漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符 「無ム・ブ」 <両手に飾りを持って舞う人>

2016年05月30日 | 漢字の音符
 ム・ブ・ない  灬部れっか

解字 甲骨文は、人が両手に飾りを持って舞うさまの象形。篆文も同じ意味を表わし、舞の原字。もともと雨乞いの舞いを意味したが、発音のム・ブが、无(ム・ブ:亡の異体字で、ない・なしの意)に通じ、「ない」の意味に仮借カシャ(当て字)された。のち、この字に両足を外に向かって開く形の舛センを付けた舞が「まい」の字となった[字統]。楷書は下部が林に変化し、現代字は灬になった。部首も灬(れっか)
意味 (1)ない(無い)。存在しない。「無言ムゴン」「無休ムキュウ」「無事ブジ」 (2)打ち消 しを表わす助字。「無罪ムザイ」「無名ムメイ

イメージ 
 「ない(仮借)」
(無・憮)
 「まう」(舞) 
 「同音代替」(撫・蕪)
音の変化  ム・ブ:無  ブ:憮・舞・撫・蕪

ない  
 ブ  忄部
解字 「忄(心)+無(ない)」の会意形声。心がない状態。むなしい気持ちをいう。
意味 がっかりする。「憮然ブゼン」(がっかりするさま)
 ブ・かぶ  艸部
解字 「艸(草)+無(ない)」会意の形声。艸(草)が他のものを無くすこと。すなわち雑草が生い茂り地面をかくすこと。草が茂って、あれる意となる。日本では、漢語で蕪菁ブセイが、かぶらであることから、かぶらに当てる。
意味 (1)あれる。雑草が生い茂る。「蕪穢ブアイ・ブワイ」(土地があれて雑草が生い茂る)「荒蕪コウブ」(土地が荒れて雑草が茂る)「荒蕪地コウブチ」(野放しの状態で自然と荒れ地になった土地) (2)みだれる。「蕪雑ブザツ」(雑然としていること) (3)[国]かぶら(蕪)。かぶ(蕪)。根が球状になる野菜。根と葉を食用とする。蕪菁ブセイとも書く。

まう
 ブ・まう・まい  舛部ます

解字 甲骨文は、無と同じく人が両手に飾りを持って舞うさまの象形。この字が「ない」の意味に仮借カシャ(当て字)されたため、篆文以降、下部に左右の足が開くかたちの舛センを付けて「舞う」意を表わした。現代字は「舛(左右の足が開く)+無の略体(まう)」の会意形声。
意味 (1)まう(舞う)。まい(舞)。おどる。「舞台ブタイ」「舞踊ブヨウ」「舞姫まいひめ」 (2)ふるいたたせる。「鼓舞コブ

同音代替
 ブ・フ・なでる  扌部
解字 「扌(手)+無(フ)」の形声。フは付(つける)に通じ、手を人の身体につけること、すなわち、なでる意となる。拊(なでる)と同じ。
意味 (1)なでる(撫でる)。さする。なぐさめる。「愛撫アイブ」(なでてかわいがる)「撫慰ブイ」(いたわりなぐさめる) (2)いつくしむ。「撫育ブイク」(いつくしみ育てる)(3)しずめる。おさえる。「鎮撫チンブ」(乱をしずめ民を安んじる)
 カワラナデシコ
(4)[国]「撫子なでしこ」とは、ナデシコ科の多年草。秋の七草のひとつ。子を撫でるように愛しむ花の意。
<紫色は常用漢字>

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音符 「睪エキ」 <次々とつらなる> と 「駅エキ」

2016年05月23日 | 漢字の音符
 エキ・タク・ト  罒部  

解字 「罒(め)+幸(手かせ。手かせをした罪人)」の会意。手かせをはめた罪人を、数珠つなぎにして歩かせ、目で見て面通しをするさま。○―○―○の形に次々と並べて、その中から選びだす意[学研漢和]。なお[字統]は、獣の死体が風雨にさらされて分解する状態で、目の部分があたま、幸の部分が肢体とする。いずれの解釈をとっても、睪を音符に含む字は、「次々とつらなる」「並べた中から選び出す」イメージを持つ。(漢字を記憶するためには学研漢和のほうが覚えやすい)。新字体の音符になるとき「尺」が用いられる。これは釋シャクに発音が同じ尺をあて釈シャクと略したのが、他の字にも準用された。

