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ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

乗鞍高原まいめの池より天の川

2022-05-08 18:34:54 | 風景写真/星

 乗鞍高原まいめの池より天の川を撮影してきた。

 乗鞍高原と高原内にある「まいめの池」では、過去にそれぞれ夏の天の川を撮影しているが、いずれも8月の撮影で、夏の天の川特有の濃い部分である銀河の中心グレートスタークラウドは地平線に沈んでしまった後であった。乗鞍高原は、夜空の明るさが客観的に評価できる数値「等級(mag/□"):(マグニチュードパー平方秒角)」で表すと、21.79mag/□" で、天の川の複雑な構造が肉眼で確認できるほど星空が良く見える場所であり、一度は乗鞍高原でグレートスタークラウドを撮っておきたいと思っていた。
 今年のゴールデンウイークは、月の影響もなく3日から5日は快晴の予報であった。こまめにGPV気象予報で雲の広がりをチェックしながら、4日から5日にかけての深夜に乗鞍高原まいめの池より天の川を撮る計画とした。

 自宅を19時に出発し中央道で松本へ。上りは、小仏トンネルから談合坂SA付近まで長い渋滞の列。途中では追突事故もありお気の毒。下りは、まったく渋滞もなく走行車両も少ない。週末ドライバーに気を付けながら順調に進み、松本ICで降り、国道158号線を上高地方面へ進む。松本方面に下りてくる車は多いが、この時間に上っていく車は、私ぐらいである。
 予定通り、乗鞍高原には22時半頃に到着。気温は3℃で残雪はなし。見上げれば快晴で満天の星。しかも無風。星や天の川は高原のどこからでも撮れるが、まいめの池を選んだのは、池の水鏡に星々が映る様子も収めたかったからである。まさに絶好のチャンスであり、今年はもうないだろうと思う程の好条件である。
 しばらく車内で休憩し、23時過ぎからまいめの池に移動し三脚をセット。誰もいない。昨年に遭遇したツキノワグマは、まだ冬眠中であろうが、ちょっと心配しながら撮影の位置と構図をあれこれと調整する。天の川は、地平線から昇ってはいるが、まいめの池の向こう側に山があるため、まだ薄い部分しか見えない。試し撮りをしながら待っていると、グレートスタークラウドが徐々に姿を現した。天の川は肉眼でもハッキリと見えるが、撮影した画像を小さなモニターで確認すると、その写りに、標高1,600mで街明かりが遮断された乗鞍高原の素晴らしさを実感する。

 インターネットで「天の川」の画像を検索すると、色の濃いくっきりとした天の川の写真が目立つ。これらは、赤道儀を使って追尾し露出をかけて撮影したものや、デジタルカメラを天体写真用にIR改造(HKIR改造)して撮影したものである。「見た目の星空と違っておかしい」「こんなにカラフルに見えない」との意見もあるだろうが、実は、実際の星空や天の川の色彩なのである。
 一般のデジタルカメラは、撮影した画像のカラーバランスを人間の色感覚に基づいて自然に整えるため、センサーに特殊な色調整フィルターが内蔵されている。この色調整フィルターを取り除くとセンサーに入射する光がカットされなくなるため、特に赤く輝く散光星雲などから放たれるスペクトル領域(Hα)付近の感度が大幅にレベルアップし、色彩豊かな星空や天の川が撮れるのである。色調整フィルターを取り除くのがIR改造(HKIR改造)である。
 赤道儀では、星の動きを追尾して撮影するため、風景と一緒に撮影すると地上部分は流れてしまう。地上の風景も奇麗に写した1枚にするためには、風景と星空を別々に撮影し、後にパソコンで合成する手法をとらなければならない。
 私の星景写真(地上の風景と星空を合わせた写真)は、すべて改造していないデジタルカメラでの固定一発露光したものである。これでさえ見た目の星空とは違うものであるし、改造機で撮影した写真に比べれば見劣りもする。しかしながら、普通のデジタルカメラとレンズでも、乗鞍高原ならばここまでは撮れるのである。先月撮影した新潟の「星峠より夏の天の川」と比べても、違いが分かっていただけるだろう。掲載写真は、DxOPureRAWでRAWの最適化を行った後、LightroomでRAW現像し、jpeg出力したものである。

 東京女子大学名誉教授であった家内のお母様が5日に他界した。享年84歳。7日は通夜で8日母の日が告別式。私の結婚当初は随分とご心配をお掛けし助けても頂いた。家内の実家は自宅から車で30分ほど。以前はそれなりにお邪魔していたが、コロナになってからはまったく伺っていなかった。病院でも面会はできず、結局、2年以上もお会いすことなく会話もないままであった。それが残念でたまならい。白菊とともにカーネーションを入れて、お見送りした。天に召され、この星々と同じようにいつまでも空に輝いていてほしいと思う。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。

乗鞍高原まいめの池より天の川の写真
乗鞍高原まいめの池より天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル露出 F2.8 30秒 ISO 3200(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2022.5.05 1:00)
乗鞍高原まいめの池より天の川の写真
乗鞍高原まいめの池より天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル露出 F2.8 30秒 ISO 3200(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2022.5.05 1:02)
乗鞍高原まいめの池より天の川の写真
乗鞍高原まいめの池より天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル露出 F2.8 30秒 ISO 3200(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2022.5.05 1:10)
乗鞍高原まいめの池より天の川アーチの写真
乗鞍高原まいめの池より天の川アーチ
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル露出 F2.8 30秒 ISO 3200 11カットパノラマ合成(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2022.5.05 0:29)

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星峠より夏の天の川

2022-04-27 16:20:27 | 風景写真/星

 星峠より夏の天の川を撮影してきた。

 新潟県十日町市にある星峠から星空を撮るのは今回が4回目。前回は、昨年の12月に「星峠から初冬の星空とレナード彗星」を撮っており、夏の天の川は2018年4月に、今回同様「儀明の棚田」の遠征時に撮っており「星峠より天の川」として掲載している。しかし、田んぼの水面に星々が映りこむ様子と夏の天の川は何とか撮れたものの、撮影位置の調査が足りず「星峠」らしさが感じられない写真であった。また、車中泊で寝坊した失敗も重なって、天の川がかなり昇ってしまってからの撮影であった。
 今回も儀明の棚田とともに、再チャレンジとして星峠より夏の天の川の撮影を計画した。天の川が昇り始める午前0時に月はなく、GPV気象予報でも深夜から快晴。今回は、天の川全体と星峠の棚田を見渡せる場所を見つけたので、天の川アーチも撮る予定での遠征である。

 24日の夕方に儀明の棚田の撮影を終え、コンビニで夕食を買った後、星峠の駐車場へ移動。峠までの道路に雪は全くないが、棚田の所々にはまだ雪が残っている。駐車場には数台が止まっていたが、暗くなるとともに引き上げていった。まずは明るいうちにロケハン。撮影場所までは車両通行止めのため徒歩で向かった。良い感じである。三脚を据える場所を決め車に戻った。さあ、寝坊はできない!とりあえず午前0時に目覚ましをセットし、バッハを聴きながら仮眠である・・・
 目覚ましの音で目が覚める。見上げれば快晴の夜空に星が瞬いている。早速、撮影場所に向かう。気温は8℃だが、残雪が多い所は通り向ける風が冷たい。誰もいない。南東方向に目を向ければ夏の天の川が目視で確認できる。
 夜空の明るさが客観的に評価できる数値「等級(mag/□"):(マグニチュードパー平方秒角)」で表すと、私が星空をよく撮影する開田高原では21.78mag/□"、乗鞍高原が、21.79mag/□" 。値が大きいほど夜空が暗く星が見えやすいことを示しており、19~20で天の川がぼんやり見え、21を超えると天の川の複雑な構造が確認できる。星峠の数値は公表されていないが、上越市や長岡市で20.85~20.89mag/□"なので、21mag/□"くらいはあるだろう。
 徒歩で来たため、あまり長時間の滞在はしたくないことから、今回はタイムラプス撮影は止め、1カットずつ構図を変えて撮影。更にパノラマ合成によって天の川のアーチになるようカメラを少しずつ動かしながらの撮影もした。
 雪が解けていない田が多くあったため、水田に映る星々は少しであったが、全ての田んぼが水鏡になり天候や月明り等の条件をクリアすれば、この撮影場所からは素晴らしい光景が撮れるに違いない。いつかまた挑戦したいと思うが、その前に、21.79mag/□"である乗鞍高原にて夏の天の川アーチを撮りたいと思う。

