漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「足ソク」< あ し > と「促ソク」「捉ソク」「齪セク」

2025年04月04日 | 漢字の音符

 ソク・あし・たりる・たる・たす  足部 zú・jù    上は足、下は止  
解字 足の甲骨文第1字は「ひざから足首までの形+ あし先)」の象形。第2字は「口(ひざの関節部分)+あし先(=止の甲骨文)」の形。いずれも、ひざから足先までの形を表す。金文は「口+金文の止の変形」になり、篆文はその形がほぼ続いたが、現代字は「口+ 」の足になった。あし、あるく意の他、足は本体から出ているので、本体に「たす」意となり、さらに、たすと「たりる」意となる。
意味 (1)あし(足)。人間や動物のあし。また、人の足首から下の部分。「足下あしもと」「足袋たび
 (2)あるく。「遠足エンソク」「足早あしばや」(早くあるく) (3)たす(足す)。たりる(足りる)。「補足ホソク」「満足マンゾク」 (4)はきものを数えることば。「二足の草鞋わらじ」(5)地名。姓。「足柄あしがら」(①神奈川県の地名。②姓のひとつ)「足利あしかが」(①栃木県の市。②姓のひとつ)
参考 ソクは、部首「足あし・あしへん」になる。漢字の左辺や下部に付き、足の意味を表す。常用漢字は11字、約14,600字を収録する『新漢語林』では166字が含まれる。                      <足部の常用漢字は以下のとおり>                                                           
ソク・あるく(部首)・キョ・へだてる(足+音符「巨キョ」)・シュウ・ける(足+音符「就シュウ」)・セキ・あと(足+音符「亦エキ」)・セン ・ふむ(足+音符「戔セン」)・ソウ・あと(足+音符「宗シュウ」)・チョウ・はねる(足+音符「兆チョウ」)・トウ・ふむ(足+音符「沓トウ」)・ヤク・おどる(足+音符「翟テキ」)・ヨウ・おどる(足+音符「甬ヨウ」)・ロ・みち(足+音符「各カク」)


イメージ 
 「あし」(足)
 「あるく」(促・捉・齪)
音の変化  ソク:足・促・捉  セク:齪

あるく
 ソク・うながす  イ部 cù
解字  「人(ひと)+足(あるく)」の会意形声。人のうしろから人のあるく足が迫る意。
意味 (1)うながす(促す)。せきたてる。「催促サイソク」(せっつく)「督促トクソク」(せきたてる)「促進ソクシン」(うながし進める)「促成ソクセイ」(野菜や草花を早く生育させる)「促成栽培」(2)間をつめる。せまる。「促音ソクオン」(つめて発音する音。例:もっぱら・さっき)
 ソク・とらえる  扌部 zhuō  
解字 「扌(手)+足(=促。間をつめる)」の会意形声。あるいて人に追いつき手でつかむこと。
意味 (1)とらえる(捉える)。つかまえる(捉まえる)。「捕捉ホソク」(2)とる。つかむ。にぎる。「把捉ハソク」(しっかりとつかまえる)(3)地名。「択捉島エトロフトウ」(北方領土の一つ。発音はアイヌ語に由来する)
 サク・セク  歯部 chuò
解字 「齒(は)+足(=促。間をつめる)」の会意形声。歯ならびが詰まるさま。
意味 齷齪アクセクに使われる字。齷齪とは、本来、歯と歯の間が詰まっている意だが、歯に限らず、詰まる・切迫する意で使われる。もと、アクサクの発音であったが、転音したアクセクが広く使われる。これはセクの発音が、せく(急く)に通じることから。「齷齪アクセク」(休む間もなくせかせかと仕事などをする)「齷齪アクセクと働く」
<紫色は常用漢字>

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音符 「聶ショウ」 <耳をよせあう> と 「囁ショウ」「懾ショウ」「鑷ジョウ」「摂セツ」

2025年04月03日 | 漢字の音符

  ショウ・ジョウ <耳をよせあう>
 ショウ・ジョウ  耳部 niè・zhé 

解字 篆文は「耳+耳+耳」の会意。多くの耳を寄せ合うこと。楷書は聶の形だが、新字体になるとき摂の右辺に簡略化される。 
意味 (1)ささやく。(=囁)。 (2)姓。「聶政ジョウセイ」(戦国時代の韓の武人)

イメージ 
 「多くの耳を寄せる」
(聶・囁・摂)  
 「形声文字」(鑷・懾)

音の変化  ショウ:聶・囁・懾  ジョウ:鑷  セツ:摂

多くの耳を寄せる
 ショウ・ジョウ・ささやく  口部 niè  
解字 「口(くち)+聶(多くの耳を寄せる)」の会意形声。多くの耳を寄せて、口でささやくこと。
意味 (1)ささやく(囁く)。耳もとでそっと話す。「囁き千里」(小声で囁いたことが、瞬く間に千里も離れた所に伝わる)「囁(ささや)き言(ごと)」(私語)
 セツ・とる  扌部 shè・zhé  
解字 旧字はで「扌(手で行なう)+聶(=囁き)」の会意形声。多くの人々のあいだで囁かれている民の声を聞き、その内容を取り入れて政務を執行すること。とりいれる・とる意、および、とりおこなう・統べる・つかさどる意味となる。また、本来統べる人が幼少のとき、経験のある者が代わりに行なう意となる。新字体は、攝⇒摂に変化する。
意味 (1)とる(摂る)。とりいれる。「摂取セッシュ」(取り入れて自分のものにする)「摂受セツジュ」(受け入れる) (2)(栄養を摂り入れることから)やしなう。「摂生セッセイ」(生をやしなう。養生する) (3)とりおこなう・統べる・つかさどる。「摂理セツリ」(①統べ治める。②自然界を支配している理法) (4)代わって執り行う。「摂政セッショウ」(天子や天皇に代わって政治を執ること)「摂関家セッカンケ」(摂政と関白に任ぜられる家柄)「摂行セッコウ」(他人に代わって事を処理する) (5)かねる。「摂兼セッケン」(摂も兼も、かねる意) (6)地名。「摂津セッツ」(大阪府北部および兵庫県の一部にまたがる地域の旧国名。現在は、その一部が大阪府摂津市となっている。由来は、難波津なにわづ(大阪港)を摂セツ(管掌する・統べる)する役所の摂津職セッツシキが置かれた国の意。難波津は難波宮(飛鳥・奈良時代の皇居・今の大阪城付近)のすぐ近くにあった。

