a journal of sociology

社会理論・現代思想を主に研究する今野晃のblog。業績については、右下にあるカテゴリーの「論文・業績」から

明日は我が身?:「下流」インテリたちの現実

2006年05月30日 | 研究生活
 私には、いくつか定期的に購読しているサイトがあるのだが、そこで次のような記事を発見した。記事は、博士号を取得したような高学歴者が、仏においてさえまともな職業に就けないでいるという話。  「セヴリーヌのブログには、……苦い認識が掲げられている。彼女は28歳。パリで学位を取った後、企業での研修と、求職者に支給される最低限の生活手当と、臨時雇い、そして失業の間を行ったり来たりしている。この侘びしい気 . . . 本文を読む

「社会的なもの」を引き受ける(その2):映画 Nobody knows を見て

2006年05月29日 | 映画
誰も知らないバンダイビジュアルこのアイテムの詳細を見る  映画『誰も知らない』に関わる批評(なのか、「感想」なのか、あるいはそれに引っ掛けて社会分析なのか不明だが)を続けたい。ただし、「ネタバレ」があるので、まだ見ていない方は注意のほどを。  さて、私が映画についての表を考えるとき、いつも気になるのが粉川哲夫氏の批評である。(粉川哲夫の映画評はこちら)ここで氏は、  「この映画は、その深刻さ . . . 本文を読む

Nobody knows:「社会的なもの」を引き受ける

2006年05月27日 | 映画
 本当は、今日の講義の準備に行き詰まってしまったことを書くつもりだったのだが、遅ればせながら、是枝監督がメガホンをとり、柳楽優弥が主演して、カンヌで主演男優賞を取った映画、『誰も知らない』をビデオ見たので、そちらについて触れたい。 誰も知らないバンダイビジュアルこのアイテムの詳細を見る  この作品については、もはや云々する必要もないであろう(上のリンクからアマゾンのDVD紹介へとジャンプできる . . . 本文を読む

格差社会の行く末:その2

2006年05月20日 | 社会問題
 日本が現在直面しようとしつつある格差社会、その格差社会の行く末を現在の欧米社会に見てみようというのが前回のエントリーだった。その最後に触れたのが、「クローズアップ現代」にコメントエーターとして出演していた社会学者のヴィヴィオルカ(Wieviorka)、そして、NHKBSで放映されていた『地球特派員』という番組。後者の番組では、姜尚中が、昨年11月にパリの郊外で起きた暴動に関するあった現地を取材し . . . 本文を読む

若年失業者と格差社会、その行く末

2006年05月15日 | 社会問題
 今年度の講義では、ニートと格差社会の問題について、講義をさせて頂いている。日本では、若年層の失業と格差社会の結びつきがそれほど意識されていないが(マスコミのレベルでの話)、欧米社会では両者の結びつきは火を見るより明らかである。講義では、この点を、当事者の視点から理解してもらえればと思っているが、講義としては、欧米の(私の場合フランスの)過酷な現実を取材したルポルタージュなどを学生に見てもらえば、 . . . 本文を読む