漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

紛らわしい漢字 「夜ヤ」 と 「液エキ」

2023年06月09日 | 紛らわしい漢字 
 「夜ヤ・よる」に 氵(さんずい) がついて、なぜ液エキと発音が変わるのか? 

  ヤ <日没を中心にして月のでる方>
 ヤ・よる  夕部 


  上が夜ヤ、下が亦エキ
解字 夜の金文が大の字に立った人の右に夕または月の形を描いていることで分かるように、「月(つき)+亦エキの略体」の会意。亦エキ(両わき)は大の字に立った人の両側にハの字をつけた形で、大を中心にして両側に同じものがある意。夜の篆文(てんぶん=秦代)は、大の一方に夕(=月)を描いた形で、両側の一方が月の出る夜であることを示す(もう一方は昼を暗示している)。現代字は隷書(漢代)を経て「夜」へと原形をとどめぬほどに変化した。なお、夜を音符に含む字は、ヤと発音する場合は「よる」の意。エキと発音する場合は「亦(両わき)」の意味で用いられる。
意味 (1)よ(夜)。よる(夜)。「夜景ヤケイ」「夜陰ヤイン」「除夜ジョヤ」(おおみそかの夜)「深夜シンヤ」「月夜つきよ」「昼夜チュウヤ」 (2)くらい。

イメージ 
 「よる」
(夜) 
 「エキの音(=亦。両わき)」(液)
音の変化  ヤ:夜  エキ:液

エキの音
 エキ・しる  氵部
解字 「氵(みず)+夜(エキ=亦。両わき)」の形声。両わきから流れ落ちる汗の意。転じて、物の内部から出る汁(しる)の意となる。
意味 (1)しる(液)。物の内部から出るしる。「液汁エキジュウ」(しる。つゆ) 「体液タイエキ」(汗・唾(つば)・涙などの総称) (2)水状のもの。「液体エキタイ」「血液ケツエキ」「液化エキカ」(気体が液体に変化すること)「液晶エキショウ」(液状結晶の略。液体と固体の中間の状態にある物質) 
<紫色は常用漢字>
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

紛らわしい漢字 「緑リョク」 と 「縁エン」

2023年01月30日 | 紛らわしい漢字 
  「緑リョク」と「縁エン」は良く似ている。違いは緑の右下が「水」に似た形、縁の右下は、「豕シ(ぶた)」(上の字と一が重複する)である。ところが、糸へんを取り去ると、「彔ロク」と「彖タン」という異なる字になってしまう。これは、常用漢字になると上部が彑(けいがしら)からヨの下部が出た形に変化するためである。「彑」が見慣れないので、ヨに似た形のほうが覚えやすいと思って変えたのだろう。
 そこで、彑(けいがしら)がつく「彔ロク」と「彖タン」の違いを見てみよう。


     ロク <キリで木を刻み、木くずが飛び散る>
 ロク  彑部けいがしら

解字 錐キリ状の道具で木を刻み、木屑が飛び散る形の象形。甲骨文・金文の形は、まさにその道具が使われているさまを示している[字統]。篆文は他の字と混同して形が変わり、現代字は「彑(けいがしら)+水の変形」に変化した。彔を音符に含む字は、「きざむ・けずる」、けずったものが「こぼれおちる」イメージを持つ。新字体では、上の彑⇒ヨの下部が出た形に変化する。
意味 きざむ。木をきざむ。きり。