イメージ 「次々とつらなる」(駅・沢・釈・懌・鐸・繹)
      「並べた中から選び出す」(択・訳)
音の変化  エキ:駅・懌・繹  シャク:釈  タク:沢・鐸・択  ヤク:訳

次々とつらなる
 エキ・うまや  馬部
解字 旧字は驛で、「馬(うま)+睪(次々とつらなる)」の会意形声。乗り換えのための馬を置いた「うまや」が次々とつらなること。馬を置いた中継所をいう。新字体は駅に変化。
意味 (1)うまや(駅)。馬を置いた中継所。「駅馬エキバ」(駅に用意し官用に使う馬)「駅鈴エキレイ」(公務出張の折、駅馬を使用できる印の鈴)「駅伝エキデン」(駅から駅へと人や馬が交代しながら伝えてゆくこと) (2)鉄道の停車場。「駅舎エキシャ」「駅弁エキベン
 タク・さわ  氵部   
解字 旧字は澤で、「氵(水)+睪(次々とつらなる)」の会意形声。水が浅くたまって続いているところをいう。水分がたくさんあるところから、うるおう・うるおす意ともなる。また、体から分泌する液体(汗や脂)の意にも用いたため、脂でひかることから、「つや」の意ともなる。新字体は沢に変化。
意味 (1)さわ(沢)。水たまりと草地がつながる湿地。また、よどみが連なる山間の渓谷。「沼沢ショウタク」(沼と沢) (2)うるおう。めぐみ。「潤沢ジュンタク」(潤も沢も、うるおう意。また、十分ゆとりがあること)「沢山タクサン」(十分あること)「沢雨タクウ」(めぐみの雨) (3)つやのあるさま。「光沢コウタク」(なめらかな面が光を受けて輝く)
 シャク・とく  釆部  
解字 旧字は釋で、「釆ハン(分ける)+睪(次々とつらなる)」の会意。釆は、けものの指の分かれた形の象形で、分ける意。釈は次々とつらなっているものを分けて解き放つこと。解く意となる。転じて、解き明かす意ともなる。新字体は釈に変化。
意味 (1)ときはなつ。ほどく。ゆるす。「釈放シャクホウ」「保釈ホシャク」 (2)とく(釈く)。ときあかす。「解釈カイシャク」「注釈チュウシャク」 (3)言い訳をする。「釈明シャクメイ」 (4)薄める。「希釈キシャク」 (5)仏や仏教を表わす語。「釈迦シャカ」「釈門シャクモン
 エキ・よろこぶ  忄部
解字 「忄(こころ)+睪(=釋・釈の略。ときはなつ)」 の会意形声。心がときはなたれて感じるよろこび。
意味 よろこぶ(懌ぶ)。たのしむ。「欣懌キンエキ」(欣も懌も、よろこぶ意)「懌悦エキエツ」(懌も悦も、よろこぶ意)
 タク  金部  
解字 「金(金属)+睪(つらなる)」の会意形声。もと、並べ吊るして使う鈴に似た楽器。のち、一つ一つの鈴を言うようになった。
 銅鐸
意味 (1)祭礼の大鈴。「銅鐸ドウタク」(青銅製の釣鐘形の楽器。古代、西日本で祭器として使われた) (2)大きな鈴。鈴。「金鐸キンタク」(舌が金属でできた鈴)「木鐸ボクタク」(舌が木でできた鈴。法令を人民に示すとき鳴らした。②世の人を教え導く人)
 エキ  糸部
解字 「糸(いと)+睪(次々とつらなる)」の会意形声。糸がもつれずに次々と引き出されること。
意味 (1)引く。糸を引き出す。ぬく。 (2)つらなる。つらなりつづく。「絡繹ラクエキ」(絶え間なく続くこと)「繹騒エキソウ」(さわぎが続く)(3)のべる。陳述する。「演繹エンエキ」(①一つの事柄から他の事柄に押し広めて述べる。② deduction(推論の結果)の訳語。前提を認めるなら結論も認めざるをえないもの。数学における証明などをいう)
    