参考:環境省「令和2年度 夏の星空観察 デジタルカメラによる夜空の明るさ調査の結果について

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。

星峠より夏の天の川の写真
星峠より夏の天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル露出 F2.8 30秒 ISO 2000(撮影地:新潟県十日町市 2022.4.25 1:41)
星峠より夏の天の川の写真
星峠より夏の天の川(人工衛星の軌跡)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル露出 F2.8 25秒 ISO 2000(撮影地:新潟県十日町市 2022.4.25 0:33)
星峠より夏の天の川アーチの写真
星峠より夏の天の川アーチ
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル露出 F2.8 30秒 ISO 2000 10カットパノラマ合成(撮影地:新潟県十日町市 2022.4.25 1:25)

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富士と天の川(精進湖)

2022-03-07 21:48:21 | 風景写真/星

 精進湖にて富士と天の川を撮影してきた。

 これまでに本栖湖、西湖、河口湖にて、それぞれの湖を入れながら富士山と夏の天の川を撮っていたが、精進湖は冬の星空だけで夏の天の川は撮っていなかった。そこで先週に引き続き今週も星景写真撮影に出掛けることにした。
 6日(日)の16時に自宅を出発し、先週と同じく談合坂SAで早めの夕食。前回はトンカツ定食にしたが、今回はチャーシュー麺。何故かこちらの方が200円高い・・・精進湖畔には、18時過ぎに到着。車は3台止まっており、写真を撮っていたが、日が暮れたのと同時に引き上げて行った。さすがに日曜日の夜である。残るは私一人。翌午前2時半に目覚まし時計をセットして、バロック音楽を聴きながら20時に就寝。勿論、車中泊である。
 2時半に起きると、何と湖畔には20台を超える車が湖を向いて並んでいる。皆さん、月曜日は仕事はないのだろうか?それとも撮影後に出勤するのか・・・本栖湖や西湖でもそうであったが、夏の天の川を待ちわびているカメラマンは多い。天気等の条件が合えば、ポイントになる撮影場所には曜日を問わず集まるのである。昨日だったら、車を止める場所もなかったかも知れない。
 気温は0℃。2時45分から撮影を始めたが、今回は初めてCarl Zeiss Planar 50mmを使ってみた。それは、グレートスタークラウドと呼ばれる夏の天の川の一番濃い部分を富士山とともに大きく写してみたかったからである。後に17mmでも撮るのだが、50mm標準レンズの場合、シャッタースピードをかなり短くしないと星が動いて線状に写ってしまう。500ルールでは10秒なので、1段絞って6秒で撮影することにした。タイムラプス動画のために400枚を撮影し、その後、いつもの広角レンズに付け替えて150枚を撮影した。
 5日の土曜日は「春一番」が吹き、気温も17℃まで上がった。翌日も風が強く、精進湖で撮影している時間帯も時折強い風が吹いていた為、湖面に富士や星が映る最上の光景は写せなかった。また、光害も気にはなるが、未撮影であった精進湖にて富士と天の川の写真を自身のアーカイブに残しておきたいと思う。
 以下には、50mmレンズで撮影した写真と、広角レンズで撮影した写真2枚を掲載した。広角写真に見える富士山の左の明るい輝きは、昇ったばかりの金星である。広角レンズの1枚目には流星が写っている。また、これまで撮影してきた富士山と夏の天の川のタイムラプス動画を編集してまとめてみた。

参照

 東京では、未だ新型コロナウイルスの新規感染者が1日1万人前後おり予断を許さないが、世界に目を向ければ、ロシアがウクライナに対する軍事侵攻に踏み切り、現地では今もロシア軍とウクライナ軍の戦闘が続いている。
 今回撮影した天の川にまつわる物語として馴染みがあるのは「七夕伝説」だろう。天帝により離れ離れにされた夫婦、織姫と彦星が、1年のうちで7月7日だけ会うことが許されたという物語。天の川にカササギという鳥が橋を作ってくれたことによって、織姫と彦星は会うことができるのである。
 今年最初に撮影した山中湖からの冬のダイヤモンドには、それを構成する星「アルデバラン」がある。アラビア語で「後に続くもの Al Dabaran」の意で、同じおうし座のプレヤデス(昴)よりも少し遅れて日周運動していることに由来するが、このアルデバランは、現在NHKで放送されている連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』でAIが歌う主題歌の曲名にもなっている。著作権の関係で歌詞を掲載できないが、是非、思い浮かべて欲しい。
 この星の下、世界人類が争うことなく平和に過ごせるよう、心から祈りたいと思う。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。また動画においては、Youtubeで表示いただき、HD設定でフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます。

精進湖にて富士と天の川の写真
富士と天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F1.6 6秒 ISO 2000 +1EV (撮影地:山梨県富士河口湖町 2022.3.07 3:27)
精進湖にて富士と天の川の写真
富士と天の川と流星(精進湖)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / 絞り優先AE F2.8 25秒 ISO 2000 +1EV (撮影地:山梨県富士河口湖町 2022.3.07 4:15)
精進湖にて富士と天の川の写真
富士と天の川(精進湖)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / 絞り優先AE F2.8 25秒 ISO 2000 +1EV (撮影地:山梨県富士河口湖町 2022.3.07 4:19)

富士山と夏の天の川

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冬の天の川と夏の天の川のアーチ

2022-03-02 13:14:00 | 風景写真/星

 冬の天の川と夏の天の川のアーチの撮影に挑戦してきた。

 カメラを持っての遠征は、何とおよそ7週間ぶり。平日は毎日会社に出勤したが、休日は新型コロナウイルスに感染しないよう、また濃厚接触者にもならないように自宅で自粛していたこともあるが、何より撮影したい光景との出会いのタイミングが合わないことで間が空いてしまった。
 撮りたい光景はいくつもあるが、冬の天の川と夏の天の川のアーチもその一つ。毎年同じ場所で、毎回同じような写真を撮る気はないが、思う結果が得られていない場合は、自己満足できる域に達するまでは突き詰めたい。夏の天の川アーチは昨年初めて挑戦し、冬の天の川アーチはこれまで撮ったことがなく、今年は、どちらも撮ることを計画に入れチャンスを伺っていた。条件は、月がなく全天が快晴であること。運良く私の休日である2月27日と28日は最良の天気予報。ただし、撮影場所として予定していた信州は、西方向の北アルプスに厚い雲がかかるため断念。仕方なく変更して、富士山とともに冬の天の川と夏の天の川のアーチを撮影することにした。

 まず、冬の天の川は、23時頃になるとかなり沈んでくる。冬の大三角と富士山とともに収められる場所として山中湖畔を選んだ。その場所では、1月4日に「しぶんぎざ流星群と冬の大三角」を撮っており、同じような絵になることが悔しい思いもあったが、主目的は冬の天の川アーチである。
 27日、16時半。自宅を出発し中央道を下る。日曜日の夕方でもあり、更に事故もあって上りは大渋滞。それを横目にガラガラの下りを走行するのは優越感に浸れる。撮影時間は22時半頃からであるし、何度も訪れている場所でロケハンも必要ないから、もっと遅い時間に到着しても良いのだが、撮影前にその場の空気に体を馴染ませたいという思いがある。途中、談合坂SAで早めの夕食を取り、山中湖の駐車場に18時過ぎに到着した。
 22時過ぎから湖畔に移動しカメラをセット。自宅にいた日中は気温が15℃近くまで上がり、春を感じた陽気であったが、山中湖畔の夜の気温はマイナス5℃。山中湖の湖面には氷が張っている。無風であるため、体感的には寒くないが、指先がすぐに冷たくなる。今回もレンズヒーターを巻いて撮影を開始した。
 冬の天の川は、星が少ない銀河系の端の方向を見ることになるので、夏の天の川と比べて淡いため、信州の山岳地帯に行かないと肉眼ではほとんど確認できない。撮影場所の山中湖は、対岸にあるホテルの灯りや甲府の街明かりなどの影響で、写真にも写りにくいのが失敗であった。とりあえず真北から真南まで5枚を撮影し、パノラマ合成してみたのが1枚目の写真冬の天の川アーチである。

 次は、夏の天の川アーチである。昨年は、2月20日に撮影し「富士山と天の川アーチ」として掲載しているが、撮影場所が国道沿いであったため大型車のライトが入ること、更には天の川アーチと富士山のバランスが悪かった。そこで、今回は富士を真東方向に臨め、また光害がない場所を念入りに探した。
 山中湖を27日23時半に出発し、富士の反対側へ向かう。一先ず道の駅で小休止。28日午前3時に目的の場所へ移動した。昨年の場所と比較すると富士山の眺めは良いとは言えず、真南方向は沼津の街明かりが邪魔ではあるが、富士と天の川の構図は良いように思う。ここでも、真南から真北までカメラを回転させながら5枚撮影し、パノラマ合成してみた。その結果が2枚目の夏の天の川アーチである。参考に、昨年撮影したものが3枚目である。
 この日は、午前4時過ぎに金星が富士の麓から顔をのぞかせた。5時過ぎには三日月が昇ってくる。本栖湖方面に移動すれば、富士山頂に金星と三日月が昇る光景をそれぞれ撮ることもできたが、午前7時までには自宅に戻らなければならず、撮影は叶わなかった。