イメージ 
 「きざむ・けずる」
(菉・緑・録・剥)
音の変化  ロク:録  リョク:菉・緑  ハク:剥

きざむ・けずる
 リョク・ロク  艸部
① 
①きざんだ染料材料のかりやす(刈安)正美屋HPより
カリヤスの葉と茎(三河の植物観察)
解字 「艸(草)+彔(きざむ)」の会意形声。葉や茎をきざんで煮出し、染料とするカリヤスのこと。
意味 (1)草の名。かりやす。こぶなぐさ。イネ科の一年草。葉は竹の葉に似た緑色。茎・葉を萌黄色の染料とする。(2)かりやすの草の色。緑色。「菉竹猗猗ロクチクイイ」(かりやすと竹のみどり色が美しく盛んなさま)
 リョク・ロク・みどり  糸部
解字 旧字は綠で、「糸(いと)+彔(=菉リョク(カリヤス)の略体)」の会意形声。菉リョクは葉や茎をきざんで煮出し、染料とするカリヤスのこと。カリヤスの葉はみどり色なので、みどりの糸で緑色の意。なおカリヤスで染めた糸は萌黄色なので、染めて緑色にするには藍アイで藍色に染めてからカリヤスで染めて緑色にする。新字体は緑に変化。
意味 みどり(緑)。みどり色。青と黄の間色。草木の新芽や若葉。草木。「緑化リョクカ」「緑地リョクチ」「緑茶リョクチャ」「緑青ロクショウ」(銅の表面に生ずるさび)
 ロク・しるす  金部
解字 旧字は錄で、「金(金属)+彔(きざむ)」の会意形声。青銅などの金属の表面に文字などを刻みつけることを録という。記録技術の発達により録音・録画など音や画を記録するのにも用いる。新字体は録に変化。
意味 (1)しるす(録す)。文字を刻みつける。写し取る。おさめておく。「記録キロク」「録音ロクオン」「録画ロクガ」 (2)書きしるしたもの。「目録モクロク」「図録ズロク」「実録ジツロク
 ハク・はぐ・はがす・はがれる・はげる  刂部
解字 旧字は剝で、「刂(刀)+彔(けずる)」の会意形声。刀でけずって表面をはがすこと。新字体は剥に変化。
意味 (1)はぐ(剥ぐ)。はがす(剥がす)。はぎとる。むく。「剥奪ハクダツ」「剥製ハクセイ」(動物の皮を剥いで中に詰め物をして製作する外見がそっくりな物) (2)はがれる(剥がれる)。はげる(剥げる)。はなれる。はげおちる。「剥落ハクラク」「剥離ハクリ

     タン <へり・ふち>
 タン  彑部けいがしら           

解字 篆文は、豕(ぶた)の上に横向きのあしを付けた象形。豚が前方でなく横に走る形で、放し飼いされている豚が、囲いの柵にそって走りまわる意から、囲いの内側の周辺を意味する。
現代字は、「彑(けいがしら)+豕(上部は重複する)」に変化した。音符となって「へり・ふち」「わくにおさまる」のイメージがある。新字体では、上部の彑がヨの下が出た形の⇒縁の右辺に変化する。
意味 はしる。めぐる。

イメージ 
 「へり・ふち」
(縁)
 「わくにおさまる」(篆)
音の変化  エン:縁  テン:篆

へり・ふち
 エン・ふち・へり  糸部
解字 旧字は「糸(ぬの)+彖(へり)」の会意形声。布のへり・はしの意。転じて、物のへり・ふちの意となる。現代字は右辺が変化した縁。日本では座敷の「えんがわ」の意となる。なお、意味の(3)~(5)は仏教用語のため本来の意味から変化している。 
意味 (1)ふち(縁)。へり(縁)。「崖っ縁がけっぷち」「額縁ガクぶち」 (2)[国]座敷の外側の板敷。えん(縁)。「縁側エンガワ」 (3)よる(縁る)。ちなむ。 (4)えにし(縁)。ゆかり(縁)。かかわりあい。「所縁ショエン・ゆかり」)。「縁故エンコ」(①血縁・姻戚。②故(ゆえ)ある縁。つて)「由縁ユエン」(事の由来。ゆかり) (5)めぐりあわせ。「因縁インネン」 

わくにおさまる
 テン  竹部
解字 「竹(竹簡)+彖(わくにおさまる)」の会意形声。竹簡に書かれる文字で、枠に収まるように書かれた文字の種類。
意味 (1)古代漢字の書体の名。長方形の枠におさまるよう書かれた書体。印章に多く使われる。「篆書テンショ」(漢字の書体の一つ、周代の大篆と秦代の小篆がある)「篆刻テンコク」(石や木などに文字を刻むこと。多く篆書体を使ったことから)「篆文テンブン」(篆書体の文字)
<紫色は常用漢字>

お知らせ
本ブログ掲載の漢字を選りすぐった「音符順 精選漢字学習字典」販売中!



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

紛らわしい漢字 「畜チク」 と 「蓄チク」

2021年11月24日 | 紛らわしい漢字 
 「畜チク」と「蓄チク」の違いは、草かんむりが、ないか・あるか、だけ。家畜の意味の「畜チク」に草かんむりを付けたら、なぜ蓄(たくわ)える意味になるのか。