                 中央左の難波宮(今の大阪城辺り)の海側(左)に難波津があった。南(下)に住吉大社と住吉津がある。     (日下雅義『地形からみた歴史』表紙カバーより)

形声字
 ジョウ・けぬき・ぬく  金部 niè
解字 「金(金属)+聶(ジョウ)」の形声。ジョウはジョウ(毛抜き・ピンセット)に通じる。同じ発音のジョウも毛抜きの意に用いる。              清代の銅製鑷子・毛抜き(中国ネットから)
意味 (1)けぬき。「ジョウシ」(毛抜き)(2)ぬく(く)「ジョウハク」(白髪をぬく)
 ショウ・おそれる  忄部 shè
解字 「忄(こころ)+聶(ショウ)」の形声。忄(こころ)からおそれることをショウという。後漢の[説文解字]は「気を失う也(な)り」とし、非常に懾(おそ)れることをいう。
意味 おそれる(れる)。「ショウイ」(懾も畏も、おそれる意)「懾竄ショウザン」(おそれてかくれる)「懾伏ショウフク」(おそれてひれふす)「震懾シンショウ」(ふるえおそれる)
<紫色は常用漢字>

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音符「阿ア」<まがる・おくまる> と 「痾ア」「婀ア」

2025年04月01日 | 漢字の音符

  阿 ア・くま(まがる・おくまる)                                     阿   ア・くま・おもねる  阝部こざと  ā・ē

   上は阿、下は可           石斧をつけた曲がった木の枝(レプリカ)                                   解字 「阝(おか)+可(カ⇒ア)」の形声。可は石斧をつけた曲がった木の枝の形で、まがるイメージがある。それに阝(おか)がついた阿は、おかの曲がったところ。「くま(まがる・おくまる)」の意をあらわす。転じて、自分をまげておもねる意ともなる。[説文解字]は「大陵(大きな陵(おか)也(なり)。一に曰(いわ)く曲る阝(おか)也(なり)」とする。その他、接頭語や梵語や外国語の音訳字などに用いる。
意味 (1)くま(阿)。山や川の曲がったところ。奥まってかくれた所。「山阿サンア」(山のくま。山の入りくんだ所)「水阿スイア」(川の曲がって奥まったところ)「四阿シア」(屋根に四つの曲がりがある[あずまや]。亭ちん)             
四阿シア(あずまや)(ウィキペディアより)                     (2)おもねる(阿る)。へつらう。自分の気持ちを曲げて従う。「阿諛アユ」(おもねり、へつらう)「曲学阿世キョクガクアセイ」(学説を曲げて世におもねる) (3)人を親しみ呼ぶときに、つける接頭語。「阿母アボ」(おかあさん)「阿国おくに」(歌舞伎の祖)「阿呆アホウ」(おろか。たわけ)(4)梵語や外国語の音訳字。「阿弥陀アミダ」(人々を極楽に導く仏)「阿吽アウン」(吐く息と吸う息)「阿闍梨アジャリ」(徳の高い僧)(5)地名・国名など。「阿波あわ」(旧国名。今の徳島県)「阿蘇山アソサン」(熊本県東北部にある活火山)「阿蘭陀オランダ」(和蘭・和蘭陀とも書く)(6)姓。人名。「阿部あべ」「阿倍あべ」「阿倍仲麻呂あべのなかまろ」(奈良時代の入唐留学生)

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 「くま」
(阿・痾)
 「形声字」(婀)
音の変化   ア:阿・痾・婀

くま
 ア・やまい  疒部 kē
解字 「疒(やまい)+阿(くま。まがって奧まったところ)」の会意形声。病気が奧まったところに入りこんだように治らないこと。
意味 やまい(痾)。こじれて長びく病気。「宿痾シュクア」(長い間治らないやまい)

形声字
 ア・たおやか  女部 ē                                
解字 「女(おんな)+阿(ア)」の形声。女性の姿がしなやかで美しいさまを婀という。 江戸の婀娜アダな女たち 『守貞漫稿 』より 

意味 たおやか(婀やか)。なまめかしく美しい。「婀娜アダ」(美しくしとやか。女性の色っぽいさま。娜もしなやかなさま)「婀娜アダな姿の洗い髪」(風呂上がりの女の、色っぽい姿の洗い髪)「婀嬌アキョウ」(①なよなよしてなまめかしい。美人。②漢・武帝の妻の幼名)

<関連音符>
 カ  口部 kě・kè
解字 「口(くち)+丁(斧の柄にするまがった木)」の形声。仮借カシャ(当て字)して、許可、可能の意になるが、丁(曲がった木の柄)から「まがる」イメージがある。音符「可カ」を参照。 

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音符「臧 ゾウ」 <おさめる> と 「蔵ゾウ」「臓ゾウ」「贓ゾウ」

2025年03月28日 | 漢字の音符

        臧  ゾウ  <収容する・おさめる>                          

 ゾウ ・ソウ   臣部 zāng・cáng                    


解字 篆文は「爿(ショウ)+臣(捕虜)+戈(ほこ)」 の会意形声。シンは、下を向いた目の形で、相手に対し下を向く意から臣下(家来)の意味があるが、また戦争で捕獲した捕虜(=臣虜シンリョ)の意がある。ゾウは、武器の戈(ほこ)を用いて臣(捕虜)にすること。発音をあらわす爿ショウが、ゾウ・ソウに転音した。捕虜、及び捕虜を獲得したので、「よい」意となる。音符になるとき、捕虜を「収容する・おさめる」イメージを持つ。
意味 (1)(捕虜を獲得したので)よい。「ゾウヒ」(よしあし)(2)捕虜。召使い。奴僕(しもべ)。「ゾウカク」(戦争などの捕虜。また、召使い)(3)おさめる。かくす。(=蔵)。「ゾウトク」(人知れずかくす=蔵匿)

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 「捕虜にする」
(臧)
  捕虜を収容する意から「おさめる」(蔵・臓・贓)
音の変化  ゾウ:臧・蔵・臓・贓