並べた中から選び出す
 タク・えらぶ  扌部   
解字 旧字は擇で、「扌(て)+睪(並べて選ぶ)」の会意形声。並べた中から選び出すこと。新字体は択に変化。
意味 えらぶ(択ぶ)。えらびとる。「選択センタク」「択一タクイツ」(二つ以上の中から一つを選ぶ)「採択サイタク」(えらびとる)
 ヤク・わけ  言部  
解字 旧字は譯で、「言(ことば)+睪(並べて選ぶ)」の会意形声。いろんな言葉から最も適当なものを選んで異民族の言葉を通訳すること。新字体は訳に変化。
意味 (1)やくす(訳す)。「翻訳ホンヤク」「通訳ツウヤク」 (2)訳したもの。「英訳エイヤク」 (3)[国]わけ(訳)。意味。ゆえ。いわれ。
<紫色は常用漢字>

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音符 「旁ボウ」 <かたわら・ひろがる>

2016年05月16日 | 漢字の音符
 ボウ・ホウ・かたわら・つくり  方部

解字 甲骨文と金文は、「凡ボン・ハン(木製の容器)+方(四方)」の会意形声。 凡は、木製の角ばった水槽などの象形と考えられる。盤バン・ハン(たらい・はち・大さらなどの器)にも通じ、どこの家にもある容器なので、すべて・みなの意となる。そこに方(四方)がついた旁は、あまねく・ひろい意味を表わす。また、ひろがった周辺の意から、、かたわらの意となる。篆文から字形がおおきく変形し、現代字は旁となった。人のついた傍の字を、ごろ合わせで覚えておくと、この字も書けて便利。
 「かたわら」の意は、日本では人をつけた傍ボウが受け持っており、現在、旁の字は、漢字の「つくり(旁)」の意がポピュラーである。なお、あまねくの意は、「ひろがる」イメージで音符となる。
意味 (1)あまねく。ひろい。「旁引ボウイン」(広く調べ出す。広く考証する。博引。)「博引旁証ハクインボウショウ」(広く引用し広く証拠を示して説明する) (2)かたわら(旁ら)。(=傍ら) (3)つくり(旁)。漢字の右辺の部分。

イメージ  「かたわら」 (旁・傍・榜・牓)
       あまねくの意から 「ひろがる」 (膀・謗)
       「その他」 (蒡)
音の変化  ボウ:旁・傍・榜・牓・膀・謗・蒡

かたわら
 ボウ・かたわら・はた  イ部
解字 「イ(人)+旁(かたわら)」 の会意形声。かたわらにいる人。転じて「かたわら」の意となる。旁が、あまねく・かたわら両方の意があるので、人をつけて、かたわらの意を明確にした字。
意味 (1)かたわら(傍ら)。はた(傍)。そば(傍)。わき(傍)。「傍線ボウセン」(文字や文章のわきに引く線)「傍観ボウカン」(かたわらで見る)「傍若無人ボウジャクブジン」(傍らに人無きが若(ごと)し) (2)分かれた。派生した。「傍系ボウケイ」「傍流ボウリュウ」「傍証ボウショウ」(証拠となる傍系の資料。間接の証拠)  
覚え方 ひと()たつわ(立ワ)ほう()ぼうに 観者 (※立の下とワの上は重なる)
 ボウ  木部
解字 「木(いた)+旁(かたわら)」 の会意形声。道や建物のかたわらに立てた木製の掲示板。
意味 (1)たてふだ。掲示板。「榜札ボウサツ」(たてふだ)。(2)官吏登用試験の合格者を発表する掲示板。「金榜キンボウ」(金色の字で書いた合格者の掲示板)「榜元ボウゲン」(官吏登用試験の首席合格者) (2)かかげしめす。「標榜ヒョウボウ」(かかげあらわす)
 ボウ  片部
 牓示石
解字 「片(木の板)+旁(かたわら)」 の会意形声。土地の境界(かたわら)に立てた目印の木札。
意味 (1)たてふだ。「牓札ボウサツ」(たてふだ=榜札)(2)境界の表示札。「牓示ボウジ」(木の杙くいや石などで領地の境界を標示したもの)「牓示杙ボウジぐい」(荘園などのさかいぐい)「牓示石ボウジいし」(荘園などの境界石)