 毎回、所持するカメラとレンズの限界を感じながら、課題が山積する中での星景撮影であるが、今回は、星座や星の色にも気を配り、画質も昨年に比べれば向上したように思う。当然、満足できる結果ではないので、天候とのタイミングを見ながら、星々が素晴らしい信州の山岳地帯で撮り直しをしたいと思う。

 最後になったが、地球はこの銀河の中のとても小さな存在であるが、ロシアがウクライナに軍事行為で侵攻し平和を乱すことが行われている。つながった同じ空を見上げて祈りたいと思う。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。

冬の天の川アーチの写真
富士山と冬の天の川アーチ
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル露出 F3.2 20秒 ISO 2000 5枚をパノラマ合成(撮影地:山梨県山中湖村 2022.2.27 23:07)
夏の天の川アーチの写真
富士山と夏の天の川アーチ
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル露出 F3.2 25秒 ISO 2000 5枚をパノラマ合成(撮影地:静岡県富士宮市 2022.2.28 4:12)
夏の天の川アーチの写真
富士山と夏の天の川アーチ
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F3.2 20秒 ISO 3200 5枚をパノラマ合成 (撮影地:静岡県富士宮市 2021.2.20 5:09)
冬の大三角と富士の写真
富士山と冬の大三角
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル露出 F3.2 25秒 ISO 2000(撮影地:山梨県山中湖村 2022.2.27 22:55)
夏の天の川と富士の写真
富士山と夏の天の川、そして金星
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル露出 F3.2 25秒 ISO 2000(撮影地:静岡県富士宮市 2022.2.28 4:18)
夏の天の川と富士の写真
富士山と夏の天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F3.2 10秒 ISO 3200(撮影地:静岡県富士宮市 2021.2.20 5:12)

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しぶんぎざ流星群と冬の大三角

2022-01-05 21:12:26 | 風景写真/星

 しぶんぎざ流星群と冬の大三角を本年最初の撮影とした。

 しぶんぎざ流星群は、8月のペルセウス座流星群、12月のふたご座流星群とともに三大流星群と呼ばれている。新年早々の是非とも写真に収めておきたい天体ショーで、毎年の恒例イベントにしており、2019年1月4日に一度撮ってはいるものの1カットに流星が1つしか写っておらず大失敗。他は条件が合わずに三大流星群ともに上手く撮影することができていない。
 本年最初のしぶんぎざ流星群は、1月3日が新月で月明かりの影響を全く受けず、極大は1月4日5時から6時頃であり、この時間帯は放射点の高度が高いため、近年まれに見る絶好の条件とあり大チャンス。これは、何としても撮っておきたい。
 まずは、撮影場所である。単に夜空に流れる星だけを撮っても絵にはならない。天体写真を撮る機材もないため、星景写真として地上の風景も一緒に写したいとなれば、富士山しかない。末広がりの富士は、正月の縁起担ぎでもある。流星群は空のどの方向にも流れるので、富士山と絡めるにはどの場所でも良いが、今回は、流星群が多くなる深夜から明け方までの時間帯に三ツ星のオリオン座や「冬の大三角や冬のダイヤモンド」など、星々が一番美しい西の空にカメラを向けようと思い、山梨県にある山中湖畔の平野の浜を選んだ。
 ちなみに冬の大三角とは、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン、オリオン座のベテルギウスを結んでできる3角形で、冬のダイヤモンドは、6つの1等星、おおいぬ座のシリウス、オリオン座のリゲル、おうし座のアルデバラン、ぎょしゃ座のカペラ、ふたご座のポルックス、こいぬ座のプロキオンを結んでできる6角形である。

 3日は、朝から天気予報の入念なチェックである。晴れであることは確実だが、問題は「雲」である。星空は、快晴の空で撮りたいのである。GPVでは、日本海側から中部山岳地帯、南アルプス辺りには雪雲が広がっている。他のコンピューター予想では、富士山周辺は夜から雲に覆われる予報もある。山中湖のライブカメラを見ると、麓には雲の筋。さて、どうするか。取り止めるか。場所を変えるか・・・悩んでいても、最終的には行って見なければ分からない。意を決して、13半時に山中湖目指して自宅を出発した。
 実は4日が仕事始めであり、都心の会社に7時までに出勤しなければならない。3日は夕方までに現地入り、翌午前1時まで車中泊し、1時半から4時まで撮影。その後、そのまま車を走らせ会社に出勤するという計画である。
 渋滞のない中央道をゆっくりと走行し、談合坂SAで食事を済ませ、現地近くの大きな駐車場に16時に到着。平野の浜では、これまでに朝と夕方に富士山を何度も撮影しているが、一応ロケハン。場所を決め構図を細かくチェックした。美しい夕暮れの富士を車内から拝みながら、目覚ましを午前1時にセットし、バッハのフランス組曲を聴きながら18時に就寝。

 4日午前1時。外の気温はマイナス4℃。ほぼ快晴で富士山にも雲がない。早速、防寒コートを着て湖畔に向かうとカメラマンは6人ほど。思ったより少ない。ロケハン時に決めた場所に三脚を立てた。
 今回の撮影では、初めてレンズヒーターを使うことにした。過去に2回、戦場ヶ原と開田高原で星を撮影中にレンズが曇って失敗したことがあるので、この日に合わせてモバイルバッテリーと一緒にネットで購入。Canon EF17-35mmではピントリングに巻くことになるので少々厄介だが、取り敢えずセットし電源を入れた。この日は風が少し吹いていたため若干湖面が波立ち、それゆえリフレクションは望めない。対岸の灯りも気になるので、流星が画面に収まることを祈りつつ空を広く入れた構図にして、レリーズオン。後は、撤収する時間まで待機である。
 しぶんぎざ流星群が、最も多く見られるのは、空が白み始める直前であり、極大時刻でもある4日5時台と予想されている。この時に実際に見える流星の数は、空の暗い場所で1時間あたり50個以上となる可能性があるが、年によって流星数が変化することも知られているので、1時間あたり30個程度の時もあるらしい。今回はどうであろうか?肉眼では、明るい流星が何個が見えたが、ほとんどはカメラを向けていない方向であった。ただし、1つだけは富士に斜め横から刺さるように流れたものを確認したので一安心。レンズヒーターは効果があり、レンズとフィルターは全く曇ることはなかった。
 さて、肝心の結果は2時間半で350枚撮影し、流星が写っていたのは、たったの4枚。仕事に向かうため4時に切り上げなければならなかったのが残念である。5時半くらいまで粘れば、もう少し良い感じの絵になったかも知れないが、仕方がない。以下には、まず今回撮影した写真、しぶんぎざ流星群、そして富士山上空に輝く冬の大三角と冬のダイヤモンド、冬の天の川を掲載した。1枚目は、2枚目の写真を基にして流星が写った他の3カットを比較明合成処理をしたところ、少ない数でも降り注ぐように流れる流星群らしい絵になった。次の2点は、蔵出し写真である。しぶんぎざ流星群ではないが、奇麗な流星が端に写っていたので掲載することにした。最後は、今回撮影した350枚をタイムラプス動画にしたものを編集して掲載した。

 仕事に行くために時間限定であったことが少々悔やまれるが、快晴の夜空に輝く星々、そして流れる星の美しさには言葉もない。2022年最初のしぶんぎざ流星群。この流星が地球と人類に幸福をもたらしてくれることを祈りたいと思う。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。また動画においては、Youtubeで表示いただき、HD設定でフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます。

富士山としぶんぎざ流星群の写真

富士山としぶんぎざ流星群
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル露出 F2.8 25秒 ISO 1600 / 4カットを比較明合成(撮影地:山梨県山中湖村 2022.1.04)

富士山としぶんぎざ流星群の写真

富士山としぶんぎざ流星群
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル露出 F2.8 25秒 ISO 1600 / トリミング(撮影地:山梨県山中湖村 2022.1.04 3:09)

富士山と冬の大三角、冬のダイヤモンドの写真

富士山と冬の大三角、冬のダイヤモンド
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル露出 F2.8 25秒 ISO 1600(撮影地:山梨県山中湖村 2022.1.04 3:04)

富士山と冬の大三角、冬のダイヤモンドの写真

富士山と冬の大三角、冬のダイヤモンド、冬の天の川

富士山と流星の写真

富士山と流星
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F2.8 30秒 ISO 1000(撮影地:静岡県裾野市 2014.11.23 0:30)