おさめる
  ゾウ・くら・おさめる  艸部 cáng・zāng
解字 旧字はで「艸(作物)+臧(おさめる)」の会意形声。臧のおさめる意を、草かんむり(作物)をつけて表した字。作物などをおさめる意味のほか、物をおさめるくら(蔵)をいう。新字体は、藏⇒蔵に簡略化される。

「前田家土蔵」「四国村案内」より)
意味 (1)くら(蔵)。「土蔵ドゾウ」(建物の四面を白土で塗った倉庫)「米蔵こめぐら」(2)おさめる(蔵める)。しまう。「貯蔵チョゾウ」「蔵書ゾウショ」(3)かくす。「埋蔵マイゾウ」「秘蔵ヒゾウ」「蔵匿ゾウトク」(人知れずかくす)
 ゾウ・はらわた  月部にく  zàng
解字 旧字はで「月(からだ)+藏(おさめる)」の会意形声。身体の中におさまっている諸器官をいう。新字体は「月+蔵」の臓になった。
意味 はらわた(臓)。内臓。特に、心臓(しんぞう)・肺臓(はいぞう)・肝臓(かんぞう)・腎臓(じんぞう)・脾臓(ひぞう)を五臓という。「臓器ゾウキ」(内臓の器官)「臓物ゾウモツ」(はらわた)
 ゾウ  貝部 zāng
解字 「貝(財貨)+臧(おさめる)」の会意形声。財貨をおさめる意味であるが、盗みやワイロなど不正な手段でおさめることをいう。
意味 不正な手段で金品を手にいれる。わいろ。「ゾウザイ」(不正に金品を入手した罪)「ゾウヒン」(わいろの品物)「ゾウリ」(わいろを受け取る役人)
<紫色は常用漢字>


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音符「网モウ」<あみ>と「罔モウ」「網モウ」「魍モウ」「惘ボウ」

2025年03月26日 | 漢字の音符

  网・罔  モウ・ボウ <あみ>

 モウ・ボウ・あみ  网部 wǎng


解字 甲骨文字は二本の支柱に網を張ったかたちの象形でいろんな形がある。篆文は支柱と上部が冂に変化し内側にメメで網を表す。現代字は篆文のかたちを受け継いだ网になった。罔モウ・網モウの原字。
意味 あみ(网)。                                          
 モウ・ボウ・あみ  网部 wǎng

解字 「网(あみ)+亡ボウ・モウ」の会意形声。网は、あみの象形で発音はモウ・ボウであるが、そこにさらに発音を示す亡ボウ・モウを付けて网の発音をはっきりと示した字。現代字は网の中のメメ⇒「ソ+一」に変化した罔になった。網の原字。あみの意味のほか、あみでおおう。また、亡ボウ・モウ(ない)に通じて「ない」の意味を表す。
意味 (1)あみ(罔)。網あみする。「罔羅モウラ」(=網羅モウラへ)「罔罟モウコ」(罔も罟も、あみの意) (2)おおう。くらい。道理にくらい。おろか。「学びて思わざれば即ち罔(くら)し[論語]」(3)ない。なし。否定の語。「罔極モウキョク」(はてがない)「罔極之恩モウキョクのオン」(はてがない恩で、父母の恩のこと) 

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 「あみ」
(网・
罔・網)
 おおわれて「みえない・ない」(魍・惘)                       

音の変化  モウ:网・罔・網・魍  ボウ:惘

あみ
 モウ・あみ  糸部 wǎng 
解字 「糸(いと)+罔(あみ)」の会意形声。糸でできたあみ。罔あみの意味を糸をつけて明確にした字。
意味 (1)あみ(網)。「魚網ギョモウ」「投網とあみ」「網代あじろ」(①川の瀬に設ける網の代わりのような魚とりの装置。②薄くした竹や檜皮などを交差させて編んだもの)(2)あみする。網で捕らえる。「一網打尽イチモウダジン」「網羅モウラ」(魚をとる網と鳥をとる羅。残らず集める)(3)あみのような。「網膜モウマク」(眼球壁の視覚細胞が面状に並んだ部分)「通信網ツウシンモウ
網代①(石山寺縁起絵巻・日本国語大辞典より) 網代②(竹皮ハダ極細網代

みえない・ない
 モウ・ボウ  鬼部 wǎng 
解字 「鬼(おに)+罔(みえない)」の会意形声。鬼は身体から離れてただよう死者の魂(たましい)の意。それに罔のついた魍モウは姿のみえない魂で、人の魂だけでなく山水・木石の精気から生じる霊気や精をいう。
意味 すだま。もののけ。山水や木石の精。「魍魎モウリョウ」(山の霊気や木石の精)「魑魅魍魎チミモウリョウ」(山や川の怪物。さまざまのばけもの)
 ボウ・モウ・あきれる  忄部 wǎng
解字 「忄(こころ)」+罔(ない)」の会意形声。心を失った状態をいい、気がぬける・ぼんやりする意となる。日本では、あきれると読む。
意味 (1)ぼんやりする。気がぬける。「惘然ボウゼン」「惘惘モウモウ・ボウボウ」(ぼんやりするさま。とまどう)(2)[国]あきれる(惘れる)。「惘れ果てる」
<紫色は常用漢字>

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音符「区ク」<くぎり>「駆ク」「軀ク」「枢スウ」「欧オウ」「殴オウ」「謳オウ」「嘔オウ」「鷗オウ」

2025年03月24日 | 漢字の音符

       区 ク(くぎり・くぎる)

[區]ク・オウ  匚部はこがまえ 


解字 甲骨文は「並んでいる三つの器物(品)+形の囲い」で、器物をならべ、さらに区分けした状態を表している。区切ること。区切る・仕切る意。金文から口の上の横線を形にむすび、漢代の篆文で匸の形になり、旧字は區で「匚(かこい)+品(多くの器物)」の会意。意味は、くぎる・くぎられた部分をいう。新字体は、旧字の區⇒区に簡略化される。
意味 (1)分ける。くぎる。仕切りをする。「区画クカク」「区別クベツ」(2)分けられた部分。「区域クイキ」「学区ガック」「選挙区センキョク」(3)行政上のくぎり。「市区シク