 チク・キク・キュウ・やしなう・かう  田部            

解字 甲骨文は「幺(糸束)+鹵(カゴ状のうつわに塩を入れたさま)」の会意。鹵は塩地から取れる天然塩をカゴ状のうつわにいれたさまの象形。これに幺(糸束。ここでは、ひもの意)がついた畜は、塩を入れたカゴなどの口をひもで結んで「たくわえる」こと。金文から、鹵⇒田に変化し、篆文から幺⇒玄に変化した畜になった。[落合淳思『漢字の成り立ち』を参照した]
 意味は甲骨文にあり、塩を「たくわえる」意だが、もうひとつの発音:キクは「鞠育キクイク」(鞠も育も育てる意)に通じ、やしなう・かう意となる。そこから、動物を飼う意となり家畜の意味ができた。現在はキク⇒チクの発音になっている。なお、鞠は本来「身+匊(まるく)」の身匊キク(これで一字。身をまるくかがめる)に通じ、身をかがめて子を抱き育てる意。この字が、まりの意味である同音の鞠キクで代用されている。
意味 (1)たくわえる(=蓄)。「予(よ=母鳥)の畜(たくわ)える所(ところ)は租(=苴。巣に敷く藁わら)なり」「『詩経』豳ヒン風・鴟鴞シキョウ)翻訳:私(母鳥)が蓄えるのは(巣に敷く)敷き藁です。 (2)やしなう(畜う)。かう(畜う)。「牧畜ボクチク」「畜養チクヨウ」(畜い養う) (3)人に飼われている動物。「家畜カチク」「六畜ロクチク」(馬・牛・羊・鶏・犬・豚の六種をいう)「畜産チクサン」「畜生チクショウ」(①人に飼われて生きるもの。②人をののしる語)
覚え方 ゲンタ(玄田)の家(ゲンタくんの家の家畜)

イメージ 
 「たくわえる」
畜・蓄
音の変化  チク:畜・蓄  

たくわえる
 チク・キク・たくわえる  艸部
解字 「艸(くさ)+畜(たくわえる)」の会意形声。畜は本来、たくわえる意であるが、家畜の意味に使われるようになったので、草をつけて本来の「たくわえる」意味を表した。
意味 たくわえる(蓄える)。たくわえ(蓄え)。「蓄財チクザイ」「蓄積チクセキ」「貯蓄チョチク」「備蓄ビチク
覚え方 草()を刈り、冬の家のエサにとえる。
<紫色は常用漢字>

    バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

紛らわしい漢字 「季キ」と「李リ」

2021年10月15日 | 紛らわしい漢字 
 の下に子がついたのが季、木の下に子がついたのが李、どんな違いがあるのか?
  キ <穂に子(たね)ができる>
 キ  子部             

解字 「禾(穀物のたれた穂)+子(こども・タネ)」の会意。イネ科の植物の穂に子(タネ)ができて穀物が実った形。甲骨文字では穀物に関する神の意で祭祀対象になっているが、詳細は不明という[甲骨文字字典]。のち、実った穀物を収穫する時期や、実るまでの期間を表す。また、収穫するのは一番最後なので終わりの意もある。また、終りから兄弟の末っ子の意味にもなる。
意味 (1)とき。期間。ある一定の期間。「季節キセツ」(そのおりおり。時節)「乾季カンキ」(一年で雨の少ない季節。⇔雨季ウキ)(2)三カ月の間。「四季シキ」「春季シュンキ」「冬季トウキ」 (3)春夏秋冬の終わりの月。また、時代の終わり。「季春キシュン」(春の末。陰暦3月)「季世キセイ」(世の末)(4)兄弟の末っ子。「季子キシ」(末っ子)

イメージ 
 「実った穀物」(季)
 季の意味(4)の「末っ子」(悸)
音の変化  キ:季・悸

末っ子
 キ・おそれる  忄部
解字 「忄(こころ)+季(末っ子)」の会意形声。兄弟の末っ子は幼く、初めての所に行くと心がどきどきすること。転じて、おそれる・むなさわぎする意となる。幼児にかかわらず、おそれる意でもちいる。
意味 (1)おそれる(悸れる)。おそれや驚きで胸がどきどきする。「悸悸キキ」(おそれ驚き胸騒ぎがするさま)(2)心臓の鼓動が速い。「動悸ドウキ」(心臓の鼓動が普通より激しいこと=心悸シンキ

     リ <木になった実)
 リ・すもも  木部

解字 「木(き)+子(こども⇒実)」の会意。リという名の木の果実。すももを言う。
意味 (1)すもも(李)。バラ科の落葉小高木。春、白い花が咲く。桃より小さく酸っぱい果実をつけるので「すもも」とよばれる。「李下リカ」(すももの木の下)「李下に冠(かんむり)を正(ただ)さず」(スモモの木の下で冠をかぶりなおそうとして手を上げると、実を盗むのかと疑われるから、そこで直すべきではない)(2)「行李コウリ」に使われる字。行李とは、古代中国で同音の行理と書かれ、外国へって自国の事を管する外交官の意。外交官はよく旅行し荷物を運ぶので、旅行の荷物、また荷物入れの意となった。「柳行李やなぎごうり」(コリヤナギの枝で編んだ荷物入れ)(3)姓。「李白リハク」(中国・唐代の詩人)「李斯リシ」(秦の宰相。始皇帝に仕えた。)「李朝リチョウ」(朝鮮の王朝の名。李成桂が立てた。1392~1910年)
<紫色は常用漢字>





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コロナ「禍」をコロナ「渦」と書き間違えている人も多いようだ

