本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

おかげさま

2014-02-17 18:09:07 | 住職の活動日記

 「 おかげさま 」 

とても好きな言葉です。

また素晴らしい言葉です。

なかなか外国語には翻訳しにくい言葉です。

漢字に変換すると、

「 御陰様 」 です。

この 「 陰 」 という字を使いますが、

私は 「 影 」 の方がいいように思うのですが ??

 

 「 おかげさま 」

分解すると、 「 かげ 」 という言葉に

「 お 」 という敬語と 「 さま 」 という言葉が

前後ろについています。

 だからとても丁寧な言葉です。

ここに深い思い入れのようなものを感じます。

 

 お寺では、そのお祖師様をお祀りするお堂を

「 御影堂 」 といいます。

東寺では 「 みえどう 」 と読み、

他のお寺では 「 ごえどう 」 ともいいます。

 影のあり方として、

お祖師様の心にふれるのでしょう。

その本当の姿にはふれることができない、

けれど、影として何か感じ取ることができる、

そういう意味で 「 御影堂 」 というのではないでしょうか。

 

 「 おかげさま 」

目に見えないいろいろのハタラキ、

昔の人は 「 はたらきさま 」 といい、

今のことばでは、 村上和雄先生は

『 Something Great 』 といわれ、

それは、

神仏の恩恵であったり、

時には自然の恵みであったり、

周りの人たちの力添えであったり、

そういうことを感じながら、

はっきりと、そのものの本体はわからないけれど、

その本体を 「 かげ 」 の存在として

何か感じる取ることができた、

その時に 「 おかげさま 」 と

実感したのではないかと思います。

 

 お伊勢さんへ参ることを、

「 おかげまいり 」 といいます。

また、

 

    

 

「 おかげ横丁 」 というところもあり、

今はとても繁盛しています。

 

 「 上田正昭 先生 」 も、

祝詞 ( のりと ) の研究の中で、

祝詞の最後の文章が、

「 と宣る 」 ( とのる ) で終わる形と

「 と白す 」 ( とまをす ) というのと

二つのタイプがあるそうです。

「 と宣る 」 の方が古い形だそうです。

 先生がおっしゃるには、

『 私がその古いタイプの祝詞を読んで

 感銘を受けるのはいろいろなお供え物を

 しますから、どうかこれこれの願いことを

 かなえてくださいということが

 書かれていない点である。』

というように、神さまへのおかげの感謝

のみし書かれていない。

 ( 京都新聞 天眼 より引用 )

 

 やはりそうなのです。

今はあまりにもギブ&テイクというか

こうするからこうしてほしい、

という、取引が信仰のようになっています。

だから本来は 「 伊勢神宮 」 には

賽銭箱は置かないそうです。

 ただ、ありとあらゆることにたいする

「 おかげさま 」 ということを

深く感じ入ればいいのでしょう。

 

 何かしら 「 おかげさま 」 には

昔からの口では言い表せない、

あらゆるものに対する、

深い感謝と人間が生きていく謙虚さ

のようなものを感じます。

 大切な言葉です。

 

 

 

 

 


 

コメント
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