漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「旅リョ」<旗について人々が行く> と「膂リョ」

2014年08月28日 | 漢字の音符
 リョ・たび  方部

解字 甲骨文字は、旗棹を持った人のあとに人がついている形。金文第一字も同じ形だが、第二字は下に車が描かれており軍の行進を表している。篆文から「方人(旗の略体)+从(人がならぶ)」の形になり、現代字で旅となった。旅の右下は从(ふたりの人)の変形である。旅は人々が軍旗の下に隊列を組んで出行すること。もと軍の移動をいい、五百人の軍団を旅といった(字統)。のち、「たび」の意となった。
意味 (1)軍隊。「旅団リョダン」(二、三個連隊からなる陸軍部隊の編成単位) (2)たび(旅)。たびをする。「旅行リョコウ」「旅館リョカン」「旅路たびじ

イメージ 
 旗のもとに連なって進むことから「つらなる」(旅・膂)
音の変化  リョ:旅・膂

つらなる  
 リョ・ロ  月部にく
解字 「月(からだ)+旅(つらなる)」の会意形声。身体の部位で、骨がつらなる背骨の意。また、背骨を動かす背筋から、筋肉の力をいう。発音のリョ・ロは、呂リョ・ロ(つらなる)にも通じことから同音代替ともいえる。
意味 (1)せぼね。「背膂ハイリョ」(せぼね) (2)筋肉の力。ちから。「膂力リョリョク」(筋肉の力。腕力)「筋膂キンリョ」(筋肉の力)
<紫色は常用漢字>

             
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音符「寅イン」<まっすぐのびる> と 「螾イン」「演エン」

2014年08月16日 | 漢字の音符
 イン・とら  宀部

解字 金文は、「矢(や)+𦥑(両手)」の会意。両手で矢柄の曲がりを正しまっすぐのばす意。篆文は、宀(やね)を付けた形になり、現代字は寅へと大きく変化した。元の意味でなく、仮借カシャ(当て字)され、十二支の三番目の寅(とら)に当てられた。

十二支(「暮らし歳時記 十二支と方位」より)
意味 とら(寅)。動物では虎。時刻では午前4時前後。「寅の刻とらのこく

イメージ 
 「仮借カシャ
(寅)
 矢柄の曲がりをまっすぐのばす意から「まっすぐのびる」(演・螾)
音の変化  イン:寅・螾  エン:演

まっすぐのびる
 エン  氵部  
解字 「氵(みずの流れ)+寅(まっすぐのびる)」の会意形声。水が停滞することなく、まっすぐのびるように流れる意。転じて、次第をもって事が円滑に行なわれること。
意味 (1)のばす。広く及ぼす。「演繹エンエキ」(一般的な原理から個々の事実を導く) (2)おこなう。技芸などが次第をもって円滑におこなわれること。「演奏エンソウ」(奏楽がおこなわれる)「演劇エンゲキ」(劇がおこなわれる) (3)話が次第をもって円滑におこなわれること。のべる(述べる)。「講演コウエン」(あるテーマについて話をして説明すること)
 イン・みみず  虫部
解字 「虫(むし・小動物)+寅(まっすぐのびる)」の会意形声。まっすぐのびる虫で、みみずに当てる。蚓インの本字。また、演奏するように鳴く虫の意から、ツクツクボウシに当てる。
意味 (1)みみず(螾)。蚓イン。蚯蚓みみずとも書く。「螾螾インイン」(うごめくさま) (2)セミ科の昆虫の名。ツクツクボウシ。夏の末から秋の初めに鳴く。
<紫色は常用漢字>