2020年12月31日 | 紛らわしい漢字 
 ネットを検索していたら、私が発行した『音符順 精選漢字学習字典』を購入された方が、ご自身のブログに、コロナ禍の「禍」について書いておられるのを見つけた。簡潔な文章で最後にオチもついており、面白いので引用させていただきます。

コロナ「禍」をコロナ「渦」と書き間違えている人も多いようだ
僕が漢字学習に愛用している
石沢誠司編 『音符順 精選漢字学習字典 ネット連動版』によると、


冎(カ)は、手足の骨が連続してつながる形で、ここでは関節部分をさす。そこに口のついた咼カは、関節部分がまるいことを表し、関節の先端が、とびでてまるい意と、それを受けるへこんでまるい部分をいう。具体的には、大たい骨のまるい上部とそれを受ける骨盤の骨臼をさすものと思われる。咼を音符に含む字は、関節の骨の一方のくぼんだ「まるい穴」、骨の一方のまるく出た「まるい山形」のイメージをもつ。

とあり、それぞれの次の解説を見ていくと

 カ・わざわい  ネ部
解字 「ネ(=示。祭壇・神)+咼(まるい穴)」の会意形声。神のたたりを受けて思いがけない穴(落とし穴)にはまること。

 カ・うず  氵部
解字 「氵(水)+咼(まるいくぼみ)」の会意形声。水がうずまいてまるい穴のようになること。
意味 (1)うず(渦)。うずまき。うずまく。

とあり、今回の件は新型コロナによる「災い」なわけだから「コロナ禍」が正しい
「渦」の方は「渦中(うずまきの中。転じて、事件の混乱したさわぎの中)」という熟語に引っ張られているような気がする

中には「コロナ鍋」などと、とんでもない単語を生み出す人もいるようだが

ちなみに音符「冎」を持つ漢字には
「渦」「過」「禍」「鍋」(ここまでが常用漢字)「堝」「窩」「蝸」があり、音読みは全て「カ」であるから、まあどの字を当てても「コロナカ」とは読める

参考:『漢字の音符』


ブログ K.Jun's Photograph より


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

紛らわしい漢字 「貝バイ」と「具グ」

2020年12月04日 | 紛らわしい漢字 
 バイと具は似ている。貝バイの目とハの間に一を入れると具になる。しかし、両者の元の字形はまったく違う。貝バイは貝殻であり、具は「鼎かなえ」なのである。

 バイ・かい  貝部        

解字 子安貝のかたちの象形。かいの意味を表わす。甲骨文字と金文は貝のかたちを描いているが、篆文(説文解字)は「目+ハ」と大きく変化してしまった。現代字はそれを引き継いだ貝。貝の一種・子安貝は貨幣として使われたので、かね・たからの意となる。
子安貝の貝貨(引用サイトは現在ない)
意味 (1)かい(貝)。かいがら。「貝殻かいがら」「貝塚かいづか」「法螺貝ほらがい」「貝独楽ベイごま」(巻貝で作ったこま) (2)たから。かね。「貝貨バイカ」(貝の貨幣)

イメージ 
 「かい・財貨」(貝・敗・負・買・売)
 「バイの音」(唄)
音の変化  バイ:貝・買・売・唄  ハイ:敗  フ:負  

かい・財貨
 ハイ・やぶれる  攵部
解字 「攵ボク(=攴。うつ)+貝(宝器)」の会意形声。宝器を打ってこわすこと。戦いに敗れたとき持っている宝器を打ちこわして逃げるので、敗北する意となる。
意味 (1)やぶれる。「敗北ハイボク」「敗走ハイソウ」 (2)そこなう。だめになる。くさる。「敗毀ハイキ」(敗も毀もこわれる意)「腐敗フハイ」(3)しくじる。「失敗シッパイ
 フ・おう・まける・まかす  貝部          

解字 「人(ひと)+貝(貝貨)」の会意。篆文は人が上にきているが、この字は(つながった)貝貨を人が背負う意。貝の貨幣は大量に必要とされるときは、背負って運んだ。また、財貨を背負うことから、たよる、たのむ意が生まれた。なお、負ける・負かす意は、負債(借金)がある意から生まれた。現代字は、人⇒クに変化した負になった。
意味 (1)おう(負う)。せおう。「負担フタン」「負荷フカ」 (2)受ける・こうむる。「負傷フショウ」 (3)たよる。たのむ。「自負ジフ」(自分の能力や仕事に自信をもつこと)「抱負ホウフ」(抱いている自負。将来の計画や決意) (4)まける(負ける)。まかす(負かす)。「勝負ショウブ
 バイ・かう  貝部
解字 「罒(=网・あみ)+貝(おかね)」の会意形声。網をおおうように貝(おかね)で物を買い集めること。
意味 かう(買う)。代金を払って品物を求める。「仲買なかがい」「買収バイシュウ」「購買コウバイ」(買いいれること)
[賣] バイ・うる・うれる  士部              

