漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「介カイ」<よろいをつけた人>と「界カイ」「堺カイ」「芥カイ」「疥カイ」

2023年12月19日 | 漢字の音符
  増補しました。
 カイ・たすける  人部       

解字 人の前後に短い線を加えた形。短線は左右二本(図示)と一本のものがある。甲骨文字では人名・親族呼称などに用いられている[甲骨文字辞典]。後代にはよろいを付けた形と解釈された。篆文以降、よろいの線が左右一つになり、現代字では人の下にくる。よろいのほか、魚介のように甲羅をもつ虫類(甲殻類・貝など)にも使う。また、よろいの中に人が入ることから「間にはいる」、よろいをつけて人を「たすける」意味になる。
意味 (1)かたいもの。よろい。甲羅や貝殻。「介冑カイチュウ」(よろいとかぶと)「魚介ギョカイ」(魚と貝・エビなど) (2)間にはいる。なかだちをする。「介在カイザイ」「仲介チュウカイ」 (3)たすける(介ける)。つきそう。「介護カイゴ」「介抱カイホウ」 (4)[国]すけ(介)。昔の官名。四等官で、国司の第二位。

イメージ 
 「よろいをつける」
(介) 
  よろいの前後が「両側に分かれる」(界・堺)
 「形声字」(芥・疥)
音の変化  カイ:介・界・堺・芥・疥

両側にわかれる
 カイ・さかい  田部
解字 「田(田畑)+介(両側に分ける)」の会意形声。田畑の中に区切りを入れて両側に分けた境目。
意味 (1)さかい(界)。くぎり。くぎる。「境界キョウカイ」「限界ゲンカイ」 (2)あたり。一帯。「界隈カイワイ」「世界セカイ」(①人の住む所。地方。②人間社会のすべて) (3)さかいの中。ある範囲の社会。「業界ギョウカイ」「塵界ジンカイ」(よごれた俗世間)
 カイ・さかい  土部
解字 「土(土地)+界(さかい)」の会意形声。土地の境目。区切り。界と意味は同じ。
意味 さかい(堺)。土地のくぎり。(日本では地名に使うことが多い)「堺市さかいし」(大阪府の都市。摂津国、河内国、和泉国の堺(さかい)に発展したことから)「境港市さかいみなとし」(鳥取県北西部の市)

形声字
 カイ・からし・あくた  艸部
解字 「艸(くさ)+介(カイ)」の形声。カイという名の草。からし菜をいう。菜の花とよく似ているが、食用にしたとき、からし菜はピリッと辛い。また、花はからし菜が一回り小さい。からし菜の実は小さいので、ちいさなごみ・ちりの意ともなる。

カラシナ(芥子菜)(「薬草と花紀行のホームページ」より)

カラシナのさや(「野田市HP」カラシナより)
意味 (1)からし(芥)。芥子菜(からしな)。アブラナ科の草。葉を食し、また種子を粉末にして芥子(からし)にする。 (2)[国]けし(芥子)。ケシ科の越年草。果実の乳液からアヘンを製する。本来は罌粟けし。からしなの種子が似ていることから言う。「芥子粒けしつぶ」(けしの種子。非常に小さいものの例え) (3)あくた(芥)。ごみ。ちり。くず。「芥舟カイシュウ」(水上に浮かぶ小さなごみ。舟に例えていう)(4)地名。姓。「芥川あくたがわ」(①大阪府高槻市を流れる川。②姓。芥川龍之介:小説家)
 カイ・ひぜん・はたけ  疒部
解字 「疒(やまい)+介(=芥。ちいさい)」の会意形声。皮膚に小さく赤い点々ができて非常にかゆくなる病気。
意味 (1)ひぜん(皮癬)。かいせん。「疥癬カイセン」(疥癬虫の寄生によって生ずる皮膚病)。 (2)はたけ(疥)。顔や首などに白く丸い斑点ができる皮膚病。
<紫色は常用漢字>

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