a journal of sociology

社会理論・現代思想を主に研究する今野晃のblog。業績については、右下にあるカテゴリーの「論文・業績」から

最終審級と言説の政治

2007年12月30日 | 理論
 なにか仰々しいタイトルのエントリーだが、大した話ではない。なんというか、自分の興味関心やパースペクティブの変遷―などと言うとかっこいいが、要は「心変わり」(「転向」とも言うかもしれない)―について、書こうと思っただけのことである。ただし、多分「転向」と言うほどのものではないのかもしれないが。  ここで様々に偉そうなことを言っているが、自分のことを振り返ってみると、様々な仕方で「問題関心」という . . . 本文を読む

大学の試験と格差と……

2007年12月29日 | 研究生活
 今年もあとわずかだが、年が明ければすぐに試験が始まる。非常勤をさせていただいているある大学の講義で、今年は前期の試験の際に、ある特殊な試験方法を採用してみた(詳しくはこちら)。ただし、今回はこの方法をとらず、よくある通常の方法を採用。つまり、あらかじめ問題を複数公表しておき、それから一門選択をして解答するというもの――ちなみに、前期に試みた「特殊な方法」では、試験当日にこちらが指定した設問に解答 . . . 本文を読む

「現代社会の再生産 ─ ニート・引きこもり・移民問題とアルチュセール再生産論の〈可能性〉」

2007年12月16日 | 論文・業績
 立命館大学の『言語文化研究』(第19巻第2号)に掲載された拙稿です。  私も翻訳に参加したアルチュセールの『再生産について 上 イデオロギーと国家のイデオロギー諸装置 (平凡社ライブラリー)』を現代日本社会の問題に応用するとどういった分析が可能かを検討しました。  PDFファイルで以下のリンクから閲覧できます。 現代社会の再生産 ─ ニート・引きこもり・移民問題とアルチュセール再生産論の . . . 本文を読む

デュルケムと多様性

2007年12月16日 | 読書
 今日、社会学史研究の29号で、横井先生の「デュルケムにおける異質性と同質性の問題」という論文を読んだ。デュルケムをめぐっては、私自身は、「いわゆる共和主義」とは異なった文脈で読む必要があるのではないかと思っていて、この論文と共通の問題意識を持ったのだった。  その面でも、横井先生の論文は非常に勉強になった。  あるいは、さらには(ここからは私見に過ぎないのだが)、デュルケムに関する「現代のイ . . . 本文を読む

新自由主義

2007年12月13日 | 読書
新自由主義―その歴史的展開と現在デヴィッド・ハーヴェイ,森田 成也作品社このアイテムの詳細を見る  「新自由主義」を批判するのが最近の日本の流行のよう。そのなかで、この本は最も意義の深い本だと、個人的には思う。日本で議論されている新自由主義のコンテキストとは若干異なる分析なのだけれど、世界的な流れのなかでなぜ日本で現在行われている「規制緩和」などの「改革」が、是と「されてきた」のか、その背景を理 . . . 本文を読む