ひろがる
 ボウ  月部にく
解字 「月(からだ)+旁(ひろがる)」 の会意形声。尿をためて拡がる体の器官の膀胱ボウコウに使われる。なお、「月(からだ)+旁(かたわら)」 の意から、身体のわきの意もある。
意味 (1)「膀胱ボウコウ」(ゆばりぶくろ)に使われる字。旁ボウも光コウ(光がひろがる)も、ひろがる意。これに肉月をつけて身体のなかで尿をためて拡がる器官を表した。 (2)わき。わきばら。
 ボウ・そしる  言部
解字 「言(いう)+旁(ひろげる)」 の会意形声。人々の前でひろく言いふらすこと。特に相手の欠点をあげつらう言葉をいうことをいう。
意味 そしる(謗る)。悪口をいう。「謗言ボウゲン」「誹謗ヒボウ」(誹も謗も、そしる意)

その他
 ボウ  艸部
 葉付きの牛蒡
解字 「艸(草)+旁(ボウ)」の会意形声。ボウという名の草。音符のイメージは不明。葉が大きくひろがる意か。
意味 牛蒡ゴボウに使われる字。牛蒡はキク科の二年草。古くは薬草として中国から伝来。日本では根菜として栽培される。牛は草木の大きいものに冠され、蒡ボウのなかでも大きいものを指して言った言葉。
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音符「盧ロ」<まるい器>「炉ロ」「膚フ」

2016年05月12日 | 漢字の音符
 ロ・ル  皿部             
盧(ろ)姓のシンボルマーク


解字 甲骨文第1字は、つぼ形のうつわ(皿)の横に虎を描いた象形で、つぼの中に2点があり何かが入っていることを示している。第2字は、虎の略体が上にきて下部が鼎(かなえ)状の脚がある器の象形。虎の絵がはいったつぼ形または鼎形のうつわを表す。
 金文を解くには盧姓のシンボルマークが参考になる。このマークはつぼ(皿)と虎が描かれているのは甲骨文と同じだが、つぼの中に描かれているのは胃である。胃は「田(胃袋のなかの食べた物)+月(からだ)」からなる字で、胃袋を表す字[音符「胃イ」を参照]。したがって金文の盧は、食べ物をいれたつぼと考えられる。では虎は何を表しているのだろうか。盧が姓のマークであることから、虎は盧姓(盧の一族)を守護する動物、すなわちトーテム(崇拝対象)であると思われる。
 金文の字形は上から、「虎の略+胃の田の部分+月(胃の月の部分)+皿(つぼ)」となり、シンボルマークと同じ内容を表している。篆文は、胃袋の部分がザルのような形になり、現代字で田に変化し、「虍+田+皿」の盧となった。意味は、姓に用いられる他、食べ物をいれるつぼから「めしびつ」となる。盧を音符に含む字は、「つぼ型のうつわ」「まるい」イメージを持つ。
意味 (1)姓のひとつ。「盧生ロセイの夢」(盧生という青年が立身出世して富貴を極めたが夢だったという故事。はかないことのたとえ)(2)つぼ。めしびつ。「壺盧コロ」(まるいつぼ)(3)すびつ(=炉)。火入れ。(4)くろい。くろいもの。(5)梵語の音訳。「盧遮那仏ルシャナブツ」(大日如来のこと)

イメージ 
 「つぼ型のうつわ」
(盧・炉・膚) 
  「まるい」(蘆・廬・艫・轤・驢)
  「同音代替」(慮・虜・濾)
  「その他」(櫨)
音の変化  ロ:盧・炉・蘆・廬・艫・轤・驢・濾・櫨  リョ:慮・虜  フ:膚

つぼ型のうつわ
[爐] ロ・いろり  火部
解字 旧字は爐で「火+盧(つぼ型のうつわ)」の会意形声。火をいれておく壷形のうつわ。火鉢。新字体は、旧字の盧 ⇒ 戸に置き換えた。
意味 (1)ろ(炉)。いろり(炉)。ひばち(火鉢)。「炉端・炉辺ロばた」「暖炉ダンロ」 (2)火を入れて燃やしておくもの。「香炉コウロ」「熔鉱炉ヨウコウロ
 フ・はだ  月部にく
解字 正字は臚で、「月(からだ)+盧(つぼ型のうつわ)」の会意。身体の壷のようなところの意。ここでは壷の表面をいい、身体の表面をおおう皮膚のこと。現代字は正字から皿を省いた。会意であるため、新しい音がつく際には、布(平らで薄い)-普(広がっておおう)のイメージからフの音がついた。
意味 (1)はだ(膚)。「皮膚ヒフ」「完膚カンプ」(きずのない皮膚) (2)うわべ。物の表面。「膚浅フセン」(あさはかなこと)

