神社のある風景

山里の神社を中心に、歴史や建築等からの観点ではなく、風景という視点で巡ります。

矢納滝

2008年12月03日 | 滝・渓谷
奈良県吉野郡天川村洞川


地図上の所在地は天川村になるが、概念的には川上村の範囲で、アプローチも川上村からになる。
上多古川という滝好きには知られた川の支流にかかっており、この流域では手軽に見られる滝だ。
それなりの経験や装備があれば、周辺にある数多くの魅力的な滝に出会えると思うし、見てみたい気持ちもあるけれど、神社巡りのついでに滝を訪れているような私には、ここより奥へ進むのは無茶というものであろう。

国道169号線から上多古川沿いの道に入ると、道はだんだんと悪くなっていく。途中、植林地帯なのに、ちょっとした御神木クラスの杉が林立していたりして、さすがにこの辺りは山深いと感心させられる。
伐り出した木材の集積場所になっている広い場所に車を停める。まだ林道は奥へと続いているが、普通の車が通るような道ではないので歩いたほうが良い。
足許に鹿の糞が多いなぁと思っていたら、前方に立派な角を持つ牡鹿が立っていて、お互いに暫く見つめ合ってしまう。カメラを出そうとしたら逃げられてしまったが、駆けていくその後姿は雄々しく貫禄がある。


林道歩きではあるけれど、左手の山から、右手の本流に流れ込む幾つかの支谷には滝がかかっていたりして退屈はしない。


もちろん大した滝はなく無名の滝であるが、滝の宝庫の片鱗が窺える。


水や岩の表情だって、じっくり見れば楽しいし悪くない。


やがて林道の終点に到着。
まだ紅葉には早く、微妙に色付いた木々が混じっている程度。
矢納谷にかかる鉄製の橋を渡り、やや草深い山道に入る。本流と矢納谷の中間尾根を登っていく感じだが、ある程度の高さまで登ると矢納谷の方向へ向かう。この辺りで祠に気付くと思う。
そのまま進むと矢納滝より上に行ってしまうので、左に下っていく踏み跡を辿ると、すぐに滝前に出られる。


矢納滝。
やや高い位置にある岩の上から見る形になるので、あまり高くは見えないが、15~20mといったところだろうか。


正面から見ると、真っ直ぐ素直に落ちているように見えるが・・・


横から見ると、かなりオーバーハングしている。
もっと真横から撮りたいのだが、水飛沫が凄くてレンズに水滴がつき、まともに撮影が出来ない。


これはちょっとお気に入り。
岩の質感、谷間の空気感が出せたかな、と。


滝壺はなく、岩を打ち付ける激しい水音が谷間に反響している。
あまり風流とは言い難い音だけれど・・・。


2万5千分1地形図 洞川
撮影日時 081030 8時40分~9時40分

駐車場 なし 道の広くなっている適当な場所に駐車。
地図