改訂しました。
貝 バイ・かい 貝部
解字 子安貝のかたちの象形。かいの意味を表わす。また、子安貝は貨幣として使われたので、かね・たからの意となる。
子安貝の貝貨(「世界最古の貨幣-貝貨」より)
意味 (1)かい(貝)。かいがら。「貝殻かいがら」「貝塚かいづか」「法螺貝ほらがい」 (2)たから。かね。「貝貨バイカ」(貝の貨幣)
イメージ
「かい・財貨」(貝・敗・負・買・売・贔・屭)
「形声字」(唄・狽)
音の変化 バイ:貝・買・売・唄・狽 ハイ:敗 ヒ:贔 フ:負 キ:屭
かい・財貨
敗 ハイ・やぶれる 攵部
解字 甲骨文字は手に棒などの道具をもち、貴重品である貝を壊すかたちで、「そこなう」意味を表す。金文は貝が二つ描かれ横にトと又(手)を描き多くの財貨をそこなう意。篆文は「攴+貝」の形になり、現代字は攴ボク⇒攵に変化した敗ハイになった。意味は「そこなう」のほか、戦いに敗れたとき持っている宝器を打ちこわして逃げるので、敗北する意となる。
意味 (1)やぶれる(敗れる)。「敗北ハイボク」「敗走ハイソウ」 (2)そこなう。だめになる。くさる。「敗毀ハイキ」(敗も毀もこわれる意)「腐敗フハイ」 (3)しくじる。「失敗シッパイ」
負 フ・おう・まける・まかす 貝部
解字 「人(ひと)+貝(貝貨)」の会意。つないだ貝貨を人が背負う意。貝の貨幣は大量に必要とされるときは、背負って運んだ。また、財貨を背負いかつぐことから、責任などを引き受けることを負担といい、他に責任や任務を引き受けさせる(たのむ)ことを負託という。このほか財貨にたよる意も生まれた。なお、負ける・負かす意は、負債(借金)がある意から生まれた。現代字は、人⇒クに変化した負になった。
貝朋カイホウ(子安貝をつないだ束)(ネットの検索画面から)
パプアニューギニアの貝貨(「ウィキペディア「貝幣」より)
意味 (1)おう(負う)。せおう。「負担フタン」「負荷フカ」「負託フタク」(人に引き受けさせ任せる) (2)受ける・こうむる。「負傷フショウ」 (3)たよる。たのむ。貝貨を背後に置いて頼りにする。「自負ジフ」(自分の能力や仕事に自信をもつこと)「抱負ホウフ」(抱いている自負。将来の計画や決意) (4)まける(負ける)。まかす。「勝負ショウブ」
買 バイ・かう 貝部
解字 「罒(=网・あみ)+貝(おかね)」の会意形声。網をおおうように貝(おかね)で物を買い集めること。
意味 かう(買う)。代金を払って品物を求める。「仲買なかがい」「買収バイシュウ」「購買コウバイ」(買いいれること)
売[賣] バイ・うる・うれる 士部
解字 篆文は「出(でる。穴から上向きの止(あし)の形)+買(かう)」の会意形声。買ったものを出す、すなわち売ること。旧字で「士+買」に変化し、さらに新字体で「売」に変わった。
意味 うる(売る)。あきなう。ひろめる。「売却バイキャク」「商売ショウバイ」「売名バイメイ」
贔 ヒ・ヒイ 貝部
解字 「貝+貝+貝」の会意。貝(財貨)を三つならべた形で、たくさんの財貨を表す。たくさんの財貨で人を援助する意の「贔屓ひいき」に使われる字。
意味 [日本]「贔屓ひいき」とは、気に入った者に特別目をかけ、力を添えて助けること。「贔屓目ひいきめ」(好意的な見方)
屭[屓] キ 尸部
解字 [日本]「尸(すわるひと)+贔(たくさんの財貨)」の会意。すわる人の前にたくさんの財貨を置いたかたち。たくさんの財貨で人を援助する意の「贔屓ひいき」に使われる字。屓は略字だが新字体と同じに用いられる。なお、中国では、碑文の石の下積みとなっている亀をいう。
意味 [日本]「贔屓ひいき」とは、気に入った者に特別目をかけ、力を添えて助けること。「贔屓の引き倒し」(ひいきすることにより、かえってその人を不利にすること)
形声字
唄 バイ・うた 口部
解字 「口(くち)+貝(バイ)」の形声。口から発せられるバイの音。梵語(古代インド語)・バイの音訳語に使う。
