先日、ある報道番組を見ていたら、立憲民主党の話題になっていて、現野党の立民党が政権を取りに行くなら、ウィングを広げることと、中道という巨大マーケットを取りに行くこと、と自民党の御用ジャーナリストが言ってた。
また、同じ番組の別の機会に、東大教授の政治学の専門家も同様のことを言ってたが、私自身は、違和感を持たざるを得なかった。
が、フランスの下の記事を読んでいたら、それについて確信をした。
実は、この記事には正確なことは書いていなくて、保守勢力の共和党の代表選挙だが、この決選投票の対戦相手は、シオティという党内最右派、というか、ほぼ極右勢力。この極右勢力と争って、保守勢力は、ENA出身で中道右派のペクレスを選出したのである。
別に私は、極右勢力などを支持していないが、フランス社会の中に、社会的不満が鬱積していることは、いろいろ感じるところである。で、そのはけ口に移民批判が使われている。
重要なのは、「中道勢力」は、社会的不満を解消するすべを持たないと言うこと、というか、社会的不満をさらにためてゆくだろう。
というのも、中道的政治路線というのは、現状維持と言うことで、これが意味するのは今後もさらなる格差が広がることを意味するから。
だから「中道という巨大マーケット」というのは、かつての政治状況を想定した人々の幻影であって、実際にあるのは、現行政治勢力・政治体制に対する幻滅。これが「中道」と呼ばれている物で、だから、日本で言えば維新のような勢力が票を伸ばすのである。
個人的意見だが、本当に現状の様々な格差を是正してゆくなら、かなり左の政策をとらねばならないだろう。ちなみに、これと「リベラル」を混同してはいけない。
国際金融資本への課税や、国際巨大企業などの租税回避の是正、また、所得税の累進性の推進、非正規雇用の規制、その上での賃上げ、また、労働者の権利擁護すること、など、様々な政策が必要だが、これらの政策はすべて「中道」では採ることができない路線である。
フランスやアメリカでは、中道勢力というと、政治的エリート・エスタブリッシュメントが主流であり、上のような施策は採るべくもない。となると、先述のように、現行政治への不満が蓄積して、それが極右へと流れることになる。
ということで、サンダースの政治スローガンではないが、「現状維持というオプションはない」という現実を考えると、「政治的中道という巨大マーケット」も幻影に過ぎないと言わざる得ない、
本当は、もっと正確な検討をともなったことを言いたかったのだが、今回はこのぐらいで。