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音符「癸キ」<はかる>と「揆キ」「葵キ」

2014年08月15日 | 漢字の音符
 キ・みずのと   癶部

解字 甲骨文字・金文は、十字形に木を組み先端に止め具をつけた台座の象形[字統を参考にした]。しかし、原義にかかわりなく十干(甲コウ・乙オツ・丙ヘイ・丁テイ・戊・己・庚コウ・辛シン・壬ジン・癸)の第10番目の「みずのと」に仮借カシャ(当て字)された。篆文の一字に「癶(出発する)+矢(や)」の形が出現し、現代字は「癶+天(矢の省形)」の形。同音の規キ(コンパス、円をえがく)に通じ「まるい」、コンパスで「はかる」イメージがある。
意味 (1)みずのと(癸)。十干の第10番目。方角は北。五行は水。 (2)はかる。

十干の読み方(オンライン無料塾「ターンナップ」より)
※「みずのと」は、水の弟の意、壬ジンと癸は五行(木・火・土・金・水)の配列で五番目である水に属する字で、壬ジンが「水の兄」(みずのえ)とされ9番目、癸は、それに次ぐ「水の弟」(みずのと)とされ10番目となる。
覚え方 ハッテン(癶天)は、癸キなり。(発展は奇なり)

イメージ 
 「仮借カシャ」
(癸)
  コンパス(規キ)で「はかる」(揆)                   
  コンパス(規キ)でえがく円が「まるい」(葵)
音の変化  キ:癸・揆・葵

はかる
 キ・はかる  扌部
解字 「扌(手)+癸(はかる)」の会意形声。手で長さをはかること。また、推し量る意ともなる。
意味 (1)はかる(揆る)。はかりしる。「揆度キタク」(はかる。はかりかんがえる) (2)はかりごと(揆)。やりかた。「一揆イッキ」(はかりごとをして一つにまとまる。また、百姓一揆の略)「百姓一揆ヒャクショウイッキ」(農民の武装蜂起)

まるい
 キ・あおい  艸部
 フタバアオイ   冬葵の葉と花実
解字 「艸(草)+癸(まるい)」の会意形声。葉のまるい植物。また、花がまるく大きい植物。中国でまるい葉で野菜や薬草になる冬葵をいう。のち、まるく大きな葉をつける蒲葵ビロウや、大きなまるい花をつけるヒマワリ(向日葵)の意となった。日本では葵祭に飾られるフタバアオイ(葉がまるい)が知られる。
意味 (1)あおい(葵)。アオイ科の総称。トロロアオイ、タチアオイなど。家紋に使われるアオイは、フタバアオイの葉をデザインしたもの。「三つ葉葵」(徳川家の家紋)「葵祭あおいまつり」(京都の下鴨神社と上賀茂神社で5月15日に行なわれる例祭。牛車、勅使、供奉者の衣冠などを葵の葉で飾ることからこの名がある) (2)大きな花が咲く草本植物。「向日葵ひまわり」 (3)蒲葵ビロウとは、ヤシ科の高木。まるい葉でうちわを作る。「葵扇キセン」(ビロウの葉のうちわ) (4)「山葵わさび」とは、渓流のほとりに自生するアブラナ科の多年草。地下茎は辛味があり香辛料とする。葉がハート形で葵に似ている。「山葵漬わさびづけ」(山葵の葉・根・茎を細かく刻んで酒粕に漬けた食品)

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音符「世セイ」<三十年の時のあゆみ>と「貰セイ」「泄セツ」「紲セツ」「笹ささ」

2014年08月12日 | 漢字の音符
 セイ・セ・よ  一部              


  上は世、下は止
解字 金文は、止(あし:あゆむ)に三つの肥点をつけた形。一つの肥点が十を表し、三つで三十年の時のあゆみの意。篆文は肥点の部分が十に変化し、さらに現代字の世となった。三十年、一世代を示す。人の代が変われば社会も様相が変わる。そこで三十年が、世の中の意を表わす。 <参考> 止(あし)の形の変化は、音符「止シ」を参照。
意味 (1)よ(世)。よのなか。「世間セケン」「世代セダイ」「世界セカイ」 (2)時代。「中世チュウセイ」「近世キンセイ」 (3)よよ。代々。「世襲セシュウ