富士山と日周運動の写真

富士山と日周運動
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F2.8 30秒 ISO 1000 / 50カットを比較明合成(撮影地:静岡県裾野市 2014.11.23 0:30)

富士山としぶんぎざ流星群(タイムラプス)

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コールドムーン

2021-12-20 17:05:09 | 風景写真/星

 コールドムーンとは、12月の満月のことで、昔、アメリカの先住民(モホーク族)たちが農作業や狩りの目安にするため、満月ごとに呼び名を付けたといわれており、12月は厳しい寒さの時期に見える満月であることから、そう呼ばれるようになったと言われている。日本では「寒月」との呼び名が付けられている。12月19日は、今年最後の満月「コールドムーン」。2021年で地球ともっとも離れた距離にある満月で、冬の澄んだ夜空に美しく浮かぶ。

 さて、毎週末の予定は「霧氷」をターゲットにしているが、なかなか気象状況と私の休日とのタイミングが合わない。天気は良いが、冬の美しい星座を撮ろうにも月明りが邪魔になる・・・。
 調べれば、19日の日曜日はコールドムーンという満月。本年の5月26日は、24年ぶりのスーパームーンの皆既月食で、月が地球の影に完全に隠れて赤黒く変色した満月が見られた。また11月19日は、140年ぶりで600年に一度という"たいへん深い部分月食"であった。これら貴重な天体ショーを肉眼では見たが、カメラを向けなかったことに少々後悔の念に駆られていたこともあり、天体ショーではないが、2021年最後の満月を収めようと思い、出かけることにした。
 問題は、どこで撮るかである。月の出時刻は16時29分。日の入りは16時37分。今年の2月27日に撮影した「パール富士(スノームーン)」(月の出17:18/日の入り17:40)と条件が似ている。それならば「パール富士(コールドムーン)」しかない。午後から富士山麓に向かうことにした。
 撮影場所は、月の出の方向で計算し、過去にロケハンで一度訪れたことのある所で現地には15時到着。富士を仰げば、GPV気象予報通りに山頂付近に雲がかかっている。風は弱く、山頂付近で新たに雲が発生したりの連続で、富士の全貌が見えない。
 16時半過ぎの日の入りと共に準備を開始した。気温は徐々に下がりマイナス2度。雲が無くなることを祈りつつ、薄っすらと紅に染まる富士を眺めながら、月の出を待った。雲の明るさと色付きで、月が富士の裏側にあることが分かるが、なかなか姿を現さない。ただし、目を離さないよう寒さを堪えながら待つ。
 17時55分。富士から今年最後の満月が顔を出す。残念ながら月の出は山頂よりも少し左側の稜線であった。あと1Kmほど南から撮れば山頂かたのお出ましだったかもしれないが、結局、雲も取れなかったので、山頂から出ても2月に撮った「パール富士(スノームーン)」のように重ねることは出来なかっただろう。

 コールドムーンは、西洋占星術では「家族・安定・成長」などのスピリチュアル的な意味があるとされている。「家族仲良く暮らしたい」「もっと成長したい」などの願いがある人は、コールドムーンの写真を撮って、お守りにすると良いと言う。また、満月の時は、この時までに得られたことに感謝し、叶わなかったことを見直して修正する時だとも言う。
 今年も残すところ2週間たらず。このコールドムーンを見ながら、2021年を振り返り、色々と感謝と反省をしたいと思う。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。

コールドムーンの写真

コールドムーン
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/100秒 ISO 800 -2EV(撮影地:静岡県 2021.12.19 18:17)

富士山の写真

富士山
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F5.6 2.5秒 ISO 640(撮影地:静岡県 2021.12.19 17:13)

富士山の写真

富士山
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F3.2 8秒 ISO 640(撮影地:静岡県 2021.12.19 17:26)

富士山とコールドムーンの写真

富士山とコールドムーン
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F5.6 1/320秒 ISO 640 -2EV(撮影地:静岡県 2021.12.19 18:11)

富士山とコールドムーンの写真

富士山とコールドムーン
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F5.6 3.2秒 ISO 640 +1 1/3EV(撮影地:静岡県 2021.12.19 18:05)

コールドムーンの写真

コールドムーン
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F5.6 1/15秒 ISO 640 -2EV(撮影地:静岡県 2021.12.19 18:11)

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星峠から初冬の星空とレナード彗星

2021-12-08 18:55:05 | 風景写真/星

 星峠から初冬の星空とレナード彗星を撮ることも、今回の新潟遠征の目的であった。
  レナード彗星(C/2021 A1)は、今年1月に米国の天文台が発見した彗星で、徐々に明るさを増しながら12月12日には地球に最接近し、その後、地球の近くには戻って来ないと言われている。昨年は、7月にネオワイズ彗星が地球に最接近し1~2等級の明るさで観測され、23年ぶりに肉眼で見える彗星と話題であったにも関わらず、関東地方では長梅雨の影響でまったく見ることができず悔しい思いをした。今回のレナード彗星は何とかしてカメラで捉えたい。
  新潟地方の天気予報では、5日午後から6日の朝にかけては晴れマーク。GPV気象予報では雲一つない快晴である。そして、星峠は彗星が見える東方向に開けており、条件としては申し分ない。「初冬の星峠と儀明の棚田」(前記事参照)の撮影とともに大きなチャンスである。

 5日の夕方に儀明の棚田を撮り終えた後、星峠に移動。16時過ぎから星峠の展望スペース近くの駐車場所に止めて待機。奇麗な夕焼けを期待していたが、それは叶わず、静かに日が暮れて行った。しばらくすると、棚田に霧がかかり始めた。1時間後には、星峠の棚田はすっかり霧で覆われ、展望スペースからは、まるで雲海の様に見える。実はこの星峠からの星空は、昨年の11月に撮影し「星峠の棚田と星空」という記事に掲載している。その時は、棚田の水鏡にも星々を映すことが目的で、一応それらしい写真を撮ることができたが、今回のような霧で覆われた様子は、棚田こそ分からないものの、夜の星峠では初の光景である。
  これは撮っておかなければと固まった雪で滑りそうになりながら暗い道を歩き、ある場所でポジションを決めようとしたとき、右足がずぶずぶと水たまりへ。足首まで浸かってしまった。気温は2℃。氷水で靴下もびしょびしょ状態。とりあえず我慢して撮影を開始した。写真にはスバル、アルデバラン、カペラ等が写っている。あと2時間も経てば冬のダイヤモンドと冬の大三角も撮れるのだが、冷たくなった手の指先と足を乾かすために、数枚だけ撮影して車に戻ることにした。その後、20時過ぎには風が強くなり、霧は瞬く間になくなってしまったので、星座の共演は次回にし、そのまま車内で寝ることにした。

 6日3時50分に目覚まし時計がなる。レナード彗星が地平線から30度くらいの高さまで昇ってきた頃である。気温はマイナス2℃。三脚にカメラをセットする。カメラとレンズは違うものを準備した。APS-CサイズのCanon 7Dとタムロンの70-200mmF2.8である。焦点距離が1.6倍になり高感度にも強いからである。ただし、肝心のレナード彗星が見つからない。まだ6等級ほどの明るさであるから肉眼ではほとんど見えない。分かっているのは、東の空にオレンジ色に輝く「うしかい座」のアークトゥルスという星の近くにあるというだけ。適当にレンズを向けて撮影。撮影後にモニターで確認しても彗星は分からない。運が良いことを願って50カットほど撮影した。
  天体写真用のカメラとレンズではないため、見苦しい結果ではあるが、尾を引きながら緑色に輝く様子だけは、何とか写すことができた。12日には地球に最接近し、4等級ほどの明るさになると予想されているので、天候次第であるが、今回の反省を踏まえてもう一度挑戦したい。

以下の掲載写真は、1920×1280ピクセルで投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

星峠から初冬の星空の写真
星峠から初冬の星空
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル露出 F2.8 30秒 ISO 1600(撮影地:新潟県 2021.12.05 18:10)
星峠から初冬の星空の写真
星峠から初冬の星空
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル露出 F2.8 30秒 ISO 1600(撮影地:新潟県 2021.12.05 18:20)
レナード彗星の写真
レナード彗星(トリミング)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 135mm(フルサイズ換算216mm) / マニュアル露出 F2.8 4秒 ISO 6400(撮影地:新潟県 2021.12.06 4:08)
レナード彗星の写真
レナード彗星
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 135mm(フルサイズ換算216mm) / マニュアル露出 F2.8 3.2秒 ISO 6400(撮影地:新潟県 2021.12.06 4:20)