まるい
蘆[芦] ロ・あし  艸部
解字 「艸(くさ)+盧(まるい)」の会意形声。茎のまるい草の意であしをいう。盧 ⇒ 戸に置き換えた芦が俗字として使われている。
意味 あし(蘆)。よし。イネ科の多年草で水辺に自生する。葦・葭とも書く。「蘆笛ロテキ・あしぶえ」「蘆汀ロレイ」(蘆の生えているみぎわ)
 ロ・リョ・ル・いおり  广部
解字 「广(やね)+盧(=蘆・芦。あし)」の会意形声。芦などの草で葺いた屋根の家。
意味 (1)いおり(廬)。草や木で造った粗末な家。仮の小屋。「草廬ソウロ」(草ぶきのいおり。草庵)「廬舎ロシャ」(仮小屋)(2)地名。「廬山ロザン」(江西省の北部にある山)
 ロ・とも  舟部
解字 「舟(ふね)+盧(まるい)」の会意形声。舟尾のまるくなっている部分。
意味 とも(艫)。船尾。対義語は「舳ジク・へ」(船首)「舳艫ジクロ」(船の舳先へさきと艫とも
 ロ  車部
解字 「車(回転する)+盧(まるい)」の会意形声。回転するまるいもの。
意味 「轆轤ロクロ」に使われる字。轆轤とは回転運動をする器械で、木地細工で丸い挽き物を作る工具や、陶器を形作る回転台をいう。※轆ロクは、「車+鹿(ロク)」の形声で、車が走るときのごろごろという音の擬声語。
驢[馿] ロ・リョ・うさぎうま  馬部
 石臼を曳く驢馬(中国)
解字 「馬(うま)+盧(=轤。回転運動をする器械)」の会意形声。盧は轤(回転運動をする器械)に通じ、回転運動をする石臼を曳く馬でロバをいう。これはネットで見つけた写真からイメージした私見。
意味 うさぎうま(驢)。ろば(驢馬)。ウマ科の動物。馬に似るが馬より小さく忍耐力にとむ。耳が長いことから、「うさぎうま」と言われた。「驢背ロハイ」(ロバの背)「驢鳴犬吠ロメイケンバイ」(ロバの鳴き声と犬のほえる声。聞くにたえないこと)「海驢あしか

同音代替
 リョ・ロ・おもんばかる 心部
解字 「心+盧の略体(リョ)」の形声。リョは呂リョ(つらなる)に通じ、次々と関連することを心に思うこと。
意味 おもんばかる(慮る)。思いめぐらす。「考慮コウリョ」「配慮ハイリョ」「不慮フリョ
覚え方 とら()をおも()う配ハイリョ
 ロ・リョ・こす  氵部
解字 「氵(みず)+慮(ロ・リョ)」の形声。ロ・リョは漉ロク・リョ(こす)に通じ、液体を布などの細かい目をくぐらせて通過させ、混じり物をのぞくこと。
意味 こす(濾す)。「漉す」とも書く。液体の中の混ざりものを除き去る。「濾過ロカ」(こすこと)「濾紙ロシ」(濾過紙。こしがみ)
 リョ・とりこ  虍部
解字 「力(ちから)+盧の略体(リョ)」の形声。リョは呂リョ(つらなる)に通じ、力ずくで捕らえて数珠つなぎにした捕虜(とりこ)をいう。部首は解字から言うと「力」であるが、字を虍と男に分け「虍」を部首としている。
意味 (1)とりこ(虜)。いけどる。「捕虜ホリョ」「俘虜フリョ」「虜囚リョシュウ」 (2)しもべ。めしつかい。どれい。③えびす。蛮族。「胡虜コリョ」(北方のえびす。転じて、異民族)
覚え方 とら()につかまったおとこ()は、(とりこ)

その他
 ロ・はぜ  木部
解字 「木+盧(ロ)」の形声。ロという名の木。盧のイメージは不明。
意味 はぜ(櫨)。ウルシ科の落葉高木。秋に紅葉する。実から木蝋をとり、樹皮は染料となる。「黄櫨コウロ・はぜ」とも書く。
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音符 「発ハツ」 <出発する>

