「 おかげさま 」
とても好きな言葉です。
また素晴らしい言葉です。
なかなか外国語には翻訳しにくい言葉です。
漢字に変換すると、
「 御陰様 」 です。
この 「 陰 」 という字を使いますが、
私は 「 影 」 の方がいいように思うのですが ??
「 おかげさま 」
分解すると、 「 かげ 」 という言葉に
「 お 」 という敬語と 「 さま 」 という言葉が
前後ろについています。
だからとても丁寧な言葉です。
ここに深い思い入れのようなものを感じます。
お寺では、そのお祖師様をお祀りするお堂を
「 御影堂 」 といいます。
東寺では 「 みえどう 」 と読み、
他のお寺では 「 ごえどう 」 ともいいます。
影のあり方として、
お祖師様の心にふれるのでしょう。
その本当の姿にはふれることができない、
けれど、影として何か感じ取ることができる、
そういう意味で 「 御影堂 」 というのではないでしょうか。
「 おかげさま 」
目に見えないいろいろのハタラキ、
昔の人は 「 はたらきさま 」 といい、
今のことばでは、 村上和雄先生は
『 Something Great 』 といわれ、
それは、
神仏の恩恵であったり、
時には自然の恵みであったり、
周りの人たちの力添えであったり、
そういうことを感じながら、
はっきりと、そのものの本体はわからないけれど、
その本体を 「 かげ 」 の存在として
何か感じる取ることができた、
その時に 「 おかげさま 」 と
実感したのではないかと思います。
お伊勢さんへ参ることを、
「 おかげまいり 」 といいます。
また、
「 おかげ横丁 」 というところもあり、
今はとても繁盛しています。
「 上田正昭 先生 」 も、
祝詞 ( のりと ) の研究の中で、
祝詞の最後の文章が、
「 と宣る 」 ( とのる ) で終わる形と
「 と白す 」 ( とまをす ) というのと
二つのタイプがあるそうです。
「 と宣る 」 の方が古い形だそうです。
先生がおっしゃるには、
『 私がその古いタイプの祝詞を読んで
感銘を受けるのはいろいろなお供え物を
しますから、どうかこれこれの願いことを
かなえてくださいということが
書かれていない点である。』
というように、神さまへのおかげの感謝
のみし書かれていない。
( 京都新聞 天眼 より引用 )
やはりそうなのです。
今はあまりにもギブ&テイクというか
こうするからこうしてほしい、
という、取引が信仰のようになっています。
だから本来は 「 伊勢神宮 」 には
賽銭箱は置かないそうです。
ただ、ありとあらゆることにたいする
「 おかげさま 」 ということを
深く感じ入ればいいのでしょう。
何かしら 「 おかげさま 」 には
昔からの口では言い表せない、
あらゆるものに対する、
深い感謝と人間が生きていく謙虚さ
のようなものを感じます。
大切な言葉です。