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アタテュルク騎馬像と星空

2021-10-31 17:50:20 | 風景写真/星

 アタテュルク騎馬像と星空を撮りたくて、和歌山県串本町まで行ってきた。本州最南端である潮岬の右隣に位置する紀伊大島の東端にある樫野崎灯台の側。自宅からは、片道600km。所要時間8時間の遠征で、今年の遠征の中では、富山、大阪を抜いて一番遠く、時間も掛かった。
 和歌山遠征の一番の目的は、サツマシジミ開翅写真であり、騎馬像と星空は2つ目の目的である。3つ目に目的とした「天神崎」は、潮位が150cmになると広大な潮だまりができ、風が無ければ鏡のようになる。海との境がないため、ボリビアにあるウユニ塩湖に似た光景が見られる。潮位のタイミングと私の休日が重なるのは年に1~2回しかないが、昨年に引き続き当日は風速4mで諦めるしかなかった。ただし、2つの目的は達成できたので、順を追って紹介したいと思う。

 騎馬像の正式名称は、ムスタファ・ケマル・アタテュルク騎馬像。アタテュルクとは、トルコ共和国の初代大統領でトルコ国民の偉大な英雄であるという。
 何故、その騎馬像が串本町にあるかと言うと、1890年(明治23年)9月16日夜、 オスマン帝国最初の親善訪日使節団を乗せた軍艦 「エルトゥールル号」が串本町樫野埼沖で 台風による強風と高波により座礁し沈没。 587名の命が奪われる大惨事であったが、事故の知らせを聞いた大島島民の懸命の救助活動により69名を救出することができたという。この騎馬像は、日本トルコの友好の礎を築いたエルトゥールル号の事故後120年となる2010年に、更なる両国友好の発展を祈って駐日トルコ共和国大使館より串本町に寄贈されたものとの事である。

 手綱をひき、南の海に向かって右手を指す凛々しい姿に果てしない宇宙を重ねることで、浪漫溢れる絵になるだろうと思い、私の風景写真では初めて人工物を入れ、更には主役とした。
 当日夜は誰もおらず、灯台からの薄明りの下、様々な角度から右手が見える構図で撮影。まず、アタテュルク騎馬像が指す右手の先に、南の一つ星「フォーマルハウト」を配置してみた。南の一つ星は、今井美樹の「PRIDE」の歌詞にも出てくる。「私は今 南の一つ星を・・・」写真では、惑星である木星と土星の方が目立つが、南のうお座のフォーマルハウトは、秋の夜空に輝くたったひとつの一等星である。他には、南西方向と北東方向に見える天の川とのコラボも撮影した。
 星景写真は、まだ撮り始めて数年で課題が山積ではあり、今回は、すぐ近くに灯台があるため、その明かりが入らないようにするのが難しかった。撮影時刻の関係で主要な星座を入れた構図ではないが、アタテュルク騎馬像という人工物を入れた星景写真ならではの絵としては、私的には手応えがあった。

 新型コロナウイルスの新規感染者数も激減し、飲食店等の時短要請も25日から全面解除された。アタテュルクが指し示す先には、きっと明るい未来があるはずである。皆で手を取り合って突き進もうではないか!

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アタテュルク騎馬像とフォーマルハウトの写真
アタテュルク騎馬像とフォーマルハウト(南の一つ星)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル撮影 F3.2 20秒 ISO 2500(撮影地:和歌山県 2021.10.29 19:02)
アタテュルク騎馬像と天の川の写真
アタテュルク騎馬像と天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル撮影 F3.2 20秒 ISO 2500(撮影地:和歌山県 2021.10.29 19:09)
アタテュルク騎馬像と星空の写真
アタテュルク騎馬像と星空
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル撮影 F3.2 20秒 ISO 25100(撮影地:和歌山県 2021.10.29 19:22)
アタテュルク騎馬像と星空の写真
アタテュルク騎馬像と星空
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル撮影 F3.2 20秒 ISO 2500(撮影地:和歌山県 2021.10.29 19:27)
アタテュルク騎馬像と天の川の写真
アタテュルク騎馬像と天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル撮影 F3.2 20秒 ISO 2500(撮影地:和歌山県 2021.10.29 19:09)

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黄道光クロス

2021-10-05 17:59:11 | 風景写真/星

 黄道光クロスを乗鞍高原で撮影。

 宮沢賢治の戯曲「銀河鉄道の夜」に「天の川はよくは知らないが 何でもXという字の形になって しらじらとそらにかかっている・・」という一文がある。一体どんな光景なんだろうか?
  この「Xという字の形」は、黄道光と冬の天の川がクロスした様子だと言われている。黄道光(こうどうこう)とは、太陽の通り道である「黄道」に沿って東西に広がる淡い光のこと。黄道付近には彗星からの放出や小惑星同士の衝突で生成された小さな塵がただよっており、それらに太陽光が散乱されて、春は日没後の西の空に、秋は日の出前の東の空に淡い光となって見えるのである。そして秋は、黄道光と冬の天の川がクロスすると言う。
  黄道光クロス(または「天の川クロス」とも言う)を撮ろうと思い、夏の天の川撮影のラストチャンスで訪れた乗鞍高原にてチャレンジした。

 10月2日は、20時で夏の天の川の撮影を切り上げ、その後車中泊。翌日は午前3時過ぎに起床。気温は7度。駐車場に止めた車の側にカメラをセットし、まずは西方向。夏の天の川は沈み、代わって冬の天の川が乗鞍岳から淡く昇っていた。東に向ければ「オリオン座」の赤い1等星ベテルギウス、その下で一番明るい「おおいぬ座」のシリウス、そしてベテルギウスの左下にある「こいぬ座」の1等星プロキオンが作る「冬の大三角」が輝いていた。
  さて、目的の黄道光クロスは見えるのだろうか?日の出は5時44分。東の空には三日月が昇ってきており、その周囲は明るいが、とりあえずシグマのフィッシュアイレンズを向けて撮影してみた。肉眼ではよく分からなかったが、撮影した画像をモニターで見ると、冬の天の川へ淡い光の帯が向かっている様子を確認できた。三日月でもかなり明るいからだろう。天の川とクロスしているまでは捉えることができなかった。
  黄道光は、過去に撮影した写真を見直してみると、2012年11月に長野県の美ヶ原高原で薄明の頃に撮った1枚にわずかばかり写っていたので一緒に掲載しておきたい。

 宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」では、孤独の中で「本当の幸せとは何か」ということを問うている。こうして秋の夜空を一人で眺めていると、若かりし頃の苦い思い出も蘇ってくるが、満天の星による壮大で素晴らしい光景は、私たちは決して孤独ではないこと、そして夢のある未来を予感させる。
  コロナとの闘いが一年半続いている昨今、新たに発足した内閣には、雨にも負けず、すべての人々が幸福になる明るい未来へ光の道筋を示し、実現に向けて努力て欲しいと思う。

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夏の天の川の写真
夏の天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE / マニュアル撮影 F3.2 25秒 ISO 1600(撮影地:長野県 2021.10.02 20:07)
冬の天の川の写真
冬の天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE / マニュアル撮影 F3.2 25秒 ISO 3200(撮影地:長野県 2021.10.03 3:23)
冬の大三角の写真
冬の大三角
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル撮影 F3.2 25秒 ISO 3200(撮影地:長野県 2021.10.03 3:38)
黄道光クロスの写真
黄道光クロス(乗鞍高原)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE / マニュアル撮影 F3.2 25秒 ISO 3200(撮影地:長野県 2021.10.03 3:24)
黄道光の写真
黄道光(美ヶ原高原)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F2.8 9秒 ISO 1600(撮影地:長野県 2012.11.25 5:19)

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乗鞍高原にて夏の天の川

2021-10-03 18:15:48 | 風景写真/星

 乗鞍高原にて夏の天の川を撮ってきた。乗鞍高原では何度か星空を撮影しており、夏の天の川も撮ってはいるものの、天の川のいて座からたて座の辺りの濃い部分、いわゆるグレートスタークラウドとスモールスタークラウドと呼ばれるところが沈んでしまってからであった。季節は10月になり、この週末が夏の天の川を撮るラストチャンスであるため、星がとても美しく見える乗鞍高原で締めたいと計画した。

