朋 ホウ・とも 月部
解字 甲骨文字は子安貝の貝殻に紐を通して束にした状態を二つ繋(つな)いで表している。殷代や西周代には子安貝が貴重品とされており、貝朋(貝の束)が貴重品とされ祭祀の供物や賜シ与物(身分の高い者が下の者に与える品)として用いられた[甲骨文字辞典]。金文も同じ形で貝の貨幣の単位として用いられ、一朋は十貝(つまり五貝が二つ)とされ「賜シ五朋(五朋を賜(たま)う)などの記載がある。また金文には人と朋が結びついた倗ホウという字があり、この字が同門や同道者の間柄や、相互の尊称で用いられたので、朋の字も金文で「朋友ホウユウ」(ともだち。友人)として使われた。字形は篆文で「弓のような形+三つの束」となり、さらに隷書(漢代)で大きく変化し、現代字は「月+月」の朋となった。
意味 (1)たから。貨幣に用いた一組の貝。「貝朋カイホウ」(一組の貝貨) (2)とも(朋)。ともだち。なかま。「朋友ホウユウ」「同朋ドウホウ」「朋輩ホウハイ」
覚え方 「からだ(月)と、からだ(月)を寄せ合えば、朋(とも)だち。
イメージ
貝の束が「ならぶ」(朋・棚)
「形声字」(鵬・崩・硼)
音の変化 ホウ:朋・棚・鵬・崩・硼
ならぶ
棚 ホウ・たな 木部
解字 「木(き)+朋(ならぶ)」の会意形声。木の棒や角材をタテ・ヨコにならべて立体形にしたもの。古くは木や竹を組んだ簡単な小屋組みを言い、上に蓆(むしろ)やゴザなどで覆って日除けにした。葡萄棚(ぶどうだな)などは日除けを省いたかたちである。のち、物をのせるため横木を板にしたものが主流となり、現在はスチール製の棚も多い。
①②
①「夕顔棚納涼図」(東京国立博物館蔵) ②「棚機」(「武蔵屋・着物豆知識」より)
意味 (1)木の棒や角材をタテ・ヨコにならべて立体形にしたもの。「葡萄棚ぶどうだな」(葡萄の枝を這わせるための棚)「夕顔棚ゆうがおだな」(夕顔を這わせた棚)「涼棚リョウホウ」(暑さを避け涼むために覆いをのせた棚)「棚機たなばた」(木を組み合わせた機織り機) (2)たな(棚)。物をのせるため板を並べてかけ渡したもの。「棚卸たなおろし」(在庫の商品を棚から卸して点検し評価すること。年の決まった時期に行う)「棚上げ」(①商品を棚に上げたままにする、②解決を先にのばす)「本棚ほんだな」「戸棚とだな」(前に戸がある収容棚)「食器戸棚ショッキとだな」
形声字
鵬 ホウ・おおとり 鳥部
解字 「鳥(とり)+朋(ホウ)」の形声。ホウは鳳ホウに通じる。鳳は風の神である瑞鳥で、これに鳥のついた鵬も、鳳ホウ(おおとり)のこと。
意味 おおとり(鵬)。古代中国の想像上の巨大な鳥。大きさは三千里、一度に九万里を飛ぶ。「鵬程ホウテイ」(鵬が飛ぶ遠くはるかな道のり)「鵬翼ホウヨク」(鵬のつばさ。転じて、飛行機)
崩 ホウ・くずれる・くずす 山部
解字 「山(やま)+朋(ホウ)」の形声。ホウは鳳ホウに通じる。鳳は風の神である瑞鳥で、この鳥の羽ばたきで大風が起きる。崩は、大風によって山がくずれる意。[説文解字]は「山壊(こわ)れる也(なり)。山に従い朋の聲(声)」とする。
意味 (1)くずれる(崩れる)。くずす(崩す)。「崩壊ホウカイ」「崩落ホウラク」 (2)ほうずる(崩ずる)。天子・天皇が死ぬ。「崩御ホウギョ」
硼 ホウ 石部
解字 「石(鉱物)+朋(ホウ)」の形声。ホウという名の鉱物。ホウ素を表す。
意味 ほうそ(硼素)。原子番号5の非金属元素。元素記号B。高融点かつ高沸点な硬くて脆い固体。「硼砂ホウサ」(硼素を含む鉱石。釉薬やガラスの原料となる)「硼酸ホウサン」(無色・無臭の硼素化合物。結晶で温水に溶解する。うがい薬などに用い、ガラス・顔料などの原料となる)
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