イメージ 
 「三十年」
(世)
 「時間をかける」(貰・泄・紲)
 「その他」(笹)
音の変化  セイ:世・貰  セツ:泄・紲  ささ:笹

時間をかける
 セイ・もらう  貝部
解字 「貝(財貨)+世(時間をかける)」の会意形声。物を売り買いするとき、お金の支払いをすぐしないで後にのばすこと。つまり、かけ売りや、つけ買いで支払いをのばすこと。買った側はすぐに支払わないことから、日本では「もらう」意で用いる。(30年も支払わなくていいなら、貰ったも同然すね!)
意味 (1)支払いをあとにする。掛けで売買する。「貰買セイバイ」(つけで買う) (2)(あとにする事から転じて)ゆるす。「貰罪セイザイ」(罪をゆるす) (3)[国]もらう(貰う)。「賞金を貰う」「書いて貰う」
 セツ・エイ・もれる  氵部
解字 「氵(水)+世(時間をかける)」の会意形声。水が時間をかけて少しずつもれ出ること。
意味 (1)もれる(泄れる)。もらす。液体・気体などがもれ出てくること。「泄漏セツロウ」(秘密などがもれる。=漏泄ロウセツ・ロウエイ」「排泄ハイセツ」(生き物が物質代謝で生じた不用物を体外に出すこと)
 セツ・きずな  糸部
解字 「糸(ひも)+世(時間をかける)」の会意形声。長い間、結びつけておく紐の意で、馬のたずなや犬の首輪の紐などをいう。きずなの意となる。
意味 (1)きずな(紲)。馬や牛をつなぐなわ。たずな。「羇紲キセツ」(馬のたずな。羇も紲も、たずなの意)「羇紲キセツを負う」(乗馬の人に従って行く) (2)ものをしばる縄。罪人をつなぐ縄。「縲紲ルイセツ」(獄につながれること。縲も紲も、罪人をしばる縄の意)

その他
<国字> ささ  竹部
解字 「竹(たけ)+世(枼の略体・薄い葉)」の会意。葉ばかりで幹がない竹。ささ。
意味 (1)ささ(笹)。背の低い竹の総称。「笹舟ささぶね」「笹飴ささあめ」 (2)笹の葉のような形。「笹身ささみ」(ニワトリの、笹の葉のような形をした、やわらかい胸の肉) (3)名字。地名。 「笹川ささがわ」「笹崎ささざき」「笹原ささはら」「笹部ささべ」「笹野ささの
※笹は、音符「葉ヨウ」にも重出した。
<紫色は常用漢字>

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音符「丈ジョウ」<十尺> と「杖ジョウ」「仗ジョウ」

2014年08月12日 | 漢字の音符
 ジョウ・たけ  一部           

解字 「十(とお)+又(て)」の会意。又(て)はここでは手を広げた長さをいい、親指と中指の間をひろげて下向きにした長さ。手尺の一尺を示す。丈はその十倍つまり一丈を表わす。しかし、実際に定められた長さは時代により変化があり、手尺の十倍とは一致しない。また、一丈は大人の背丈の長さともされたため、一人前の男子の意味をもつ。
意味 (1)長さの単位。一丈。周代の制度で2.25メートル。近代日本で約3メートル。「丈六ジョウロク」(一丈六尺。仏像の高さをいう)「方丈ホウジョウ」(一丈四方) (2)たけ(丈)。身のたけ。「背丈せたけ」 (3)一人前の男子。強い。「丈夫ジョウフ」(立派な男)「気丈キジョウ」(気持ちがしっかりしている) (4)年長者。老人や長老。「丈母ジョウボ」(妻の母)

