになり、現代字では人の下にくる。よろいが原義で、魚介のように甲羅をもつ虫類(甲殻類・貝など)にも使う。また、よろいの中に人が入ることから「間にはいる」、よろいをつけて人を「たすける」意味になる。
意味 (1)かたいもの。よろい。甲羅や貝殻。「介冑カイチュウ」(よろいとかぶと)「魚介ギョカイ」(魚と貝・エビなど) (2)間にはいる。なかだちをする。「介在カイザイ」「仲介チュウカイ」 (3)たすける(介ける)。つきそう。「介護カイゴ」「介抱カイホウ」 (4)すけ。昔の官名。

イメージ 
 「よろいをつける」
(介) 
  よろいの前後が「両側に分かれる」(界・堺)
 「カイの音」(芥・疥)
音の変化  カイ:介・界・堺・芥・疥

両側にわかれる
 カイ・さかい  田部
解字 「田(田畑)+介(両側に分ける)」の会意形声。田畑の中に区切りを入れて両側に分けた境目。
意味 (1)さかい(界)。くぎり。くぎる。「境界キョウカイ」「限界ゲンカイ」 (2)あたり。一帯。「界隈カイワイ」 (3)さかいの中。ある範囲の社会。「業界ギョウカイ」「世界セカイ
 カイ・さかい  土部
解字 「土+界(さかい)」の会意形声。土地の境目。区切り。界と意味は同じ。
意味 さかい(堺)。土地のくぎり。(日本では地名に使うことが多い)「堺市さかいし」(大阪府の都市)

カイの音
 カイ・からし・あくた  艸部
解字 「艸(くさ)+介(カイ)」の形声。カイという名の草。からし菜をいう。介カイのイメージは不明。からし菜の実は小さいので、ちいさなごみ・ちりの意ともなる。
意味 (1)からしな。からし(芥)。アブラナ科の草。葉を食し、また種子を粉末にして芥子(からし)にする。 (2)[国]けし(芥子)。ケシ科の越年草。果実の乳液からアヘンを製する。本来は罌粟けし、からしなの種子が似ていることから。「芥子粒けしつぶ」(けしの種子。非常に小さいものの例え) (3)あくた(芥)。ごみ。ちり。くず。「芥舟カイシュウ」(水上に浮かぶ小さなごみ。舟に例えていう)(4)地名。姓。「芥川あくたがわ」(①大阪府高槻市を流れる川。②姓。芥川龍之介:小説家)
 カイ・ひぜん・はたけ  疒部
解字 「疒(やまい)+介(=芥。ちいさい)」の会意形声。皮膚に小さく赤い点々ができて非常にかゆくなる病気。
意味 (1)ひぜん(皮癬)。かいせん。「疥癬カイセン」(疥癬虫の寄生によって生ずる皮膚病)。 (2)はたけ(疥)。顔や首などに白く丸い斑点ができる皮膚病。
<紫色は常用漢字>

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