漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「出シュツ」<あしが穴からでる>と「拙セツ」「黜チュツ」「咄トツ」

2023年04月11日 | 漢字の音符
 シュツ・スイ・でる・だす  凵部かんにょう

解字 [甲骨文字辞典]は、歩行を示す、あし(止)の下部にへこみ(凵カン=穴)が描かれており、穴から出ることを表したものであろうとする。字形は最終的に、あしの部分が屮になり、これに穴を表す凵がついた出になった。でる・あらわれる意となる。
意味 (1)でる(出る)。だす(出す)。外にでる。「門出かどで」「出港シュッコウ」「出納スイトウ」(出し入れ) (2)あらわれる。「出現シュツゲン」「露出ロシュツ」 (3)でむく。「出演シュツエン」 (4)すぐれる。「傑出ケッシュツ

イメージ 
 「でる」
(出・朏・祟・黜・拙・咄) 
音の変化  シュツ:出  スイ:祟  セツ:拙  チュツ:黜  トツ:咄  ヒ:朏

でる
 ヒ・みかづき  月部
解字 「月(つき)+出(でる)」の会意。初めて月が出たことが分かる日。新月や二日目の月は見えにくいが、三日目の月は人の目ではっきり出たことが分かることから。
意味 (1)みかづき(朏)。陰暦三日目の月。 (2)新月から三日月あたりの月明かり。「朏魄ヒハク」(弱い月明かり)「朏晨ヒシン」(黎明。あけがた)
 スイ・たたる・たたり  示部  
解字 「示(祭壇)+出(でる)」の会意。神が出す罰である「たたり」。古代文字の字形がはっきり解明されておらず、現在の字体は楷書からである。
意味 (1)たたる(祟る)。たたり(祟り)。神仏が罰を与える。怨霊などが災いをもたらす。「神祟シンスイ」(神のたたり)「其鬼不祟」(其の鬼(祖霊)は祟(たたら)ず」 (2)神や霊がもたらすわざわい。災禍サイカ。「禍祟カスイ」「疾祟シッスイ
 チュツ・しりぞける  黒部
解字 「黑(くろ=わるい)+出(出す)」の会意形声。勤務実績の悪い者を出すこと。
意味 (1)しりぞける(黜ける)。官職・地位からはずす。罷免する。「黜遠チュツエン」(しりぞけ遠ざける)「黜捗チュツチョク」(功績のない者をしりぞけ、ある者を昇官させる)「黜陟幽明チュッチョクユウメイ」(正しい基準で人材の登用を行うこと。幽明は暗愚と賢明で、幽をしりぞけ明を引き上げる意)「罷黜ヒチュツ」(罷免してしりぞける) (2)へらす(黜らす)。数をへらす。
 セツ・つたない  扌部
解字 「扌(手)+出(でる・はなれる)」の会意形声。[説文解字]は「不巧也」(巧みでない)とする。手による巧みな動きから出た(はなれた)状態であること。つたない。うまくない意となる。
意味 (1)つたない(拙い)。まずい(拙い)。「拙速セッソク」「拙劣セツレツ」(へたなこと)「古拙コセツ」(古風で技巧的に拙いが、味わいがあること) (2)自分を謙遜する。「拙者セッシャ」「拙宅セッタク
 トツ・しかる・はなし  口部
解字 「口(くち)+出(でる)」の会意形声。口から出るつよい声。
意味 (1)しかる(咄る)。 (2)したうちする。また、その声。「咄呵トツカ」(舌打ちする) (3)突然なこと、意外なことにでる声。「咄嗟トッサ」(①物事の急なこと、②嘆くこえ。)「咄咄トツトツ」(おやおや。驚きを発する声)(4)[国]はなし(咄)。昔話。落語。「小咄こばなし」「咄家はなしカ」(落語家)
<紫色は常用漢字>

関連音符
 クツ・かがむ  尸部
解字 「尾の略体+出(でる)」の会意。音符「屈クツ」を参照。

  バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 音符 「門モン」<もん>「問... | トップ | 音符「代ダイ」<入れかわる... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

漢字の音符」カテゴリの最新記事