イメージ 
 「十尺」
(丈)
 「ながい」(杖・仗)
音の変化  ジョウ:丈・杖・仗

ながい
 ジョウ・つえ  木部
解字 「木(き)+丈(ながい)」の会意形声。長い木の棒。
意味 (1)つえ(杖)。「錫杖シャクジョウ」(頭部を錫(すず)で作り数個の鐶(わ)を掛けた僧侶・修験者の持つ杖)「頬杖ほほづえ」 (2)杖で打つ。「刑杖ケイジョウ」(刑罰で人をたたく棒)「杖刑ジョウケイ」(杖でたたく刑罰)
 ジョウ  イ部
解字 「イ(ひと)+丈(=杖)」の会意形声。杖を持ち護衛する人。転じて、杖にかぎらず護衛に使う兵器や兵をいう。
意味 まもり。宮殿などの護衛。「兵仗ヘイジョウ」(①隋身が持った護衛の武器。②隋身)「儀仗ギジョウ」(儀式に用いる武器)「儀仗兵ギョウヘイ」(外国の賓客を迎える儀礼などにつけられる兵隊)
<紫色は常用漢字>

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音符「㕣エン」<そって流れる> と 「沿エン」「鉛エン」「船セン」

2014年08月09日 | 漢字の音符
 エン  口部           

解字 「八(わかれる)+口(もの)」の会意。水流などの流れが、物に当って別れ、物にそって流れること。沿の原字。「そって流れる」イメージがある。

イメージ 
 「そって流れる」
(沿・鉛・船)
音の変化  エン:沿・鉛  セン:船

そって流れる
沿 エン・そう  氵部
解字 「氵(水)+㕣(そって流れる)」の会意形声。水が物にそって流れること。水に限らず、近い距離をとって離れない状態をいう。
意味 (1)そう(沿う)。水流や道路など長く続くものに従う。「沿道エンドウ」「沿線エンセン」「沿海エンカイ」「沿革エンカク」(改革に沿う意。改革や変革のうつりかわり。変遷) (2)ふち。へり。
 エン・なまり  金部
解字 「金(金属)+㕣(そって流れる)」の会意形声。とけた金属が型にそって流れる形で、溶かすと水のように流れる融点の低い鉛。
意味 (1)なまり(鉛)。柔らかく火に溶けやすい。「亜鉛アエン」(鉛に次ぐ金属の意。延性がある)「鉛管エンカン」 (2)(白色顔料の鉛白エンパクを用いた)おしろい。「鉛華エンカ」(おしろい。鉛から作る華の意)
 セン・ふね・ふな  舟部
解字 「舟(ふね)+㕣(そって流れる)」の会意形声。川の流れにそって上下する舟。
意味 ふね(船)。「船頭センドウ」「乗船ジョウセン」「難破船ナンパセン
※一般に小型のふねは「舟」(丸木舟)、大型のふねは「船」を使う。
<紫色は常用漢字>

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音符 「七シチ」 < きる > と 「叱シツ」「切セツ」「窃セツ」

2014年08月07日 | 漢字の音符
 シチ・シツ・なな・ななつ・なの  一部

解字 横線をタテの線で切る形の指示文字。切の原字。「ななつ」の発音と「きる」の発音が同じだったことから、「七つ」の意味に仮借カシャ(当て字)された。
※甲骨文の十は、タテ線で表し、金文はタテ線の中間をふくらませた形で表したので、十字形の七と区別できた。篆文から十が十字形になったため、七は下部を曲げた形に変化した。
意味 (1)ななつ(七つ)。数の名。「七曜シチヨウ」「七草ななくさ」「七夕たなばた」 (2)数の多いさま。「七転八倒シチテンバットウ

