とても気になる問題です。
この頃 … 特に
先日、NHKスペシャル 「 人体ミクロの大冒険 」
“ 老い ” 意外な正体 !
という番組をやっていました。
その、ゲストの先生が 「 山中伸弥教授 」 です。
とても分かりやすい説明とそれを映像化した
細胞内部の働きは驚きの連続でした。
そして、そのお話が哲学のような
医学の分野も突き詰めていけば哲学的、
宗教的になってくるような感じです。
印象深かったのは、
「 私たちがやっていることは、手のひらの上の
ほんの一点にしか過ぎない。
もっともっと大きな不思議な世界がある。」
というようなことを話されておられました。
私たちが生きていることは奇跡に近い状態だと、
そして、細胞の方がはるかに悟っているとも
話されています。
仏教でいう 「 四苦八苦 」 のなかで、
「 四苦 」 というのは 「 生・老・病・死 」 です。
人は生まれ、老いて、病んで、やがて死んでいく、
と時間軸で考えていたのですが、
どうもそうではなく、.
先生もおっしゃっていたのですが、
何時、事故が起きて死が来るかもしれない、
何時、病気になるかもしれない、
そして、いつ死が訪れるかもしれない、
と考えると、生老病死は同時進行なのだと。
人間、60兆の細胞からできているそうです。
そのうち、2兆個が免疫細胞だということです。
この免疫細胞のおかげで、病気もせずに
毎日元気で暮らしているのですが、
この免疫細胞が突然、自分を攻撃してくるというのです。
自分の細胞が自分を攻撃する。
ここから、動脈硬化とか糖尿病とかが発生してくる
人間の不思議なメカニズムです。
「 鉄の錆は 鉄から出て 鉄自身を滅ぼしていく 」
というようなことわざがあったと思います。
実に、人間の煩悩も自分から出て、自分を滅ぼしていくのです。
免疫細胞も仏教でいう煩悩とか
我執のようにも思います。
煩悩というか我執というか欲といっても、
それは一面は自分を守ってくれるものです。
わかりやすい 「 欲 」 ということでいうと、
欲には 「 五欲 」 といって五つあります。
まず、 「 食欲 」 命をつなぐためには必要な欲です。
そして、 「 睡眠欲 」 眠ることも生きる上では
大切なことです。
「 性欲 」 があります。子孫を残して
人間という種を絶やさず相続していくためには
大切な欲望です。
この三つは生きるために命の活動として
最低限の働きです。
この三つが満たされてくると、
「 財産欲 」 お金が欲しくなります。
そこそこお金がたまってくると、
「 名誉欲 」 というものが顔を持ち上げてきます。
色々な肩書、賞状、勲章が欲しくなってくる。
このことも生きる上では必要なものですが、
度を過ぎてくるというか、必要以上に欲しくなる。
「 執 」 という執着はある一面
人間を守ってくれる撥水コートのようなものです。
食欲が無くなれば死んでしまいます。
しかし、「 執 」 が度を越して 「 我執 」 になると、
食べ過ぎて病気になってしまいます。
「 性欲 」 も種の保存ということでは
神聖な意味を持っていますが、
他の動物と違って、人間は遊びにもしてしまう
能力も持ち合わせているのです。
そこから、いろんな葛藤劇がうまれて、
犯罪にまで発展しかねないこともあります。
そういう意味では 「 免疫細胞 」 も
心の働きとしては 「 煩悩 」 というか 「 我執 」
ということと、同じような気がしました。
免疫細胞も若い時までは再生されるのですが、
二十歳を過ぎるころから、胸腺という
免疫細胞がつくられる場所がなくなっていく、
あとは、残った免疫細胞をやりくりしながら
使っていくということです。
「 老い 」 という、キーワードは
「 自分の細胞が自分を攻撃する 」
というような気がしました。
心の中では、
「 自分の煩悩が自分を攻撃する 」
ということのようです。
これからますます、細胞レベルの研究は
盛んになっていくことでしょう。
詳しくはわかりませんが、
「 P S細胞 」 とか
最近話題になっている 「 STAP細胞 」 とか、
細胞のことがもっと明晰に解明されていくことでしょう。
それに先立ち、仏教では
「 唯識三年、倶舎八年 」 という言葉もあります。
「 唯識論 」 は心理学、人間の深層心理の解明
「 倶舎論 」 ( くしゃ ) は物事の分析です。
このことも自分の身近な問題として、
解明していけば、細胞学に匹敵する
おもしろいものがわかるとおもいます。
所詮、私たちも
孫悟空がお釈迦さまの掌の上で
駆けずり回っている、
そのことと同じに過ぎないのでしょう。
「 老い 」 ということ
山中先生の話も仏教の立場から見ても
とても共感するものがありました。
最後に、
「 60兆の細胞がそれなりに納得して
満足して死んでいけば、
それが最高ではないでしょうか。」
と、山中先生は述べておられました。
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