豪商の館 田中本家博物館は近世の正倉院
小布施からほどなくして須坂に入り、蔵の街を通った先に田中本家がありました。
田中家は江戸中期から穀物、煙草、綿、酒造業を営んだ北信濃屈指の豪商。
一時は須坂藩を上回る財力があったそうです。
約100メートル四方を20もの土蔵が取り囲むという約3000坪の広大な敷地。
その土蔵のうちの5棟が改装され展示館として、田中家で使用された品々が公開されています。
色絵蘭人図八角皿(江戸時代 19世紀)
伊万里、九谷など殿様の接待や祝い事、法事などに使用された陶磁器、漆器の数々。
「女の一生」と題して、明治27年に田中家長女として生まれた田鶴さんの幼児期から晩年の間の衣装や身の回り道具の展示。
婿養子を迎え、86年の生涯を田中家で過ごした商家の女性の生き方が偲ばれました。
幼児期の着物。明治時代のモダンな柄が印象的。
豪華な婚礼衣装。職人の技にも感動します。
かつて田中家の子どもたちが遊んだ玩具や節句飾りもたくさん展示されていました。
玩具の歴史も分かりますし、何より保存状態がいいのに驚かされました。
小林一茶をはじめ多くの文人墨客の書画、2千点以上の衣装、1万点以上の陶磁器、漆器、その質と量で近世の正倉院といわれる所以です。
時代が移り変わっても、大切に保存してきた先人の偉業に感嘆しました。
明治時代に造られた檜の湯殿。客殿に宿泊したお客様専用で、川合玉堂や木村武山、尾崎行雄など多くの芸術家が入ったとか。
四季折々の花が咲き、新緑の樹々と蔵がマッチした庭の風景が清々しく、池にはカルガモも泳いでいました。
帰りにショップでこの館の名物、白瓜の粕漬を買って近くの臥竜公園へ向かいました。
須坂市動物園は懐かしい昭和の雰囲気
臥竜公園は「さくら名所100選」に選ばれるほどのさくらの名所です。
池の周りのさくらはもののみごとに散ってしまっていましたが、奥に小さな動物園があります。
ごく狭い正面入り口で、大人200円の入園料(小・中学生は70円!)を払うと、かわいいイラストマップをもらいました。
山の麓を巡るように動物たちの飼育ケージがあります。
いきなりツキノワグマがいたかと思うと、ハクビシンやインコがいたり・・・面白い。
アカカンガルーの「ハッチ」がこの動物園を有名にしたそうです。
サンドバッグ相手にキックをする姿がテレビで取り上げられたからです。
しかし、ハッチは9年前に亡くなり、今いるのはハッチの孫らしい。
この日はお昼寝中でした。
かわいいフンボルトペンギンたちは暑そうでした。
プレーリードッグはケージからパイプを通って、前面のプラスチックケースに顔を見せてくれます。
お互い顔を見合わせたり、知らん顔したり、ホントニ愛嬌があります。
けだるそうで身動きしないカピバラさん。冬季は温泉に入る、この園の人気者です。
ベンガルトラの兄妹もいましたよ。
1頭は退屈そうにずっと外を見ていました。
この日は見物客も2,3組だけ。ヒマだったのでしょうね。
もう1頭は始終行ったり来たりして少しもじっとしてない。
対照的な2頭でしたが、こんなに間近で見られて、やっぱりトラは迫力満点でした。
ミニブタやニワトリ、ガチョウなどの家畜もいて、子どもたちと触れ合うのでしょう。
須坂市の子どもたちは幸せですね。
入園者数の減少で、廃園、縮小の危機があったそうですが、動物園職員の意識改革で急激に入園者が増加したのだとか。
園内には手書きの動物ミニ知識(動物の妊娠期間や寿命など)がたくさん掲示してあり、動物すべてに名前がついていました。
家庭的な温かさがありますし、何より人の頭越しに見るのではなく、すぐそばで動物を観察できるのです。
何年ぶりかの動物園は楽しく、癒されました。
この日の朝に小布施の直売所で買った、左から山菜の「こしあぶら」と若い野沢菜と紫のアスパラ。
こしあぶらはこちらではなかなか手に入りませんが、天ぷらやお浸しにしてとっても美味しかったです。
他にもホウレンソウやリンゴジュースなど買いましたが、ホウレンソウの濃いアクにビックリ。
食べると、昔のホウレンソウの味がして、これぞ本来のものだったと思い出しました。
こちらのものは農家の直売で買っても、アクはほとんど出ないような気がします。
長野の野菜はツヨクて美味しいです。