解字 篆文は「出(でる)+買(かう)」の会意形声。買ったものを出す、すなわち売ること。旧字で「士+買」に変化し、さらに新字体で「売」に変わった。
意味 うる(売る)。あきなう。ひろめる。「売却バイキャク」「商売ショウバイ」「売名バイメイ

バイの音
 バイ・うた  口部
解字 「口(くち)+貝(バイ)」の形声。口から発せられるバイの音。梵語(古代インドの文語)・バイの音訳語に使う。
意味 (1)梵唄ボンバイとは、仏典を調子にあわせて歌うこと。 (2)[国]うた(唄)。民謡や俗謡のこと。「小唄こうた

    グ <鼎をささげもつ>
 グ・そなわる・そなえる  ハ部    

解字 甲骨文・金文は、「鼎(かなえ)+両手」の会意。両手で鼎を奉じる形。鼎は、儀礼のときの器であり鼎を奉ずることにより、儀礼の祭具一式すべてがそなわっていることを示す。篆文は鼎が目に変化した。新字体は、旧字から具に変化する。目の下の「一+ハ」は両手が変化した形である。
意味 (1)そなわる(具わる)。そなえる。「具備グビ」 (2)そろっているもの。そなえつけの器物。「道具ドウグ」「玩具ガング」 (3)つぶさに(具に)。くわしい。「具体的グタイテキ

イメージ 
 「そなわる・そろう」(具)
 「同音代替」(惧)
音の変化  グ・ク:具・惧

同音代替
 ク・グ・おそれる  忄部
解字 「忄(心)+具の旧字(ク)」の形声。クは瞿(おどろく)に通じ、驚いたり恐れる心の状態。瞿は、「目二つ(きょろきょろする)+隹(とり)」の会意で、鳥が目をきょろきょろさせることで、落ち着かない状態を表わす。惧は懼の俗字で、日本では「危惧」のときはこの字を使うのが一般的である。新指定の常用漢字のため旧字のままだが、右辺を具と表記しても可。
意味 おそれる(惧れる)。「危惧キグ」(あやぶみおそれること。気がかり。=危懼キク
<紫色は常用漢字>

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

紛らわしい漢字 「戊ボ」「戍ジュ」「戌ジュツ」

2020年11月01日 | 紛らわしい漢字 
 ・戍ジュ・戌ジュツは似ている。戊のなかに点があるのが戍ジュ、一があるのが戌ジュツである。この3つの文字は、戈(オノ型ほこ)がもとになっている字だが、古代文字から成り立ちをさぐると、それぞれの違いが明瞭になる。

 ボ・ボウ・モ・つちのえ  戈部

解字 戈(オノ型ほこ)の刃先が広い武器の象形。しかし本来の意味でなく、甲骨文字から十干の五番目に当てられている。
意味 (1)つちのえ(戊)。五行(木・火・土・金・水)のひとつである土(戊ボと己キが所属する)の兄(え)の意味で、十干(甲コウ・乙オツ・丙ヘイ・丁テイ・戊・己・庚コウ・辛シン・壬ジン・癸)の五番目。なお、土の弟(と)は六番目の己(つちのと)。「戊辰戦争ボシンセンソウ」(1868年の戊辰(つちのえたつ)の年から新政府軍と幕府側との間で行なわれた戦争) (2)ほこ。
イメージ 
 「仮借(当て字)」(戊)
 「同音代替」(茂)
音の変化  ボ:戊  モ・ボウ:茂
同音代替
 モ・ボウ・しげる  艸部
解字 「艸(草)+戊(ボウ・モ)」の形声。ボウは冒ボウ・モウ(おおう)に通じ、草がおおう意。
意味 (1)しげる(茂る)。草がしげる。「繁茂ハンモ」「茂生モセイ」 (2)すぐれて立派なこと。「茂才モサイ


 ジュ・シュ・ス・まもる  戈部

解字 甲骨文字から篆文まで「人+戈(オノ型ほこ)」の会意。人が武器の戈を背負っている形。武器を背負う兵士の意から、甲骨文字では軍隊の意味で使われた。金文は守る意味が強い守衛の意味となり、以後、国境をまもる意が中心となった。現代字は人と戈が連続した戍となり、戊の中に点があるかのような字形になった。
意味 まもる(戍る)。武器を持って国境をまもる。「戍卒ジュソツ」(国境をまもる兵士)「戍楼ジュロウ」(国境守備隊の見張りやぐら)「衛戍エイジュ」(軍隊が永く一つの土地に駐屯する)「戍徭ジュヨウ」(国境をまもる兵役=徭役)