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 「くぎる・くぎり」
(区・枢・軀・殴・駆・謳)
 「オウの音」(欧・嘔・鷗)
音の変化  ク:区・軀・駆  スウ:枢  オウ:殴・欧・謳・嘔・鷗

くぎり・くぎる
 スウ・くるる・とぼそ  木部 shū・ōu
解字 旧字は樞で「木(き)+區(くぎり)」の会意。開き戸のタテの区切りである回転軸となる木。また、その軸受穴をいう。回転軸と穴は開き戸のなかで最も重要なところであるので、かなめの意となる。新字体は、樞⇒枢となる。

togetter 15(「枢戸」より)

意味 (1)くるる(枢)。ドアの回転軸。とぼそ(枢)。ドアの軸受穴。とまら(枢)。回転軸として差し入れる突起部。「枢戸くるるど」(くるるにより開閉する戸)(2)かなめ。物事の大切な所。「中枢チュウスウ」「枢軸スウジク」(ドアのくるると、車の軸。いずれも回転して本体を支える重要な部分)「枢要スウヨウ」(肝心な所)「枢密スウミツ」(枢要の機密)「枢密院スウミツイン」(明治時代、天皇の諮問に応える合議機関)
軀(躯)ク・からだ・むくろ  身部 
qū                                          解字 「身(からだ)+區(くぎり)」の会意形声。頭・腕・脚などの区切りからなる身体。折り曲げることのできる身。
意味 からだ(軀)。み。むくろ(軀)。「体軀タイク」(体つき)「軀体クタイ」(建造物の骨組み)
 オウ・ク・なぐる  殳部 ōu
解字 旧字は毆で「殳(なぐる・うつ)+區(=軀。からだ)」の会意。軀は身体の意。毆は身体をなぐること。新字体は、毆⇒殴となる。
意味 なぐる(殴る)。うつ(殴つ)。たたく。「殴打オウダ」(たたきうつ)「殴殺オウサツ」(打ち殺す)「殴辱オウジョク」(なぐって、はずかしめる)
 ク・かける・かる  馬部 qū
解字 旧字は驅で「馬(うま)+區(=毆オウ・ク。打つ)」の会意形声。馬をむち打って走らせること。新字体は、驅⇒駆となる。
意味 (1)かける(駆ける)。馬が走る。「先駆センク」「疾駆シック」「駆動クドウ」(動力を与えて動かす)(2)かる(駆る)。かりたてる。追い払う。「駆使クシ」(①追い使う。②自由に使いこなす)「駆逐クチク」(駆り立てて追い払う)「駆除クジョ
 オウ・うたう・うた  言部 
ōu                                解字 「言(ことば)+區(くぎる)」の会意形声。言葉に間をおき(くぎりをつけ)、ふしをつけてうたうこと。伴奏なしで声だけでうたうことをいう。
意味 うたう(謳う)。うた(謳)。「謳歌オウカ」(①もと君主の徳を皆で褒めたたえる歌から、声をそろえて褒めたたえる。②平和・繁栄などを喜びうたう)「青春を謳歌オウカする」「謳詠オウエイ」(謳も詠も、ふしをつけてうたうこと)

形声字
 オウ  欠部 ōu・ǒu
解字 旧字は歐で「欠(口をあける)+區(オウ)」 の形声。オウと口から声を出して吐くこと。しかし、本来の意味でなく、外国地名の表記に使われる。新字体は欧に変化する。
意味 (1)外国地名「欧羅巴ヨーロッパ」に使われ、欧でヨーロッパの意を指す。「欧州オウシュウ」「欧米オウベイ」「欧化オウカ」(2)はく・もどす。
 オウ・はく  口部 ōu・ǒu
解字 「口(くち)+區(オウ)」 の形声。オウと口をあけて声を出して胃の内容物を吐き出すこと。
意味 (1)はく(嘔く)。もどす。「嘔吐オウト」(嘔も吐も、はく意)「嘔血オウケツ」(血を吐くこと)(2)うたう。(=謳オウ)。やかましい声。「嘔啞オウア」(やかましい音や声の形容)
鷗(鴎) オウ・かもめ  鳥部 ōu
解字 「鳥(とり)+區(オウ)」の形声。オウオウと鳴く鳥。カモメ。新字体に準じた鴎は俗字。

カモメ(「gooブログ」より)

意味 かもめ(鷗)。沿岸海域にすむカモメ亜科の鳥の総称。鳩に似て少し大きい海鳥。「海鷗カイオウ」(カモメ)「鷗盟オウメイ」(①カモメを友とする意。隠居する。②世俗を脱した風流な交際)
<紫色は常用漢字>

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音符「川セン」「圳セン」「釧セン」「巡ジュン」「順ジュン」「馴ジュン」「訓クン」「災サイ」と「州 シュウ」「洲シュウ」「酬シュウ」

2025年03月22日 | 漢字の音符

         川 セン <川の流れ>

 セン・かわ  川部 chuān 

                                              解字 甲骨文字は、外側に水の流れる形の曲線、内側に点線をいれた川の象形。金文以降、三本の水流曲線で「かわ」を表わした。現代字は「川」となった。川は部首となり、また音符ともなる。
意味 (1)かわ(川)。流れる水。「川上かわかみ」「小川おがわ」「川面かわも」「河川カセン」「川岸かわぎし」(2)地名。「川越かわごえ」(埼玉県の市)(3)姓。「川端かわばた」「川瀬かわせ

イメージ  
 「かわ・川の流れ」(川・巡・圳・順・馴)  
 「形声字」(訓・釧)    
 川が
溢(あふ)れる意から「わざわい」(災)