解字 甲骨文字は子安貝の貝殻に紐を通して束にした状態を二つ繋(つな)いで表している。殷代や西周代には子安貝が貴重品とされており、貝朋(貝の束)が貴重品とされ祭祀の供物や賜シ与物(身分の高い者が下の者に与える品)として用いられた[甲骨文字辞典]。金文も同じ形で貝の貨幣の単位として用いられ、一朋は十貝(つまり五貝が二つ)とされ「賜シ五朋(五朋を賜(たま)う)などの記載がある。また金文には人と朋が結びついた倗ホウという字があり、この字が同門や同道者の間柄や、相互の尊称で用いられたので、朋の字も金文で「朋友ホウユウ」(ともだち。友人)として使われた。字形は篆文で「弓のような形+三つの束」となり、さらに隷書(漢代)で大きく変化し、現代字は「月+月」の朋となった。
意味 (1)たから。貨幣に用いた一組の貝。「貝朋カイホウ」(一組の貝貨) (2)とも(朋)。ともだち。なかま。「朋友ホウユウ」「同朋ドウホウ」「朋輩ホウハイ」
覚え方 「からだ(月)と、からだ(月)を寄せ合えば、朋(とも)だち。
イメージ
貝の束が「ならぶ」(朋・棚)
「形声字」(鵬・崩・硼)
音の変化 ホウ:朋・棚・鵬・崩・硼
ならぶ
棚 ホウ・たな 木部
解字 「木(き)+朋(ならぶ)」の会意形声。木の棒や角材をタテ・ヨコにならべて立体形にしたもの。古くは木や竹を組んだ簡単な小屋組みを言い、上に蓆(むしろ)やゴザなどで覆って日除けにした。葡萄棚(ぶどうだな)などは日除けを省いたかたちである。のち、物をのせるため横木を板にしたものが主流となり、現在はスチール製の棚も多い。
①②
①「夕顔棚納涼図」(東京国立博物館蔵) ②「棚機」(「武蔵屋・着物豆知識」より)
意味 (1)木の棒や角材をタテ・ヨコにならべて立体形にしたもの。「葡萄棚ぶどうだな」(葡萄の枝を這わせるための棚)「夕顔棚ゆうがおだな」(夕顔を這わせた棚)「涼棚リョウホウ」(暑さを避け涼むために覆いをのせた棚)「棚機たなばた」(木を組み合わせた機織り機) (2)たな(棚)。物をのせるため板を並べてかけ渡したもの。「棚卸たなおろし」(在庫の商品を棚から卸して点検し評価すること。年の決まった時期に行う)「棚上げ」(①商品を棚に上げたままにする、②解決を先にのばす)「本棚ほんだな」「戸棚とだな」(前に戸がある収容棚)「食器戸棚ショッキとだな」
形声字
鵬 ホウ・おおとり 鳥部
解字 「鳥(とり)+朋(ホウ)」の形声。ホウは鳳ホウに通じる。鳳は風の神である瑞鳥で、これに鳥のついた鵬も、鳳ホウ(おおとり)のこと。
意味 おおとり(鵬)。古代中国の想像上の巨大な鳥。大きさは三千里、一度に九万里を飛ぶ。「鵬程ホウテイ」(鵬が飛ぶ遠くはるかな道のり)「鵬翼ホウヨク」(鵬のつばさ。転じて、飛行機)
崩 ホウ・くずれる・くずす 山部
解字 「山(やま)+朋(ホウ)」の形声。ホウは鳳ホウに通じる。鳳は風の神である瑞鳥で、この鳥の羽ばたきで大風が起きる。崩は、大風によって山がくずれる意。[説文解字]は「山壊(こわ)れる也(なり)。山に従い朋の聲(声)」とする。
意味 (1)くずれる(崩れる)。くずす(崩す)。「崩壊ホウカイ」「崩落ホウラク」 (2)ほうずる(崩ずる)。天子・天皇が死ぬ。「崩御ホウギョ」
硼 ホウ 石部
解字 「石(鉱物)+朋(ホウ)」の形声。ホウという名の鉱物。ホウ素を表す。
意味 ほうそ(硼素)。原子番号5の非金属元素。元素記号B。高融点かつ高沸点な硬くて脆い固体。「硼砂ホウサ」(硼素を含む鉱石。釉薬やガラスの原料となる)「硼酸ホウサン」(無色・無臭の硼素化合物。結晶で温水に溶解する。うがい薬などに用い、ガラス・顔料などの原料となる)
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。