 ジュツ・シュツ・いぬ  戈部

解字 甲骨文字・金文ともにマサカリ型の大きな刃の部分を中心に描いた象形。篆文になりマサカリの下の刃が独立して一になり、現代字の戌になった。戌は大きな刃なので、これで「相手を圧倒する」イメージを持つ。元の意味に関係なく、十二支の11番目「いぬ」に仮借カシャ(当て字)された。
意味 いぬ(戌)。十二支の第十一。時刻では午後8時、およびその前後の2時間。方角では西北西、動物では犬に当てる。「戌亥いぬい」(方角で北西)「戊戌ボジュツ」(つちのえいぬ。干支のひとつ)
イメージ 
 「いぬ(仮借)」(戌)
 大きな刃で相手を「圧倒する」(威・滅)
音の変化  ジュツ:戌  イ:威  メツ:滅
圧倒する
 イ・おどす  女部  
解字 「女(おんな)+戌(圧倒する)」 の会意。女を刃物で圧倒する形で、おどす意。
意味 (1)おどす(威す)。おびやかす。「威圧イアツ」「威嚇イカク」 (2)いかめしい。「威厳イゲン」「威風イフウ」「権威ケンイ
 メツ・ほろびる・ほろぼす  氵部
解字 「氵(水)+火+戌(圧倒する)」 の会意。水をかけて火を圧倒する意。転じて、きえる・ほろびる意となる。
意味 (1)きえる。火や明かりが消える。「点滅テンメツ」 (2)ほろびる(滅びる)。ほろぼす(滅ぼす)。「滅亡メツボウ」「絶滅ゼツメツ」「滅菌メッキン」 (3)死ぬ。「入滅ニュウメツ
<紫色は常用漢字>

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

紛らわしい漢字 「西にし」 と 「酉とり」

2020年05月08日 | 紛らわしい漢字 
 「西にし」と「酉とり」は似ている。西に一を入れると酉になる。何故こんなに似ているかは以下を読んでいただくことにして、字を書くとき「西にしに一を入れると酉とり」と覚えれば間違いなし。!!

   西 セイ <元はカゴ>
西 セイ・サイ・にし  西部

解字 甲骨文字はザル・カゴを描いた象形。第一字は口が開いた形。第二は口を閉じた形とされる。しかし本来の意味でなく仮借カシャ(当て字)されて方角の西の意味で使われた。金文は口を閉じた形が少し変形した。篆文(秦)は第一字が金文を引き継いでいるが全体が角型になった。第二字は第一字の変形で、長方形を六等分した形。この形が隷書レイショ(漢)で右辺の上部が欠けた形(第一字)となり、次いで左辺の上部も欠けた覀になった。この字形は楷書でも使われたが、現在は西となっている。(字形は落合淳思[漢字字形史小字典]を参照した)
意味 にし(西)。日の沈む方角。「西方セイホウ」「西洋セイヨウ」「西暦セイレキ」「東西トウザイ

常用漢字は西だけだが、ついでに西の音符字も覚えておこう。
イメージ 
 「にし・夕日」(西・茜) 
 かごの象形から「かご」(栖)
音の変化 セイ:西・栖  セン:茜
 
にし・夕日
 セン・あかね  艸部
解字 「艸(草)+西(夕日)」の会意形声。根が夕焼け色の染料になる草。
意味 (1)あかね(茜)。あかねぐさ。根は赤黄色で染料や薬用となる。 (2)あかねいろ。赤色のやや沈んだ色。「茜色あかねいろ」「茜染あかねぞめ
かご
 セイ・すむ・すみか  木部
解字 「木(き)+西(かご)」の会意形声。木の上にあるかご状の鳥の巣。
意味 (1)すみか(栖)。鳥の巣。棲セイとも書く。「栖鴉セイア」(ねぐらのからす) (2)すむ(栖む)。巣を作り、そこにすむ。人にもつかう。「栖息セイソク」(=生息)「隠栖インセイ」(かくれすむ=隠棲)