 緊急事態宣言が9月30日の期限をもって解除され、10月1日からは日本全国で緊急事態宣言もまん延防止等重点措置もない日々が始まった最初の週末。しかも1日は、大型で非常に強い台風16号が千葉県や茨城県の一部を暴風域に巻き込みながら進み、翌日の土曜日は将に台風一過の秋晴れ。高速道路の下りは、どこも朝から渋滞とのニュース。今回の目的は、あくまでも「夏の天の川」。午前11時半の最新の天気予報、GPV気象予報を確認してから自宅を出発した。
 中央道は、小仏トンネル手前から上野原ICまでの期間で断続的な渋滞があったが、談合坂SA辺りから先はガラガラ状態であった。上信越道の「みどり湖PA」で休憩をとり、乗鞍高原の「どじょう池」近くの駐車場に16時半に到着した。
 紅葉は、まだ半分という感じだが、傾きかけた西日の逆光で輝く赤やオレンジの葉、風に揺れるススキの穂がとても美しい。もし、あと1時間早く到着していればあちこち撮影をしただろう。ちなみに真っ赤に色づく大カエデは9割が緑色の葉で、おそらく2週間後くらいが見頃であろう。「美しいものを一番美しい時に美しく写す」ことがモットーであるから、紅葉の撮影は2週間後に計画したいと思う。
 さた、日の入り時刻は5時半。それまでの間に撮影場所を決めるためにロケハンを行う。高原は見晴らしが良く満天の星なのだが、星や天の川だけを撮ってもつまらない。「まいめの池」でも撮ったことがあるため、今回は、開田高原のように木々を入れる構図にした。
 18時からセッティング開始。おそらくこの方向に夏の天の川が真直ぐに立つだろうとの予測でカメラをセットした。金星が沈みかけた薄暮の頃に一枚撮ってみると、運よく流れ星が写っていた。しかしその後、乗鞍岳方面から黒い雲が高原に次々に流れ込んできた。多くは上空で消えてしまうが、どうしてもカメラを向けた南方向だけは雲が居座り、いつまでたっても消えない。その雲で天の川が見えないのである。
 気温12度。冬用のジャンバーを着ながら待つこと1時間40分。ようやく雲が無くなり、夏の天の川を捉えることができた。残念ながら、グレートスタークラウドは沈みかけてハッキリと写すことができず、乗鞍高原にて夏の天の川を撮るという目的は半分の達成で終わった。

 今回の遠征は乗鞍高原にて夏の天の川を撮る以外に、もう1つの目的があった。それは、「黄道光」の撮影である。20時に天の川の撮影を切り上げ、駐車場で車中泊し、午前3時半より「黄道光」の撮影を開始した。これについては、次の記事で紹介したいと思う。

最新記事参照:乗鞍高原まいめの池より天の川

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乗鞍高原の星空写真

乗鞍高原の星空
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル撮影 F3.2 20秒 ISO 1600(撮影地:長野県 2021.10.02 18:30)

乗鞍高原にて天の川の写真

夏の天の川(乗鞍高原)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル撮影 F3.2 25秒 ISO 3200(撮影地:長野県 2021.10.02 19:47)

乗鞍高原にて天の川の写真

夏の天の川(乗鞍高原)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル撮影 F3.2 25秒 ISO 3200(撮影地:長野県 2021.10.02 19:49)

乗鞍高原にて天の川の写真

夏の天の川(乗鞍高原)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル撮影 F3.2 25秒 ISO 3200(撮影地:長野県 2021.10.02 19:53)

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冨嶽十景 星景編

2021-09-27 22:03:43 | 風景写真/星

 富嶽とは富士山の異称で、葛飾北斎が富士を描いた浮世絵(富士図版画集)「冨嶽三十六景」「富嶽百景」は有名である。現在では、「絵」はもとより「写真」で富士山を表現する方々がプロ・アマ問わずとても多い。素人の私も、駄作ばかりではあるが、富士山の写真を何枚かは撮っており、本ブログにて「富士10景」や「富嶽十景」という記事でまとめてある。今回は「冨嶽十景 星景編」と題して、富士山と星空を撮ったものばかりを集めてみた。ちなみに星景(星景写真)とは、星空と風景を一緒に撮った写真のことである。星空だけを写した写真は、星野(せいや)写真、星を写した写真は天体写真と呼び区別している。

 私は「美しいものを 一番美しい瞬間に 美しく残す」ことを目指して、ホタルをはじめチョウやトンボ等の昆虫、そして自然風景の写真を撮っている。例えば「美しいチョウが、翅の擦れていない羽化したばかりの時期に翅を全開にしている」そういった場面を撮って残そうと思った時、美しく残す作業よりも、美しい種に出会うことに苦労し、一番美しい瞬間に出会う事は更に難しい。
 自然風景写真では、「美しいもの」や「一番美しい瞬間」は個人の感性によって異なり、撮った側が作品として提案することもできるが、有名な撮影地における定番と言われる光景を撮るには、季節や天候・時間などのタイミング以上に運を味方に付けなければ叶わないことが多い。「富士山」も有名な撮影地の1つに挙げられる。週末カメラマンが真っ赤な朝焼けや傘雲等とのコラボを撮るには、やはり運が良さが必要だ。以前のブログ記事で書いたが、運と偶然は異質なものだ。宝くじに当選するのは「運」ではなく「偶然」であり、意志の力ではどうにもならない。一方、運は意志の力で引き寄せることが出来る。昔から「運も実力のうち」とよく言う。運の無さや悪さは結果論であり、失敗には何らかの理由がある。学ぶべきことは学び、事前の準備を怠らず、努力と継続が必要である。
 富士山と星空は、どちらも美しい。時期と天候、時間というタイミングを見計らって現地に行けば、運の力で「一番美しい瞬間」を捉えることはそれ程難しくはない。(流星を一緒に写すことは、偶然の奇跡である)しかしながら、撮影結果を「美しく残す(表現する)」ことは簡単ではなく、私の今の大きな課題となっている。

 星景写真は、星の色再現とノイズとの闘いである。低感度で長時間露光が望ましいが、時間と共に動く星を止めて写すには、赤道儀を使わない星景写真では20秒~30秒の露光時間でなければならない。レンズの開放値によっては、ISO感度を上げる必要があるが、感度を上げればノイズが出てしまう。高感度に強い4Kや8Kの高価な最新のカメラにF1.8の明るい単焦点の超広角レンズを付けて撮影したり、カメラをHKIR改造すれば、より良い表現ができるが、今のところ、所持するカメラとレンズで試行錯誤している。
 本記事では、これまでに撮影した中から「富士と星空」をすべて再現像し直して10点を選び、冨嶽十景 星景編として掲載してみた。Dxo pureRAW というソフトでRAWデータを最適化した後、LightroomでRAW現像し、最後は解像度を2倍にする処理を施してjpegで出力した。星景写真を専門に撮られている方々の足元にも及ばない駄作ばかりであるが、今後も「美しいものを 一番美しい瞬間に 美しく残す」ことを目指して挑戦していきたい。

HKIR改造とは
色調整フィルターを取り除くと撮像センサーに入射する光がカットされなくなるため有効感度が上昇し、特に赤く輝く散光星雲などから放たれるスペクトル領域(Hα)付近の感度が大幅にレベルアップするため、比較的短時間の露出でも色彩豊かな美しい写真が撮れるようになる。改造費用は、機種で違うが、およそ33,000円。https://www.hayatacamera.co.jp/astrophotography/

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

富士山と星空の写真
富士山と天の川(本栖湖)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / 絞り優先AE F2.8 30秒 ISO 1250(撮影地:山梨県身延町 2018.3.17 3:19)
富士山と星空の写真
逆さ富士と星の水鏡(山中湖)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F3.5 15秒 ISO 3200(撮影地:山梨県山中湖村 2021.2.07 0:16)
富士山と星空の写真
富士山と星空(山中湖パノラマ台)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / 絞り優先AE F3.5 19秒 ISO 3200(撮影地:山梨県山中湖村 2021.2.06 23:19)
富士山と星空の写真
富士山と星空(精進湖)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F3.5 3.2秒 ISO 2500(撮影地:山梨県富士河口湖町 2021.2.06 19:19)
富士山と星空の写真
富士山と星空(西湖)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F2.8 30秒 ISO 1600(撮影地:山梨県富士河口湖町 2020.1.04 1:01)
富士山と星空の写真
富士山と星空(水ヶ塚)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F2.8 30秒 ISO 1000(撮影地:静岡県裾野市 2018.1.13 22:30)
富士山と星空の写真
富士山と天の川(梨ヶ原)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F2.8 30秒 ISO 1600(撮影地:山梨県山中湖村 2019.8.11 2:24)
富士山と星空の写真
富士山と天の川(梨ヶ原)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル撮影 F2.8 25秒 ISO 1600(撮影地:山梨県山中湖村 2021.7.18 0:10)
富士山と星空の写真
富士山と天の川(富士ヶ嶺)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F2.8 30秒 ISO 1250(撮影地:山梨県富士河口湖町 2020.2.24 4:38)
富士山と天の川アーチの写真
富士山と天の川アーチ(朝霧高原)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F3.2 20秒 ISO 3200 +1EV(撮影地:静岡県富士宮市 2021.2.20 4:53)