音の変化   セン:川・釧・圳  ジュン:巡・順・馴  クン:訓  サイ:災

かわ・川の流れ
巡 ジュン・めぐる  辶部 xún
                                                              解字 篆文は「辵チャク(ゆく)+川(セン⇒ジュン)」の会意形声。川に沿ってゆく意で、転じて、めぐる。見てまわるさまをいう。後漢の[説文解字]は「延行エンコウ(うねうねと行く)皃(さま)」とし、[同注]は「視(み)て行く也(なり)」とする。現代字は、川⇒巛に変化した巡ジュンになった。
意味 めぐる(巡る)。めぐり。まわる。(1)みてまわる。「巡視ジュンシ」「巡回ジュンカイ」(2)めぐり歩く。「巡業ジュンギョウ」「巡礼ジュンレイ」「巡幸ジュンコウ」(天子が諸国をめぐる)
 セン  土部 zhèn
解字 「土(耕作地:田)+川(かわ・セン)」の会意形声。耕作地(田)の中の水路の意。また、水路の走る田を意味する地名。中国南部の新興都市・広東省深圳市が名高い。                 深圳市(「ウィキペディア」より)
意味 (1)田の水路。(2)地名。「深圳シンセン」(田に深い水路のある地を表した地名。広東省南部、香港の北に隣接する都市。当初は文字通り水路の走る田園がひろがる農村だったが、香港と隣接するため国境の町として栄えるようになり、さらに改革開放が始まると真っ先に経済特別区になり(1980年)、外国資本の進出によって商工業が発展した新興都市) 

 ジュン・シュン・したがう  頁部 shùn
解字 「頁(頭部を強調した人の姿)+川(川の流れ。セン⇒ジュン)」の会意形声。人が(川の)流れてゆく方向に頭をむけ素直に進む意から転じて、順(したが)う意となった。
意味 (1)したがう(順う)。すなお。「順応ジュンノウ」「従順ジュウジュン」(2)都合がよい。「順調ジュンチョウ」「順当ジュントウ」(3)道筋や次第。「順序ジュンジョ」     

 ジュン・なれる・ならす  馬部 xùn                                                      解字 「馬(うま)+川(=順。したがう)」の会意形声。馬が人にしたがうこと。
意味 (1)なれる(馴れる)。ならす(馴らす)。「馴化ジュンカ」(なれてゆくこと)「馴致ジュンチ」(なれさせる)「馴鹿ジュンロク」(①馴れた鹿、②トナカイ。北方の寒地に生息し、雄雌ともに大きな角をもつ)「馴染(なじ)む」(馴れて親しくなる)              トナカイ(維基百科「馴鹿」より)          https://zh.wikipedia.org//zh-tw/驯鹿

形声字
 クン・おしえる・よむ  言部 xùn 
解字 「言(いう)+川(セン⇒クン)」の会意形声。後漢の[説文解字]は「說教也。言に従い川の聲(声)(発音は)許運切(クン)」とし、おしえ・さとすことを訓クンという。転じて、習熟させる(訓練)意味ともなる。日本では漢字に当てた日本語のよみ(訓読み)の意味でも用いる。                                             
意味 (1)おしえる(訓える)。おしえ。さとす。「訓育クンイク」「家訓カクン」(家長が子孫に伝えた訓え)「訓戒クンカイ」(教えさとし、いましめる)(2)習わせる。習熟させる。「訓練クンレン」(3)よむ(訓む)。古典の文をおしえる(訓える)とき、現在の言葉で解釈すること。「訓釈クンシャク」(字義をときあかす)(4)[日本]くんよみ(訓読み)。漢字に当てた日本語のよみ。「訓読クンドク」(①漢字の日本語読み。②漢文を日本語の語順で解釈して読む)「字訓ジクン」(漢字のくんよみ)                     

 セン・くしろ  金部 chuàn
解字 「金(金属)+川(セン)」の形声。センは穿セン(穴をあける)に通じ、穴があいた金属の輪の意で、腕輪のこと。
意味 (1)うでわ。くしろ(釧)。腕にはめる飾りの輪。「釧くしろ着く」(枕言葉。手節たふし[手の関節の意から手首・腕の意]にかかる)(2)地名。「釧路くしろ」(北海道東部の太平洋沿岸にある地名。現在は釧路市と釧路町がある。釧路は腕輪の意でなく、アイヌ語の発音に漢字を当てた地名)

川が溢れる
 サイ・わざわい  火部 zāi                                
解字 「火(ひ)+巛サイ」の会意形声。巛サイは、古い篆文(籀チュウ文)では「巛(水流)+一」で、巛に一線を引いた字。水流がふさがれて溢れる水害を表わし「わざわい」の意。これに火のついた災は、火のわざわいの意だが、ひろく「わざわい」の意となる。  
意味 わざわい(災い)。よくない出来事。「災害サイガイ」「震災シンサイ」(地震の災害)「災禍サイカ」(災も禍も、わざわいの意)
<参考> 災は、ほのおが燃える形ではない。ほのおは炎エンであらわす。


   シュウ <川のなかす>
 シュウ・す  川部 zhōu          

解字 甲骨と金文は、川の中に中州なかす(川の中にできた島のようになった所)が一つできたさまを描いた象形。篆文は三つの中州らしき形を描き、現代字は川に点を三つくわえた「州」になった。水流によって自然に区画されている地域をいう。                  

広島湾にそそぐ太田川の三角州国土地理院「三角州」より)                                       意味(1)す(州)。川のなかす。「中州ナカス」「三角州サンカクス」(川の流れが運んできた土砂が河口に溜まってできた三角形の土地。デルタ)(2)大きなしま。「本州ホンシュウ」「神州シンシュウ」(自国の美称)(3)昔の行政区画。「九州キュウシュウ」「信州シンシュウ(長野県の昔の呼び名)「州司シュウシ」(州の役人)(3)大陸。「欧州オウシュウ

イメージ  
 「なかす」
(州・洲)   
 「形声字(シュウ)」(酬)

音の変化   シュウ:州・洲・酬

なかす
 シュウ・す・しま  氵部 zhōu
解字 「氵(水)+州(なかす)」の会意形声。水に取り囲まれた中州。州が行政区画の意味に使われたので、水を付けて本来の意味を強調した字。しかし、現代表記では州に書きかえるので、ほとんど使われない。
意味 (1)す(洲)。しま(洲)。「中洲なかす=中州」(2)大陸。「五大洲ゴダイシュウ=五大州」

形声字
 シュウ・ジュ・むくいる・むくい  酉部 chóu
解字 「酉(さけ)+州(シュウ)」の形声。シュウは壽シュウ・ジュ(寿の旧字)に通じる。壽シュウ・ジュは、長生きをする意から、長くつづく意味があり、酉(さけ)のついた酬シュウは、客との酒杯のやりとりが長く続くこと。また、相手に酒盃を返す(むくいる)意となる。「酉(さけ)+」のシュウ・ジュは酬の異体字で同字。
意味 (1)酒杯をやりとりする。受けた杯をかえす。「献酬ケンシュウ」「応酬オウシュウ」(2)むくいる(酬いる)。こたえる。返事する。「唱酬ショウシュウ」(唱は吟じる。詩歌や文章を作って、互いにやりとりする)(2)むくい(酬い)。お返し。「報酬ホウシュウ」(労働の対価として払われる金品)
<紫色は常用漢字>

