イリスの色いろのお話

イリスのエレガンス★コミュニケーション blog
色彩・着物・ファッション・アート

形見の着物~F様の場合

2012-11-19 19:18:39 | 着物
先日、出張着付けに伺ったF様のこと。

F様のお母様とお姉様は着物好きでしたが、
残念ながらお二人とも亡くなられ、
家には着物や帯がたくさん残されました。

しかしF様は和服全般、何もわからなくて、
どうしたものかとデパートの呉服担当者に相談をされたそうです。

「とりあえず10枚、仕立て直しをしました」
とF様。

当日は、お姉様の形見の柿色地の小紋に、
新たにご購入の、川島の白地の袋帯でした。

「箪笥の中にはいろいろ入っているのですけど、
どの帯を合わせたらよいのか分からないし、
(F様、名古屋帯と袋帯の違いもご存知ではありませんでした)
たとう紙を開けて見るのも大変なので、
担当の方に選んでいただいて買いました・・・」

とお聴きし、
私は、そのような方にははりついて(?)
箪笥の中のものでコーディネートを組ませていただくのに~!
と思ってしまいました。^^);


和室には、着物姿のお母様とお姉様の遺影があり、
亡きお二人に見守られての着付け。

ご家族から引き継いだ着物が箪笥に眠っている方は、
とても多いと思います。
でもF様のように、着方もわからないのに、
仕立て直してまで着ようとして下さる方はとても少ない。

普段は夜遅く迄働いていらっしゃるキャリアレディのF様は快活なお方。

着物をお召しになると、とっても愛らしい感じがにじみ出て、
失礼ながら、私は思わず「可愛い!」と言ってしまったくらいです。

着物の一枚、一枚に、作った人たちの思いも詰まっており、
また形見の着物には、亡き人の思い、ぬくもりも共にあります。

何より、F様を守ってくれます。

これを機に、着付けを習い、着物をきていこうと決心して下さって、
私もとても嬉しかった。

これからもそのような方々を応援していきたいな、
とあらためて思ったのでした。



























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