京都府綾部市於与岐町
綾部から舞鶴に向かって車を走らせていると、右手に特徴あるピラミッド型の山が見える。
弥仙山と呼ばれる山で、その山容から、信仰の対象となっていることは容易に想像出来るし、事実、修験道の山として開山され、女人禁制の時代もあったようだ。
山のガイドブックでこの山の存在を知ったのは高校生の頃で、登りたい山の一つであった。機会の無いまま歳月は経ってしまったし、興味の対象は変わってしまったけれど、当時から変わらずに地図を見るのは好きで、そして、この山の麓にある神社記号は気になる存在となっていた。
地形図を見れば、山頂、中腹、山麓にそれぞれ神社記号があり、頂上にあるものが金峯神社、中腹にあるものが於成神社(蔵王権現堂)、山麓にあるものが水分神社となっていて、出来ることなら山頂まで行ってみたいところだが、体力的に厳しいものがあるので、山麓の水分神社のみを訪ねることにした。
水分神社という名称は奈良近辺に多く、この辺りでは珍しいと思うけれど、水分の名に相応しく谷間に鎮座している。
本来は水を司る神であるが、地元では子授け、子育ての神さんとして親しまれている。ここに限らず水分は「みくまり」と読むので、それが訛って御子守、つまり子育ての意味合いを持つ神社が他にもあるようだ。
集落内の狭い道を抜け、谷間の奥に進んでいくと道が二手に分かれる。左の谷を少し遡れば神社前だ。
雨の中を出発したが、ここに着く頃には雨も上がり、ちょうど日が射してきた。
本来は薄暗い谷間なのであろう、鳥居にはノキシノブや苔が生えている。
石段を上れば正面に本殿。拝殿等は無い。
しかし、山中にある神社としては立派な本殿である。
虹梁が四本あるので、正面の木鼻も四つある。
本殿の向こうは神衣収納社。
子供の衣服を作って献納すると、その子の生長を守護してくださるとの伝説がある。
社務所はかなり傷んでおり、軒下にはコガネグモがたくさん巣を張っていた。
蜘蛛は大の苦手だが、このコガネグモは農薬に弱く、かつてより随分と減ったという。成体は冬を越せないので、秋も深まって、殆ど身動きもしない。
本殿右後ろにある弥仙山遥拝所。木々が茂って山頂は望めないが、奥に見えている道が、山頂へと通じている。
紅葉は、まだ微妙な色付き。
神社横の林道。
右はエノキ、左はカツラだろうか。雨上がりで枝先の水滴が輝いて、とても惹かれた風景。
葉は落ちても、繊細な枝の描く陰翳が美しい。
2万5千分1地形図 梅迫
撮影日時 081116 12時から12時半
駐車場 林道が二手に分かれる場所に広場あり。
地図