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音符「冒ボウ」<目だけ出して頭におおいをかぶせる> と「帽ボウ」「瑁マイ」

2025年03月20日 | 漢字の音符

 <眼だけ出して頭におおいかぶせる>               ボウ・おかす  曰部 mào・mò

目出し帽(販売広告から)                                              解字 金文から旧字まで「目(め)+冃ボウ(ずきん)」の会意形声。冃は頭衣(かぶりもの)で、冒ボウは、かぶりものから目だけ出している形。目だけ出したカブト(甲冑)をかぶって進む意から、周囲がみえず無頓着に行動する意となる[字統]。新字体は旧字の冃 ⇒ 日に変化した冒になった。
意味 (1)おかす(冒す)。無理にする。「冒険ボウケン」「感冒カンボウ」(冒(おか)されるのを感ずる。呼吸器系の炎症性疾患。かぜ。風邪)「流行性感冒リュウコウセイカンボウ」(インフルエンザ)(2)けがす。「冒涜ボウトク」(おかしてけがす)「冒名ボウメイ」(他人の姓名を偽ってなのる)(3)(一番上の頭にかぶることから)はじまり。「冒頭ボウトウ」(文章や言葉の初めの部分)

イメージ 
 目だけ出して頭に「かぶせる」(冒・帽・瑁)
音の変化  ボウ:冒・帽・瑁  

かぶせる
 ボウ  巾部 mào
解字 「巾(ぬの)+冒(かぶせる)」の会意形声。頭をおおいかくす布で、かぶりものをいう。
意味 かぶりもの。ぼうし。「帽子ボウシ」「脱帽ダツボウ」「角帽カクボウ」(上部が角形の帽子。大学生の帽子とされることから大学生の俗称。

 角帽(販売広告から)       

 ボウ・マイ  玉部 mào
解字 「王(玉)+冒の旧字(おおいかぶせる)」の会意形声。天子が諸侯を封じる時に、諸侯に授けた圭ケイという玉にぴったり符合するように作られ、天子の手許に残しておく玉の意。圭にかぶせる帽子のような玉の意を表す。
意味 (1)「瑁ボウ」。天子の持つ、しるしの玉。「珪瑁ケイボウ」(珪は天子が与える玉、瑁は天子が手元に残しておく玉で、有用な人材の意)(2)「玳瑁タイマイ」に使われる字。玳瑁とはウミガメ科のカメ。背中の甲(こうら)は黄色と黒褐色の斑紋が入り鼈甲ベッコウといい、装飾品の材料として珍重される。(3)人名。「蔡瑁サイボウ」(中国後漢末期の武将)     

                    

玳瑁タイマイ (「百度百科・玳瑁属」より)                       <紫色は常用漢字>     

                                            

<関連音符>
 マン  日部 màn         

解字 篆文は「冃ボウ(かぶりもの)+罒(横に描かれた目)+又(手)」の会意。ずきんを手でひいてかぶり、目(金文は目とマユを描く)だけ出している形。「かぶる(おおう)」が原義。現代字は、冃ボウ⇒日に変化した。字の構造は冒に又をつけた形である。
意味 本来の意味でなく、主に梵語の音訳語として使われる。「曼荼羅マンダラ」(多くの仏を模様のように描いた絵)「曼珠沙華マンジュシャゲ」(天上に咲くという花)
イメージ 
 「おおう」
(曼・蔓・鰻・幔・鏝・鬘・饅・漫)
 かぶりものをして目だけ出すことから「まわりが見えない」(慢)
音の変化  マン:曼・蔓・鰻・幔・鏝・鬘・饅・漫・慢
音符「曼マン」

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音符「申シン」<イナズマ>と「伸シン」「神シン」 「紳シン」「呻シン」「電デン」「坤コン」「榊さかき」

2025年03月16日 | 漢字の音符

 <イナズマが屈折して走るかたち>                    シン・もうす・さる  田部 shēn


解字 甲骨文は電光(イナズマ)の象形。イナズマが屈折して走る形で、のびる意味を表わす。金文は丸みをおびた形になった。イナズマは神が鳴ると考えられており、神の原字であり、また電の原字でもある。篆文は上からの両手の間に線を引いた形に変化し、それが現代字・申のもとになっている。なお、もうす・のべる意と、十二支の「さる」の意は仮借カシャ(当て字)である。
意味 (1)のびる。のばす。くつろぐ。(2)もうす(申す)。のべる。つげる。「申告シンコク」(申し告げる)「答申トウシン」(答えて申し上げる)「内申ナイシン
」(3)十二支の九番目。さる(申)

十二支と方位(「暮らし歳時記」より)                九番目が申(さる)。南西が坤コン(ひつじさる)

                                             
イメージ 
 イナズマの象形から「イナズマ」(申・神・榊・電・坤)
 イナズマが雷雲から下へ「のびる」(伸・紳・呻)