    ユウ <元は酒つぼ>
 ユウ・とり  酉部

 酒つぼで長期熟成されている紹興酒

解字 酒つぼを描いた象形。中国の古代からの酒は黍(きび)や米を原料とする醸造酒であるが、日本の酒とことなり、上等な酒は酒つぼに入れて長期間熟成させる。このために用いるのが酒つぼである。写真は熟成されている紹興酒の酒つぼであるが、持ち運ぶため四つ目網みの籠で包んだり(手前)、その奥は、つぼ同士が当たる衝撃を和らげるため中央に縄を幾重にも巻いたりしている。酉の字形の模様はこうした酒つぼの状態を描いたのかもしれない。酉はさけの意も表し酒の原字。しかし甲骨文字の時代から仮借カシャ(当て字)して十二支の10番目の「とり」に当てられている。
 酉年の年賀状無料見本より
意味 とり(酉)。十二支の第十位。方位は西、時刻は午後6時およびその前後1時間。動物はにわとりに当てる。「酉(とり)の市」(11月の酉の日に行なわれる鷲(おおとり)神社の市)
参考 酉は部首「酉とり・とりへん・ひよみ(暦)のとり・さけのとり」になる。漢字の左辺について、酒・発酵の意味を表す。常用漢字で15字。[新漢語林]で87字を収録している。主な漢字は以下のとおり。
 酉(部首):酌シャク(酉+音符「勺シャク」)・酢サク(「酉+音符「乍サ」」・
ラク(酉+音符「各カク」)・酬シュウ(酉+音符「州シュウ」)・
コウ(酉+音符「孝コウ」)・酷コク(酉+音符「告コク」)など。
イメージ 
 「とり(仮借)」(酉)
 「さけ」(酒・醜)
音の変化  ユウ:酉  シュ:酒  シュウ:醜
さ け
 シュ・さけ・さか  酉部
 
熟成された酒つぼ6個が1箱に入った中国の洞蔵老酒(熟成酒)販売広告。傍らに酒つぼから直接、盃(さかずき)に酒を注ぐ写真が添えられている。

解字 甲骨文第1字は酒つぼから酒が注がれている形を三つの線で表している。第2字は注ぐ酒を4つの点で表している。大きな酒つぼから酒を注ぐことは無理であるが、小さな酒つぼから酒を器に注ぐことは現在でも行われている(上の写真)。酒は酉(酒つぼ)の中に入っているので酉が酒の意味を表している。金文第1字は酉の字で酒を表し、第2字は酉の中に点や線を付けて中に酒が入っていることを示している。篆文になり「氵(液体)+酉(さけ)」となり現在に続く。
酒の部首はなぜ氵(さんずい)でないのか?
 甲骨文から金文まで酒の意味は酉が表している。篆文から「氵(液体)+酉(さけ)」となったが、この字は意味を表す酉さけのとり(酒)にそれが液体(氵)である記号がついているだけで、氵は部首とはみなされない。なお、甲骨文字にも酒の字があるが、[甲骨文字辞典]によると、意味は酒でなく川の名前を表している。
意味 さけ(酒)。さけを飲む。さかもり(酒盛り)。「酒蔵さかぐら」「飲酒インシュ」「酒宴シュエン」「酒豪シュゴウ」(大ざけのみ)
 シュウ・みにくい・しこ  酉部
解字 「鬼(おに)+酉(=酒。さけに酔った)」の会意形声。酒に酔った鬼。この字は部首・音符とも酉。
意味 (1)みにくい(醜い)。けがらわしい。「醜悪シュウアク」(みにくい。見苦しい)「醜名シュウメイ」(悪い評判)「醜態シュウタイ」「醜聞シュウブン」 (2)にくむ。きらう。 (3)しこ(醜)。みにくいものをののしる語。「醜女しこめ」「醜男しこお
<紫色は常用漢字>

お知らせ
本ブログ掲載の漢字を選りすぐった『音符順 精選漢字学習字典』販売中!




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

紛らわしい漢字 「侯コウ」 と 「候コウ」

2019年07月17日 | 紛らわしい漢字 
 侯コウに、さらにイ(にんべん)をつけた形が「候コウ」。両者の関係がわかれば、この二字の違いが分かる。

 コウ・きみ  イ部               

解字 甲骨文は「厂(石の略体)+矢」 の会意。[甲骨文字辞典]は、「甲骨文字では地方領主の意味で用いられている。厂は反ハンにおいては(石器の武器を手でもつ形で)石製の武器として用いられているので、地方領主を石器や弓矢のような原始的な武器を持った勢力と見なした文字と考えられる」としている。金文は甲骨文と同じ形で、意味は諸侯(天子から受けた封土の人民を支配した人)および、官爵名として用いられている。
 篆文で上に人がつき、地方領主が人であることを示したものであろう。現代字は篆文の人の腕と厂のタテ線がむすびついてイとなり、人の残りと厂のヨコ線⇒ユに変化した侯となった。
意味 (1)きみ(侯)。封建時代の領主・大名。「諸侯ショコウ」「王侯オウコウ」 (2)爵位の第2位。「侯爵コウシャク」 (3)まと。弓矢のまと。「射侯シャコウ」(まとを射る)「侯鵠コウコク」(まと、方十尺なるを侯といい、四尺なるを鵠という)
覚え方 「ひとゆや(亻ユ矢)で」と覚えると書きやすい。

