本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

地獄絵ワンダーランド

2017-10-14 17:17:18 | 住職の活動日記

西本願寺さんのおむかえにある

龍谷ミュージアムでは

地獄の世界を表現した絵画や彫刻等

地獄のオールスター勢揃い、と

銘打って

「地獄絵ワンダーランド」という

展示会が開催されています。

 

 

とても素晴らしいミュージアムです。

ただ国宝や重要文化財を

展示するだけでなく、

一つのテーマを設けて

それを掘り下げていく

こういう展示会も面白いと思います。

 

 

入り口から地獄の雰囲気を

醸し出しています。

 

中に入ると

 

 

 

ようこそ地獄へ、と

青鬼赤鬼が待ち構えています。

 

 

エレベーターの扉にまで

こういう絵でもって

地獄の一丁目を表しているのでしょう

 

 

チケットにも閻魔さまが

描かれています。

 

「地獄」

なんとも嫌な響きですが

インドの言葉では「ナラカ」といい

『奈落』と音写されています

歌舞伎の舞台の下を奈落と呼ぶのは

この事からきているのでしょう。

 

仏教には『十界』という

考え方があって、一番下の世界から

地獄・餓鬼・畜生・阿修羅

人間・天

声聞・縁覚・菩薩・仏

ということになります。

それを形で表せば蓮の花です。

泥沼の蓮根は下の四つ

地獄・餓鬼・畜生・阿修羅です

茎の部分が

人間・天でしょうか

蓮の花で表す仏の世界が

声聞・縁覚・菩薩・仏です。

 

初七日(しょなぬか)の

守り本尊は不動明王、

二七日(ふたなぬか)は

三途の川を渡り、

その川の手前に

「奪衣婆」(だつえば)という

お婆さんがいて、亡くなって

やって来た人の衣をはぎ取って

主人の懸衣翁(けんえおう)に渡す

すると懸衣翁はそばにある枯れ木

衣領樹(えりょうじゅ)に掛ける

その木のたわみ具合で

三途の川の深さが違うという。

その奪衣婆のリアルな彫刻が

ドキッとします。

 

三十五日は閻魔大王

本地は地蔵菩薩、

絵画にはよく一緒に描かれています

浄玻璃の鏡がって

自分のしてきたことが映し出され

それによって生まれかわる先が

ほぼ決まるという

最終決定は四十九日の忌明けです

 

そういうような絵画や彫刻が

見る者を圧倒する感じです。

 

出口には地獄の人気投票があって

私にはなにより

「衣奪婆」その姿が印象的で

また地獄でお会いしたときにも

どうぞよろしくという願いを込めて

1票を投じました。

 

 

 

西本願寺の門前には

「愛山護法」の表題があります

これがお寺の精神でしょう。

お寺を愛しそこには法を護るという

心が流れていると、

 

 

門の大きさにも感じ入り、

 

 

お寺を囲む堀にも驚き

昔はお寺は城をなしていた

ということでしょう。

 

 

お西さんの逆さ銀杏も

これから見ごろを迎えるようです。

 

ミュージアムでは地獄の世界

堀川通りを渡ればそこは浄土

西本願寺です。

通りを隔てて一本の横断歩道を渡る

展示会にもありましたが

二河白道の世界のようで、

ふと面白い感覚にとらわれました。

 

 

 

 

 

コメント
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