2016年05月09日 | 漢字の音符
 ハツ・ハチ  癶部はつがしら    

解字 甲骨文字は左右の両足(止)をそろえた形。両足をそろえて出発する意となる。金文・篆文は原型を残しているが、隷書(漢代の役人が主に使用)から大きく変化し、現代字は癶の形になった。癶は部首の「はつがしら」となり、発・登などの字で用いられる。
意味 ゆく。


     ハツ <弓矢を放ってでかける>
[發] ハツ・ホツ・たつ  癶部はつがしら 

解字 篆文・旧字は發で、「癶(でかける)+弓(ゆみ)+殳(うつ動作)」 の会意。癶の初形は両足をそろえて出発する形。「弓+殳」は弓を射る形。両者を合わせた發は、弓で矢を放って出発する形で、攻撃に先だってまず矢を放って開戦を告げる意[字統]。新字体は旧字の發⇒発に変化する。
意味 (1)(矢を)はなつ。「発射ハッシャ」「発砲ハッポウ」 (2)たつ(発つ)。でかける。「出発シュッパツ」「発車ハッシャ」 (3)出る。生じる。「発生ハッセイ」「発想ハッソウ」 (4)ひらく。あける。「発見ハッケン」「開発カイハツ」 (5)あらわれる。あばく。「発露ハツロ」「発覚ハッカク

イメージ 
 「弓矢を放ってでかける」
(発・廃・癈) 
 矢が「とびでる」(溌・撥・醗)
音の変化  ハツ:発・溌・撥・醗  ハイ:廃・癈

弓矢を放ってでかける
 ハイ・すたれる・すたる  广部
解字 旧字は廢で、 「广(やね)+發(弓矢を放ってでかける)」 の会意形声。弓矢の攻撃を受けた家。攻撃を受けてだめになること。新字体は廃に変化。
意味 (1)だめになる。すたれる(廃れる)。すたる(廃る)。「廃屋ハイオク」「廃墟ハイキョ」「廃人ハイジン=癈人」 (2)すてる。やめる。「廃止ハイシ」「廃刊ハイカン
 ハイ  疒部
解字 「疒(やまい)+發(=廃。だめになる)」 の会意形声。治る見込みのない重いやまいをいう。常用漢字でないため、廃に置き換えることが多い。
意味 不治のやまい。「癈疾ハイシツ」(治らない病気。=廃疾)「癈人ハイジン」(疾病や傷害で通常の生活を営めなくなった人=廃人)

とびでる
 ハツ   氵部
解字 旧字は潑で、「氵(水)+發(とびでる)」 の会意形声。水が勢いよくあちこちへとび出ること。
意味 (1)水がとびちる。水をまき散らす。 (2)勢いのよいさま。「溌溂ハツラツ」(生き生きとして元気のよいさま=溌剌)「活溌カッパツ」(=活発)
 ハツ・ハチ・バチ・はねる  扌部
解字 「扌(手)+發(とびでる)」の会意形声。手の指ではじいて物がとびでること。また、指や手の動きで物をはじくこと。古くは、「扌(手)+發(弓矢をはなつ)」 で、弓矢をはなって乱世を治める意があった。
意味 (1)はねる(撥ねる)。はじく。はねかえす。「撥条ハツジョウ・ぜんまい」(はねかえる力を利用する板状や線状のもの)「撥バチ」(琵琶や三味線の弦をはじく道具)「撥音ハツオン」(日本語の「ん」の発音をいう。「ん」の字は書く時、最後に撥ねるので、ついたといわれる)「撥鏤バチル」(撥は、はねる。鏤は、ちりばめる。象牙の表面を緑や紅色などに染め、上から撥ねるように彫って模様を鏤(ちりば)め、象牙の地色を模様として浮き上がらせる技法。象牙の彫細工のひとつ) (2)治める。「撥乱ハツラン」(乱を治める)
 ハツ・かもす  酉部
解字 旧字は醱で「酉(さけつぼ)+發(とびでる⇒生じる)」 の会意形声。さけつぼの中で発酵がはじまること。
意味 かもす(醗す)。酒をかもす。「醗酵ハッコウ」(=発酵。酒がかもされること)
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