イメージ
 「仮借カシャ
(七)
 「きる」(切・窃・砌・苆) 
 「シツの音」(叱)
音の変化  シチ:七  シツ:叱  セイ:砌  セツ:切・窃  すさ:苆

きる
 セツ・サイ・きる・きれる  刀部
解字 「刀トウ(かたな)+七シツ(きる)」 の会意形声。七(きる)の字が「七つ」の意に仮借カシャ(当て字)されたので、刀をつけて「切」の字が作られた。
意味 (1)きる(切る)。「切断セツダン」 (2)せまる。「切迫セッパク」 (3)ぴたりとくっつく。「親切シンセツ」 (4)[国]きれ。布や紙の切れはし。「歌切うたぎれ」(和歌の巻物を1首ずつ切りとって掛け物にしたもの) (5)[国]きり。きれ。くぎれ。「幕切れ」
 セツ・ぬすむ  穴部  
解字 「穴(横穴住居)+切(切り取る)」 の会意。穴は横穴住居の入り口の象形で、住居の意。住居から一部分を切りとるようにして持ち出すこと。
意味 (1)ぬすむ(窃む)。ぬすみ。「窃盗セットウ」「剽窃ヒョウセツ」(他人の文章をぬすむ。まねる) (2)ひそかに。「窃視セッシ」(ぬすみ見る)
 セイ・サイ・みぎり  石部
解字 「石(いし)+切(きる)」の会意形声。切った石の意。石畳や敷き石をいう。日本語では、みぎり(水限:そのおり)に当てる。
意味 (1)みぎり(砌)。石だたみ。軒下の敷き石。「砌下セイカ」(①軒下の雨だれ落の敷き石。②石の階段の下あたり。③書簡の脇付語。足下) (2)[国]みぎり(砌)。おり。そのとき。
<国字> すさ  艸部
解字 「艸(草)+切(きる)」の会意。切った草の意で、藁や麻などを切ったもの。
意味 すさ(苆)。粘土にまぜて壁に塗り亀裂を防ぐつなぎとする材料。刻んだ藁や麻などを用いる。「藁苆わらすさ」「麻苆あさすさ」「壁苆かべすさ

シツの音
 シツ・しかる  口部
解字 「口(口からでる声)+七(シツ)」 の形声。シッと鋭くどなる声の擬声語。
意味 しかる(叱る)。責める。とがめる。「叱声シッセイ」「叱責シッセキ」(しかりとがめる)
<紫色は常用漢字>

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音符「四シ」<よっつ>と「駟シ」

2014年08月05日 | 漢字の音符
 シ・よ・よつ・よっつ・よん  口部  

解字 甲骨文字と金文は算木を四本横に並べた形で、「よっつ」を表わす。篆文から四の形となった。四は、口の中の咽(のど)を描いた字で、息をする意。呬(息をする)の原字。当時の発音が同じだったため、この字が「よっつ」の意に仮借カシャ(当て字)された。
意味 (1)数の名。よつ(四つ)。よ。よっつ。「四周シシュウ」「四方シホウ」 (2)なんども。「再三再四サイサンサイシ」「四苦八苦シクハック

イメージ 
 「よっつ」
(四・駟) 
 「シの音」(泗)
音の変化  シ:四・駟・泗

よっつ
 シ  馬部
解字 「馬(うま)+四(よっつ)」の会意形声。四頭立ての馬車をいう。
意味 (1)四頭立ての馬車。速い馬車。「駟馬シバ」(四頭立ての馬車。また、その馬) (2)はやいことの例え。「駟ゲキを過ぐ」(四頭立ての馬車が通り過ぎるのが隙間から見える。月日が早く過ぎることの例え)

シの音
 シ  氵部
解字 「氵(みず)+四(シ)」の形声。シという名の川。
意味 (1)川の名。「泗水シスイ」(山東省を流れ大運河に注ぐ川) (2)はなじる。「涕泗テイシ」(なみだと鼻汁)
<紫色は常用漢字>

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音符「匀キン」<むらなく行きわたる> と「均キン」「鈞キン」「韵イン」

2014年08月02日 | 漢字の音符
 キン  勹部

解字 金文は、「二印キン+腕をまるくひとまわりさせた形」の会意形声。二印は、銅の延べ棒二つを積んだ形。銅(青銅)は古代中国で主要な金属として器・武具・銅貨などに利用されており、原材料としての銅は、金の延べ棒のように一定の形と重さをもった固まりとして流通した。この二印に腕を一回りさせた形を加えた匀キンは、銅の延べ棒を包んだ形と思われる。鈞キンの原字。篆文で「二印+勹ホウ(人が手をのばして全体でまるくなった形)」になった。意味は二印(二本の延べ棒)にあり、延べ棒は、①中がむらなく行きわたっている。②延べ棒の重さや形が等しい、意となる。この意味をもとに鈞と均が作られた。
意味 ととのう。ひとしい。ゆきわたる。あまねし。むらがない。

