ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態や生息環境を研究し保全活動をしていますが、趣味で撮影した昆虫や日本の四季
自然風景の写真も紹介しています。

ミドリシジミ

2018-06-03 20:11:08 | チョウ/ゼフィルス

 ミドリシジミ Neozephyrus japonicus japonicus (Murray, 1875) は、シジミチョウ科(Family Lycaenidae)シジミチョウ亜科(Subfamily Lycaeninae)ミドリシジミ族(Tribe Theclini)ミドリシジミ属(Genus Neozephyrus)のチョウで、日本では北海道、本州、四国、九州に分布するが、九州では九重山系にのみ産する。
 翅の裏面は雌雄とも灰褐色であるが、オスの翅表は金緑色で和名の由来になっている。メスの翅表は、遺伝的多型があることが知られ、褐色無紋のO型、橙赤斑をもつA型、大形の藍紫斑をもつB型、藍紫斑と橙赤斑の両方をもつAB型と4タイプが知られている。
 幼虫の食草はハンノキ、ヤマハンノキなどなどのカバノキ科であるから、低地から山地のハンノキが生える湿地に多く生息するが、ヤマハンノキが生育する山地にも生息している。ちなみに筆者は、2014年8月23日に標高1,200mの山地にて蕎麦の白い花で吸蜜するオスのミドリシジミを撮影している。(ミドリシジミ(吸蜜)
 本種は、環境省RDBに記載はないが、熊本県で絶滅危惧Ⅰ類、千葉県、岐阜県、奈良県、香川県、島根県、大分県では絶滅危惧Ⅱ類に選定している。撮影した埼玉県では準絶滅危惧種に選定しており、平成3年には県の蝶に指定している。

 ミドリシジミの写真は、その魅力である輝く翅表を収めたものでありたい。2012年に撮影し「ミドリシジミ(開翅)」として掲載してはいるものの、片方の尾状突起が欠損した個体であった。その後、ハードルの高い山地性ゼフィルスを主として撮影していたため、なかなかチャンスがなかったが、今年は、ミドリシジミの翅の擦れと欠損がない美しい個体を撮ることを目標として定め、3週に渡って生息地へ通った。先週は未発生であったが、今回は発生のピーク。到着した6時半には、10数頭の個体が一畳ほどの範囲の下草に止まっていた。また、湿地全体のあちこちで下草にいる個体を確認できた。
 日が当たり気温上がってくると半開翅した後、ハンノキの梢に飛び上がってしまう個体が多かったが、しばらくすると降りてきて下草で開翅する個体や、地上で羽化したばかりの個体が下草で開翅するという場面に多く遭遇できた。翅の擦れた個体や欠損した個体の写真は「生態写真」として言い訳できるが、図鑑写真として新鮮な個体を美しく撮ることが第一の目標である。しかしながら、ミドリシジミの生態や成虫の行動に関する知識を持っていても、綺麗に撮るのは簡単ではない。近づくとすぐに飛び立ってしまう個体も多い。それでも何とか複数個体を様々な角度から撮影することができたので紹介したい。
 ミドリシジミの翅表の色は、サブミクロン・スケールの微細な構造によって作り出される物理的な色、すなわち「構造色」であり、入射した光線のある波長の山と山が重なり合ったときに金属光沢をもつ強烈な色を形成し、見る方向によって異なった色を示す。同じ個体でも見る角度で翅色が緑色や青色に見えるのである。写真のミドリシジミの翅表の色も、太陽光の角度や撮影方向で違っている。

 今回は、これまであまり興味がなかったメスのミドリシジミも撮影した。橙赤斑をもつA型である。メスの遺伝的多型の図鑑写真を撮りたいという意欲が湧いてきたが、今年は、ヒロオビミドリシジミ、ハヤシミドリシジミ、ウラジロミドリシジミ、ヒサマツミドリシジミ、アイノミドリシジミ、キリシマミドリシジミを綺麗に撮り直したいと思う。

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

ミドリシジミの写真

ミドリシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 1600 -1/3EV(撮影地:埼玉県入間市 2018.6.02 10:36)

ミドリシジミの写真

ミドリシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 1250 -1/3EV(撮影地:埼玉県入間市 2018.6.02 10:37)

ミドリシジミの写真

ミドリシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 1000 -2/3EV(撮影地:埼玉県入間市 2018.6.02 8:34)

ミドリシジミの写真

ミドリシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 800 -2/3EV(撮影地:埼玉県入間市 2018.6.02 9:03)

ミドリシジミの写真

ミドリシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 3200 -2/3EV(撮影地:埼玉県入間市 2018.6.02 7:45)

ミドリシジミの写真

ミドリシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 1600(撮影地:埼玉県入間市 2018.6.02 7:14)

ミドリシジミの写真

ミドリシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 800 -1/3EV(撮影地:埼玉県入間市 2018.6.02 9:12)

ミドリシジミの写真

ミドリシジミ(翅裏)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 640 -1/3EV(撮影地:埼玉県入間市 2018.6.02 9:09)

ミドリシジミ(メス)の写真

ミドリシジミ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 2000 -2/3EV(撮影地:埼玉県入間市 2018.6.02 8:41)

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