a journal of sociology

社会理論・現代思想を主に研究する今野晃のblog。業績については、右下にあるカテゴリーの「論文・業績」から

ブランドと階級:その3

2005年11月24日 | 社会問題
 以前、在外研究で仏に滞在された経験のある先生と、日仏の学生のブランドものに対する意識の違いについて、議論をしたことがあった。この方は、「向こうは、学生などが高級ブランドを身につけることはない。そうしたものに興味がないから。そして自分がそんなものを持っていても似合わないと思っているから」と言っていた。  実際、仏の学生は、例えばルイヴィトンのバックなど身につけてはいない。ただ、私自身は、少し違った . . . 本文を読む

お礼

2005年11月23日 | etc.
 こんな、あまり面白くもないblogですが、けっこう読んで頂いている方もいるようで、恐縮です。中には、個人的に知っていらっしゃる方、大学院の先輩や後輩もいるようで、有り難いことです。  先日、大学院の先輩とお会いしたとき、私のblogを見てくださっているようで、感想をお聞きしたところ、「俺もそうだったけど、ODとして大変そう」と、心配の言葉おかけて頂いていただきました。感謝です。  ただ、私の . . . 本文を読む

パリ暴動の社会的背景

2005年11月21日 | 社会問題
 緊急事態法発令の後、失業地域の失業解消のためのプログラムを発表したことで、パリ郊外の暴動について彼らの抱える主観を理解する上で役立つのが、『憎しみ』という映画です。リンクからアマゾンにジャンプ出来ます。 . . . 本文を読む

小話

2005年11月16日 | 社会問題
 ある方のブログで紹介されていた、仏の小話です。今回の一連の騒動を考える上で有益かもしれません。ちょっとブラックジョークも入っていますが。 ある男が死んで、天国と地獄の分かれ道のところに来た。そこには死者を天国と地獄にふりわける係員がいる。係員は「天国と地獄、どちらに行くかはまず試しに両方行ってみてからご自分で決めていただくことになります」という。 男はまず天国に行ってみることにした。天国に行 . . . 本文を読む

ブランドと階級その2:パリ郊外暴動の社会的背景その3

2005年11月13日 | 社会問題
 前のエントリーからの続きです。  日本では、誰もが高級ブランド品を身につけることができるだろう(少なくとも非難の声はないだろう)。これに対して、仏では、そうした高級品を持つべきでない階級の人間が、高級ブランドを身につけていた場合、すぐさまprostitueeと呼ばれてしまうだろう。つまり、階級の境界を、分不相応に乗り越えた者に対しては、侮蔑の言葉が浴びせられる、そうした社会なのだと言えなくもな . . . 本文を読む

ブランドと階級:パリ郊外暴動の社会的背景その3

2005年11月13日 | 社会問題
 パリ郊外で起きている暴動は、一時沈静化の萌しを見せたものの、今週末はまた激化するのではないかと憶測がでているよう。今回の一連の出来事については、様々なブログで触れられているようで、その中には、仏文系の専門の方もおられるようで、私も参考にさせて頂いている。  ただここでは、直接的にこの一連の出来事について言及するよりは、私としては、少し距離をとった視点から、今回の出来事の「背景」について考えてみ . . . 本文を読む

暴動の社会的背景/パリ郊外:その2

2005年11月09日 | 社会問題
 ここで私が説明したいこと、そして私が翻訳した論文が関連したいのはこの点についてである。というのも、こうした「優先政策」、これは米でのアファーマティブ・アクションを範としたものなのだが、それが実際には機能していないということである。実際のところ、こうした教育政策では、quartie sensibleやquartie difficileに対して、優先的に予算を配分し補習講義の充実させること、あるいは . . . 本文を読む

暴動の社会的背景/パリ郊外:その1

2005年11月09日 | 社会問題
 フランスのパリ郊外における暴動に関しては、とうとう死者が出て、さらには非常事態宣言が出される事態となっている。一連の全国的な暴動の端緒となった、パリ郊外のそれは、セーヌ・サンドニ県で起きたものであることは、周知のことであろう。このセーヌ・サンドニに関しては、私が手がけさせて頂いた翻訳「ストライキの中の教師たち:教員の異議申し立てに関する社会的諸条件」(『現代思想』2002年4月号 特集教育の現在 . . . 本文を読む

クリシー・ス・ボワでの事件について

2005年11月05日 | 社会問題
 パリの郊外、クリシー・ス・ボワで起きている若者達の暴動については、日本でも比較的大きく報道されている。他方で、日本の仏関係研究者の間で、この問題に関する見解をあまり見聞しないのは、なぜだろうか?(私自身が情報収集をかまけているからだろうが)しかし、私も購読している仏研究者達の集まったメーリングリストでは、この件について何も意見が寄せられてこないのは、なぜだろうか?  無論、この種の問題が、非常 . . . 本文を読む