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夏の大三角

2021-09-11 17:07:21 | 風景写真/星

 9月二度目の週末。本来ならば新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言は12日で解除の予定であったが、何と東京をはじめ19都道府県で今月30日まで延長され、高速道路の休日割引も同日までない。天候も不安定なため、仕方なく土曜日は自宅で自粛である。星空に関しては、この週末を逃すと今後は月明かりが邪魔をしてしてしまうため、残念ながら10月まで撮ることが出来ない。
  そこで本日も、先週末に引き続きソフト「DxO PureRAW」を試用して、過去に撮影した星景の再現像を行い、この記事では「夏の大三角」をテーマに取り上げてみた。他の再現像した写真は、掲載済み記事において差し替えを行っている。(参考:星峠より天の川

 夏の大三角 The Summer Triangle とは、夏の夜空を彩る3つの1等星である「はくちょう座α星のデネブ」、「わし座α星のアルタイル」、「こと座α星のベガ」これらの星を結んでできる大きな三角形のことである。3つの星の中で1番明るいのはベガで、ベガ→アルタイル→デネブの順番で輝きが弱まっていく。
 これらの星のうちベガとアルタイルは、七夕の伝説における「織姫(おりひめ)」と「彦星(ひこぼし)」である。伝説とは、織姫と彦星という夫婦が遊んでばかりいたので神様が怒って2人を天の川で分けてしまったというものだ。年に一度、7月7日の七夕の夜に会うことを許されたが、雨で再会が叶わないと織姫と彦星は涙を流す。この雨は「催涙雨(さいるいう)」と言われている。織姫と彦星の間は距離は、15年光年。かなりの遠距離だが夫婦の絆は強くありたい。
  夏の大三角は20世紀に定着した呼び名であるため、この三角形にまつわる古い神話は存在しないようだが、こと座、わし座、はくちょう座は、それぞれギリシャ神話にも登場する。織姫と彦星にとどまらず星座には様々な物語が関連している。今後は、満天の星の美しさだけではなく、隠された物語とともにロマンを感じるような星景写真を撮れるようになりたいと思う。

以下の掲載写真は、683×1024ピクセル、およびで1920×1280ピクセルで投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。尚、モノクロ写真は「夏の大三角」が分かりやすいように線を引いて加工したもで、拡大表示はされません。

夏の天の川と夏の大三角の写真
夏の天の川と夏の大三角
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F2.8 38秒 ISO 2000(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2018.07.21 1:38)
夏の天の川と夏の大三角の写真
夏の天の川と夏の大三角
夏の天の川と夏の大三角の写真
夏の天の川と夏の大三角
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / 絞り優先AE F2.8 25秒 ISO 2500(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2020.08.29 2:02)
夏の天の川と夏の大三角の写真
夏の天の川と夏の大三角

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ティンガーラ

2021-09-05 21:17:04 | 風景写真/星

 9月最初の週末も雨。September rain 九月の雨は冷たくて・・・無念の8月を引きずったまま9月の雨は心に沁みる。
 自然風景ならば雨の日にしか撮れない光景もあるが、予定していたのはトンボとチョウ。こんな天気では撮れるものも撮れない。仕方なく土日ともに自宅で自粛である。ただし、昭和のサラリーマンのようにゴロゴロと過ごしたのではない。時々はパラリンピックの主要種目のテレビ中継を見たが、多くの時間は過去撮影のRAW現像に費やした。
 この二日間は、今年4月にフランスの企業が販売したソフト「DxO PureRAW」を試用して、私的に難のあった星景写真数点を再現像してみた。(DxO PureRAW は、前記事の「夏の天の川(開田高原)」でも使用している。)昆虫写真では、撮影前の準備3割、撮影は6割、現像は1割であり、自然風景写真でも同じであるが、星景写真においては、それを作品にするには撮影前の準備3割、撮影は1割、現像が6割である。その再現像した星景写真を以下に 掲載したいと思う。
 DxO PureRAW とは、RAWファイルを高品質化してくれるソフトで、Lightroomでの現像の前段において、AIを使ってRAWファイルの様々なレンズ収差を補正し、ノイズを除去し、シャープにしてくれるものである。特に星景写真においては、これまでノイズ除去が大きな課題であった。勿論、元になるRAWデータが適正露出でなければならないが、このソフトを使用することによる効果は大きい。

 まずは、宮古島で撮影した天の川(一部)を最初に掲載した。ちなみに表題にしたティンガーラとは、沖縄地方の方言で「天の川」のことである。
 今から9年前。2012年9月8日に沖縄県立宮古高等学校の招きで、宮古島の固有種であるミヤコマドボタルの観察と勉強会講師のために訪れた宮古島。ホタルの観察の後、宮古島と来間島に架かる来間大橋からみた星空は、例えようにない素晴らしさであったが、あいにく最小限の機材しか持っていかなかったため、 Canon EOS 7D に シグマの50mmマクロレンズという昆虫用の機材での撮影である。
 ちなみに、宮古島は見上げれば満天の星、森ではミヤコマドボタルとキイロスジボタルの光が輝き、海中ではウミホタルの青い光が煌めいている。陸、海、空、全てが美しい自然の光で埋め尽くされていた。また宮古島は全天88星座あるうち、84星座を見ることができ、1月~6月は「南十字星」も見ることができる最北端である。新型コロナウイルスが終息したら、今度はフル装備で訪ねてみたい場所の1つである。
 今回「DxO PureRAW」を試用しての再現像の写真は他に数点行い、それぞれ該当するブログ記事において差し替えを行っているが、富士山と天の川アーチ、開田高原の天の川アーチ、この2点を本記事でも掲載しておきたいと思う。これらは、RAWデータをDxoPureRAWで処理した後、Lightroomで5カットをパノラマ合成し、Lightroomでナチュラルグレーを基本に、コントラスト、テクスチャ、明瞭度等を調整した。ノイズはほとんど目立たなくなっている。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。

宮古島から夏の天の川の写真
ティンガーラ(宮古島から夏の天の川)
Canon EOS 7D / SIGMA MACRO 50mm F2.8 EX DG / 絞り優先AE F2.8 10秒 ISO 6400(撮影地:沖縄県宮古島市 2012.09.08 21:03)
富士山と天の川アーチの写真
富士山と天の川アーチ
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F3.2 20秒 ISO 3200 5カットパノラマ合成(撮影地:静岡県富士宮市 2021.02.20 4:53)
開田高原より天の川アーチの写真
開田高原より天の川アーチ
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / 絞り優先AE F2.8 20秒 ISO 2000 10カットをパノラマ合成(撮影地:長野県木曽町 2021.03.20 3:22)

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夏の天の川(開田高原)

2021-09-02 21:15:51 | 風景写真/星

 9月である。一年の2/3が過ぎてしまった。この間に撮った自然風景と言えば、栃木の桜を除くとすべてが夜間であり、ホタルの光跡以外は星空ばかりを撮ってきた。理由は3つある、1つは新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない中、ほとんど人と接しない時間帯と場所で活動すべきと考えた結果である。2つに星・宇宙に対する魅力である。小さな地球から際限のない広大な宇宙と星々を眺めた時に感じる思いは一言では表せない。3つ目の理由は、星空の写真を本格的に撮り始めてまだ4年。初心者の域を何とか脱したいと言う欲である。
 星空の写真には二通りある。星や星雲そのものを撮る天体写真と星空を自然風景写真の一つとして捉えた星景写真・星野写真だ。私は赤道儀を使わない固定撮影の星景写真である。現在所持するカメラとレンズの性能を最大限活かしながら、試行錯誤を繰り返しているが、撮影時の設定や現像方法のコツがようやく掴めてきたので、今回、開田高原で撮影した夏の天の川を掲載したいと思う。

