a journal of sociology

社会理論・現代思想を主に研究する今野晃のblog。業績については、右下にあるカテゴリーの「論文・業績」から

フランス大統領選挙について(つづき)

2022年04月29日 | 社会問題
フランス大統領選挙について - a journal of sociology前回の話のつづきです。今回のフランスの大統領選挙で注目されていたのは、棄権率の高さ。あと、白票と無効票の多さも、ですね。以下に、フランス版ハフィントンポストの棄権率に関する記事があります(仏語)。Les résultats de la présidentielle si on comptait . . . 本文を読む

フランス大統領選挙について

2022年04月26日 | 社会問題
フランス大統領選挙の第二回投票の結果が出ました。結果は、マクロン58.8%、ル・ペン41.5%で、マクロンが勝利しました。フランス大統領選挙 現職マクロン大統領が再選 | NHKただ、勝敗そのものは、事前の世論調査で明らかだったので、あまり関心を呼ばなかったと言えるでしょう。直前の世論調査の予想では、マクロン55%、ル・ペン45%だったので、その点ではル・ペンは予想より数ポイント低かったということ . . . 本文を読む

「政治的中道の巨大マーケット」という幻影

2021年12月08日 | 社会問題
先日、ある報道番組を見ていたら、立憲民主党の話題になっていて、現野党の立民党が政権を取りに行くなら、ウィングを広げることと、中道という巨大マーケットを取りに行くこと、と自民党の御用ジャーナリストが言ってた。また、同じ番組の別の機会に、東大教授の政治学の専門家も同様のことを言ってたが、私自身は、違和感を持たざるを得なかった。が、フランスの下の記事を読んでいたら、それについて確信をした。仏大統領選 共 . . . 本文を読む

ポピュリズムを眺めていて

2021年04月29日 | 社会問題
ポピュリズムとは何か板橋 拓己  数ヶ月前、欧州とトランプのポピュリズムに関する報告をある研究会でさせていただいて、なかなか好評だったのだが、現在その論文化に四苦八苦している……。 この『ポピュリズムとは何か』という著作について、けっこう前に読んだ当時は、ポピュリズム現象を包括的にまとめていて、すごく良い本だと思った。 無論、その評価は今でも変わらないのだが、 . . . 本文を読む

Brexit問題について考えたこと。

2019年03月13日 | 社会問題
 英のEU離脱問題で、一つの山場を迎えつつある。  最近、私は、ニューレイバーを分析した文献を読んでおり、この問題にも関心をひかれる。  ここ図宇時間で、メイの離脱に関する修正案(って、本当に修正しているのか? という疑問がそもそも投げかけられていますが)について、投票が行われる。結果によっては「合意無き離脱」へと進むかもしれない、と言われている。  BBCのニュースを見たり、ガーディアンを読 . . . 本文を読む

積極的労働政策の現実?

2019年02月02日 | 社会問題
 今回のエントリーでは、ギデンスの『大欧州』について、話をしようと考えたのだが、その前にある前提知識を知ってもらえればと思い、jpgファイルで読み取ったグラフを見てもらいたいと考えた。  このグラフは、Dolvik, J-E & Martin , A. ed. 2015 European social models from crisis to crisis, Oxford univ. pr . . . 本文を読む

「黄色いベスト運動」について、その3

2018年12月11日 | 社会問題
 黄色いベスト運動について、続けます。  仏の人々が何について怒っているのか、次の記事を読むとわかります。  怒る地方「辞任か革命か」 仏大統領悩ます黄色いベスト  抗議行動の内実というか、実際にどういった人々が参加しているのか、また参加者に対する周囲の人々の支持の様子もわかります。記者が、取材のためにガスマスクを買おうとしたところ、店員から「デモに参加するんですね」とウィンクされたとか。 . . . 本文を読む

