漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「畺キョウ」<さかい> と「彊キョウ」「疆キョウ」「僵キョウ」「橿キョウ」「薑キョウ」

2023年12月25日 | 漢字の音符
  増訂しました。
 キョウ・コウ  田部  畺[jiāng,jiàng] 

解字 田と田の上下と中間に線をいれて、田(土地)の境界を示した形。疆キョウ(さかい)の原字。
意味 さかい。

イメージ  
 「さかい」
(彊・疆・橿・薑)
 「形声字」(僵)
音の変化  キョウ:彊・疆・橿・薑・僵

さかい
 キョウ・つよい  弓部  彊[qiáng,jiàng,qiǎng]
解字 「弓(ゆみ)+畺(さかい)」の会意形成。国境を弓(武器)で守ること。国境を守る兵士が強い、また、強キョウに通じ、つとめる・はげむ意となる。また、疆キョウ(さかい)の原字でもある。
意味 (1)つよい(彊い)。「屈彊クッキョウ」(=屈強)「彊冨キョウフ」(富んでいて強い)(2)つとめる。はげむ。「自彊ジキョウ」(自ら勉めて励む)(3)さかい。くにざかい。(=疆)。「彊域キョウイキ」(=疆域。境域)
 キョウ・さかい  田部  疆[jiāng]
解字 「土(土地)+彊(国境を弓で守る)」の会意形声。彊は国境を弓で守ること。そこに土がつき、守っている国境および境域・領土を示す。
意味 (1)さかい(疆)。くにざかい。境域。領土。「疆域キョウイキ」(土地や領土の境目。国境)「疆境キョウキョウ」(①辺境。②境界内の地) (2)かぎり。はて。「無疆ムキョウ」(かぎりのないこと。無限) (3)地名。「新疆シンキョウ」(清朝の新しい領土の意。中国北西端に位置する地域をいう。いわゆる西域の主要地域。清の乾隆年間(18世紀)に、中国の版図に入る。現在は新疆ウイグル自治区となっている)  
橿 キョウ・かし  木部  橿[jiāng] 
解字 「木(き)+畺(=彊。つよい)」の会意形成。材質が強くてかたい木をいう。
意味 (1)中国の古書で、材質が堅く車輪や、クワ・スキの柄にする、と書かれている木。(2)[国]かし(橿)。樫とも書く。ブナ科コナラ属の常緑高木の総称。シラカシ・アラカシなど。材質が堅い。「白橿シラカシ」(=白樫)(3)地名。「橿原市かしはらシ」(奈良県中部にある市)「橿原神宮かしはらジングウ」(橿原市にある神社で、記紀伝承の橿原宮の旧址といわれる)
 キョウ・はじかみ  艸部  薑[jiāng]
 
ショウガ(ウィキペディアより)
解字 「艸(くさ)+畺(さかいめ)」の会意形成。根茎が横に増えて数個のかたまりをなすため境目がはっきりわかる根をもつ草。
意味 はじかみ(薑)。生姜の古くからの呼び方。ショウガ科の多年草。根茎が横に数個のかたまりをなし黄色で辛味がある。根を食用・香辛料・薬用とする。「生薑ショウキョウ・しょうが」(乾燥したものに対して生のものをいう=生姜) 
※「生姜しょうが」は、正式な名を「生薑ショウキョウ」といい、薑キョウ(はじかみ。ショウガ)を同音のキョウに置き換えた字。日本では「生姜ショウキョウ」を、なまって「ショウガ」と発音した。

形声字
 キョウ・コウ・たおれる  イ部  僵[jiāng]
解字 「イ(ひと)+畺(キョウ・コウ)」の形声。キョウは、強キョウ・ゴウ(かたい・こわばる)・梗キョウ・コウ(かたい)に通じ、人の身体がかたくこわばること。[説文解字]は「偃エン(ふせる)也(なり)」とする。[同注]は「僵は仰倒(仰向けに倒れる)を謂う」とする。また[莊子·則陽篇]は「一に强に作る。傹キョウ(終わる)に通じる」とし、かたい・こわばる・おわる意味がある」とする。
意味 (1)身体がこわばる。こわばる。「僵立キョウリツ」(こわばって立つ)「僵硬キョウコウ」(身体が硬直する)(2)たおれる(僵れる)。たおれ死ぬ。「僵仆キョウフ」(①たおれ伏す。②たおれた死体)「僵尸キョウシ」(たおれた死体。=僵屍)「僵尸企業キョウシキギョウ」(中国の国有企業などで改革がおくれ死に体になっている企業。ゾンビ企業)

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