イメージ  
 「身分の高い人」(侯・候)
音の変化  コウ:侯・候

身分の高い人
 コウ・そうろう・うかがう  イ部  
解字 「イ(人)+侯(身分の高い人)」 の会意形声。身分の高い人のそばについて仕える人。イ(にんべん)が重なるので、真ん中のイをタテ線にした候となった。意味は貴人のそばにつかえる意のほか、貴人をまつ、貴人の安全のため、まわりの様子をうかがう等の意となり、転じて「きざし」などの意に拡がった。
意味 (1)さぶらう。貴人のそばに仕える。「伺候シコウ」(おそばに奉仕する) (2)まつ(候つ)。待ちむかえる。「候補コウホ」(補任を待つ) (3)うかがう(候う)。ようすをみる。さぐる。「斥候セッコウ」「測候ソッコウ」 (4)きざし。しるし。「気候キコウ」「兆候チョウコウ」 (5)そうろう(候)。有る・居るなどの謙譲語・丁寧語。「候文そうろうぶん
<紫色は常用漢字>

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

紛らわしい漢字 「宁チョ」 と 「它タ」

2019年05月29日 | 紛らわしい漢字 
 「宁チョ」と「它タ」、あまり見かけない漢字だが、ここに貝と虫がつくと、たちまちよく知っている「貯チョ」「蛇ジャ・ダ・タ」に変身する。すなわち、「宁チョ」は大事なもの(貝)をいれておく保管箱を表し貯の原字、「它タ」はコブラなど頭のおおきいヘビをかたどった字で蛇の原字なのだ。

    チョ <保管箱>
 チョ  宀部

解字 物を貯蔵する箱の象形。金文の一字には貝を加えたものがあり、貯の原字。現代字は上が宀、下が丁に分離した宁になった。宁は古代文字のおもかげをほとんど残していない形になってしまった。
意味 (1)たくわえる(=貯)。 (2)たたずむ(=佇)。

イメージ  大切なものを保管する箱の意から「保管箱」(貯・佇)
保管箱
 チョ・たくわえる  貝部
解字 「貝(財貨)+宁(保管箱)」 の会意形声。財貨を保管箱にいれてたくわえること。
意味 たくわえる(貯える)。ためる。「貯金チョキン」「貯蓄チョチク」「貯水チョスイ
 チョ・たたずむ  イ部
解字 「イ(ひと)+宁(保管箱)」 の会意形声。大事なものが入っている保管箱のそばに人が立って番をしているかたち。
意味 たたずむ(佇む)。たちどまる。たたずまい(佇まい)。まつ。「佇立チョリツ」(その場にたたずむこと)


   タ <頭の大きいへび>
 タ   宀部

解字 甲骨文第一字は蛇をリアルに描いた象形、第二字は単純化されており、この字形が後代に引き継がれている。金文・篆文は、この系統の字形だが頭が大きく描かれており、コブラなど頭の大きな蛇の象形。現代字は上が宀、下がヒに分離した它になった。
 古くは、ヘビの多い地域で安否を尋ねるとき「它無きか」(ヘビの害はないか)と聞いた。転じて「別条ないか」の意となり、そこから它は「別のこと・ほかの」などの意となった。
意味 (1)へび(它)。まむし。「竜它リュウダ」(竜とへび) (2)ほか。よそ。別の。「它人タニン」(=他人) 

イメージ 「頭の大きいへび」(蛇・舵・鉈) 
へび
 ジャ・ダ・タ・へび  虫部
解字 「虫(動物)+它(へび)」 の会意形声。它はへびの意味があり、虫を加えてその意味を明確にした。
意味 (1)へび(蛇)。くちなわ。「大蛇ダイジャ」「蛇足ダソク」 (2)形がへびに似ているもの。「蛇腹ジャばら」「蛇口ジャぐち
 ダ・タ・かじ  舟部
解字 「舟(ふね)+它(頭の大きなへび)」 の会意形声。船尾にあって船の進む方向を変える(頭の大きなヘビのように)先が幅広くなっている板。なお、「柁ダ(木+它)」も同じ趣旨の字で、「かじ」を表す。
意味 かじ(舵)。船のかじ。「操舵ソウダ」(舵を操る)「舵手ダシュ」「舵取(かじと)り」
 シャ・タ・なた  金部
 鉈
解字 「金(金属)+它(頭の大きなへび)」 の会意形声。短く幅のひろい刃がついた刃物。刃の部分が蛇の頭に、柄が蛇の胴にみえる。
意味 (1)なた(鉈)。薪(まき)などを割るのに使う短くて幅のひろい刃物。「鉈彫なたぼり」(鉈で彫ったような荒々しい力強さが特徴の仏像彫刻)「鉈豆なたまめ」(さやが鉈ほどの大きさになる豆) (2)ほこ。短いほこ。
<紫色は常用漢字>

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする