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テレマーク&マウンテンガイドIDEHA

月山遭難事故について

2014年01月16日 20時19分04秒 | バックカントリーツアー
1月12日月山エリアにて痛ましい遭難事故がありました。
事故現場はネイチャーセンターから石跳川沿いに上流へ約2KMの地点。
夏場装束場までの登山道になっているが、その登山道が現場となった。
装束場までの登山道はリュウキンカ広場と分岐になるが、そこから約500M上流のポイントである。
春のツアーで姥ヶ岳からネイチャーセンターへ向かう時に使う沢沿いのコースと言えば分るだろうか。
この石跳川沿いは、姥沢方面からなだらかな斜面が続き周回沼付近で平らになるが、そこから沢に向かって急激にバーンがきつくなる。
地形が沢でえぐられているためである。
典型的な例としてリュウキンカ広場への分岐のガレ場は、湯殿に向かうとき神経を使う場所でもある。
今回現場となった場所は、「ここで」と思ったのが正直なところであった。
登山道に面した斜面はそれほど大きくはない。
長さが約40~50M、幅で20M~30M位であろうか。
ただ斜度が35度位の急なバーンで石跳川に向かって延びている。
新雪に覆われて分かりずらいがデブリが蓄積され、男性の方は約1.5M下に埋もれていた。
埋もれていた姿勢を見ると推測だが、このバーンを滑って雪崩に遭遇したのであろう。
それほど大きなバーンでなくても人一人を埋めるには十分な雪の量である。
南岸低気圧による弱層となるザラメの上に急激な冬型で新雪が積載され、12日は80CM のところに手首で5回というとてもずれやすい結果が出ていた。
この部分が何かのトリガーにより滑り雪崩が発生したのではないだろうか。

私がここでガイドを初めて17年目になる。
最初の頃は、厳冬期の月山に入るには一人か二人くらいで、それもそれ程奥には入らずネイチャーセンター上部で滑るくらいだった。
しかし現在は、車止めには車が止めきれないほどで、グループ、単独、沢山の方が月山に足を運んで頂いている。
滑る場所もだんだん奥へ奥へと進みとても昔では考えられなかったところでも滑るようになってきた。
でもどうだろう現地のお年寄りの方に話を聞くと、昔雪崩があった出来事などをこんこんと話してくれる。
きっとこの雪崩などの雪害は昔から繰り返され、それほど山は恐ろしい存在だったのだと思います。

どうでしょう厳冬期の月山は安易に入れるような山ではないことを再認識しませんか。
月山には限りませんが、厳冬期の雪山に入るには、雪崩の知識、グループやガイドに入ってのある程度の経験が必要です。
それら知識・経験もなく厳冬期の雪山に入ることは死をも意味する行為です。
たまたま危険に会わなかっただけのことです。
知識や経験があるベテランでも、一人で雪崩や事故にあってしまったらもうどうにも出来ません。
その方は良いかもしれませんが、残された家族はどうでしょうか。
山に入ってはいけないという事ではありません。
厳冬期の雪山に入るにはそれなりの準備と覚悟が必要という事です。

今回の事故をそのまま風化する訳にはいきません。
今回の事故を教訓として安全に山で活動することが生かす道と私は考えます。

現在注意を促す看板と登山届BOXを要望しております。
但しBOXを設置するまでにどれ位時間が掛かるか分かりませんので下記URLから登山届を提出できますので、月山に入山される方は必ずご利用ください。

山形県インターネットによる登山届



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
転載について (ndanassu)
2014-01-28 08:09:29
転載させていただきたく、よろしくお願いいたします
返信する
転載について (IDEHA)
2014-01-28 21:33:35
この記事がお役に立つことであればどうぞお使いください。
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