音の変化  シン:申・神・伸・紳・呻  デン:電  コン:坤  さかき:榊

イナズマ
 シン・ジン・かみ・かん・こう  ネ部 shén・shēn
解字 旧字は神で 「示(祭壇)+申(イナズマ)」 の会意形声。イナズマを信仰の対象として祭ること。古代の人はイナズマを神の現れと見た。新字体は、示⇒ネに変化した神。
意味 (1)かみ(神)。「神社ジンジャ」「神宮ジングウ」「神主かんぬし」(2)不思議なちから。「神秘シンピ」(3)こころ。たましい。「精神セイシン」「神経シンケイ
 <国字> さかき  木部 shén
解字 「木(き)+神(かみ)」 の会意。神事にもちいる木。     
 神棚の榊(「日本榊本舗」より)                                           意味 (1)さかき(榊)。①神事に用いる常緑樹の総称。②ツバキ科の常緑小高木。葉は深い緑色で光沢がある。①②とも古来から、神木として枝葉を神に供える。「真榊まさかき」(榊の美称。神事の場で祭壇の左右に立てる先端に榊を立てた祭具)(2)姓のひとつ。「榊原さかきばら」「榊莫山さかきばくざん」(書道家)
 デン・いなずま  雨部 diàn 
解字 「雨(あめ)+申(イナズマ)」 の会意。雨の中をイナズマが走ること。申(イナズマ)に雨を加えて本来の意味を表した。申は下部に付いて电に変形し、さらに上部の突き出たところがとれた。
いなずま(電)(「ウィキペディア・電気」より                                           意味 (1)いなずま(電)。「電光石火デンコウセッカ」(イナズマや火打ち石の火のきらめきのように短い時間)「電撃デンゲキ」(イナズマのようなすばやい攻撃)(2)でんき。「発電ハツデン」「電車デンシャ」「電圧デンアツ」「電話デンワ
 コン・ひつじさる 土部 kūn                             
  解字 「土(つち)+申(イナズマ)」 の会意。イナズマが土に届くこと。イナズマ(神)が届いた大地の意。易の八卦のひとつとして用いられる。なお、ひつじさるの意は「十二支と方位」から組み合せた方角をいう。
意味 (1)つち。大地。「坤元コンゲン」(大地)「坤輿コンヨ」(坤は大地、輿は乗り物で、万物をのせる乗り物である大地の意)。(2)易の八卦のひとつ。地・母・下などを表す。対義語は乾ケン(天)。「乾坤ケンコン」(天地)「坤徳コントク」(大地の徳、すなわち大地が万物を育てる力。転じて女性の徳)(3)ひつじさる(坤)。(=未申)。南西の方角。申シンの「十二支と方位」を参照。

 易経八卦(「知恵の森」より)                                                 
のびる
 シン・のびる・のばす・のべる  イ部 shēn
解字 「イ(人)+申(のびる)」 の会意形声。人がのびのびとすること。人にかぎらず、のびる・のばす意に用いられる。
意味 (1)のびる(伸びる)。のばす(伸ばす)。「伸長シンチョウ」(長さや力がのびる)「伸縮シンシュク」「伸展シンテン」(伸びひろがる) (2)申し述べる。「追伸ツイシン
 シン・おおおび  糸部 shēn
解字 「糸(帯)+申(のばす)」の会意形声。後漢の[説文解字]は、「大帯なり」としており、糸は帯を表している。ここに申(のばす)が付き、腰に巻いた大帯の端を垂らす作法のこと。高官や文人の礼装に用いる帯をいう。[字統]は「大帯の余りを三尺垂れた。論語の「衛霊公 第十五」に、孔子の話を聞いた子張は『子張、諸(こ)れを紳に書す』とあり、大帯の垂れた余りの部分に、孔子の語を急いで書きとどめたことをいう」と解説している。意味は、大帯から転じて、高位高官の人の意となった。
意味 (1)おおおび。ふとおび。高官の礼装に用いられた帯。「紳帯シンタイ」(大帯。文官の儀礼服)(2)高位高官の人。「紳士シンシ」(①上級官吏。②気品と教養があり礼儀正しい人)「紳士協定シンシキョウテイ」(正式の協定でなく相手を信頼して結ぶ取り決め)「貴紳キシン」(身分の高い人)
 シン・うめく  口部 shēn
解字 「口(くち)+申(のばす)」 の会意形声。口から出る声をのばすこと。例:ウー、ウーン。
意味 うめく(呻く)。うなる(呻る)。「呻吟シンギン」(うめく。苦しみうなる)「嚬呻ヒンシン」(嚬ヒンは顔をしかめる、呻はうめく、顔をしかめてうめくこと)                   

<紫色は常用漢字>

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音符「可カ」と「柯カ」「呵カ」「訶カ」「哥カ」「歌カ」「苛カ」「珂カ」「河カ」「舸カ」「柯カ」「坷カ」「軻カ」「何カ」「荷カ」

2025年03月14日 | 漢字の音符

 増補改訂しました。
 カ・よい・べし  口部 kě・kè

①ニューギニアの石斧(下の石斧)(南山大学博物館蔵)②石斧をつけた曲がった木の枝(レプリカ)
解字 甲骨文字は「口(くち)+斧(おの)の柄にするまがった木」の形。「斧の柄にするまがった木」とは上の写真のような斧の柄になる木であり柯(斧の柄)の原字。可は、この曲がった木の柄の発音である「カ」を口から出す形であり「カ(か)」の音を表す。カの音は、金文で「可能」「許可」の意味で使われており[簡明金文詞典]、承諾を表す「よし」の他、「できる」などの意味をあらわす助字となる。
意味 (1)よい(可い)。よし。よいと許す。「可否カヒ」(よしあし)「許可キョカ」(2)できる。「可能カノウ」「可及的カキュウテキ」(できるかぎり)(3)べし(可し)。するべし。(4)ほぼ(可)。ばかり(可り)(5)その他。「可憐カレン」(①愛らしい、②かわいそう)       

 カ・え  木部 kē
解字 「木(き)+可(斧の柄にするまがった木)」の会意形声。木の枝を利用して作られた道具をいう。長い枝を柄にして短い枝の末端を加工して斧(おの)をはめた道具の意。
                       
中国河姆渡(かぼと)遺跡で発掘された木製の斧(おの)の柄(浙江省博物館所蔵)
河姆渡遺跡とは
中国浙江省で紀元前5000年頃~紀元前4500年頃にかけて存在した新石器時代の初期農耕文化の生活遺跡。写真は「百度百科」の「新石器時代河姆渡文化木斧柄」より

意味 (1)え(柯)。斧の柄。斧をつける先の曲がった枝。「斧柯フカ」(斧の柄)(2)木の枝。「柯条カジョウ」(曲がった木の枝)「柯葉カヨウ」(枝と葉)(3)姓のひとつ。「柯隆カリュウ」(経済学者)


イメージ 
 「よし・できる」
(可・柯)
 「形声字」(呵・訶・哥・歌・苛・珂・河・舸・柯・坷・軻・何・荷)
 
