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社会理論・現代思想を主に研究する今野晃のblog。業績については、右下にあるカテゴリーの「論文・業績」から

Brexit問題について考えたこと。

2019年03月13日 | 社会問題
 英のEU離脱問題で、一つの山場を迎えつつある。

 最近、私は、ニューレイバーを分析した文献を読んでおり、この問題にも関心をひかれる。

 ここ図宇時間で、メイの離脱に関する修正案(って、本当に修正しているのか? という疑問がそもそも投げかけられていますが)について、投票が行われる。結果によっては「合意無き離脱」へと進むかもしれない、と言われている。
 BBCのニュースを見たり、ガーディアンを読む限りでは、英首相のメイは、そもそも頑固らしいようで、そうした性格が、離脱派にも残留派にも譲歩しない姿勢として表れていて、両者から反感を持たれているようである。

 さて、ここで、英政治について専門ではないが、私の意見を言っておくと、次のようになる。

 まあ、私は現労働党党首のコービンに多くの期待をかけているが、割と最近になってやっと、second referendumを提案しはじめた。私個人は、現行EUの政治運営の改革を訴えつつ、second referendumを行うことで、EUに批判的な人々の納得も得られるのではないかと考えるのだが、どうだろうか?

 社会学者のギデンズは、コービンのことをEU懐疑派と述べている(こちら:朝日新聞の記事【会員限定】)。これに対し、France2の特派員がコービンの立場を「リベラルな欧州」に批判的な立場と述べていたが、こちらの方が正確のような気がする。そして、この場合の「リベラル」=自由(競争)主義であり、富裕層に有利な諸政策を行うという、意味である。この対義語は、socialということになる。(ただし、この用語の歴史を辿るとそれほど単純な整理ができるものではないことがわかる。というのも、例えば、19世紀において、社会諸政策の実施に対して好意的だった社会改良主義者達は、おしなべて自由主義者だった。)

 おそらく、ギデンズは、現行EUの何が問題であり、そして、何が人々の反感を買っているのかを理解できていないのではないかと思う(私の考えはこちら)。

 ただし、現行EUへの批判が、英国の主権回復へと結びつくのが、英の歴史的特徴と言えるのかもしれない。で、仮にコービンにしても他の政治家にしても、現行EUの改革要求を掲げても、「英の主権回復」を支持する人々からの支持を得られるかどうかは、私はわからない。

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