「黄色いベスト運動」について、その2

2018年12月05日 | 社会問題
 黄色いベスト運動について、続けます。  この運動が特異なのは、インターネットから始まった自然発生的な運動であること。だから、運動のリーダーや代表者がいるわけでもなく、仏政府が「代表者」とされる人間をエリゼ宮(仏大統領官邸)に呼んでも、交渉ができるわけでもないし、運動の広がりをコントロールでき訳でもない。  そのことは、日経の記事でも指摘されている(有料記事です)。 仏デモ、SNSで急拡大 . . . 本文を読む

「黄色いベスト運動」について

2018年12月03日 | 社会問題
 仏で現在問題となっている「黄色いベスト運動」。  現在では、先日のシャンゼリゼのデモが問題となって、新しい局面に入っていますが。  基本的には、インターネットから自然発生的に始まり、直接的には高いガソリン価格(とその税金)に反対すること端緒だったのが、様々な社会的不満を巻き込んで、シャンゼリゼを占拠するような大きな勢いになっています。この運動には様々な側面があって、また、メディアの等その扱い . . . 本文を読む

国籍と外見

2018年11月24日 | 社会問題
 この話は、数年前に書いていた話だったのだが、ずっと下学の状態にしていた。でも、せっかく書いた話なので、ここで公開したい。仏人の友人の話なのだが、その友人、すでに仏に帰国している。  以下、本文。  先日、フランス生まれ&育ちで日本国籍を持つ友人が行政関係の手続きに役所に行くというので、その手伝いに同行しました。で、その時の話をしたいと思います。  まず、その友人の話から。彼女はフランスで . . . 本文を読む

米でマルクスの亡霊が……。

2018年10月26日 | 社会問題
 米で、マルクスの亡霊がさまよっているという話。ガーディアンの記事。  現ホワイトハウス、つまりトランプ政権の経済政策顧問が、米に、社会主義的諸政策やマルクス主義に対するシンパシーが膨れあがりつつあるという危機感を報告した、という。  he socialists are coming! White House sounds alarm at rise of the left  ただし、「社 . . . 本文を読む

東京医科大学、入試女性差別問題について

2018年10月08日 | 社会問題
 もう、かなり時間がたってしまっているが、東京医科大学における入試の採点において女性受験生の点数を不正に操作していた問題についてである。  これについて、私は当初、仏大使館が仏では女性の医師の割合が男性より多いというツイートをしたというニュースについて(こちら)、話をしようと思ったのだが、関連するある別のニュースを読んで、考えを変えた。  というのも、  仏で女性医師の割合が多いとしても、医 . . . 本文を読む

バスでのある光景(2)

2018年09月24日 | 社会問題
 前回のエントリーのつづきである。  外国人と思われる女性が、大きなトランクを持ってシルバーシートに座っていた。他に手提げ袋を二つ持っていたが、それは隣の空いた席に置いていた。私が乗り込んだ時にはバスはすいていたので、彼女がシルバーシートに座っていたのも、隣の席に荷物を置いていたのも問題はなかった。  大きめのトランクを持っていたので、そこに座ることは、他の乗客にトランクを邪魔にならないように . . . 本文を読む

バスの中でのある光景

2018年09月22日 | 社会問題
 数日前、バスに乗っていたらこんな光景があった。  外見からすると日本人とは思われない女性が、大きめのトランクと二つの手提げ袋を持ってバスに乗っていた。  彼女は、シルバーシートに座り、膝の前にトランクを置き、手提げを空いていた隣の席においていた。バスは空いていたので、彼女がシルバーシートに座っていたこと、隣の席に荷物を置いていたことも問題なかった。また、大きなトランク(トランクとしては中サイ . . . 本文を読む

最近のAI技術に関する議論について.

2018年08月24日 | 社会問題
 昨今、AI技術の導入により人間の労働が代替される=人間が仕事を失うという予測や議論があるが、それについて考えたことを話してみたい。  というのも、ホブズボームは、あるところでラッダイト運動の原因は、機械の導入への不満よりも、機械の導入により労働条件が悪化した事への不満だったという。  労働者の不満は、機械の導入そのものよりも労働環境の悪化の方にあったというのである。つまり、機械化によって生産 . . . 本文を読む