音の変化  カ:可・柯・呵・訶・哥・歌・苛・珂・河・舸・柯・坷・軻・何・荷

形声字
 カ  
口部 hē・ā・kē                                 解字 「口(くち)+可(カ)」の形声。口でカッという声を強く出すことを呵という。しかる意と、わらう意とある。可は本来、カ(丁)という音を口から出す意だったが、可能などの意に仮借カシャ(当て字)されたので、口をつけて本来の意味を表した。そのため、この字には口が二つある。
意味 (1)しかる(呵る)。せめる。「呵叱カシツ」(呵も叱も、しかる意)「呵責カシャク」(しかりせめる)(2)わらう(呵う)。「呵呵カカ」(からからと笑う) 
              

 カ 言部 hē                                      解字 「言(ことば)+可(カ)」の形声。カッという強い言葉を出すこと。呵とほぼ同じ意味だが、梵語の音訳字としての使用が多い。
意味 (1)しかる(訶る)。(=呵る)。せめる。(2)梵語の音訳。「魔訶マカ」(梵語mahaの音訳。偉大な・非常に・すぐれる意)「摩訶不思議マカフシギ」(非常に不思議な。原義は、思い議(はか)りもできないほど偉大な)
 カ・コ  口部 gē
解字 「可(カという声)+可(カという声)」の形声。カという声を連続して出すこと。うたう意となる。歌の原字。コの発音は唐音(宋以後の中国音)。
意味 (1)うたう(哥う)。うた。(2)地名。「哥倫比亜コロンビア」(南アメリカ北西部の共和国)
 カ・うた・うたう  欠部 gē
解字 「欠(口をあけて立つ人)+哥(うたう)」の会意形声。欠ケンは口をあけて立つ人の象形。これに哥(うたう)がついた歌は、人が口をあけて歌うこと。
意味 (1)うた(歌)。うたう(歌う)。「歌手カシュ」「歌謡カヨウ」(歌を謡う。民間の歌)「歌劇カゲキ)(2)やまとうた。「和歌ワカ」「歌人カジン
 カ  艸部 kē 
解字 「艸(くさ)+可(カ)」の形声。からい草を食べてカッと声を強く出すこと。からい意から転じて、きびしい・むごい意となる。
意味 (1)からい(苛い)・きびしい(苛しい)・むごい(苛い)。「苛政カセイ」「苛烈カレツ」「苛酷カコク」(2)いらだつ。いらいら(苛苛)する。「苛立(いらだ)つ」
 カ  王部 kē
解字 「王(玉)+可(カ)」の形声。カという名の宝石。メノウの白いものを言う。
意味 (1)しろめのう。「珂傘カサン」(玉で飾った傘)「珂声カセイ」(玉の触れ合う音)(2)貝の名。くつわがい。(3)地名。「那珂湊なかみなと」(茨城県の旧市名)「那珂川なかがわ」(①茨城県で太平洋にそそぐ川。②福岡県で博多湾にそそぐ川)
 カ・かわ    氵部 hé
解字 「氵(川)+可(カ)」の形声。可カという名の川。中国で黄河を表す字として使われた。黄河は中流で「几」の字形にまがり、さらに関中盆地から流入する渭水との合流点でもほぼ直角に曲る。甲骨文字からある字。

上が黄河、下が長江                     中国語スクリプト(「黄河」より)
意味 (1)川の名前。「黄河コウガ」「河源カゲン」(黄河の水源地)「河北カホク」(①黄河の北、②河北省のこと)(2)かわ(河)。川の通称。「河川カセン」「河口カコウ」(3)ほりわり。「運河ウンガ」(4)天の川。「銀河ギンガ
 カ  舟部 gě
解字 「舟(ふね)+可(=河。大きな河)」の形声。河を上下する比較的大きな舟を舸という。
意味 ふね(舸)。おおきな船。「軽舸ケイカ」(軽快な船。はやぶね)「舸船カセン」(大きな船)「舸艦カカン」(軍船と軍艦)

 カ  土部 kē・kě
解字 「土(つち)+可(カ)」の形声。けわしく平らでない土地を坷という。
意味 (1)けわしい。たいらかでない。行なやむ。「坎坷カンカ」(①でこぼこして平らでないさま。②行きなやむ。坎も坷も、たいらかでない意)
 カ  車部 kē
解字 「車(くるま)+可(=坷。行なやむ)」の形声。たいらかでない土地で車が行きなやむことを軻という。
意味 (1)「轗軻カンカ」とは、坎坷カンカを車偏に置き換えて作った熟語。①車の行き悩むさま。②事の思うように運ばないさま。(2)車がきしるさま。「軻峨カンガ」(ごつごつして高いさま)(3)孟子の名。「孟軻モウカ
 カ・なに・なん  イ部 hé・hè

解字 甲骨文は、人が斧(おの)の柄(=丁。=柯。まがった柄)をになう形。荷(にな)うの原字。金文は人に頭部を追加して描いた形。篆文以降、「イ(ひと)+可カ(=柯。斧の柄)」の形声になった。意味は人が斧の柄を「になう」こと。しかし、本来の意味でなく、人にものを尋ねる意に仮借カシャ(当て字)され、「なに」「どれ」などの疑問詞となった。
意味 (1)なに(何)・どれ・どの。「誰何スイカ」(誰か、と声をかけて問いただす)「如何イカン」(イカニの音便)(2)なんぞ(何ぞ)(3)いずく(何く)。いずれ(何れ)(4)になう。
 カ・に・になう  艸部 hé・hè
解字 「艸(くさ)+何(になう)」の会意形声。花弁を荷っているハス花の花托の意からハスの意がある。何が「なに」の意となったため、本来の「になう」意味も表わす。
意味 (1)になう(荷う)。「荷担カタン」(①荷物を担う。②味方をする)「稲荷いなり」(稲を荷う意。①稲荷神社の略。②狐の俗称(稲荷神の使いとする俗信から)(2)に(荷)・にもつ。「出荷シュッカ」「重荷おもに」「歩荷ぼっか」(山小屋などへ荷物をいくつも背負って運ぶ仕事をする人。荷物が歩く意からと言われる)(3)はす(荷)。蓮の古名。「荷花カカ」(ハスの花=荷華)「荷葉カヨウ」(ハスの葉。ハス花の香りに似せた練り香の一種)
<紫色は常用漢字>

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