意味 (1)梵唄ボンバイとは、仏典を調子にあわせて歌うこと。 (2)[国]うた(唄)。民謡や俗謡のこと。「小唄こうた」
狽 バイ 犭部
解字 「犭(けもの)+貝(バイ)」の形声。バイという狼の一種、狼は前足が長く後足は短いのに対し、狽はその逆。両者はいつも共に行動し、離れると倒れて、うろたえることから、あわてふためくこと[広辞苑]。「狼跋ロウバツ」(うろたえつまずく)と同じく平衡を失する状態をいう語[字統]。
意味 うろたえる。よろける。「狼狽ロウバイ」(うろたえること。狼はみだれる意)
<紫色は常用漢字>
参考 貝は部首「貝かい」になる。漢字の左辺や下部について、お金や財産の意味を表す。常用漢字で35字(16位)、約14,600字を収録する『新漢語林』では、117字が収録されている。主な漢字は以下のとおり。
形声(部首+音符)となるもの
財ザイ・たから(貝+音符「才サイ」)
貢コウ・みつぐ(貝+音符「工コウ」)
貨カ・たから(貝+音符「化カ」)
販ハン・ひさぐ(貝+音符「反ハン」)
貧ヒン・まずしい(貝+音符「分ブン」)
貪ドン・むさぼる(貝+音符「今コン」)
貯チョ・たくわえる(貝+音符「宁チョ」)
貸タイ・かす(貝+音符「代ダイ」)
費ヒ・ついやす(貝+音符「弗フツ」)
貼テン・はる(貝+音符「占セン」)
賀ガ(貝+音符「加カ」)
資シ・もと(貝+音符「次シ」)
賞ショウ・ほめる(貝+音符「尚ショウ」)
購コウ・あがなう(貝+音符「冓コウ」)
贈ゾウ・おくる(貝+音符「曽ソウ」)
賦フ・みつぎ(貝+音符「武ブ」)など。
会意となるもの(字の組み合わせが発音と無関係)
貞テイ・ただしい(貝+卜ボク)
負フ・おう(貝+人の変形)
責セキ・せめる(貝を含む会意)
賜シ・たまわる(貝+易)
質シツ・たち・ただす(貝+斤二つ)
賛サン・たすける・ほめる(貝+夫二つ)
このうち、貞テイ・責セキ・質シツ、は音符になる。
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
貝 バイ・かい 貝部
解字 子安貝のかたちの象形。かいの意味を表わす。また、子安貝は貨幣として使われたので、かね・たからの意となる。
子安貝の貝貨(「世界最古の貨幣-貝貨」より)
意味 (1)かい(貝)。かいがら。「貝殻かいがら」「貝塚かいづか」「法螺貝ほらがい」 (2)たから。かね。「貝貨バイカ」(貝の貨幣)
イメージ
「かい・財貨」(貝・敗・負・買・売・贔・屭)
「形声字」(唄・狽)
音の変化 バイ:貝・買・売・唄・狽 ハイ:敗 ヒ:贔 フ:負 キ:屭
かい・財貨
敗 ハイ・やぶれる 攵部
解字 甲骨文字は手に棒などの道具をもち、貴重品である貝を壊すかたちで、「そこなう」意味を表す。金文は貝が二つ描かれ横にトと又(手)を描き多くの財貨をそこなう意。篆文は「攴+貝」の形になり、現代字は攴ボク⇒攵に変化した敗ハイになった。意味は「そこなう」のほか、戦いに敗れたとき持っている宝器を打ちこわして逃げるので、敗北する意となる。
意味 (1)やぶれる(敗れる)。「敗北ハイボク」「敗走ハイソウ」 (2)そこなう。だめになる。くさる。「敗毀ハイキ」(敗も毀もこわれる意)「腐敗フハイ」 (3)しくじる。「失敗シッパイ」
負 フ・おう・まける・まかす 貝部
解字 「人(ひと)+貝(貝貨)」の会意。つないだ貝貨を人が背負う意。貝の貨幣は大量に必要とされるときは、背負って運んだ。また、財貨を背負いかつぐことから、責任などを引き受けることを負担といい、他に責任や任務を引き受けさせる(たのむ)ことを負託という。このほか財貨にたよる意も生まれた。なお、負ける・負かす意は、負債(借金)がある意から生まれた。現代字は、人⇒クに変化した負になった。
貝朋カイホウ(子安貝をつないだ束)(ネットの検索画面から)
パプアニューギニアの貝貨(「ウィキペディア「貝幣」より)
