神社のある風景

山里の神社を中心に、歴史や建築等からの観点ではなく、風景という視点で巡ります。

御霊神社

2018年12月13日 | 兵庫県

兵庫県西脇市黒田庄町福地


いそ部神社から楯縫神社に訪れた次の週、再び福知山線の電車に乗り込む。
この日は祝日で、しかも前回よりも一時間ほど早い電車であり、更に前回は四両編成の快速だったが今回は六両編成の各駅停車。
通勤ラッシュは無いだろうから、これはもう余裕で座れるだろうと思っていたのに、何故か満員。
スーツ姿のサラリーマンもいるが、紅葉シーズンだし行楽客だろうか? ただ、リュックを背負っている人も多いとはいえ、行楽客っぽくないし、どうも目的がはっきり読めない。
もっとも、そんなことを言えば、私がこれから神社巡りをするなどと読める人はいないだろうけど…。
やがて、車内アナウンスで満員の原因が判明する。
「本日は、福知山マラソン開催のため、福知山駅では大変混雑します───」
マジか?
あなた方、走るためにわざわざ福知山まで行かれますのん?
いや、そんなことを言えば、私だって神社に行くために二時間近く電車に乗るわけで、一般の方々からすれば、「はあ?」という感じだろうけれど…。
とにかく、この時点で殆どの人が福知山まで乗車することが確定したわけで、普段なら絶対に座れるようになる篠山口でも座れそうにないわけで…。
でもまあ、福知山まで立ったままでマラソンに参加される方は、気の毒だなぁとは思う。

前回は丹波市に行ったが、今回は谷川駅で降りて加古川線の電車に乗り換える。
加古川線は、加古川と丹波市の谷川を結ぶ線で、乗るのは初めてだ。
加古川市は神戸や大阪のベッドタウンなので、加古川線と聞けば郊外電車くらいのイメージがあったのだが、ホームに停まっている電車は一両のワンマンカーで、完全にローカル線の趣だ。
そのたった一両の車内に乗っている人は三、四人で、やっとゆったりと座ることが出来る。
動き出せば、車両の揺れ方もローカル線のそれで、路盤の整備も幹線とは違うのだろう。
黒田庄駅で降りる。降りたのは私一人だった。
前回と違って晴天で、誰もいない駅前は清々しい朝の空気で満ちている。



駅前からは線路に沿った道を歩く。
線路の向こう側に朝日を浴びたモミジが輝いている。
地図で確かめると菩提寺というお寺らしい。
手持ちで撮ったのでブレてしまっているが、それはともかく朝の空気は気持ちが良い。



途中で踏切を渡る。
これぞローカル線、という風景に嬉しくなる。
これから向かう御霊神社は、左にある電柱と色付いた銀杏の木の間の奥、今は日陰になっている山麓にある。

御霊神社には十年くらい前に訪れたことがあって、印象は弱いながらも、結構いいところだったな、という記憶がある。
このブログでも、「雑多な写真」くらいに載せた筈、と思っていたが、探してみると見つからない。
さすがに十年以上もブログをやっていると、その辺りの記憶は曖昧になっているようだ。
改めて訪れてブログに載せてみたい、と思ったのは、ここが紅葉に彩られた風景は、きっと心惹かれるものであると想像出来たからである。

踏切から先は県道を進み、福地の集落で狭い道に入る。
薬師寺というお寺を過ぎると直ぐに神社入り口だ。



ああ、懐かしい、と思うと同時に、木々が色付いてくれているのを見てホッとする。
日当たりのいい場所と、神社の杜のような日当たりの悪い場所では、色付く時期がかなりずれるので心配していたのだ。



色付いている木は三本だけのようだが、それでも多彩な表情を見せてくれる筈。



朝日が境内に射し込むと、黄色が豊かになる。
社殿に光が当たれば写真が撮りにくくなるだろうから、ちょうどいい光加減かも知れない。



先週と今日と、電車賃は往復で約3000円だから、二回で6000円ほどの出費。
車だったらこの二回分を一回でまわれる範囲だし、正直、ちょっと勿体ないかな、と思っていたが、この風景を見られただけで元が取れた気になれた。



静かだけど賑やか。









例によって、似たような構図ばかりになってしまうけれど…。



拝殿前には土俵がある。



印象は弱いと書いたけれど、今回は強い印象を残してくれた。



拝殿右側から、入り口方向。



拝殿の床に黄色が映る。



左側から。



本殿は小さいながらも檜皮葺で端整な佇まい。



こういう、地元の人以外には殆ど知られていない神社にだけある、質素な美しさに惹かれる。






境内社。



いつまでもいられる気がしたし、名残惜しくもあるが、次の目的地に向かうことにする。


撮影日時 181123 8時10分~9時40分
地図


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
御霊神社 (Jun)
2018-12-18 20:59:51
こんばんは