 夏の夜空と言えば、南の空で明るい三つの星が形づくる「夏の大三角」と、南の空に赤く光る「サソリの心臓」アンタレスが挙げられるが、もっとも魅力的なのは、日没後に南の地平にまっすぐ立つように伸びる「天の川」であろう。その見え方は季節によって変わる。地球は太陽を中心に回転しているため、3月頃から9月頃は星の数が大変多い天の川銀河の中心を見ることができ、冬は星の少ない天の川銀河の端を見ることになる。天の川らしいのは、やはり3月頃から9月頃に見られる夏の天の川である。
 夏の天の川には、特に濃い部分がある。そこはいて座にあり、地球から約2万8000光年離れた天の川銀河の中心でグレートスタークラウドと呼ばれている。またその少し上のたて座の付近にも濃い部分があり、こちらはスモールスタークラウドと呼ばれている。いて座からたて座の辺りが、夏の天の川の一番綺麗な部分である。ちなみにグレートスタークラウドは、3月頃では午前2時過ぎに地平線からやっと昇ってくるが、今の時期は午前0時には沈んでしまう。沈む時間は月日と共に早くなるため、天気が良く月明りに邪魔されずグレートスタークラウドを写そうと思うと、チャンスは多くない。
 天の川を撮るには、月明りと街明かり等の光害のない、そして良く晴れた日と場所を選ぶことが必須であり、さらに天の川が昇ってくる時間や沈む時間と方向も調べてから臨むことになる。これまで富士山周辺と開田高原、乗鞍高原を撮影地に選んで何枚もの天の川を撮ってきたが、今回の写真は、開田高原の木曽馬の里にて、地上の一本のナラの木を生命の象徴とし、銀河と対比させた。
 この撮影は、月齢18.5の明るい月が21時過ぎには昇ってきてしまうため、西の空が暗くなった19時半から撮影を開始し、2時間ほど連続でシャッターを切った。写真の現像は、今回初めてDxO PureRAW を用いた。DxO PureRAWとはフランス パリのDxO社が開発した撮影したRAWファイルを高品質化してくれるソフトで、Lightroomでの現像の前段において、AIを使ってRAWファイルの様々なレンズ収差を補正し、ノイズを除去し、シャープにしてくれるのである。
 以下には、過去に撮影した3枚も掲載した。これらも、まずRAWデータを DxO PureRAW で処理した後 Lightroom で補正し、最後に解像度を2倍にする高品質化という処理を行っている。またタイムラプス動画は、今回の撮影分についてはフリーソフトのSequatorで5枚を加算平均合成し、過去に撮影した映像とともに編集した。

 夏の天の川は、今年は週末であと3回、10月2日がラストチャンスになる。今後の天候次第では、この写真が夏の天の川の今年の見納めになるかもしれない。その後は、東から冬の綺麗な星座が昇ってくるので、ソフトフィルターを付けて星空を楽しみたいと思う。また、この8月は残念ながら「ペルセウス座流星群」は天気が悪く見ることができなかったが、12月には「ふたご座流星群」がやってくるので期待したいと思う。

 9月と言えば関東大震災をはじめ、台風など自然災害が多い月である。天の川を撮影した開田高原からも見える御嶽山が噴火したのも今月。2014年9月27日。火口付近に居合わせた登山者ら58名が死亡し、現在も依然として5名が行方不明のままという日本における戦後最悪の火山災害となった。
 噴火からまもなく7年が経とうとしている。2019年7月1日からは山頂登山規制も解除され、現在の御嶽山は写真のようにすっかり噴火前の美しい姿を見せてくれているが、自然の猛威・脅威を忘れてはならない。撮影した九蔵峠には、駐車場の奥に展望台があり献花台もある。犠牲となった63名のご冥福を、心よりお祈りしたいと思う。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。 また動画においては、Youtubeで表示いただき、HD設定でフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます。

夏の天の川の写真

夏の天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル露出 F2.8 25秒 ISO 1600(撮影地:長野県木曽町開田高原/木曽馬の里 2021.8.27 19:36)

夏の天の川の写真

夏の天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル露出 F2.8 25秒 ISO 1600(撮影地:長野県木曽町開田高原/木曽馬の里 2021.8.27 20:47)

夏の天の川の写真

夏の天の川(一番大きく輝いている星は、木星)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM/ PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / バルブ撮影 F2.8 30秒 ISO 1600(撮影地:長野県木曽町開田高原/木曽馬の里 2019.5.05 0:32)

夏の天の川の写真

夏の天の川(一番大きく輝いている星は、木星)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F2.8 30秒 ISO 1600(撮影地:長野県木曽町開田高原/木曽馬の里 2019.5.05 0:34)

夏の天の川の写真

夏の天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM/ PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル露出 F2.8 25秒 ISO 2000(撮影地:長野県木曽町開田高原/木曽馬の里 2021.5.04 0:56)

御嶽山の写真

御嶽山
Canon EOS 7D / SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE / 絞り優先AE F8.0 1/25秒 ISO 100(撮影地:長野県木曽町開田高原/九蔵峠)

天の川のタイムラプス動画(長野県木曽町開田高原/木曽馬の里)

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三つ峠より富士と星空

2021-08-01 15:32:09 | 風景写真/星

 三つ峠より夏の富士山と天の川を捉えることができた。

 三ツ峠は、山梨県都留市、西桂町、富士河口湖町の境界にある標高1785mの山。名前に「峠」とついているが実際には峠ではなく、開運山(1785m)、御巣鷹山(1775m)、木無山(1732m)の3つの頂きの総称といわれており、開運山を指すこともある。頂上から眺める富士山の絶景はもちろん、高山植物や山野草が豊富で、日本の新・花の百名山のひとつにも選ばれている。また、絶滅危惧種のチョウも生息している。
  三ツ峠には、過去に5回登っている。最初は2012年12月31日。夜中からアイゼンを付けて登り朝焼けの富士(三ツ峠より富士)を撮影した。2、3回目は2014年7月にチョウを撮影。その後家族で登山し、最後は2019年5月に会社の仲間と夜に登った。この時は、富士山・雲海・天の川をセットで撮りたかったのだが、山頂はすっと雲の中でカメラをカバンから出すことなく下山した。
  そして6回目になる今回の目的は「ある昆虫の生息確認と撮影」である。生息していると言う知識はあるが、実際に見たことはなく、発生時期や発生数、生息場所などに関しての情報はほとんどない。無駄足を覚悟での登山であった。

 7月31日。天気予報では15時頃に夕立があるが、その後は晴れ。雷の心配もなさそうなので、自宅を13時に出発した。途中、中央道の談合坂SAで昼食。スタミナをつけようと「すた丼」と「エナジードリンク」を腹に入れ、登山口駐車場に15時に到着。
 今回も最短距離で登れる裏登山口からの90分コースである。この日、東京の気温は34℃であったが、ここの麓は21℃。早速、気合を入れて歩き始めたが、すぐに息切れ。汗が噴き出る。運動不足の体で、重いカメラと三脚を背負っての登山は、かなりキツイ。途中で一回休憩を入れて、山頂に16時45分到着。何と、何も見えない。2019年と同じ自らが雲の中である。
 しばらくすると体が冷えてきた。寒い!気温は15℃。登山者は私一人。時折、上空に青空が見える。ここで引き返したら、元も子もない。我慢!!
 待機すること2時間半。ようやく雲が晴れてきた。富士山と星も見えてきた。しかし、肝心の被写体は現れない。気温が低いためか、時期が遅かったのかも分からない。仕方なく富士山と星空を撮影し、真っ暗な登山道を懐中電灯を照らしながら下山した。一人きりはやはり怖い。恐怖と戦いながら、上りの半分の時間で無事駐車場にたどり着いた。主目的は達成できず、更に何の情報も得ることができなかったが、2019年に空振りで終わった「富士山・雲海・天の川」の光景は残すことができた。(一枚目の富士山の右側に写っているオレンジ色の部分は、雷雲である)
  帰宅後にRAW現像してみると、一枚に流星が1つ写っていた。1日前の7月30日にピークを迎えた「みずがめ座δ南流星群」と「やぎ座α流星群」かどうかは分からないが、三つ峠(開運山)で少しだけ運が開けたのかも知れない。欲を言うなら金運アップを願いたい・・・

 6月と7月は、ホタルを中心に多くの成果を挙げることができたが、私が住む東京都は31日、都内で新型コロナウイルスの感染者が過去最多となる4058人確認されている。自宅で療養する人も1万人を超えるなど、感染拡大のスピードがさらに上がっている。私は8月20日に2回目のワクチン接種を行うが、状況を鑑みて、8月の予定は当初の計画より大幅に変更・縮小しようと思う。アイノミドリシジミやキリシマミドリシジミ・・・撮りたい被写体や行きたい所は多いのだが、過去と同じような写真になりそうなものはすべて取り止め、今年最良の条件で見られそうな「ペルセウス座流星群」とここ数年間目標にしてきた未撮影のトンボは、セットにし1日で撮り終えたいと思う。また同じく未撮影の高山蝶については、昨年に続き新型コロナウイルスの影響で、生息場所への行き帰りに長時間を要すると言う情報から、今年も見送ることにした。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。

三つ峠より夏の富士山と天の川
三つ峠より夏の富士山と天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル F2.8 10秒 ISO 1600(撮影地:山梨県 2021.7.31 20:05)
三つ峠より夏の富士山と天の川
三つ峠より夏の富士山と天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル F2.8 13秒 ISO 1600(撮影地:山梨県 2021.7.31 20:10)

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