イメージ 
 「むらなく行きわたる」
(均・鈞・韵)
音の変化  キン:均・鈞  イン:韵  

むらなく行きわたる
 キン・ひとしい  金部  
解字 「金(金属)+匀(むらなく行きわたる)」の会意形声。匀は銅の延べ棒の形。金をつけて意味を確認 した字。一定の形にむらなくゆきわたり重さが同じなので、重さの単位及びおもりの意となった。
意味 (1)中国古代の重さの単位。30斤。周代の1鈞は、7.68kg。 (2)おもり。「鈞石キンセキ」(おもり。1鈞は30斤、1石は4鈞) (3)ひとしい(鈞しい)。(=均しい) (4)ろくろ。
 キン・ひとしい・ならす 土部
解字 「土(つち)+匀(むらなく行きわたる)」の会意形声。土がついた均は、表面にむらがない意となり、土のデコボコをならして平らにすること。転じて、公平にする・平均する意となる。また、匀キンの意味である重さ・形がひとしい意としても使われる。
意味 (1)ならす(均す)。公平にする。「均一キンイツ」「平均ヘイキン」 (2)ひとしい(均しい)。同じ。「均等キントウ」「均分キンブン」「均田キンデン」(耕地を均等に分ける)
 イン  音部
解字 「音(おと)+匀(むらなく行きわたる)」の会意形声。音がひびいて行きわたること。韻と同字。 音符「員イン」を参照。
<紫色は常用漢字>

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音符 「一イチ」 <ひとつ>

2014年08月01日 | 漢字の音符
[弌(異体)] イチ・イツ・ひと・ひとつ  一部

解字 横に一本の線をしるした形の指事文字。ひとつを表す。弌イチは、「弋(くい)+一(ひとつ)」の会意形声で、くいが一本の意。一の異体字。
意味 (1)数のいち。「一度」。 (2)最初。ひとつめ。「第一」 (3)一番すぐれている。「一流イチリュウ」 (4)ひとつにする。「一括イッカツ」 (5)あるひとつの。「一例イチレイ」 (6)わずか。「一刻イッコク」 (7)もっぱら。「専一センイツ

イメージ  「ひとつ」 (一・閂)
       「その他」 (壱・辷)
音の変化  イチ:一・壱  サン:閂  すべる:辷

ひとつ  
 サン・かんぬき  門部
解字 「門(もん)+一(ひとつ)」の会意。門に横の一線をくわえ、門の扉の左右にある金具に通す一本の横木。かんぬき(貫木)を表す。
意味 かんぬき(閂)。貫木(かんぬき)とも書く。門や戸をしめるときの横木。

その他
[壹] イチ・イツ・ひとつ   士部

解字 篆文は、壷の中に吉(とじこめる意)を書いて、中に満ちる気をとじこめている形。壷の中のものが発酵して中にみちる状態をいう。旧字は壹に作り、壷の上部と豆(たかつき)が合わさった形をしている。発音のイチ・イツから同音の数字の一に仮借カシャ(当て字)された。新字体の壱は、旧字の豆がヒに変化した。
意味 (1)ひとつ(壱つ)。(2)もっぱら。ひとたび。みな。(3)地名。「壱岐いき」(もと壱岐国。現在、長崎県壱岐市。九州と朝鮮半島との間に対馬とともに飛び石状にある島)
※金銭の証書などでは、間違いを防ぐために「一」の代わりに「壱」を用いる。
<国字> すべる  之部
解字 「之の旧字(ゆく)+一(たいらな所)」の会意。平らな所(一)を行く意で、滑るようになめらかに進むことを表す国字。
意味 すべる(辷る)。なめらかに進む。
<紫色は常用漢字>

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