御霊神社は行ったことがありませんが(住んでいた地区が違うので)、配偶者の幼稚園時代からの親友が氏子で、祭礼の時はレッケイ(大名行列を模したもの)が出ます。御霊神社を出て、兵主神社まで「参勤交代」するのです。
神殿彫刻が見事ですね。
村中は道が細いので車では行きにくいです。しかも友人の家の前を通るので、素通りしにくい(笑

最初に出たお堂は、観音堂ですね。
よく写真を撮るのですが、楓が紅葉しているタイミングには出会ったことがないので、羨ましいですよ(笑
霧の朝のお堂も幻想的です。ただ道路が整備されて交通量が増えたので、駐車が難しくて、反対側の神社の入り口にあるスペースに停めないといけません。

先週は神社ではなく、白鳥を見に加西市と小野市へ行きました。白鳥やカモ、タカに出会えましたけど、午後からあ、雨に降られました。次の連休も雨のようです。
Unknown (hiro1jz)
2018-12-19 06:23:10
>Junさん
おはようございます。

やはりご存知でしたか。
でも、行かれたことがないのは勿体無い。
まあでも、知人の家の前を素通りするのもアレですし、
多少、煩わしくはありますね。
兵主神社は交差点から見える、わりと開放的な神社ですよね?
以前、車で行ったときに見かけた記憶があります。
御霊神社と繋がりがあるとは知りませんでした。

観音堂というのですか。
私は線路沿いの狭い道から撮ったので、車は全然通りませんでした。
三脚を使いたいなぁと思いつつ、周りが田畑で見通しの良いところでは、
何となく気恥ずかしくて手持ちで済ませてしまいました。

播磨方面は、今まで数えるほどしか行ったことがないのですが、
神社もそうだし、白鳥を見に行けたりと、魅力的なところですね。
羨ましいです。
Unknown (誠)
2018-12-19 11:07:04
お久しぶりです!誠です。
覚えていらっしゃいますでしょうか。

最近はコメントを控えさせていただいておりましたが、
ブログは拝見させていただいておりました。

ようやく仕事に目処が立ったので、
コメントを書かせていただきました。

hiro1jzさんの写真にはいつも癒されております!
これからも寒い時期が続きますが、
お身体に気をつけてお過ごしください。
Unknown (Jun)
2018-12-19 20:27:59
こんばんは

兵主神社は黒田庄で一番大きな神社で、旧黒田庄町南部の各地区はそれぞれ氏神の神社を持っていますが、祭礼の時、その氏神の布団太鼓屋台を出して地内を周り、兵主神社に集合します。御霊神社がある福地地区だけは太鼓を持っておらず、代わりにレッケイを披露するのです。
最近は人口減少と高齢化で祭礼も維持するのが困難になり、大伏地区は太鼓を売却してしまい、子供神輿だけの参加になったそうです。購入した他所の町は、これも太鼓を新調するお金はなくて中古で、と言うことなのでしょうね。

神社の綺麗な風景を守るにも、やはり地域が元気でないとダメですね。

知人が多い場所で撮影するのは、何かと気恥ずかしいですね。
誰かに見られているし。
Unknown (hiro1jz)
2018-12-21 13:21:22
>誠さん
お久しぶりです!
就職されてから、一年近くが経ちましたね。
私にとって社会人一年生というのは遥か昔のこととなってしまいましたが、
毎日が目まぐるしく、辛かったり、遣り甲斐があったり、
悲喜こもごもな日々だったことを憶えています。
後になって悔やむことも多々ありましたし、
誠さんにとっても怒涛の一年であったと思いますが、
成長の一年でもあったと思います。

というか、もうちょっとコメント書けやコラヽ(`Д´)ノ

あ、いや、誠さんのほうこそ社会人最初の冬、体調にはくれぐれも気を付けてください。
年末年始には福岡に帰られることと思いますが、
新大阪を発車して5、6分ほど走った辺りが私の住む地域ですので、
よろしければ手を振ってください。
飛行機だったら知らんけど…。
Unknown (hiro1jz)
2018-12-21 13:38:46
>Junさん
こんにちは。

あの辺りで一番大きな神社は瀧尾神社かと思っていましたが、
改めて地図を見ると、ちょっと離れてますね。
レッケイというのは耳慣れない言葉だったので、グーグルで検索しましたら、
一発で兵主神社の祭礼がヒットしますね。
かなりの規模のお祭りに見えますし、こりゃ、維持が大変だ、と思います。
しかし、太鼓も新調できないとは…。
自治体で助成できないものかとも思いますが、
伝統に対する助成なのか、宗教に対する助成なのかが問題になるのでしょうか。
というか、自治体自体がお金が無いのかも知れませんね。
神社は勿論のこと、今後、地方はどうなってしまうのかと不安になります。

私は、知人に限らず、他人の目があるだけで恥ずかしくなってしまいます(笑

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