時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるかヴォルフガング・シュトレークみすず書房 シュトレークの著作について、続きを。 この著作は、ハバーマスの社会理論が70年代以降の資本主義を自明の前提としているとして、それが現在の社会を是認することになったと批判している。これにたいして、ハバーマスは、その内容について批判するのではなく、シュトレークの分析が事後的であり、当時の同時代性を忘 . . . 本文を読む
時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるかヴォルフガング・シュトレークみすず書房 今日は、シュトレークの『時間稼ぎの資本主義』の紹介。 この本、実は、私はハバーマスの『デモクラシーか資本主義か』(こちら)を読んでいて、ハバーマスには珍しく? 現状認識が的確だと思って、それがシュトレークのこの著作をベースにしているからであると知って、この本を読み始めたのだった。 なお、「ハバー . . . 本文を読む
候補者ジェレミー・コービン――「反貧困」から首相への道アレックス・ナンズ岩波書店 今日は、この本の紹介。 昨年のイギリスの総選挙から今年のアメリカ大統領選挙について、よりラディカルな左派勢力が台頭していると注目していた。 この本、翻訳は2019年初版なのだが、出版してそれほどたってない時期に、コービンが選挙で負けて労働党党首を降り、サンダースも大統領選挙撤退を表明したのは、残念な話では . . . 本文を読む
久しぶりの更新です(半年ぶり……)。 ネットをさまよっていたら、昨年11月にバークレーであったバリバールの講演が聴けるのを見つけました。講演は英語です。http://criticaltheory.berkeley.edu/?event=etienne-balibar-lecture&fbclid=IwAR17fL8akNV3F0SUVsFWPqiMEV9PT7 . . . 本文を読む
Collins Cobuild Pocket English Grammar (Collins Cobuild Grammar)クリエーター情報なしHarperCollins UK
昨今は、日本の社会学でも英文で文章を書くことが求められることがある。私自身は、そうしたことの専門家でも、得意でもないのだが、使えるツールとしていくつかの書籍を紹介させてもらえればと思う。
で、初めは、上の本。
. . . 本文を読む
European Social Models From Crisis to Crisis:: Employment and Inequality in the Era of Monetary Integration (English Edition)クリエーター情報なしOUP Oxford
本当は、先週の研究会で報告させていただいた自分の研究について触れたかったのだが、その前にある状況について . . . 本文を読む
階級という言語 イングランド労働者階級の政治社会史 1832-1982年クリエーター情報なし刀水書房
現在、ステッドマン・ジョーンズによる『階級という言語』を読んでいる。
私の専門は社会学なのだが、この著作はイギリス労働史の重要な文献とされている。
けれども、1985年に原著が出版されたこの著作は、現在の文脈からすると、ある種の修正・転換を必要とされている。そのことは、この翻訳の日本語 . . . 本文を読む
Du labour au new labour de tony blairクリエーター情報なしP U Du Septentrion
フランス語で書かれた本だが、トニーブレアの労働党政権を「内側」から分析した著作である。
ここでは本の紹介よりも、著者について気になったので説明を。
というのも、ニュー・レイバーについての批判的分析研究は、私が調べたかぎりでは、イギリスの本では多いようには思 . . . 本文を読む
新自由主義の帰結――なぜ世界経済は停滞するのか (岩波新書)クリエーター情報なし岩波書店
最近は、映画についてのエントリーが多く、本についてのエントリーを書いていなかったので、今日はある本の紹介を。
上の本、『新自由主義の帰結』は、これまで各国政府によって進められてきた新自由主義的政策と、その政策の理論的根拠となった「新自由主義経済学」に関する本である。
というと何の意味も無い紹介にな . . . 本文を読む
マルクス(上):ある十九世紀人の生涯ジョナサン・スパーバー白水社
マルクスとエンゲルスとイエニーの三人の映画を見た話はしたが、今日はある評伝について。
マルクス関連も伝記は、かなり多くあり、それぞれに良い部分があると思う。このスパーパーの物は、整理された最新の研究に依拠しつつ書かれていて、面白い点がある。
そこで気になったのは、マルクスと革命と結婚に関する関係を、スパーパーがどう捉えて . . . 本文を読む
もうかなり時間がたってしまったが(といっても3ヶ月ほど前に過ぎないが)、6月のイギリス下院選では、労働党が躍進した。その党首、ジェレミー・コービンは、党内最左派の立場で、若者から熱い支持を受けることで、このような結果が出たのだった。
コービンに対しては、それまで労働党の議員から批判を受けたりもしていたが、そうした議員達の世代と、若者達の世代でズレがあるのが興味深い。で、若者達の不満の対象と . . . 本文を読む
21世紀の資本クリエーター情報なしみすず書房
いつも参加させてもらっている研究会で、ある参加者が、ピケティのこの著作は、ものすごく売れた割には、あまり影響力をもっていないと発言したのを聞いて、確かのそうだと考えたのだった。
ただまあ、これが翻訳されて売れた時期の国会答弁で、安倍首相が、アベノミクスはトリクルダウンではないという旨の発言をしていて、こうした答弁の背景には影響を与えていたと言え . . . 本文を読む
昨日の話の続きである。二日連続で更新とは珍しいが(笑)
市民革命と産業革命―二重革命の時代 (1968年)クリエーター情報なし岩波書店
昨日は、この本を文庫版として再刊すべきだと言ったが、その続き。著作の内容について。
私は歴史学の専門ではないが、最近19世紀に関する著作でmasterpiaceとされる(と、背表紙の宣伝文句[ある書評の抜粋]に載っていた)The Birth of th . . . 本文を読む
市民革命と産業革命―二重革命の時代 (1968年)クリエーター情報なし岩波書店
最近、このブログのエントリーは、映画の話かトランプの話なので、今日は別の話を。
最近私は19世紀以降の歴史の本を多く読んでいて、周囲から「社会学者」と思われているかどうか、非常に疑問である。まあ、社会学には歴史社会学という一分野があって、そこは歴史学と近いと思われがちだが、歴史社会学は、実は一次文献をあまり扱わ . . . 本文を読む
68年5月クリエーター情報なしインスクリプト
ジョフラン著『68年5月』について、続きを。
この五月革命のルポールタージュ的著作の意義を見る上で参考になるのは、著者が2007年の時点で付した序文だろう。そこで著者は、個人の解放を求めた学生達の運動が挫折したのは、五月革命に象徴されるように、組織の論理(具体的には労働組合の論理)が自由を求める学生達の要求を押しつぶしたからだと述べている。そこ . . . 本文を読む