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社会理論・現代思想を主に研究する今野晃のblog。業績については、右下にあるカテゴリーの「論文・業績」から

いよいよ、というかやっとというか:『マルクスの亡霊たち』

2007年10月11日 | 読書
 久しぶりの更新

 いよいよ、と言うべきか、やっと、と言うべきか、デリダの以下のマルクス論が翻訳され、出版された。

マルクスの亡霊たち―負債状況=国家、喪の作業、新しいインターナショナル
ジャック・デリダ,増田 一夫
藤原書店

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 藤原書店の本は高価なんで、私は原書で我慢(苦笑)。しかし、最近本格的にこの本を読もうとしていただけに、ちょっとというか、かなり間の悪い自分の性格を反省。

 この著作については、以前よりパラパラとめくっていたし、留学していたときにはあちらでも話題になっていたりして、いろいろ考えることがあった。

 実は、私の仏での指導教官、彼があるとき自分の主催する「研究会」(日本で言えば)において言っていたのだが、彼は当初デリダの言っていることがよくわからなかったと(例の語法とか、持って回った言い方とか)、それがこの著作を読むことで彼の主張がわかるようになったらしい。その後は、例えばグラマトロジーなども理解できるようになったと、言っていたことがあった(「あんた、デリダはあんたの論稿を評価していたのに、あんたの方ではデリダを理解していなかったのかい」などと、その時は考えたが 笑)。
 そう言う意味では、デリダを理解する上では参考になる著作と言えるのかもしれない。ただし、その指導教官は、マルクス主義者なのでデリダを理解する入り口になったのかもしれないが。なお、その機会にはたまたまバリバールが同席していて、エコール・ノルマル時代のデリダの話にもなっていた。ちなみに、バリバールの時代にデリダは助教としてノルマルに赴任したらしい。バリバールより2歳ほど年上の私の指導教官は、その時は「徴兵義務」で、地方の学校で教師をしていたためデリダの講義は取ることがなかったとか。

 それから翻訳に当たっている増田一夫氏だが、仏生まれの仏育ちらしく(なんか高校まではあちらで生活していたとか)、故に仏語に問題はないだろう。ただ、私自身は翻訳を見ていないので、訳文の判断はできないが。ちなみに、増田氏の仏語は「日本で五本の指に入る」とか。そんな語学力があったらうらやましい。

 ただ、仏語をめぐる環境というか、状況は複雑で、なかなか一筋縄ではいかないが……。それについては、次回のエントリーででも、


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