意味 (1)おう(負う)。せおう。「負担フタン」「負荷フカ」「負託フタク」(人に引き受けさせ任せる) (2)受ける・こうむる。「負傷フショウ」 (3)たよる。たのむ。貝貨を背後に置いて頼りにする。「自負ジフ」(自分の能力や仕事に自信をもつこと)「抱負ホウフ」(抱いている自負。将来の計画や決意) (4)まける(負ける)。まかす。「勝負ショウブ」
買 バイ・かう 貝部
解字 「罒(=网・あみ)+貝(おかね)」の会意形声。網をおおうように貝(おかね)で物を買い集めること。
意味 かう(買う)。代金を払って品物を求める。「仲買なかがい」「買収バイシュウ」「購買コウバイ」(買いいれること)
売[賣] バイ・うる・うれる 士部
解字 篆文は「出(でる。穴から上向きの止(あし)の形)+買(かう)」の会意形声。買ったものを出す、すなわち売ること。旧字で「士+買」に変化し、さらに新字体で「売」に変わった。
意味 うる(売る)。あきなう。ひろめる。「売却バイキャク」「商売ショウバイ」「売名バイメイ」
贔 ヒ・ヒイ 貝部
解字 「貝+貝+貝」の会意。貝(財貨)を三つならべた形で、たくさんの財貨を表す。たくさんの財貨で人を援助する意の「贔屓ひいき」に使われる字。
意味 [日本]「贔屓ひいき」とは、気に入った者に特別目をかけ、力を添えて助けること。「贔屓目ひいきめ」(好意的な見方)
屭[屓] キ 尸部
解字 [日本]「尸(すわるひと)+贔(たくさんの財貨)」の会意。すわる人の前にたくさんの財貨を置いたかたち。たくさんの財貨で人を援助する意の「贔屓ひいき」に使われる字。屓は略字だが新字体と同じに用いられる。なお、中国では、碑文の石の下積みとなっている亀をいう。
意味 [日本]「贔屓ひいき」とは、気に入った者に特別目をかけ、力を添えて助けること。「贔屓の引き倒し」(ひいきすることにより、かえってその人を不利にすること)
形声字
唄 バイ・うた 口部
解字 「口(くち)+貝(バイ)」の形声。口から発せられるバイの音。梵語(古代インド語)・バイの音訳語に使う。
意味 (1)梵唄ボンバイとは、仏典を調子にあわせて歌うこと。 (2)[国]うた(唄)。民謡や俗謡のこと。「小唄こうた」
狽 バイ 犭部
解字 「犭(けもの)+貝(バイ)」の形声。バイという狼の一種、狼は前足が長く後足は短いのに対し、狽はその逆。両者はいつも共に行動し、離れると倒れて、うろたえることから、あわてふためくこと[広辞苑]。「狼跋ロウバツ」(うろたえつまずく)と同じく平衡を失する状態をいう語[字統]。
意味 うろたえる。よろける。「狼狽ロウバイ」(うろたえること。狼はみだれる意)
<紫色は常用漢字>
参考 貝は部首「貝かい」になる。漢字の左辺や下部について、お金や財産の意味を表す。常用漢字で35字(16位)、約14,600字を収録する『新漢語林』では、117字が収録されている。主な漢字は以下のとおり。
形声(部首+音符)となるもの
財ザイ・たから(貝+音符「才サイ」)
貢コウ・みつぐ(貝+音符「工コウ」)
貨カ・たから(貝+音符「化カ」)
販ハン・ひさぐ(貝+音符「反ハン」)
貧ヒン・まずしい(貝+音符「分ブン」)
貪ドン・むさぼる(貝+音符「今コン」)
貯チョ・たくわえる(貝+音符「宁チョ」)
貸タイ・かす(貝+音符「代ダイ」)
費ヒ・ついやす(貝+音符「弗フツ」)
貼テン・はる(貝+音符「占セン」)
賀ガ(貝+音符「加カ」)
資シ・もと(貝+音符「次シ」)
賞ショウ・ほめる(貝+音符「尚ショウ」)
購コウ・あがなう(貝+音符「冓コウ」)
贈ゾウ・おくる(貝+音符「曽ソウ」)
賦フ・みつぎ(貝+音符「武ブ」)など。
会意となるもの(字の組み合わせが発音と無関係)
貞テイ・ただしい(貝+卜ボク)
負フ・おう(貝+人の変形)
責セキ・せめる(貝を含む会意)
賜シ・たまわる(貝+易)
質シツ・たち・ただす(貝+斤二つ)
賛サン・たすける・ほめる(貝+夫二つ)
このうち、貞テイ・責セキ・質シツ、は音符になる。
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